...
ペルー商標制度の実務ガイド|アンデス共同体決定486号・INDECOPIは先行商標も審査・異議なしなら45営業日・アンデス異議・不使用3年・マドプロ未加盟を弁理士が徹底解説
ペルーは人口約3,400万人、銅・亜鉛・金などの鉱産資源と農産物輸出で成長を続ける国で、日本にとっては銅鉱石・天然ガス・農水産物の重要な供給国であると同時に、日本車の主要な輸出先の一つです。2025年の日本からペルーへの輸出は約1,200億円、輸入は約5,300億円に達し、約70社の日系企業が現地に拠点を置いています。2025年11月にはサントリー、クミアイ化学、王子ホールディングス、フジシールなど日本企業の商標出願がペルーで相次いで報じられ、ペルーでの商標保護への関心が高まっています。
ペルーの商標制度は、コロンビア・エクアドル・ボリビアと共通のアンデス共同体(CAN)決定486号を直接の根拠とし、これを補う国内法として立法令1075号を持ちます。管轄官庁のINDECOPI(国家競争防衛・知的財産保護庁)は先行商標との抵触まで職権で審査し、異議がなければ約45営業日という中南米では際立って速い登録を実現している一方で、異議や争訟になると委員会の審理体制の制約から大幅に遅れるという二面性があります。さらに、マドリッド協定議定書(マドプロ)に未加盟のため国際登録でペルーを指定することができず、直接出願だけが選択肢です。本記事では、決定486号・立法令1075号の条文、INDECOPIの2026年公式手数料表(TUPA)、WIPOとINDECOPIの統計、2025〜2026年の判断例を一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・アンデス4か国を見据えた設計までを弁理士が実務目線で整理します。
この記事のポイント
- 根拠法はアンデス共同体決定486号+立法令1075号。管轄はINDECOPIの識別標識局(DSD)で、絶対的・相対的拒絶理由の双方を職権審査。電子公報公告から30営業日が異議期間で、コロンビア・エクアドル・ボリビアの商標権者も異議可(アンデス異議)
- 庁費用は1区分534.90ソル(約150米ドル・約2万2,000円)、追加区分533.30ソル(2026年)。登録料は不要で多区分出願可。委任状は私文書で足り、公証・認証は不要
- 異議がなければ約45営業日で登録(法定上限は180営業日)。ただし異議・取消・侵害など委員会(CSD)が扱う争訟事件は、月4回の審理制限により約8,000件が滞留し、2025年に臨時委員会が設置された
- 不使用取消は3年(アンデス加盟国のどこかでの使用で足りる。部分取消あり)。無効もINDECOPI内で完結し、相対的理由は登録から5年、絶対的理由は無期限
- 侵害はINDECOPIの行政手続で最大150UIT(82万5,000ソル)の罰金、刑事は2〜5年の拘禁刑。マドプロ未加盟のため国際登録での指定は不可で、直接出願のみ
目次
- ペルー商標制度の全体像:決定486号・立法令1075号とINDECOPI
- 2025年は過去最多の出願:統計と日本企業の動き
- 保護対象と拒絶理由:INDECOPIは先行商標も審査する
- 出願手続の流れと審査期間:異議なしなら45営業日
- 費用一覧(INDECOPI公式手数料表TUPA・2026年)
- 異議申立:公告後30営業日・アンデス異議・不使用の抗弁
- 不使用取消(3年)と無効:いずれもINDECOPI内で完結
- 使用義務と更新:アンデス域内での使用が有効
- 権利行使:INDECOPIの行政手続・罰金150UIT・刑事・税関
- 最近の判断例:PUMA対THE PUNA・Tiffany・Coca-Cola・便乗出願
- マドプロ未加盟:直接出願とアンデス4か国の設計
- 日本の商標制度との比較
- 日本企業がペルー出願で押さえるべき実務ポイント
- よくある質問(FAQ)
- 出典・参考文献
1. ペルー商標制度の全体像:決定486号・立法令1075号とINDECOPI
LEGAL FRAMEWORK
アンデス共同体の共通法規である決定486号(2000年)が実体法・手続法の中核で、ペルーはこれを補う立法令1075号(2008年、2016年・2018年・2022年に改正)で手数料・期限・手続の細目を定めています。
ペルーの商標法の骨格は、コロンビアと同じアンデス共同体決定486号(Decisión 486)です。商標の定義、拒絶理由、異議、存続期間、不使用取消、無効、周知標識、侵害に対する救済まで、加盟4か国(ペルー・コロンビア・エクアドル・ボリビア)で条文が共通しており、加盟国の官庁や裁判所が決定486号を解釈するときはアンデス共同体司法裁判所(TJCA)の先決的解釈に従います。国内法の立法令1075号(Decreto Legislativo 1075)は、決定486号の補完規定として、出願書類、委任状、多区分出願、手数料、電子通知、審理期限、侵害手続と制裁を定めています。2016年の立法令1309号と2018年の立法令1397号で手続が簡素化され、2022年の法律31497号で更新は60営業日以内、登録の変更は90営業日以内、侵害事件の臨検命令は10営業日以内、保全措置の判断は15日以内といった処理期限の短縮が明文化されました。
管轄官庁はINDECOPI(Instituto Nacional de Defensa de la Competencia y de la Protección de la Propiedad Intelectual)です。商標に関する組織は三層構造で、(1)識別標識局(Dirección de Signos Distintivos:DSD)が異議のない出願・更新・変更を審査し、(2)識別標識委員会(Comisión de Signos Distintivos:CSD)が異議・不使用取消・無効・侵害といった争訟事件を第一審として裁き、(3)INDECOPI審判部の知的財産専門部(Sala Especializada en Propiedad Intelectual:SPI)が第二審を担います。SPIの決定に不服があれば司法(行政訴訟)へ進みます。日本企業にとって重要なのは、登録・異議・取消・無効・侵害・保全措置のすべてがINDECOPIという一つの行政機関の中で処理される点です。コロンビアのように無効だけ別の裁判所へ行く必要はなく、侵害についても行政手続で罰金と差止(措置)まで得られます。
ペルー独自のポイント:速い登録と遅い争訟
2017年に公報が無料の電子公報(Gaceta Electrónica)に切り替わったことで、異議のない出願は約45営業日で登録されるようになりました。一方、争訟を扱う識別標識委員会は非常勤の委員で構成され、2022年の最高政令321-2022-EFで有給の審理回数が月20回から月4回に制限されて以降、異議・取消・侵害事件の滞留が深刻化しています。「登録は速いが、争いになると遅い」という構造を前提に、早めの出願と先取り出願の監視が重要です。
