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アイルランド商標制度の実務ガイド|IPOI・費用・異議・不使用取消・高等法院・EUTMとの使い分けを弁理士が解説|知的財産事務所エボリクス

作成者: 弁理士 杉浦健文|2026/10/07

アイルランドは人口約549万人、GDP約7,087億米ドル(2025年)、1人当たりGDPが約12万9,000米ドルと世界最高水準の英語圏の国で、ギネス、ジェムソン、ベイリーズ、ケリーゴールド、プライマーク、ライアンエアー、キングスパンなど世界的なブランドを生み、製薬・IT・医療機器の欧州拠点が集積しています。日本との関係では、2023年の日本からの輸出は約2,462億円(機械、車両・輸送機器)、輸入は約8,880億円(医療用品・化学工業用品、コンタクトレンズなどの光学・精密機器)で、アイルランドはEU加盟国の中で日本にとって第4位の輸入相手国です。英語で事業ができ、EU唯一の英語圏主要市場として英国離脱後の欧州拠点に選ぶ日本企業も増え、アイルランドでの商標保護の相談も増えています。

アイルランドの商標制度は、1996年商標法(Trade Marks Act 1996)に基づきアイルランド知的財産庁(Intellectual Property Office of Ireland、IPOI)が登録します。EU加盟国の中では珍しく、IPOIは絶対的理由だけでなく先行商標との抵触(相対的理由)も職権で審査し、国内商標とEU商標のデータベースを調査して先行商標を引用します。公告から3か月の異議(60ユーロ)、出願日から10年の存続期間、5年の不使用取消、庁の決定に対する高等法院への上訴という英国法系の仕組みを持ち、侵害訴訟は高等法院が扱います。出願料は1区分70ユーロと安く、登録時に177ユーロの登録料を納めます。本記事では、商標法の統合テキスト、IPOIの審査実務・手数料表・2025年年次報告、裁判所の判決、税関の公表数値、外務省のデータを一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・EUTMとの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 根拠法は1996年商標法(2019年のEU商標指令対応改正まで反映)、管轄はアイルランド知的財産庁(IPOI、キルケニー)。IPOIは絶対的理由に加えて先行商標を職権で審査して引用するEU内では少数派の官庁。引用は商品の限定、先行権利者の同意、誠実な併存使用の立証などで克服できる
  • 庁費用は出願70ユーロ(1区分・約1.2万円)+追加区分70ユーロ、登録料177ユーロ(区分数にかかわらず)。1区分なら合計247ユーロ(約4.3万円)で10年の保護。公告から3か月の異議(60ユーロ)、証拠は宣誓供述書で3往復
  • 存続期間は出願日から10年(登録日は出願日とみなされる)、更新250ユーロ+追加区分125ユーロ(遅延料60ユーロ)。不使用取消は登録公告から5年(申請125ユーロ)。庁の決定への不服は高等法院へ3か月以内に上訴
  • 侵害訴訟は高等法院(商事裁判部)。刑事は略式で6か月以下、正式起訴で5年以下または13万ユーロ以下の罰金。税関(Revenue)は週単位で模倣品の押収を公表し、2025年4月の1週間で664点・15万2,900ユーロ相当を押収
  • 2025年の国内商標出願は3,328件(前年比42%増)で急増、異議は47件。2025年の控訴院「Diesel」判決は、混同が生じる以上は出願人の帰責性にかかわらず登録を拒絶すると判示。マドプロでアイルランドを指定する個別手数料はCHF 228(1区分)+65/追加区分。EUTM(850ユーロ)との使い分けが設計のポイント

目次

  1. アイルランド商標制度の全体像:1996年商標法とIPOI
  2. 国内出願は年3,300件に急増:市場環境と統計
  3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由に加えて先行商標も職権審査
  4. 出願手続の流れと審査期間:引用への対応・公告後3か月の異議
  5. 費用一覧(IPOI公式手数料・EUTM・マドプロ個別手数料)
  6. 異議申立:公告後3か月・60ユーロ・宣誓供述書による証拠
  7. 不使用取消(5年)と無効:IPOIまたは高等法院
  8. 使用義務と更新:出願日起算の10年
  9. 権利行使:高等法院・刑事罰・税関
  10. 最近の動向:2025〜2026年の判例と統計
  11. アイルランド国内商標・EUTM・マドプロの使い分け
  12. 日本の商標制度との比較
  13. 日本企業がアイルランド出願で押さえるべき実務ポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. 出典・参考文献

アイルランド商標制度の全体像:1996年商標法とIPOI

アイルランドの商標の根拠法は1996年商標法(Trade Marks Act 1996、1996年法律第6号)です。1963年商標法を全面的に置き換え、EU商標指令に沿った制度を導入した法律で、2019年1月に施行された2018年EU(商標)規則(S.I. No. 561 of 2018)による改正で、図形的表現の要件の撤廃、通過貨物に対する権利、異議・無効手続での使用証明の要求などEU商標指令(2015/2436)の内容が取り込まれました。施行規則として1996年商標規則、手数料は特許・商標・意匠(手数料)規則に定められています。

登録の管轄はアイルランド知的財産庁(IPOI)で、キルケニーに置かれ、長官(Controller of Intellectual Property)が決定を行います。IPOIは出願を審査し、要件を満たせば公報(Journal)に公告します(第43条)。公告から3か月以内に異議を申し立てることができ、異議がなければ登録料の納付を経て登録されます(第45条)。登録は出願日に遡って効力を持ち、出願日が登録日とみなされます(第45条3項)。存続期間は登録日から10年で、更新は10年ごとです(第47条)。長官の決定に対する不服は、3か月以内に高等法院(High Court)に上訴します(第79条)。アイルランドには特許庁内の審判部がなく、取消・無効は長官または裁判所のいずれにも申し立てることができます。

