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占い師・スピリチュアル起業家のための「商標登録」完全ガイド|パクリ被害やアカウント停止から名前を守る方法【弁理士監修】

作成者: 弁理士 杉浦健文|2026/01/23

近年、副業ブームや「風の時代」というキーワードと共に、占い師、スピリチュアルカウンセラー、ヒーラーとして活動される方が急増しています。
InstagramやYouTubeでの発信、ココナラやLINE占いなどのプラットフォーム活用により、個人でも多くのファンを獲得し、大きな収益を上げることができる素晴らしい時代になりました。

しかし、光が当たれば影もできます。
業界の盛り上がりと比例して水面下で急増しているのが、「名前のパクリ問題」「商標権侵害のトラブル」です。

現実に起きているトラブル例

  • 「長年大切にしてきた占い師名が、ある日突然使えなくなる」
  • 「苦労して考案した独自の占術メソッド名を、赤の他人が勝手に名乗っている」
  • 「ある日突然、プラットフォームから『権利侵害』の通知が来てアカウントが凍結された」

もし、あなたが「自分は個人でやっているから関係ない」と思っているとしたら、その油断があなたのビジネスを一瞬で崩壊させる可能性があります。

占いビジネスにおいて、「名前」はあなたの信用そのものであり、お客様とあなたを繋ぐ唯一の架け橋です。その名前を守る手段を持たずにビジネスを拡大することは、鍵をかけずに金庫を大通りに置くようなものです。

この記事では、数多くの知財案件を扱ってきた弁理士の視点から、なぜ今、占い業界で商標登録が必須なのか、登録すべき具体的な区分(カテゴリ)、そしてトラブルを未然に防ぐための戦略について、専門用語を噛み砕いて徹底解説します。

目次

1. なぜ今、占い業界で「商標登録」が急務なのか?

かつて、占いは「館(やかた)」に所属して活動するのが一般的でした。しかし現在は、個人がSNSやプラットフォームを通じて直接顧客とつながるD2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルが主流です。
この環境変化が、商標トラブルのリスクを劇的に高めています。ここでは、占い師が商標登録を急ぐべき3つの理由を解説します。

理由①:早い者勝ち!「名前の横取り」リスク

日本の商標制度は、「先願主義(せんがんしゅぎ)」を採用しています。
これは、誰が先にその名前を使っていたかに関わらず、「特許庁に一番先に商標出願をした人が権利を持つ」という非情なルールです。

例えば、あなたが「銀河タロット」という屋号で5年前から活動し、YouTubeの登録者が10万人いたとします。しかし、あなたが商標登録をしていない間に、全く無関係の第三者や、後から活動を始めた競合が「銀河タロット」を商標登録してしまったらどうなるでしょうか?

法律上、その名前の権利者は相手になります。
相手から「商標権の侵害です。使用をやめてください」と警告書が届けば、あなたは長年愛用した名前の変更を余儀なくされ、看板やWEBサイトの修正、過去の動画の削除、最悪の場合は損害賠償を請求されるリスクすらあるのです。
「私が本家だ!」と叫んでも、商標権の前では無力です。これが商標法の怖さです。

理由②:プラットフォームのアカウント停止(BAN)措置

これが現在、最も恐ろしいリスクです。
ココナラ、LINE占い、STORES、YouTube、Instagramなどのプラットフォームは、知的財産権の侵害に対して非常に厳しい対応をとります。

もし、商標権を持つ他者から「この占い師は私の商標を勝手に使っている」とプラットフォーム側に通報が入れば、あなたの活動アカウントや出品ページは、予告なく削除・凍結される可能性が極めて高いのです。

何年もかけて積み上げてきたフォロワー、数百件の高評価レビュー、顧客リスト。これらが一瞬にして消滅します。SNSやプラットフォームを主な集客導線にしている現代の占い師にとって、アカウント削除は「廃業」と同義です。
商標登録をしておくことは、こうした理不尽な通報から自分のアカウントを守る「最強の盾」になります。

理由③:ブランディングと「本物」の証明

占いというサービスは、目に見えないからこそ「信用」が全てです。
プロフィールやWebサイトに「®(アールマーク)」や「商標登録済み」と記載することで、お客様に「この先生は、自分のブランドに責任を持ち、プロとして活動している」という安心感を与えることができます。

多くの怪しいスピリチュアルビジネスが存在する中で、「商標登録済み」という事実は、他者との圧倒的な差別化要因になります。「パクリ業者」を寄せ付けないための結界としても機能するのです。