2. 2025年は過去最多の出願:統計と日本企業の動き
INDECOPIによると、2025年の商標出願は54,065件と過去最多を記録し、前年比15.6%増となりました。出願に対する登録の割合は82.9%(約4万4,800件)で、前年の78%から改善しています。分野別では食品、広告・事業管理、教育・娯楽、医薬品、被服、IT製品、飲食店が上位を占めます。2026年も勢いは続き、1〜5月の出願は25,166件(前年同期比23.4%増)で、INDECOPIは通年でも10%超の伸びを見込んでいます。
WIPOの統計(区分数ベース、2024年)では、ペルーの商標出願は46,763区分(前年比11.4%増、世界37位)で、居住者が33,986区分(72.7%)、非居住者が12,777区分(27.3%)です。非居住者の出身国は中国18.3%、米国17.2%、スペイン6.6%、チリ5.1%、英国4.5%の順で、日本は上位5か国には入っていませんが、INDECOPIの月次データでは2025年1月に日本からの出願が51件と、チリに次ぐ4位に付けています。同月はトヨタ自動車が「Voxy」「Allex」「Allion」など車名を第12類で29件出願し、単月の出願件数トップでした。2025年11月には、サントリーのウイスキー「The Chita」(第33類)、クミアイ化学の除草剤「Effeeda」(第5類)、王子ホールディングス(第16類)、フジシール(第7・16・17・20類)、フジ医療器(第10類)の出願が報じられ、飲料・農薬・包装・健康機器の分野で日本企業のペルー市場参入が続いています。
| 指標 | 数値 | 出所 |
|---|---|---|
| 2025年の商標出願件数 | 54,065件(+15.6%、過去最多) | INDECOPI(Gestión 2026年6月) |
| 2025年の登録率 | 82.9%(約4万4,800件。前年78%) | INDECOPI(Gestión 2026年6月) |
| 2024年の出願区分数 | 46,763区分(居住者72.7%) | WIPO統計国別プロファイル |
| 非居住者の出身国(2024年) | 中国18.3%・米国17.2%・スペイン6.6%・チリ5.1%・英国4.5% | WIPO |
| 有効登録数(2024年) | 453,927件(世界22位) | WIPO |
| 審査官1人当たり出願数/登録までの遅延 | 866件/71日(2024年) | WIPO |
| 2026年1〜5月の出願 | 25,166件(+23.4%、国内75.0%) | INDECOPI(Gestión) |
出願増の裏側では、流行キャラクターへの便乗出願も目立ちます。2024年10月から2025年8月までに「LABUBU」を含む商標出願が108件寄せられ、うち10件が登録、98件が審査中と報じられました。2024年末には個人が「Capibara」を第16類(文具)で登録し、リマの卸売街メサ・レドンダの商店主団体が無効請求を表明する騒動も起きています。日本企業のブランドやキャラクターも同様の標的になり得るため、ペルー進出の検討段階で出願し、電子公報の監視を続けることが欠かせません。
3. 保護対象と拒絶理由:INDECOPIは先行商標も審査する
決定486号134条は、商品・役務を識別でき、かつ図形的に表現できるあらゆる標識を商標として認めます。文字、図形、色彩の組合せ、立体形状、音、さらには香りも条文上は登録対象で、INDECOPIは音商標や立体商標の登録実績を持ちます。商標のほか、スローガン(lema comercial)を登録商標に紐づけて登録する制度、商号(nombre comercial)を使用に基づいて保護し登録もできる制度、団体商標・証明商標、原産地名称(ピスコなど)が識別標識局の管轄です。団体商標は生産者団体の支援策として登録手数料が無料です。
拒絶理由は135条(絶対的理由:識別力欠如、記述的、慣用的、公序良俗違反、原産地の誤認など)と136条(相対的理由:先行商標・先行出願との混同のおそれ、商号・スローガンとの抵触、周知標識の複製・模倣、第三者の氏名・著作物・肖像の無断使用など)です。決定486号150条により、INDECOPIは異議がなくても絶対的・相対的理由の双方を職権で審査します。したがって日本と同様に、出願前の先行商標調査が実務の出発点になります。INDECOPIの無料検索「Busca tu marca」で同一・類似の文字商標を確認でき、有料の音標的(発音)検索・図形検索も用意されています。
周知標識の保護:決定486号224条〜229条により、アンデス加盟国のいずれかで関連業界に知られた標識は、未登録・未使用でも保護されます。ただしINDECOPIの知的財産専門部は、周知性が認められても「混同や不正利用の現実のおそれ」を個別に審査する立場を繰り返し示しており(第10章のPUMA対THE PUNA事件)、周知性の主張だけで他社出願を止められるわけではありません。周知性の証拠は、アンデス域内での売上・広告・市場調査を軸に用意する必要があります。
4. 出願手続の流れと審査期間:異議なしなら45営業日
出願はINDECOPIのオンライン窓口(Mesa de Partes Virtual)またはオンラインサービス(SEL)から行い、手数料はPágalo.peや国立銀行で納付します。手続の流れは次のとおりです。
- 出願と方式審査:願書、商標見本、商品・役務の指定(2026年1月からニース分類第13版)、手数料の納付証明を提出します。立法令1075号58条により多区分出願が可能で、1件の登録にまとまります。委任状は私文書で足り(15条)、公証・領事認証は不要で、出願後の追完も認められます。方式不備は補正命令に応じて補います。
- 電子公報への公告:方式要件を満たすと、INDECOPIが自動的かつ無料で電子公報(Gaceta Electrónica de Propiedad Industrial)に公告します。かつては官報エル・ペルアーノへの有料掲載が必要でしたが、2017年の最高政令071-2017-PCMで廃止されました。
- 異議期間(30営業日):公告日から30営業日以内に、利害関係人が1回に限り理由を付した異議を申し立てられます。異議があれば事件は識別標識委員会(CSD)に移り、出願人に答弁の機会が与えられます。
- 登録可能性審査と決定:異議期間満了後(または異議の審理と併せて)、絶対的・相対的拒絶理由を職権審査し、登録または拒絶の決定(Resolución)を出します。拒絶に不服がある場合は、通知から15営業日以内に再考申立または知的財産専門部への上訴ができます。
- 登録証の発行:登録が認められると登録証が発行されます。登録料は不要で、存続期間は登録日から10年です。