項目 内容
根拠法1996年商標法(2019年施行の2018年EU(商標)規則などによる改正を反映)、1996年商標規則
管轄官庁アイルランド知的財産庁(IPOI、キルケニー)。長官が決定
権利の発生登録による(第13条)。未登録商標はパッシング・オフ(詐称通用)で保護
審査の範囲方式、絶対的理由(第8条)、先行商標との抵触(第10条)も職権で審査し引用
異議申立公告から3か月、何人も可(第43条)、60ユーロ
存続期間出願日(=登録日)から10年、10年ごとに更新(第45・47条)
不使用取消登録公告から5年の不使用(第51条)。長官または裁判所へ申請(125ユーロ)
不服申立て長官の決定から3か月以内に高等法院へ上訴(第79条)→控訴院→最高裁
侵害訴訟高等法院(商事裁判部)。EU商標に関する訴訟も高等法院
国際条約パリ条約、マドリッド議定書(2001年加盟)、ニース協定、TRIPS、EU商標規則

国内出願は年3,300件に急増:市場環境と統計

IPOIの2025年年次報告によると、2025年の国内商標出願は3,328件で、2024年の2,336件から42%増と急増しました(2023年は2,218件)。2025年に公告された出願は1,894件、異議は47件、登録は1,609件です。マドプロによるアイルランド指定は823件(前年比6件減)で、810件の保護が認められ、異議は8件でした。更新は3,085件、更新料不納による抹消は1,882件、EU商標から国内出願への変換は36件、IPOI経由の国際出願は99件です。WIPOの統計では、アイルランドに住所を持つ権利者の国際登録は295件(5%増)で、3,044か国分の指定が行われました。

WIPOの統計プロファイル(2024年)では、アイルランド出願人の商標出願は区分数ベースで16,099件(前年比11.2%増、世界53位)、アイルランドで有効な商標は68,844件(世界70位)です。国内出願件数は人口規模に比して少なく、アイルランドに効力を持つ商標の大半はEUTMとEU指定の国際商標ですから、日本企業が先行商標を調べる際は、IPOIの登録簿だけでなくEUIPOとWIPOの登録簿を合わせて確認することが不可欠です。IPOI自身も審査で国内商標とEU商標の両方のデータベースを調査します。

指標 2023年 2024年 2025年
国内商標出願2,218件2,336件3,328件(+42%)
公告/異議/登録1,791/37/1,220件2,225/57/1,949件1,894/47/1,609件
マドプロによるアイルランド指定(受理/異議/保護)892/12/967件829/18/742件823/8/810件
更新3,654件3,296件3,085件
IPOI経由の国際出願69件93件99件

アイルランドは英語圏であるため、英語の商品名はそのまま記述性や識別力を判断され、英国と同じく普通名称化や称賛語の問題が生じやすい市場です。一方で、アイルランド語(ゲール語)も公用語であり、アイルランド語の語句を含む商標は現地での意味を確認しておく必要があります。英国のEU離脱後は、英国の商標はアイルランドに及ばず、EUTMは英国に及ばないため、英国とアイルランドの両方で事業を行う企業は、英国出願とEUTM(またはアイルランド国内出願)を組み合わせる設計が必要です。

保護対象と拒絶理由:絶対的理由に加えて先行商標も職権審査

商標法第6条は、ある事業者の商品・役務を他の事業者のものから識別でき、登録簿に明確かつ正確に表示できるあらゆる標識を商標と定義し、文字(人名を含む)、図形、文字・数字、商品や包装の形状、色彩、音を例示しています。2019年の改正で図形的表現の要件は撤廃され、音・動き・マルチメディアの商標も電子ファイルで出願できます。団体商標と証明商標も登録できます。

登録が拒絶される絶対的理由は第8条に列挙されています。識別力を欠く標識、商品の種類・品質・数量・用途・価値・産地・製造時期などを示す標識のみからなる標識、慣用標識、商品の性質・技術的効果・実質的価値に由来する形状その他の特徴、公序良俗に反する標識、誤認を生じる標識、保護された原産地名称・地理的表示・伝統的名称・植物品種名と抵触する標識、使用が法令で禁止される標識、そして悪意でされた出願(第8条4項b号)です。識別力の欠如や記述性については、出願前の使用によって識別力を獲得していれば登録が認められます。

アイルランドの特徴は、第10条の相対的理由(先行商標との抵触)もIPOIが職権で審査することです。EU加盟国の多くが先行商標の判断を異議に委ねる中、IPOIは「調査・通知のみの制度に移行すれば、識別できない商標が登録され登録簿の信頼性が損なわれる」として職権審査を維持しています。審査官は国内商標とEU商標のデータベースを調査し、出願日より早い同一・類似の商標があれば引用して出願人に通知し、応答の機会を与えます。引用は、抵触する商品・役務の削除、先行商標権者の同意、誠実な併存使用(honest concurrent use、第12条)の立証、先行商標の放棄・取消によって克服できます。誠実な併存使用が認められた場合、IPOIは先行商標を理由に拒絶せず、先行権利者が異議で争うかどうかに委ねます。

日本と同じ「先行商標の職権審査」がある数少ないEU加盟国です。日本企業にとっては、自社の出願がIPOIの引用で拒絶されるリスクがある一方、他社の類似出願はIPOIが引用して止めてくれる可能性が高く、公告監視の負担は他のEU諸国より軽くなります。ただし、IPOIが引用するのは同一・類似の登録・出願商標であり、著名商標の名声の毀損や未登録の先行権利(パッシング・オフ)は異議で主張する必要があります。EUTMの出願ではEUIPOが先行商標を理由に拒絶しないため、アイルランド国内出願はEUTMより先行商標の審査が厳しい点を理解しておくべきです。