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2. 占いビジネスで「商標登録」すべき3つの資産

「商標」といっても、具体的に何を登録すればよいのでしょうか。占いビジネスにおいて保護すべき対象は、大きく分けて以下の3つです。

① 占い師としての「活動名(ビジネスネーム)」

最も基本となるのが、あなた自身の名前や屋号です。
(例:「占いの館〇〇」「スピリチュアルカウンセラー△△」「フォーチュン〇〇」)

本名で活動している場合でも、それがビジネスとして認識されるなら商標登録の対象になります。
特に、「当たる占い師」として有名になればなるほど、その名前に便乗しようとする人が現れます。同じ名前で質の低い鑑定をされると、あなたの評判まで下がってしまいます。「私といえばこの名前」という独占権を確保するために、名前の登録は最優先です。

② 独自の「占術名」や「メソッド名」

「タロット占い」や「西洋占星術」といった一般的な名称は、誰のものでもないため登録できません。
しかし、あなたが独自に考案した「〇〇式チャクラ・リーディング」「△△流・魂の鑑定術」といったオリジナルの名称は、強力な知的財産になります。

これを登録しておくことで、弟子や生徒が勝手にその名前を名乗って講座を開いたり、低品質なサービスを提供してブランドを毀損したりするのを防ぐことができます。つまり、「のれん分け」や「認定講師制度(協会ビジネス)」を作る際の土台となるのです。

③ 商品名・ロゴマーク

サロンやオフィスのロゴマークも登録可能です。
特に、文字だけでは登録が難しい(ありふれた名前である)場合でも、特徴的な図形と組み合わせたロゴマークとして出願することで、登録が認められるケースがあります。
また、オリジナルのパワーストーンやお守り、カードなどを販売する場合、そのブランド名も保護対象となります。

3. 失敗しないための「区分(カテゴリ)」の選び方

商標登録を行う際、最も難しく、かつ重要なのが「区分(くぶん)」の選定です。
商標登録をする際は、「どの分野でその名前を使うか」を指定しなければなりません。これを「区分」と呼び、第1類から第45類まで存在します。

占いビジネスは活動が多岐にわたるため、単一の区分だけでは守りきれないケースが増えています。以下に、占い師が検討すべき主要な区分を詳細に解説します。ここを間違えると、「登録したのにお金が無駄になった」ということになりかねません。

【第45類】個人の需要に応じて行われる身の上相談・占い

これが占い師にとっての「本丸」です。
対面鑑定、電話占い、チャット占い、神社での祈祷、ファッション情報の提供(ラッキーカラー提案など)は、この第45類に含まれます。
占い師として活動するなら、まずはこの区分の取得が必須です。しかし、これだけでは不十分なケースが多々あります。

【第41類】セミナー・講座・教育・オンラインサロン

もしあなたが、「占い教室」や「スピリチュアル養成講座」を開いているなら、この区分が必要です。
また、オンラインサロンの運営や、セミナー活動もここに含まれます。

⚠️ 注意ポイント
「占う」活動(第45類)と「教える」活動(第41類)は、商標法上は別のサービスとして扱われます。
「鑑定は45類で守れているが、スクール名は守られていなかったため、同じ名前のスクールを勝手に作られた」という失敗例は後を絶ちません。認定講座ビジネスを展開するなら必須の区分です。

【第9類】電子出版物・アプリ・動画データ

PDFで鑑定書を販売したり、Kindleで電子書籍を出したり、オリジナルの占いアプリを配信したりする場合に必要です。
また、ダウンロード可能な「動画教材」や「音声データ(誘導瞑想など)」を販売する場合も、この第9類が該当します。
「形のないデジタルコンテンツ」を守るための重要な区分です。「私は本を出しているから」といって第16類(紙の本)だけを取っていても、電子データは守れない可能性があるため注意が必要です。

【第16類】印刷物・カード・書籍

紙の書籍、オラクルカード、タロットカード、手帳、テキストなどを「物」として販売する場合はこの区分です。
ご自身でオリジナルのオラクルカードデッキを作って販売したいと考えている方は、絶対に外せません。

【第14類】お守り・パワーストーン・アクセサリー

鑑定とセットで、パワーストーンブレスレットや貴金属製のお守り、ペンダントなどを販売している場合です。
物販を行う場合、その商品の区分も取っておかないと、同じブランド名で他社にグッズを販売されてしまうリスクがあります。

このように、現代の占い師の活動は「鑑定(45類)」だけでなく「スクール(41類)」「物販(16類・14類)」など複合的になっています。
予算との兼ね合いもありますが、「現在のビジネス」だけでなく「将来展開したいビジネス」を見据えて、漏れのない区分選定を行うことこそが、専門家(弁理士)の腕の見せ所です。

4. 実際にあった商標トラブル事例(フィクション)