審査期間について、INDECOPIの公式案内は「法定の手続期間は180営業日だが、異議がなければ実務上45営業日以内に決定している」と明記しています。元INDECOPI幹部の説明でも2023年の異議なし事件の平均は44日で、WIPO統計上の2024年の登録遅延は71日と、中南米では例外的な速さです。一方で、異議・取消・無効・侵害を扱う識別標識委員会では、審理回数の制限により2024年8月時点で5,708件が係属し、うち2,086件が法定期限を超過していました。2025年8月には係属件数が約8,000件に達し、INDECOPIは著名な専門家4名で構成する臨時委員会(Comisión de Emergencia y Transitoria de Signos Distintivos)を2年間の任期で設置して処理にあたっています。異議を受けた事件は、第一審の決定まで1年前後、上訴まで含めるとさらに数か月〜1年程度を見込むのが現実的です。
電子通知と現地代理人
立法令1075号24-A条により、当事者はINDECOPIが割り当てる電子私書箱(casilla electrónica)での通知を選択でき、これが他の通知方法に優先します。外国企業はペルー国内に手続上の住所を置く必要があり、実務上はペルーの弁護士・代理人を通じて出願します。委任状は私文書で足りますが、登録の放棄など一部の行為には公証が必要です。
5. 費用一覧(INDECOPI公式手数料表TUPA・2026年)
INDECOPIの手数料は、2025年7月施行の最高政令088-2025-PCMで承認された行政手続一覧表(TUPA)に定められ、2026年1月と5月の決議で一部改定されています。以下は2026年版TUPAの識別標識関係の主な手数料です。円換算は1ソル≒41円の概算で、為替により変動します。なお、税務単位UITは2026年に5,500ソル(最高政令301-2025-EF)で、罰金の上限などはUITを基準に定められます。
| 手続 | 手数料(ソル) | 円換算目安・備考 |
|---|---|---|
| 商標登録出願(1区分) | 534.90 | 約2万2,000円。商号・スローガンも同額 |
| 追加区分(1区分ごと) | 533.30 | 約2万2,000円。多区分は1件の登録 |
| 出願の分割 | 48.60 | 約2,000円 |
| 中小零細企業(REMYPE登録)割引 | 401.20/追加399.90 | 25%割引。ペルー国内で登録した企業のみ |
| 団体商標の登録 | 無料 | 生産者団体の支援策 |
| 登録料 | 不要 | 出願料に含まれる |
| 異議申立(1区分ごと) | 378.70 | 約1万6,000円。2025年7月の正誤表では378.79 |
| 不使用取消請求(1区分ごと) | 576.70 | 約2万4,000円 |
| 無効請求 | 643.60 | 約2万6,000円 |
| 更新(1区分ごと) | 240.00(オンラインSELは216.00) | 約1万円。満了前後6か月 |
| 登録の変更・移転等の記録 | 331.70(一部68.40) | 約1万4,000円 |
| 侵害の申立(denuncia) | 214.70 | 約9,000円 |
| 保全措置の申立 | 195.20 | 約8,000円。手続外でも申立可 |
庁費用は1区分約150米ドルと中南米の中でも低廉で、コロンビア(約340米ドル)の半分以下です。ただし外国企業は現地代理人の費用が加わるため、総額は1区分あたり数十万円規模になるのが一般的です。中小企業はINPIT外国出願補助金で費用の2分の1の助成を受けられる場合があります。
6. 異議申立:公告後30営業日・アンデス異議・不使用の抗弁
異議は登録前の制度で、電子公報の公告日から30営業日以内に、正当な利益を有する者が1回に限り申し立てます(決定486号146条)。申立時に証拠を揃えられない場合は、請求により30日の追加期間が1回認められます。異議は識別標識委員会(CSD)が審理し、法定の処理期間は180営業日です。委任状なしで申し立てた場合は60日以内に追完できます(立法令1075号55条)。委員会は職権で和解期日を設けることができ(57条)、共存合意が成立すれば手続は終了します。手数料は反対する区分ごとに378.70ソルです。
アンデス異議(決定486号147条)と「現実の利益」
ペルーに商標を持っていなくても、コロンビア・エクアドル・ボリビアで同一・類似の商標を登録または先に出願している者は、ペルーの出願に異議を申し立てることができます。これが「アンデス異議」です。ただし条文は、異議人がペルー市場における現実の利益(interés real)を証明することを求めており、その方法として異議申立と同時にペルーへ同じ商標を出願することが要件とされています。INDECOPIの知的財産専門部は2020年6月17日の決定0458-2020/TPI-INDECOPIを拘束的先例として、ペルーで既に登録を有している場合も現実の利益の証明になると整理しました。アンデス異議を申し立てるには、根拠となる加盟国の登録証または出願の写しを添付します(立法令1075号54条h号)。
不使用の抗弁と濫用的異議への制裁
異議の根拠とされた先行商標が3年以上使われていない場合、出願人は異議への答弁の中で不使用取消を反訴として請求できます(決定486号165条、立法令1075号71.3条)。この場合も取消請求の手数料を納付し、同じ事件記録の中で審理されます。根拠のない異議(oposición temeraria)には最大50UIT(27万5,000ソル)の罰金が科され得るため(立法令1075号23条・55条)、異議を申し立てる側も証拠に基づく主張が求められます。異議人の主張と出願人の答弁の期間が過ぎると、当事者の対応の有無にかかわらず異議段階の終了が宣言されます(31-A条)。
日本企業の活用例:コロンビアで登録済みの商標を第三者がペルーで出願した場合、公告から30営業日以内にアンデス異議を申し立て、同時にペルーへ出願します。異議が認められれば相手の出願は拒絶され、自社の出願が審査に進みます。コロンビアはマドプロ加盟国なので、国際登録でコロンビアを指定しておくことが、マドプロ未加盟のペルーでの防御にも間接的に役立ちます。
7. 不使用取消(3年)と無効:いずれもINDECOPI内で完結
不使用取消(決定486号165条〜168条)
登録商標が、正当な理由なく、取消請求の日に先立つ連続3年間、権利者・使用権者・その他の授権者によってアンデス加盟国のいずれにおいても使用されていない場合、利害関係人の請求により識別標識委員会が登録を取り消します。取消請求は、登録手続を終結させた決定の通知から3年経過後に初めて可能です。使用の立証責任は権利者側にあり(167条)、請求書、会計書類、監査証明などで商品の販売の規則性と数量を示します。一部の商品・役務についてのみ使用が証明された場合は、残りの部分だけが取り消される部分取消となります。取消を勝ち取った請求人は、請求時から取消決定の確定後3か月以内まで優先的に登録を受ける権利を持ちます(168条)。手数料は区分ごとに576.70ソル、法定処理期間は180営業日です。知的財産専門部は2020年の決定0994-2020/TPI-INDECOPIを拘束的先例として、複数の商標を同時に使っている場合に一つの証拠で複数の商標の使用を証明できると整理しています。