商標権者には商標の独占的使用権が認められ(第13条)、同一の商品について同一の標識を使用する行為、混同のおそれを生じさせる類似の標識の使用、著名商標の識別力や名声を不当に利用し、または害する標識の使用が侵害になります(第14条)。商品やその包装への標識の付加、販売の申出、輸出入、取引書類や広告での使用のほか、EU商標指令に合わせて通過貨物に対する権利も明文化されています。

出願手続の流れと審査期間:引用への対応・公告後3か月の異議

出願はIPOIのオンラインシステムから電子的に行います。出願書類には、商標の表示、出願人の氏名・住所、商品・役務の一覧(ニース分類)、優先権主張などを記載し、出願料(1区分70ユーロ、追加区分70ユーロ)は出願日から1か月以内に納付しなければ出願は放棄されたものとみなされます。出願料は返金されません。アイルランドには外国出願人に代理人を強制する規定はありませんが、IPOIとの連絡や期限管理のため、日本企業は通常、アイルランドの登録商標代理人(Registered Trade Mark Agent)を通じて手続を行います。EUIPOの中小企業基金(SME Fund)を使えば、国内出願料の50%の払戻しを受けられる場合があります。

段階 内容 期間の目安
出願オンラインでIPOIへ。出願料は1か月以内に納付即時
審査(方式・絶対的理由・相対的理由)識別力などを審査し、国内商標・EU商標のデータベースを調査して先行商標を引用。拒絶理由があれば応答の機会数か月
受理・公告受理された出願を公報(Journal)に公告(第43条)審査終了後
異議・意見書期間何人も3か月以内に異議(60ユーロ)または意見書を提出できる公告から3か月
登録料納付・登録異議がなければ登録料177ユーロを納付して登録(第45条)。未納なら出願は取下げ扱い異議期間満了後

IPOIは商標の平均処理期間を公表していませんが、審査に数か月、公告後に3か月の異議期間があるため、引用も異議もなければ出願から登録まで半年から1年程度が目安です。先行商標が引用された場合は、応答や同意書の取得、誠実な併存使用の立証に時間がかかります。登録は出願日に遡って効力を持ち、出願日が登録日とみなされます。

審査で拒絶された場合、出願人は聴聞(60ユーロ)を求めることができ、長官の決定に対しては、決定の日から3か月以内に高等法院に上訴できます(第79条)。決定理由の書面を請求(190ユーロ)した場合は、その受領から3か月が起算点です。期限の延長は1か月につき30ユーロで請求できます。

費用一覧(IPOI公式手数料・EUTM・マドプロ個別手数料)

IPOIの手数料は特許・商標・意匠(手数料)規則(2001年S.I. No. 482、2012年改正)の手数料表に定められています。出願料は区分ごと、登録料は区分数にかかわらず一律で、英語圏の官庁としては安価です。円換算は1ユーロ=約175円で計算しています。

手続 IPOI手数料 円換算の目安
出願(1区分)70ユーロ約1.2万円
追加区分(1区分につき、審査中の追加も同額)70ユーロ約1.2万円
登録料(区分数にかかわらず)177ユーロ約3.1万円
異議申立60ユーロ(答弁書は無料)約1.1万円
聴聞の請求60ユーロ約1.1万円
決定理由書の請求190ユーロ約3.3万円
更新(10年)250ユーロ+追加区分125ユーロ(遅延料60ユーロ、回復125ユーロ)約4.4万円+約2.2万円
取消・無効の申請125ユーロ約2.2万円
出願の分割・併合125ユーロ約2.2万円
移転・ライセンスの記録(1件目)60ユーロ(2件目以降6ユーロ)約1.1万円
期限延長(1か月につき)30ユーロ約5,300円

1区分なら出願料70ユーロと登録料177ユーロの合計247ユーロ(約4.3万円)で10年間の保護が得られます。比較のために、EU商標(EUTM)の出願料は1区分850ユーロ(約14.9万円)、2区分目50ユーロ、3区分目以降150ユーロ、異議申立料は320ユーロです。マドプロでアイルランドを指定する場合、アイルランドは個別手数料を宣言しており、出願時に1区分CHF 228、追加区分ごとにCHF 65、更新時に1区分CHF 233、追加区分ごとにCHF 116を納付します。

これらに加えて現地代理人の費用がかかります。アイルランドの登録商標代理人・弁護士による出願代理は数百ユーロから1,000ユーロ程度が相場で、引用への応答や異議の手続は事案の複雑さによって大きく変わります。日本の弁理士を通じて出願する場合は、現地代理人費用に日本側の手数料が加わりますが、調査・指示・期限管理を一元化できる利点があります。

異議申立:公告後3か月・60ユーロ・宣誓供述書による証拠

異議は、受理された出願が公報に公告された日から3か月以内に、異議の理由を記載した異議申立書を長官に提出して行います(第43条2項)。手数料は60ユーロです。異議の根拠は、先行商標との抵触(第10条)のほか、絶対的理由、未登録の先行権利(パッシング・オフで保護される権利)、著作権などの先行権利です。異議申立書は同一の権利者に属する複数の先行商標や先行権利に基づいて提出できます。異議を申し立てずに、絶対的理由などを指摘する意見書を提出することもでき、IPOIは審査でこれを考慮します。