ここで、商標登録の有無が運命を分けた事例をイメージしてみましょう。

事例A:人気の屋号を奪われた占い師

SNSで人気を集めていた占い師Aさんは、「ルナ・フォーチュン」という屋号で活動していました。商標登録はしていませんでした。
ある日、全く面識のないB社から「ルナ・フォーチュンは当社の登録商標です。使用を中止し、過去の売上の〇〇%を支払ってください」という警告書が内容証明郵便で届きました。

調べると、確かにB社は最近その名前を登録していました。弁護士に相談しましたが、「相手の権利が有効である以上、勝ち目はない」との回答。
Aさんは長年使っていた愛着ある名前を変更せざるを得なくなり、HPの改修や顧客への周知に追われ、売上が激減してしまいました。検索エンジンでの評価もリセットされ、まさにゼロからのスタートとなってしまったのです。

事例B:独自のメソッドを守ったCさん

Cさんは、「〇〇式開運メソッド」という独自の手法を開発し、講座を開講する前に、弁理士に相談して商標登録(第41類)を済ませていました。
数年後、受講生の一人が独立し、勝手に「〇〇式開運メソッド」を名乗って講座を始めました。
Cさんは、商標権に基づき、即座にその元受講生に対して名称の使用差止を請求。相手は法的な対抗ができず、すぐに名称を変更しました。Cさんの講座のブランド価値と信頼は守られました。

この差は、「知っていたか、知らなかったか」そして「行動したか、しなかったか」だけです。

5. 自分で出願(本人出願)をおすすめしない理由

最近は、AIを使った簡易的な商標登録サイトや、個人での出願に挑戦する方もいらっしゃいます。コストを抑えるためにそれらを利用するのも一つの手ですが、占い業界特有の難しさがあります。

リスク①:「識別力」の判断が難しい

「ハッピー占い」のような一般的な言葉は登録できませんが、「ハッピー」に別の単語を組み合わせたり、ロゴ化したりすることで登録できる場合があります。
この「登録できるギリギリのライン」を見極めるには、専門的な知識と経験が必要です。自分で出願して「拒絶」された場合、そこであきらめてしまう方がほとんどですが、弁理士がいれば反論して登録に導けるケースも多々あります。

リスク②:調査の不備

特許庁のデータベースで「同じ名前」がないか調べるだけでは不十分です。商標は「似ている名前(類似)」も登録できません。
例えば、「スター(Star)」が登録されている場合、「スタア」や「星(スターと読ませる)」も類似とみなされるリスクがあります。この類似判断(外観・称呼・観念)は非常に専門性が高く、プロでないと正確な判断ができません。

リスク③:拒絶理由通知への対応不能

出願後、審査官から「拒絶理由通知」が届くことがあります。これは「不合格」ではなく、「反論の機会」です。
適切な意見書を提出すれば覆せることが多いのですが、一般の方にはその法的な文章作成が困難です。弁理士に依頼していれば、この中間処理もしっかりサポートしてもらえます。

6. 商標登録にかかる費用と、それを「投資」と考えるべき理由

商標登録には費用がかかります。弁理士費用と特許庁への印紙代を合わせると、1区分あたり十数万円〜(調査・出願・登録まで含む)の投資になることが一般的です。
これを「高い」と感じるでしょうか?

リスクとの比較

もしトラブルに巻き込まれて名前を変えることになれば、リブランディング費用(ロゴ、Web、看板などの作り直し)だけで数十万円〜数百万円の損害が出ます。さらに、積み上げた信用を失う損失はプライスレスです。

商標権は原則10年間有効です。費用を10年(120ヶ月)で割れば、月々のコストはわずか数千円、ランチ代程度です。
その金額で、10年間の「安心」と「独占権」が買えるのです。これは、あなたのビジネスを守るための最もコストパフォーマンスの良い保険と言えるでしょう。

まとめ:あなたの「言霊」を守るために

占い師やスピリチュアルカウンセラーにとって、言葉は商品であり、名前は魂です。
目に見えない価値を提供する仕事だからこそ、法的な権利という「目に見える形」で信用を守ることが、ビジネスの土台を盤石にします。

  • 「自分の名前は大丈夫だろうか?」
  • 「どの区分で登録すればいいのかわからない」
  • 「将来的にオリジナルカードを作りたい」

少しでも気になることがあれば、まずは専門家である弁理士にご相談ください。
当事務所では、占い・スピリチュアル業界の特有の事情を深く理解した上で、あなたのビジネスに最適な商標戦略をご提案します。

早めの行動が、あなたの未来と、あなたを頼ってくれる相談者様を守ることにつながります。
あなたの占いが、誰にも邪魔されることなく、より多くの人を救う活動となるよう、私たちは全力でサポートいたします。

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