無効(決定486号172条)
無効もINDECOPIの識別標識委員会に請求します。絶対的理由(134条1項・135条違反)による無効はいつでも請求でき、相対的理由(136条違反)や悪意による登録を理由とする無効は登録の付与から5年で時効にかかります。無効が宣言されると登録は遡及的に消滅しますが、悪意の登録でない限り、確定判断や履行済みの契約には影響しません(立法令1075号8条)。同じ当事者間で同じ理由の異議が既に判断されている場合は、無効請求はできません(73条)。手数料は643.60ソル、法定処理期間は180営業日です。無効の請求と並行して、相手の商標が使われていなければ不使用取消を請求するのが、日本企業が先取り登録に対抗する際の定石です。
5年の壁に注意:先取り登録に気づかないまま登録から5年が過ぎると、悪意を理由とする無効は請求できなくなります。定期的にINDECOPIのデータベースで自社ブランドの登録状況を確認し、発見次第、無効請求と不使用取消請求を検討してください。
8. 使用義務と更新:アンデス域内での使用が有効
登録の存続期間は登録日から10年で、10年ごとに何度でも更新できます(決定486号152条)。更新は満了前6か月から申請でき、満了後6か月の猶予期間があります(153条)。猶予期間中も登録は有効ですが、猶予期間を過ぎると登録は消滅し、誰でもその商標を出願できる状態になります。オンラインサービス(SEL)で申請すれば手数料は216ソル、通常窓口は240ソルで、平均15営業日で更新の決定が通知されます。法律31497号により更新の処理期限は60営業日以内と定められました。更新時に使用証明は不要です。
使用義務の面では、アンデス加盟国のどこかで使っていればペルーで使っていなくても不使用取消を免れる点が、日本企業にとって大きな利点です。たとえばコロンビアでのみ販売している商品の商標をペルーでも登録しておけば、ペルー市場への参入が遅れても登録を維持できます。逆に言えば、ペルーで登録した商標をアンデス4か国のいずれでも使っていない場合、登録手続の終結から3年で取消のリスクにさらされます。使用の証拠は、商標が付された商品の請求書、通関書類、販売店との契約、現地語の広告など、日付と数量が分かる形で保管しておきます。各国の使用義務の違いは商標登録後の維持義務の国際比較も参考にしてください。
9. 権利行使:INDECOPIの行政手続・罰金150UIT・刑事・税関
INDECOPIの侵害手続(行政)
ペルーの商標侵害対策の中心は、裁判所ではなくINDECOPI識別標識委員会への侵害申立(denuncia por infracción)です。委員会は予備調査、職権または申立による手続開始、臨検、保全措置、和解期日の設定、制裁の権限を持ちます(立法令1075号95条)。保全措置は手続の内外で申し立てることができ、申立から15日以内に判断が出され(112条、法律31497号)、臨検命令は申立から10営業日以内に発せられます。侵害と認定されると、差止等の措置に加えて最大150UIT(2026年のUITで82万5,000ソル、約3,400万円)の罰金が科されます。侵害による実際の利益が75UITを超える場合は、侵害行為に係る売上・総収入の20%まで罰金を科すことができ、再犯は加重されます(120条)。罰金の算定では、不法利益、発覚の可能性、態様と範囲、影響、期間、再犯、悪意が考慮されます(121条)。侵害の申立は、権利者が侵害を知ってから2年、最後の侵害行為から5年で時効にかかります(110条)。申立の手数料は214.70ソルと低額で、法定処理期間は180営業日です。
損害賠償はINDECOPIでは命じられず、行政手続の終了後2年以内に民事裁判所へ請求します(129条)。算定基準は決定486号243条の逸失利益・侵害者利益・合理的ロイヤルティで、模倣品の場合は侵害者の利益を追加で考慮できます(立法令1075号130条)。INDECOPIは年間約250件の商標侵害の罰金を科し、2023年には罰金総額が1,000万ソルを超えました。2025年11月には、ナイキ・アディダス・グッチの模倣スニーカーを輸入販売した個人に対し、知的財産専門部が合計6.73UIT(36,005.50ソル)の罰金と模倣品の没収を確定させています。
刑事罰と税関
刑法典222条は、産業財産権の規定に違反して、登録商標と同一・類似の未登録商標を付した商品・役務を商業目的で保管・製造・使用・提供・流通・販売・輸出入する行為に、2年以上5年以下の拘禁刑と60〜365日分の罰金、資格停止を定めています。悪質な模倣事案では刑事告訴が抑止力になります。水際措置は立法令1092号に基づき、税関(SUNAT)が職権または権利者の申立で疑わしい貨物の通関を停止します。権利者はSUNATの任意登録制度(Registro Voluntario)に商標を登録しておくと、税関からの警告が届きやすくなります。SUNATとINDECOPIの協定により、疑わしい輸入貨物の情報は識別標識局に通知され、INDECOPIは税関倉庫での模倣品の押収を毎年5,000万ソル超規模で実施していると公表しています。
先取り出願そのものが「不正競争」と認定された例
2025年8月、INDECOPIの競争防衛専門部は、競合他社が先に使用していた標識と同一・類似の商標を5件出願した潤滑油メーカーに対し、商標制度を競争妨害の手段として濫用したとして51.57UIT(27万5,899.50ソル)の罰金と行為の即時停止を命じました(決定123-2025/SDC-INDECOPI)。ペルーでは、商標の登録手続とは別に、不正競争の枠組みで悪意の出願を制裁できる点も覚えておくべきです。
10. 最近の判断例:PUMA対THE PUNA・Tiffany・Coca-Cola・便乗出願
PUMA対「THE PUNA」・Doritos対「Loritos」(2026年5月)
ドイツのPuma SEは、アルパカ製衣料のペルー商標「THE PUNA」の出願に対し、周知商標PUMAの一部を再現し混同・不当な便乗を生じると主張して異議を申し立てました。知的財産専門部は決定0596-2026/TPI-INDECOPIで、両標識は構成・発音・全体の印象が明確に異なり、PUMAがペルーで周知であってもそれだけで他の標識の登録を自動的に妨げるものではなく、現実の混同・不正利用のおそれを常に審査するとして異議を退け、登録を確定させました。同日発表されたPepsiCoの「Doritos」対「Loritos tu marca de confianza」(第30類)でも、商品が重なるにもかかわらず音・外観・観念の差異から登録が認められています(決定0551-2026/TPI-INDECOPI)。周知性を主張する側は、標識の近似そのものを丁寧に立証する必要があることを示す事例です。