異議申立書の写しは出願人に送付され、出願人は答弁書(Counter Statement)を提出します。答弁書を提出しなければ出願は放棄されたものとみなされます。その後、異議申立人の証拠、出願人の証拠、異議申立人の反論証拠の順に3往復の証拠提出が行われ、証拠はすべて1938年宣誓供述法に基づく宣誓供述書(Statutory Declaration)の形式で提出します。証拠提出が終わると、当事者は聴聞への出席か書面の提出かを選び、長官が登録の可否を決定します。先行商標が登録から5年を経過している場合、出願人は使用の証明を要求でき、証明がなければその先行商標に基づく異議は認められません。費用は、当事者の求めがあれば指標的な基準に基づいて裁量で裁定されます。

長官の決定に不服がある当事者は、3か月以内に高等法院に上訴します。2025年の異議は国内出願に対して47件、国際登録に対して8件と少なく、IPOIが先行商標を職権で引用するため、異議の多くは引用を克服した出願や、未登録の権利・著名性に基づく主張に集中しています。

証拠は宣誓供述書、手続は書面中心です。アイルランドの異議は英国と同様の対審構造で、証拠を宣誓供述書の形式で3往復提出するため、EUIPOの異議より準備の負担が大きく、期間も長くなりがちです。一方で、IPOIが先行商標を職権で引用するため、日本企業が自社の登録商標を守るために異議を申し立てる場面は、他のEU諸国より限られます。公告の監視は続けつつ、異議を申し立てる場合は現地代理人と証拠の構成を早めに固めておくことが重要です。

不使用取消(5年)と無効:IPOIまたは高等法院

登録商標は、登録の公告から5年以内にアイルランド国内で真正に使用されないか、5年間継続して使用が中断され、正当な理由がない場合に取り消されます(第51条1項)。取消の申請前3か月以内に開始・再開された使用は、商標権者が申請の可能性を知った後に準備されたものであれば考慮されません。普通名称化した場合や、使用によって誤認を生じるようになった場合も取消事由です。取消の申請は長官または裁判所のいずれにも行うことができ、IPOIへの申請の手数料は125ユーロです。侵害訴訟の被告が反訴として取消を求める場合は裁判所が判断します。

無効は第52条に基づき、絶対的理由(第8条)に反して登録された場合や、先行商標・先行権利(第10条)が存在する場合に、申請により宣言されます。識別力を欠いていた商標が、登録後の使用によって識別力を獲得していれば無効にはなりません。先行商標の権利者が5年にわたり後行商標の使用を知りながら黙認していた場合は、後行商標が悪意で出願されたのでない限り、無効を申請できなくなります(第53条)。無効の申請も長官または裁判所に行い、IPOIへの申請は125ユーロです。

手続 申立先・期限 手数料(IPOI) 不服申立て
異議IPOI。公告から3か月60ユーロ高等法院(3か月)→控訴院→最高裁
不使用取消IPOIまたは裁判所。登録公告から5年の不使用125ユーロ同上
先行権利に基づく無効IPOIまたは裁判所。5年の黙認で失権(悪意を除く)125ユーロ同上
絶対的理由・悪意による無効IPOIまたは裁判所。期限なし125ユーロ同上

IPOIの2025年年次報告によれば、2025年に全部または一部が取り消された国内商標は2件、国際商標は2件にとどまります。取消・無効の多くは侵害訴訟の中で裁判所が判断しており、IPOIへの申請は障害登録を排除する比較的安価な手段として使われています。

使用義務と更新:出願日起算の10年

商標の存続期間は登録日から10年で(第47条)、登録日は出願日とみなされるため(第45条3項)、実質的に出願日から10年です。更新は出願日から10年ごとに行い、更新料は250ユーロ、追加区分ごとに125ユーロです。満了後の猶予期間に更新する場合は遅延料60ユーロが加算され、猶予期間も過ぎた場合は125ユーロで回復を請求できます。2025年には3,085件が更新され、1,882件が更新料不納で抹消されました。更新の際に区分を減らすことはできますが、増やすことはできません。

使用義務は登録公告から5年で、使用はアイルランド国内での真正な使用でなければなりません。登録された形と識別力に影響しない範囲で異なる形での使用や、輸出目的での商品への付加も使用と認められます。EU商標の場合はEU域内のどこかでの真正な使用で足りるため、アイルランドで使用していない国内商標は取り消されるが、EUTMはドイツでの使用で維持できるという関係になります。英国での使用はEU離脱後はEUTMの使用にも国内商標の使用にも当たらないため、英国経由でアイルランドに販売している企業は、アイルランド向けの使用証拠を別途整えておく必要があります。使用証拠としては、アイルランド向けの価格表・カタログ、アイルランドの顧客への請求書、ウェブサイトのアーカイブ、展示会の出展記録などを年単位で保管しておくと、異議・取消・侵害訴訟のいずれでも対応できます。

権利行使:高等法院・刑事罰・税関

商標権侵害は商標権者が訴えを提起でき、他の財産権の侵害と同様に、損害賠償、差止命令、利益の計算などすべての救済が認められます(第18条)。侵害標識の抹消・除去、侵害品の引渡しと廃棄も命じられます。商標権侵害の訴訟は高等法院(High Court)が扱い、知的財産事件は商事裁判部(Commercial Court)で迅速に審理されることが多く、EU商標に関する訴訟も高等法院がEU商標裁判所として審理します。控訴審は控訴院(Court of Appeal)、上告審は最高裁(Supreme Court)です。英国法系の伝統に従い、未登録の商標やパッケージの外観はパッシング・オフ(passing off)で保護され、2025年には高等法院がヨーグルトの包装の類似を理由にダノンの新商品の発売を差し止める仮差止命令を出しました。