Tiffany対「TIFFANY」食品(2026年2月)
対照的に、アラブ首長国連邦の食品会社が「TIFFANY」を第29類(食品)で出願した事件では、識別標識委員会が2025年2月28日にTiffany & Co.の異議を認めて拒絶し、知的財産専門部も2026年2月9日に上訴を退けて拒絶を維持しました。宝飾品と食品という異業種であっても、国際的に周知な商標の識別力の希釈化のおそれが認められた例で、周知性と標識の同一性が揃えば商品の非類似を超えて保護が及ぶことを示しています。
Coca-Cola対クンビア楽団(2026年1月)・便乗出願の動向
The Coca-Cola Companyは、第41類(音楽・娯楽)の標識にCOCA-COLAの書体と波形のリボンに似た図形が使われているとして、ペルーのクンビア楽団に対する保全措置を申し立てましたが、識別標識委員会は2025年6月5日にこれを却下し、知的財産専門部も2026年1月7日に上訴を退けました。侵害またはその切迫を推認させる証拠が予備段階では不十分と判断されたもので、保全措置には具体的な証拠が必要であることを示しています。このほか、2025年には「LABUBU」の便乗出願108件が話題となり、2026年9月には、アルコール飲料の登録商標「RUSSKAYA」と同じ名称を音楽グループ名に使った事業者に対し、知的財産専門部が第一審の判断を覆して侵害を認め、3UIT(1万6,500ソル)の罰金と使用禁止を命じました(決定1217-2026/TPI-INDECOPI)。飲料会社が音楽イベントを主催・協賛する実態から、酒類と音楽グループの役務に競争上の関連があると判断された点が注目されます。
11. マドプロ未加盟:直接出願とアンデス4か国の設計
ペルーは2026年9月時点でマドリッド協定議定書に加盟していません。南米ではブラジル(2019年)、チリ(2022年)が加盟し、コロンビア(2012年)はアンデス共同体で唯一の加盟国ですが、ペルー・エクアドル・ボリビアは未加盟です。INDECOPIはペルー企業の海外展開を支援する観点からマドリッド制度の検討を続けていますが、加盟の時期は決まっていません。したがって、日本企業がマドプロの国際登録を持っていてもペルーを指定することはできず、ペルーの代理人を通じた直接出願だけが選択肢です。
直接出願の利点もあります。庁費用が1区分約150米ドルと安く、異議がなければ約45営業日で登録され、多区分出願が可能で、委任状も私文書で足ります。パリ条約の優先権(日本出願から6か月)を主張でき、出願書類はスペイン語で作成します。アンデス共同体の枠組みを活かすなら、コロンビアはマドプロで指定し、ペルー・エクアドル・ボリビアは直接出願で揃えるという組合せが現実的です。4か国のいずれかに登録があれば他国の先取り出願にアンデス異議で対抗でき、いずれかで使用していれば全加盟国で不使用取消を免れるため、アンデス4か国を一体として設計することが費用対効果を高めます。近隣のチリ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコはマドプロ指定が可能なので、中南米全体ではマドプロと直接出願を組み合わせることになります。
12. 日本の商標制度との比較
| 項目 | ペルー(INDECOPI) | 日本(特許庁) |
|---|---|---|
| 根拠法 | アンデス共同体決定486号+立法令1075号 | 商標法 |
| 先行商標との類似の審査 | 職権審査あり | 職権審査あり |
| 異議 | 登録前・公告から30営業日・他のアンデス加盟国の商標権者も可 | 登録後・公報から2か月 |
| 登録までの期間 | 異議なしなら約45営業日。異議ありは1年以上 | 6〜8か月程度(早期審査あり) |
| 庁費用(1区分) | 出願534.90ソル(約2万2,000円)、登録料なし | 出願12,000円+登録料32,900円 |
| 存続期間 | 登録日から10年 | 登録日から10年 |
| 不使用取消の猶予 | 3年(アンデス域内のどこかでの使用で足りる) | 3年(日本国内での使用) |
| 無効の管轄・期限 | INDECOPI委員会。相対的理由・悪意は5年、絶対的理由は無期限 | 特許庁審判。一部理由は5年の除斥期間 |
| 侵害の第一次的な救済 | INDECOPIの行政手続(罰金最大150UIT・差止措置)。損害賠償は民事 | 裁判所(差止・損害賠償) |
| 刑事罰 | 2〜5年の拘禁刑+罰金 | 10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金 |
| マドプロ | 未加盟(直接出願のみ) | 加盟(2000年) |
| 委任状 | 私文書で可・追完可 | 原則不要(代理人による出願) |
13. 日本企業がペルー出願で押さえるべき実務ポイント
- マドプロでは届かないことを前提に、早めに直接出願する:国際登録の指定国にペルーは含められません。ペルーで販売・代理店契約・展示会出展を検討し始めた段階で、現地代理人を通じて出願してください。異議がなければ約45営業日で登録され、優先権主張(6か月)も使えます。
- アンデス4か国をセットで設計する:コロンビアはマドプロ指定、ペルー・エクアドル・ボリビアは直接出願で揃えれば、アンデス異議と域内使用のルールを最大限に活かせます。いずれかの国での使用証拠が4か国の登録を守ります。
- 多区分出願と正確なスペイン語の指定商品:多区分は1件の登録にまとまり、追加区分は533.30ソルです。指定商品・役務はニース分類第13版に沿ってスペイン語で具体的に記載し、INDECOPIの分類検索ツールで表現を確認します。
- 電子公報の監視を続ける:登録が速い分、第三者の先取り出願も速く登録されます。公告から30営業日という異議期間を逃さないよう、自社ブランド・ハウスマーク・主力製品名のウォッチングを設定してください。
- 周知性の主張は証拠を固めてから:知的財産専門部は周知商標でも混同のおそれを個別に審査します。アンデス域内での売上・広告・受賞歴・市場調査など、決定486号228条の要素に沿った証拠を平時から整えておきます。
- 先取り登録には無効と不使用取消を併用し、5年の壁に注意:悪意の登録の無効は登録から5年で時効です。相手が3年以上使っていなければ不使用取消(576.70ソル/区分)が最も早く、取消後は自社が優先的に登録できます。
- 侵害はINDECOPIへの申立から始める:申立手数料214.70ソル、保全措置195.20ソルと低額で、最大150UITの罰金と差止措置が得られます。悪質な模倣は刑法典222条の刑事告訴、輸入品はSUNATの任意登録と水際措置を組み合わせます。
- 使用証拠と更新期限の管理:登録から10年、更新は満了前後6か月。オンライン更新なら216ソルで約15営業日です。請求書・通関書類・広告を日付付きで保管し、3年の不使用期間を作らないようにします。
よくある質問(FAQ)
Q1. マドプロでペルーを指定できますか?
できません。ペルーは2026年9月時点でマドリッド協定議定書に加盟していないため、国際登録の指定国に含めることができず、ペルーの代理人を通じた直接出願が唯一の方法です。日本出願から6か月以内であればパリ条約の優先権を主張できます。アンデス共同体で唯一の加盟国であるコロンビアはマドプロで指定できます。
Q2. 登録までどのくらいかかりますか?
異議がなければ、INDECOPIの公式案内で約45営業日、WIPO統計でも2024年の登録遅延は71日と、中南米では最速級です。ただし異議や不使用取消などの争訟になると識別標識委員会の審理制限により大幅に遅れ、第一審の決定まで1年前後を見込む必要があります。法定の上限は180営業日です。
Q3. 費用はいくらかかりますか?
庁費用は1区分534.90ソル(約150米ドル・約2万2,000円)、追加区分533.30ソルで、登録料はかかりません(2026年のTUPA)。更新は1区分240ソル(オンライン216ソル)です。外国企業はペルーの代理人費用が加わります。中小企業はINPIT外国出願補助金で費用の2分の1の助成を受けられる場合があります。
Q4. コロンビアで登録済みの商標をペルーで他社が出願しました。
アンデス異議(決定486号147条)が使えます。ペルーの電子公報公告から30営業日以内に、コロンビアの登録を根拠に異議を申し立て、同時にペルーへ同じ商標を出願してペルー市場での現実の利益を示します。異議が認められれば相手の出願は拒絶され、自社の出願が審査に進みます。
Q5. ペルーで登録した商標をペルーでは使っていません。取り消されますか?
登録手続の終結から3年間、アンデス加盟国のどこでも使っていなければ、第三者の請求でINDECOPIが取り消すことができます。逆に、コロンビア・エクアドル・ボリビアのいずれかで使っていれば、ペルーで使っていなくても取消を免れます。一部の商品・役務にしか使っていない場合は、残りの部分だけが取り消されます。
Q6. 模倣品がペルーで売られています。何から始めるべきですか?
国内流通品はINDECOPI識別標識委員会への侵害申立と保全措置(臨検・押収)が最も速く、最大150UITの罰金と差止措置が得られます。損害賠償は行政手続の後に民事裁判所へ請求します。輸入品はSUNATの任意登録と水際措置、悪質な事案は刑法典222条に基づく刑事告訴(2〜5年の拘禁刑)を組み合わせます。いずれもペルーの弁護士を通じて行います。
まとめ
ペルーの商標制度は、アンデス共同体決定486号に基づく4か国共通のルールと、登録・異議・取消・無効・侵害のすべてを一つの行政機関で処理するINDECOPIの仕組みが特徴です。異議のない出願は約45営業日で登録され、庁費用も1区分約150米ドルと低廉である一方、争訟事件は委員会の審理制限で遅れやすく、マドプロ未加盟のため直接出願しか使えません。過去最多を更新する出願の中で便乗出願も増えており、早めの直接出願、電子公報の監視、アンデス4か国を一体とした設計、周知性の証拠の準備、そしてINDECOPIの行政手続・刑事・税関を組み合わせた権利行使が、ペルーでのブランド保護の要諦です。
各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。
ペルー・アンデス諸国への商標出願は弁理士にご相談ください
マドプロ未加盟国への直接出願、アンデス4か国を見据えた出願設計、異議・取消・無効への対応、模倣品対策、INPIT外国出願補助金の申請まで、知的財産事務所エボリクスが一貫してサポートします。初回相談は無料です。
出典・参考文献
本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年9月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。
法令・公的機関の資料
- アンデス共同体決定486号「Régimen Común sobre Propiedad Industrial」原文(アンデス共同体事務局)/商標の定義と拒絶理由(134条〜136条)、異議30日と追加証拠期間・アンデス異議と現実の利益・職権審査(146条・147条・150条)、存続期間10年と更新・猶予6か月(152条・153条)、不使用取消3年・立証責任・優先的登録権(165条〜168条)、無効の期限(172条)、周知標識(224条〜229条)、侵害訴権と損害賠償の算定基準(238条・243条)の根拠。
https://www.comunidadandina.org/StaticFiles/DocOf/DEC486.pdf - 立法令1075号(Decreto Legislativo 1075)改正反映版(ペルー政府公式サイトgob.pe掲載PDF)/無効の遡及効(8条)、委任状は私文書で可(15条)、濫用的異議への罰金50UIT(23条・55条)、手続期限180営業日(24条)、電子通知(24-A条)、異議段階の終了(31-A条)、異議の要件とアンデス異議の添付書類(54条)、和解期日(57条)、多区分登録(58条)、更新(61条〜61-B条)、取消・防御としての取消請求(71条)、無効請求の制限(73条)、侵害手続の権限(95条)、時効2年・5年(110条)、保全措置(112条)、制裁・罰金150UIT・売上の20%(120条・121条)、民事の損害賠償と時効2年(129条・130条)の根拠。
https://cdn.www.gob.pe/uploads/document/file/1664721/DL%201075.pdf.pdf - gob.pe「Registrar la marca de producto o servicio de tu negocio en Indecopi」(INDECOPI公式手続案内)/出願手数料534.90ソル・追加区分533.30ソル・MYPE割引401.20ソル、電子公報への自動・無料公告、30営業日の異議、15営業日の再考・上訴、法定180営業日と実務45営業日、存続期間10年の根拠。
https://www.gob.pe/333-registrar-la-marca-de-producto-o-servicio-de-tu-negocio-en-indecopi - gob.pe「Presentar oposición al registro de una marca de signos distintivos」(INDECOPI公式手続案内)/異議は公告から30営業日以内に1回、識別標識委員会が審理、アンデス異議には他の加盟国の出願・登録の写しを添付、区分ごとの手数料、処理期間180営業日の根拠。
https://www.gob.pe/10907-presentar-oposicion-al-registro-de-una-marca-de-signos-distintivos - gob.pe「Renovar el registro de marca」(INDECOPI公式手続案内)/更新は満了前6か月から・猶予6か月、手数料240ソル、オンラインSEL、平均15営業日で更新決定の根拠。
https://www.gob.pe/17064-renovar-el-registro-de-marca - INDECOPI「TUPA Indecopi(Vigente)」および2026年改定版TUPA(PDF)/2026年の識別標識関係手数料(出願534.90/追加533.30/分割48.60/MYPE401.20・399.90/異議378.70/取消576.70/無効643.60/更新240・216/変更331.70/侵害申立214.70/保全措置195.20)、各手続の処理期間(登録180・更新60・変更90営業日)、団体商標の無料、決議000003-2026-PRE/INDECOPIによる改定の根拠。
https://www.gob.pe/institucion/indecopi/informes-publicaciones/6950486-tupa-indecopi-vigente - ペルー経済財政省(MEF)「Valor de la UIT en el año 2026」(gob.pe)/2026年のUIT=5,500ソル(最高政令301-2025-EF)と、罰金上限150UIT=82万5,000ソル・50UIT=27万5,000ソルの換算の根拠。