手段 内容 根拠
民事訴訟損害賠償・差止・利益の計算・侵害標識の抹消・侵害品の引渡しと廃棄。高等法院(商事裁判部)商標法第18〜20条
仮差止命令本案前の差止。損害賠償の確約(undertaking as to damages)が求められる高等法院の衡平法上の権限
パッシング・オフ未登録商標・外観の保護。信用、誤認表示、損害の立証コモン・ロー
刑事罰登録商標と同一・酷似する標識の付加・販売・所持は、略式で6か月以下の拘禁刑または罰金、正式起訴で5年以下の拘禁刑または13万ユーロ以下の罰金第92条
税関の水際措置EU規則608/2013に基づく権利者の申立て(AFA)と職権差止。歳入庁(Revenue)が押収を週単位で公表EU規則608/2013

刑事罰は第92条に定められています。登録商標と同一または酷似する標識を商品やラベル・包装・広告材料に付す行為、そのような商品を販売・賃貸・配布する行為、業として所持する行為は犯罪で、略式手続では6か月以下の拘禁刑または罰金、正式起訴では5年以下の拘禁刑または13万ユーロ以下の罰金、またはその併科に処されます。登録簿の偽造や登録商標であるとの虚偽表示も犯罪です。

水際措置は歳入庁(Revenue Commissioners)の税関部門が担い、権利者が侵害を確認した模倣品の押収を週単位で公表しています。2025年4月21日の週には664点・15万2,900ユーロ相当、2025年11月3日の週には175点・13万8,800ユーロ相当の模倣品を押収し、2024年11月にはダブリン空港でトルコ発の貨物から約350kg・27万9,000ユーロ相当の模倣品を押収しました。歳入庁の2025年年次報告は模倣品の年間総額を公表していませんが、麻薬と酒・たばこを含む押収総額は2億5,840万ユーロに上ります。

日本企業が模倣品に対処する場合は、EUIPOのIP Enforcement Portal(IPEP)を通じてEU全域をカバーする税関措置の申立て(AFA)を行い、歳入庁に権利情報を登録しておくのが基本です。アイルランドは英国との間に陸上国境を持ち、英国のEU離脱後は英国経由の貨物がEUの外部国境を越えることになったため、ダブリン港・ロスレア港・ダブリン空港での税関検査の重要性が高まっています。

最近の動向:2025〜2026年の判例と統計

控訴院「Diesel」判決:混同が生じる以上、帰責性にかかわらず登録は拒絶(2025年11月)

アイルランド控訴院は2025年11月、ジーンズの商標「Diesel」をめぐってイタリアのディーゼル社とアイルランドのモンテックス社が30年にわたり争った事件で、ディーゼル社の登録を認めた2023年12月の高等法院判決を取り消しました([2025] IECA 257)。両社は1992年と1994年にそれぞれ「Diesel」を出願し、長官は1998年にモンテックス社の出願を混同のおそれを理由に拒絶、2001年に最高裁がこれを支持していました。その後ディーゼル社の出願もモンテックス社の異議で拒絶され、高等法院は2023年に、混同は生じるがモンテックス社の不正な模倣に起因するとしてディーゼル社の登録を認めました。控訴院のハイランド判事は、アイルランド法では混同が生じる以上、原因や帰責性にかかわらず登録を拒絶しなければならず、商標の帰属を判断した2001年の最高裁判決は当事者間で確定していると判示しました。結果として、どちらの会社もアイルランドで「Diesel」を登録できない状態が確定しました。出願前のクリアランス調査の重要性と、先行判決の拘束力を示す事件です。

高等法院がダノンの「Skyr」の発売を差し止め:パッシング・オフによる仮差止(2025年)

高等法院は2025年、ヨプレが2022年からアイルランドで販売するアイスランド風ヨーグルト「Skyr」の紺色の包装と、ダノンのアイルランド子会社が発売を予定していた「Skyr」製品の包装が混同を生じるおそれがあるとして、ダノン側の製品をヨプレの製品と誤認させる行為を差し止める仮差止命令を出しました。実際の混同の証拠がなくても混同のおそれがあれば足りるとした点、登録商標ではなく包装の外観がパッシング・オフで保護された点が、日本企業にとっても参考になります。アイルランドでは登録商標の権利行使と並んで、パッシング・オフが競合品の外観を止める有力な手段です。

国内出願が42%増:2025年は3,328件

IPOIの2025年年次報告によれば、国内商標出願は2,336件から3,328件へと42%増え、意匠出願も23%増えました。マドプロによる指定は823件と横ばいで、アイルランドに住所を持つ権利者の国際登録は295件(5%増)でした。IPOIは2025年に商標代理人試験を実施し(24人受験、12人合格)、EUIPOとの協力の下で中小企業基金による出願料の払戻しも続けています。英国のEU離脱後、英語圏のEU拠点としてアイルランドを選ぶ企業が増えたことが、出願の増加の背景にあると考えられます。

税関の模倣品押収:週単位で公表

歳入庁は麻薬・たばこ・酒類とともに模倣品の押収を週単位で公表しており、2025年には1週間で数百点・10万ユーロ超の模倣品が押収される週が続きました。2024年11月にはダブリン空港でトルコ発の貨物から約350kg・27万9,000ユーロ相当の模倣品が押収されています。EUの外部国境となった英国との往来が多いアイルランドでは、郵便・航空貨物を中心とした水際対策が強化されています。

アイルランド国内商標・EUTM・マドプロの使い分け

アイルランドで商標を守る手段は3つあります。アイルランドはマドプロの加盟国で、国際登録で直接指定できます。また、EU加盟国としてEU商標(EUTM)の効力が及びます。