https://www.gob.pe/435-valor-de-la-uit-en-el-ano-2026 - WIPO「Statistical Country Profiles: Peru」(2024年データ)/出願46,763区分(+11.4%、世界37位)、居住者33,986区分(72.7%)・非居住者12,777区分、非居住者の出身国(中国18.3%・米国17.2%・スペイン6.6%・チリ5.1%・英国4.5%)、登録36,469区分、有効登録453,927件(22位)、審査官1人当たり866件、登録遅延71日の根拠。
https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/pe.pdf - WIPO「Members of the Madrid Union」(マドリッド制度加盟国一覧)/ペルーが2026年9月時点でマドリッド協定議定書に未加盟であること、コロンビア・チリ・ブラジルの加盟の根拠。
https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/members/index - INDECOPI「Dos marcas peruanas logran su registro en Indecopi tras superar oposiciones de PepsiCo y Puma」(2026年5月12日、gob.pe)/PUMA対THE PUNA(決定0596-2026/TPI-INDECOPI)とDoritos対Loritos(決定0551-2026/TPI-INDECOPI)の事案概要と、周知商標でも混同・不正利用の現実のおそれを審査するという判断の根拠。
https://www.gob.pe/institucion/indecopi/noticias/1390567-dos-marcas-peruanas-logran-su-registro-en-indecopi-tras-superar-oposiciones-de-pepsico-y-puma - INDECOPI「Indecopi multa a empresa por uso indebido del sistema de registro de marcas para perjudicar a su competidora」(2025年8月18日、gob.pe)/競合の標識を先取り出願した企業に対する51.57UIT(27万5,899.50ソル)の罰金(決定123-2025/SDC-INDECOPI)の根拠。
https://www.gob.pe/institucion/indecopi/noticias/1228893-indecopi-multa-a-empresa-por-uso-indebido-del-sistema-de-registro-de-marcas-para-perjudicar-a-su-competidora - INDECOPI「El Indecopi impulsa incautaciones por S/ 50 millones en promedio al año e impone unas 250 multas anuales por falsificación de marcas」(2024年6月6日、gob.pe)/年間約250件の罰金、税関倉庫での年間5,000万ソル超の押収、2023年の罰金総額1,000万ソル超、罰金上限150UITの根拠。
https://www.gob.pe/institucion/indecopi/noticias/967688-el-indecopi-impulsa-incautaciones-por-s-50-millones-en-promedio-al-ano-e-impone-unas-250-multas-anuales-por-falsificacion-de-marcas - INDECOPI「Precedente de observancia obligatoria – Cancelación del registro por falta de uso de una marca」(決定0994-2020/TPI-INDECOPI、2021年3月22日公表、gob.pe)/複数商標の同時使用を一つの証拠で証明できるという不使用取消の拘束的先例の根拠。
https://www.gob.pe/institucion/indecopi/informes-publicaciones/1770192-precedente-de-observancia-obligatoria-cancelacion-del-registro-por-falta-de-uso-de-una-marca - SUNAT「Aplicación de medidas en frontera para la protección de los derechos de autor o derechos conexos y los derechos de marcas」(税関手続DESPA-PE.00.12)/立法令1092号に基づく水際措置、権利者の任意登録(Registro Voluntario)、INDECOPIとの連携の根拠。
https://www.sunat.gob.pe/legislacion/procedim/despacho/procAsociados/despa-pe.00.12.htm - ペルー刑法典222条(LP Pasión por el Derechoによる条文・判例集)/登録商標と同一・類似の商標を付した商品の商業目的での保管・製造・販売・輸出入に対する2年以上5年以下の拘禁刑と60〜365日分の罰金(222条f号)の根拠。
https://lpderecho.pe/articulo-222-codigo-penal-fabricacion-uso-no-autorizado-patente/
実務ガイド・専門家による解説
- Unión Andina「Peru: INDECOPI issues a mandatory compliance precedent on Andean Opposition」/アンデス異議の要件(他の加盟国の登録・出願、ペルーへの同時出願)と、決定0458-2020/TPI-INDECOPI(2020年6月17日)による「現実の利益」の拘束的先例の根拠。
https://unionandina.com/en/peru-indecopi-issues-a-mandatory-compliance-precedent-on-andean-opposition/ - Estudio Delion「Ley No. 31497 – Modificaciones en los plazos de marcas」/法律31497号(2022年)による更新60営業日、登録の放棄・変更90営業日、臨検命令10営業日、保全措置の判断15日という処理期限の短縮の根拠。
https://www.estudiodelion.com.pe/trademark-term-modifications-law-31497-peru - 日本貿易振興機構(JETRO)「ペルー 概況・基本統計」/人口3,416万人(2025年国勢調査)、2025年の日本の対ペルー輸出1,218億円・輸入5,297億円、日系企業70社(2024年10月)、為替1米ドル=3.6ソル(2025年平均)など冒頭と換算の根拠。
https://www.jetro.go.jp/world/cs_america/pe/basic_01.html - Infobae「Indecopi aprobó su nuevo TUPA: actualizadas sus tasas administrativas」(2025年7月5日)/2025年7月施行の新TUPA(最高政令088-2025-PCM)、商標出願534.90ソルと異議378.79ソルの正誤表、無効手数料の引上げの根拠。
https://www.infobae.com/peru/2025/07/05/indecopi-aprobo-su-nuevo-tupa-actualizadas-sus-tasas-administrativas-para-diversos-servicios-y-tramites/
判例・実務動向
- Gestión「Registro de marcas ante el Indecopi batió récord: ¿se mantendrá pese a un año electoral?」(2026年6月12日)/2025年の出願54,065件(+15.6%)、登録率82.9%、2026年1〜5月の出願25,166件(+23.4%)と国内出願人74.95%、上位分野、INDECOPI識別標識局長の見通しの根拠。
https://gestion.pe/economia/registro-de-marcas-ante-el-indecopi-batio-record-se-mantendra-pese-a-un-ano-electoral-noticia/ - Gestión「Toyota, Yura y perfumes: crecen pedidos de registro de marcas」(2025年3月27日)/2025年1月の国別出願件数(中国210・米国108・チリ58・日本51)、トヨタ自動車の第12類29件(Voxy・Allex・Allion)の根拠。
https://gestion.pe/economia/empresas/registro-de-marcas-en-peru-crece-en-2025-china-y-eeuu-en-ferrea-batalla-empresas-y-rubros-indecopi-chile-solicitud-de-registros-noticia/ - Gestión「Perú atrae a compañías japonesas: los sectores claves para firmas del “país del sol naciente”」(2025年12月11日)/2025年11月のサントリー(The Chita・第33類)、クミアイ化学(Effeeda・第5類)、王子ホールディングス(第16類)、フジシール(第7・16・17・20類)、フジ医療器(第10類)の出願の根拠。
https://gestion.pe/economia/empresas/peru-atrae-a-companias-japonesas-los-sectores-claves-para-firmas-del-pais-del-sol-naciente-noticia/ - Infobae「Indecopi ahora demora más en registrar marcas, pero creará comisión para acelerar proceso」(2025年8月30日)/最高政令321-2022-EFによる審理回数の月20回から4回への削減、約8,000件の滞留、専門家4名・2年任期の臨時委員会の設置の根拠。
https://www.infobae.com/peru/2025/08/30/indecopi-ahora-demora-mas-en-registrar-marcas-pero-creara-comision-para-acelerar-proceso/ - Gestión「Indecopi: “Cuello de botella” en procesos para registrar marca, las razones detrás」(2024年10月6日)/2024年8月時点の係属5,708件・期限超過2,086件、2023年の異議なし事件の平均44日、識別標識委員会が非常勤委員で構成されることの根拠。
https://gestion.pe/economia/indecopi-cuello-de-botella-en-procesos-para-registrar-marca-las-razones-detras-expedientes-marcas-signos-distintivos-competencia-propiedad-intelectual-noticia/ - Gestión「Joyería Tiffany y firma de Emiratos Árabes: la disputa por su marca en alimentos en Indecopi」(2026年4月28日)/「TIFFANY」第29類出願に対する識別標識委員会の拒絶(2025年2月28日)と知的財産専門部の維持(2026年2月9日)、希釈化の主張の根拠。
https://gestion.pe/economia/empresas/indecopi-joyeria-tiffany-y-firma-de-emiratos-arabes-la-disputa-por-su-marca-en-alimentos-en-indecopi-quien-se-impuso-noticia/ - Gestión「Coca Cola enfrenta a orquesta de cumbia peruana ante Indecopi」(2026年6月20日)/第41類の標識に対する保全措置の却下(識別標識委員会2025年6月5日)と知的財産専門部の維持(2026年1月7日)の根拠。
https://gestion.pe/economia/empresas/coca-cola-enfrenta-a-orquesta-de-cumbia-peruana-ante-indecopi-que-origino-el-conflicto-noticia/ - Infobae「Boom de LABUBU en Perú: Indecopi recibe 108 pedidos de registro de marca」(2025年8月12日)/2024年10月以降のLABUBU出願108件、登録10件・審査中98件、第16・18・25・28類などの根拠。
https://www.infobae.com/peru/2025/08/12/boom-de-labubu-en-peru-indecopi-recibe-108-pedidos-de-registro-de-marca-y-algunos-fueron-aceptados/ - Infobae「Capibara en la mira de Mesa Redonda: comerciantes presentarán recurso de nulidad a Indecopi」(2024年12月6日)/「Capibara」第16類の登録とメサ・レドンダの商店主団体による無効請求の表明の根拠。
https://www.infobae.com/peru/2024/12/06/capibara-en-la-mira-de-mesa-redonda-comerciantes-presentaran-recurso-de-nulidad-a-indecopi-ante-aumento-de-registro-de-marca/ - La República「Indecopi sanciona a peruano por falsificar zapatillas Nike, Adidas y Gucci con multa de S/36.000」(2025年11月13日)/模倣スニーカーの輸入販売に対する合計6.73UIT(36,005.50ソル)の罰金と没収を知的財産専門部が確定させた事案の根拠。
https://larepublica.pe/economia/2025/11/13/indecopi-impone-multa-de-s36000-a-vendedor-peruano-por-importar-y-distribuir-zapatillas-falsificadas-de-nike-adidas-y-gucci-atmp-439569 - La República「Llamó ‘RUSSKAYA’ a su agrupación musical y recibió multa de S/16.500 de Indecopi」(2026年9月26日)/登録商標と同一名称を音楽グループ名に使用した事業者への3UIT(1万6,500ソル)の罰金・使用禁止(決定1217-2026/TPI-INDECOPI)と、酒類と音楽役務の競争上の関連という判断の根拠。
https://larepublica.pe/sociedad/2026/09/26/llamo-russkaya-a-su-agrupacion-musical-y-recibio-multa-de-s16500-de-indecopi-por-usar-nombre-de-marca-registrada-para-bebidas-alcoholicas-282542
※本記事は上記の資料を基に、2026年9月時点の情報で一般的な情報提供を目的として作成しています。手数料(円換算額)・運用・判例は変更されることがあり、スペイン語原文と英訳の間に差異がある場合はスペイン語原文が優先されます。個別案件の具体的判断には、専門家へのご相談を推奨します。