項目 国内商標(IPOI直接出願) マドプロでアイルランド指定 EU商標(EUTM)
効力の範囲アイルランドアイルランドEU27か国(英国・北アイルランドは対象外)
庁費用(1区分)出願70+登録177ユーロ(約4.3万円)基本手数料CHF 653+個別手数料CHF 228(+65/追加区分)850ユーロ(約14.9万円)
審査絶対的理由+先行商標の職権審査(引用あり)IPOIが同じ基準で審査。拒絶通報の期限は18か月絶対的理由のみ。先行商標は調査報告で通知
異議公告から3か月、60ユーロ、宣誓供述書による証拠公告から3か月、60ユーロ公告から3か月、320ユーロ
使用義務アイルランド国内で登録公告から5年以内に使用同左EU域内のいずれかで5年以内に使用(英国での使用は不可)
存続期間出願日から10年、更新250+125ユーロ/追加区分国際登録日から10年(更新時の個別手数料CHF 233+116)出願日から10年、更新850ユーロ〜
弱点アイルランド限定。先行商標の引用で拒絶されうる基礎出願への従属(5年)。1か国だけなら割高1か国の先行商標で全体が拒絶・無効になりうる

実務上の使い分けは次のとおりです。欧州全体で展開するならEUTMを軸にし、EU離脱後の英国(北アイルランドを含む)は英国出願かマドプロで別途カバーします。アイルランドに欧州拠点や製造拠点があり現地の製品名・社名を確実に押さえたい場合や、EUTMが他国の先行商標のために拒絶・無効のリスクを抱えている場合は、合計247ユーロ(約4.3万円)で10年の保護が得られる国内出願が有力な選択肢です。ただしIPOIは先行商標を職権で引用するため、EUTMより審査が厳しい点に注意が必要です。英国とアイルランドを一体の英語圏市場として扱う企業は、英国出願とアイルランド国内出願(またはEUTM)をセットで設計します。

日本の商標制度との比較

項目 アイルランド 日本
根拠法・官庁1996年商標法・アイルランド知的財産庁(IPOI)商標法・特許庁
先行商標の審査職権で審査し引用(同意・誠実な併存使用で克服可)職権で審査(4条1項11号)
悪意の出願絶対的理由として拒絶・無効理由(第8条4項b号)4条1項19号(不正の目的)など
登録までの期間半年〜1年程度(引用があれば長期化)約6〜10か月(早期審査あり)
異議申立登録前、公告から3か月、何人も可、60ユーロ、宣誓供述書による証拠登録後、公報から2か月、何人も可
存続期間出願日(=登録日)から10年登録日から10年
不使用取消5年。長官(125ユーロ)または裁判所3年。特許庁の審判
審決への不服高等法院(3か月)→控訴院→最高裁知財高裁→最高裁
侵害訴訟高等法院(商事裁判部)。パッシング・オフも併用東京・大阪地裁など
刑事罰略式6か月以下、正式起訴5年以下または13万ユーロ以下の罰金10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(78条)

日本企業がアイルランド出願で押さえるべき実務ポイント

  1. 先行商標は引用される前提で調べる。IPOIは国内商標とEU商標の両方を調査して引用します。出願前にIPOI・EUIPO・WIPOの登録簿で同一・類似商標を調べ、引用が予想される場合は商品の限定や同意書の取得を先に検討します。
  2. 引用への応答手段を準備する。商品・役務の削除、先行権利者の同意、誠実な併存使用の立証、先行商標の取消申請(125ユーロ)の4つが基本です。アイルランドで既に使用している商標なら、使用開始時期と規模の証拠を整えておきます。
  3. 費用は安いが登録料を忘れない。出願料70ユーロのほかに、登録時に177ユーロの登録料が必要で、期限内に納めなければ出願は取り下げたものとみなされます。出願料も1か月以内の納付が条件です。
  4. 異議は宣誓供述書で3往復。異議を申し立てる側も受ける側も、証拠を宣誓供述書の形式で提出します。公告から3か月の期限を監視し、異議を受けたら答弁書の提出を怠らないでください。答弁書がなければ出願は放棄扱いです。
  5. 使用証拠はアイルランド向けのものを保存。不使用取消は5年で、アイルランド国内での使用が必要です。英国での使用は国内商標にもEUTMにも使えません。アイルランドの顧客への請求書・価格表・ウェブサイトのアーカイブを年単位で残してください。
  6. パッシング・オフを武器にする。登録のない包装の外観や商品名でも、信用・誤認表示・損害を立証できれば高等法院で差止を得られます。登録商標の権利行使と組み合わせて設計します。
  7. 侵害には高等法院と税関の両輪で。商事裁判部で仮差止を得つつ、IPEP経由でAFAを登録して歳入庁の水際差止を促します。悪質な業者には最高5年・13万ユーロの刑事告訴も選択肢です。
  8. 英国とセットで設計する。EUTMは英国に及ばず、英国商標はアイルランドに及びません。英語圏市場として両国で展開するなら、英国出願とアイルランド国内出願(またはEUTM)を組み合わせ、北アイルランドの扱いも確認します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 登録までどのくらいかかりますか?

IPOIは平均処理期間を公表していませんが、審査に数か月、公告後に3か月の異議期間があるため、引用も異議もなければ出願から半年から1年程度が目安です。先行商標が引用された場合は、応答や同意書の取得に時間がかかります。マドプロでアイルランドを指定した場合は、拒絶通報の期限が18か月なので、権利の確定まではこれより長くなることがあります。

Q2. IPOIは先行商標を理由に拒絶しますか?

拒絶します。アイルランドはEU加盟国の中で先行商標を職権で審査する数少ない国で、IPOIは国内商標とEU商標のデータベースを調査し、同一・類似の先行商標を引用して出願人に通知します。引用は、抵触する商品の削除、先行商標権者の同意、誠実な併存使用の立証、先行商標の放棄・取消によって克服でき、誠実な併存使用が認められれば先行権利者の異議に委ねられます。

Q3. 現地代理人は必要ですか?

法律上、外国の出願人に代理人を強制する規定はありませんが、IPOIからの引用通知や期限への対応、異議での宣誓供述書の作成には現地の知識が必要なため、日本企業は通常、アイルランドの登録商標代理人または弁護士を通じて手続を行います。マドプロで指定した場合は、拒絶通報への応答や異議など争いが生じたときに初めて現地代理人が必要になります。

Q4. EUTMを持っていればアイルランド国内商標は不要ですか?

EUTMはアイルランドを含むEU全域で効力を持つので、通常はEUTMだけで足ります。ただし、EUTMが他国の先行商標を理由に拒絶や無効のリスクを抱えている場合や、アイルランドに欧州拠点があり現地の製品名・社名を確実に押さえたい場合は、合計247ユーロで10年の保護が得られる国内出願を併用する価値があります。英国はEUTMの対象外なので、英国出願を別途検討してください。

Q5. 他社の放置された登録が障害になっています。どうすればよいですか?

登録の公告から5年間継続して使用されていなければ、IPOI(125ユーロ)または高等法院に取消を申請できます。IPOIが先行商標を職権で引用するアイルランドでは、障害登録を取り消さない限り自社の出願が拒絶されるため、取消申請の重要性は他のEU諸国より高くなります。相手が同意する見込みがあれば、同意書を得て自社の出願を進める方法もあります。

Q6. 模倣品が見つかった場合、まず何をすべきですか?

証拠を保全したうえで、高等法院に仮差止命令を申し立てるのが最も速い対応です。並行して、IPEPから税関措置の申立て(AFA)を行い、歳入庁に水際での差止を促します。歳入庁は権利者が侵害を確認した模倣品を押収し、週単位で公表しています。悪質な業者には第92条の刑事告訴(正式起訴で5年以下または13万ユーロ以下の罰金)も選択肢です。

Q7. 費用の総額はどのくらいですか?

庁費用は1区分で出願料70ユーロと登録料177ユーロの合計247ユーロ(約4.3万円)、追加区分は出願時に70ユーロです。これに現地代理人の費用(数百ユーロから1,000ユーロ程度)と日本側の手数料が加わり、1件あたり15万〜30万円程度が目安です。更新は10年ごとに250ユーロ+追加区分125ユーロ、異議は60ユーロ、取消・無効の申請は125ユーロです。中小企業は、EUIPOの中小企業基金やINPITの外国出願補助金などの支援制度を活用すると負担を抑えられます。

アイルランドの商標制度は、EUの枠組みに沿いながらも、先行商標の職権審査、宣誓供述書による異議手続、高等法院への上訴、パッシング・オフによる保護といった英国法系の特徴を色濃く残しています。出願料と登録料を合わせても約4.3万円と安価で、日本企業にとっては日本と同じ「先行商標は審査される」感覚で臨める市場です。英語圏のEU拠点としてアイルランドを選ぶ日本企業には、EUTMを軸に、アイルランド国内出願で現地の主力商標を補完し、EU離脱後の英国は別途カバーする設計をおすすめします。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

アイルランド・英国・EUへの商標出願は弁理士にご相談ください

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出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。

法令・公的機関の資料

  1. 1996年商標法 非公式統合テキスト(Unofficial Consolidated Trade Marks Act 1996 as amended、企業・貿易・雇用省、2019年12月までの改正を反映)/商標の定義(第6条)、絶対的理由と悪意の出願(第8条)、相対的理由(第10条)、誠実な併存使用(第12条)、権利の内容と侵害(第13・14条)、救済(第18〜20条)、審査(第42条)、公告と異議(第43条)、登録と登録日(第45条)、存続期間と更新(第47・48条)、不使用取消と3か月ルール(第51条)、無効(第52条)、黙認(第53条)、高等法院への上訴3か月(第79条)、刑事罰(第92条)の根拠。
    https://www.gov.ie/en/publication/d83cf-unofficial-consolidated-trade-marks-act-1996-as-amended
  2. 1996年商標法(制定時原文、Irish Statute Book)/法律番号(1996年法律第6号)と条文構成の根拠。
    https://www.irishstatutebook.ie/eli/1996/act/6/enacted/en/html
  3. アイルランド知的財産庁「Apply for a Trade Mark」/出願料70ユーロ、登録料177ユーロ、出願料の返金不可、中小企業基金による50%払戻し、所在地(キルケニー)の根拠。
    https://www.ipoi.gov.ie/en/manage-ip/apply/apply-for-a-trade-mark/
  4. アイルランド知的財産庁「Statutory Trade Mark Fees」/出願70ユーロ・追加区分70ユーロ、出願料の1か月以内の納付、登録料177ユーロ(区分数にかかわらず)、更新250ユーロ+追加区分125ユーロの根拠。
    https://www.ipoi.gov.ie/en/types-of-ip/trade-marks/statutory-trade-mark-fees/
  5. アイルランド知的財産庁「Schedule of Fees – Trade Marks」(特許・商標・意匠(手数料)規則2001・2012年改正、PDF)/聴聞60ユーロ、異議60ユーロ、答弁書無料、決定理由書190ユーロ、分割・併合125ユーロ、更新遅延料60ユーロ、回復125ユーロ、取消・無効125ユーロ、移転等の記録60/6ユーロ、期限延長30ユーロ/月、調査35ユーロの根拠。
    https://www.ipoi.gov.ie/en/manage-ip/apply/statutory-fees/trade-marks-schedule-of-fees.pdf
  6. アイルランド知的財産庁「Trade Mark Examination Practice」(PDF)/審査で国内商標・EU商標のデータベースを調査して先行商標を引用すること、引用の克服手段(商品の削除、同意、誠実な併存使用、先行商標の放棄・取消)、公告後3か月の意見書・異議の根拠。
    https://www.ipoi.gov.ie/en/law-practice/legislation/trade-marks/trade-marks-practice-and-procedures/trade-mark-examination-practice-3-.pdf
  7. アイルランド知的財産庁「Opposition」/公告から3か月の異議期間、異議料60ユーロ、答弁書、宣誓供述書による3往復の証拠提出、聴聞または書面提出、費用の裁定の根拠。
    https://ipoi.gov.ie/en/types-of-ip/trade-marks/after-you-apply/opposition/
  8. アイルランド知的財産庁「Annual Report 2025」(PDF、2026年)/2025年の国内商標出願3,328件(42%増、2023年2,218件・2024年2,336件)、公告1,894件、異議47件、登録1,609件、国際登録823件・異議8件・保護810件、更新3,085件、更新料不納による抹消1,882件、取消各2件、EUTM変換36件、IPOI経由の国際出願99件、アイルランド権利者の国際登録295件、商標代理人試験の根拠。
    https://www.ipoi.gov.ie/media/05cbxbk3/260827-update-english-dete-ipoi-report-digital-compressed-1-copy-2.pdf
  9. 歳入庁「Revenue seize contraband worth almost €575,000 in various operations」(2025年4月29日)/2025年4月21日の週の模倣品664点・15万2,900ユーロ相当の押収の根拠。
    https://www.revenue.ie/en/corporate/press-office/press-releases/2025/pr-042925-contraband.aspx
  10. 歳入庁「Revenue seize contraband worth almost €693,900 in various operations」(2025年11月12日)/2025年11月3日の週の模倣品175点・13万8,800ユーロ相当の押収の根拠。
    https://www.revenue.ie/en/corporate/press-office/press-releases/2025/pr-111225-various-operations.aspx
  11. 歳入庁「Revenue seize counterfeit goods worth €279,000 at Dublin Airport」(2024年12月2日)/2024年11月5日のダブリン空港でのトルコ発貨物からの約350kg・27万9,000ユーロ相当の模倣品押収の根拠。
    https://www.revenue.ie/en/corporate/press-office/press-releases/2024/pr-120224-counterfeit-goods-dublin-airport.aspx
  12. 歳入庁「Annual Report 2025」(PDF)/2025年の麻薬・酒類・たばこを含む押収総額の根拠。
    https://www.revenue.ie/en/corporate/press-office/annual-report/2025/ar-2025.pdf
  13. WIPO「Statistical Country Profile: Ireland」(2024年)/アイルランド出願人の商標出願16,099区分(前年比11.2%増、世界53位)、アイルランドで有効な商標68,844件(世界70位)の根拠。
    https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/ie.pdf
  14. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/アイルランド指定の個別手数料CHF 228/65(更新CHF 233/116)の根拠。
    https://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html
  15. EU商標規則(Regulation (EU) 2017/1001)附属書I(EUR-Lex)/EUTMの出願料850/50/150ユーロと異議申立料320ユーロの根拠。
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2017/1001/oj
  16. 外務省「アイルランド 基礎データ」(2025年12月10日)/人口約549万人、GDP 7,087億米ドル、1人当たりGDP 129,130米ドル、総貿易額、対日貿易(2023年:輸出2,462億円・輸入8,880億円)と品目、EU内で第4位の輸入相手国、在留邦人2,818人の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ireland/data.html

判例

  1. Diesel S.p.A. v Controller of Intellectual Property & Montex Holdings [2025] IECA 257(控訴院、courts.ie)/ディーゼル社の登録を認めた高等法院判決を取り消した控訴院判決の原文。
    https://highcourtsearch.courts.ie/view/judgments/95cc2921-cee4-47bf-91b2-42d2d7a59a77/470bfbf9-56f4-474b-83b1-3bfa0185dd14/2025_IECA_257.pdf/pdf
  2. Law Society Gazette「Court of Appeal ends 30-year jeans battle」(2025年11月4日)/1992年・1994年の両社の出願、1998年の長官決定と2001年の最高裁判決、2023年の高等法院判決、混同が生じる以上は帰責性にかかわらず登録を拒絶するとした控訴院の判断の根拠。
    https://www.lawsociety.ie/gazette/top-stories/2025/november/court-of-appeal-ends-30-year-jeans-battle/
  3. Mason Hayes & Curran「Yoplait Granted Injunction in Passing Off Case Against Danone」(2025年7月10日)/高等法院がダノンのアイルランド子会社に対し「Skyr」製品の包装についてパッシング・オフを理由に仮差止命令を出したことの根拠。
    https://www.mhc.ie/latest/insights/yoplait-granted-injunction-in-passing-off-case-against-danone

専門家による解説

  1. Chambers「Trade Marks and Copyright 2026 – Ireland Law and Practice」(Pinsent Masons Ireland)/異議手続の構造(異議申立書の記載事項、先行権利の種類)の根拠。
    https://gpg-pdf.chambers.com/Trade-Marks-and-Copyright-2026/221/

※本記事は上記の資料を基に、2026年10月時点の情報で一般的な情報提供を目的として作成しています。手数料(円換算額)・運用・判例は変更されることがあります。個別案件の具体的判断には、専門家へのご相談を推奨します。