【2026年9月11日更新】令和8年度 第4回公募が受付中です
INPIT外国出願補助金(出願手続の補助)の令和8年度 第4回公募が、2026年(令和8年)9月7日(月)10:00〜9月28日(月)17:00の期間で受付中です。第4回は令和8年度の最終回(予定)となります。申請はjGrants(電子申請)のみで、GビズIDプライムアカウントの発行に1〜2週間かかるため、まだお持ちでない方は今すぐ取得手続を始めてください。本記事は第4回公募要領(令和8年8月・1.1版)に基づき内容を更新しています。
目次
海外進出やグローバル市場での事業拡大を目指す中小企業、スタートアップ、大学などの皆様にとって、現地の知的財産権(特許、意匠、商標など)をしっかりと取得することは非常に重要です。しかし、外国での権利化には、現地代理人費用や翻訳費用など、まとまった費用がかかります。
そんな時に活用を検討したいのが、INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)が実施する「INPIT外国出願補助金」です。
この補助金は、事業者が外国で知的財産権を取得するためにかかる費用の一部(1/2)を補助し、国際的な知的財産戦略の構築を後押しすることを目的としています。
本記事では、令和8年度 第4回公募の最新情報を踏まえ、対象となる事業者・出願・経費、補助金額、審査・加点項目、必要書類、そして締切までの準備スケジュールまで、弁理士の視点で分かりやすく解説します。
INPIT外国出願補助金(出願手続の補助)は、年度内に複数回の公募が行われます。令和8年度は第1回〜第4回の計4回で、現在受付中の第4回が今年度の最終回(予定)です。
| 公募回 | 公募期間 | 状況 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2025年12月1日〜12月22日 | 受付終了 |
| 第2回 | 2026年3月2日〜3月23日 | 受付終了 |
| 第3回 | 2026年6月8日〜6月29日 | 受付終了 |
| 第4回 | 2026年9月7日(月)10:00〜9月28日(月)17:00 | 受付中(今年度最終回) |
第4回公募の主要な日程は以下の通りです。
| 項目 | 第4回公募の内容 |
|---|---|
| 応募締切 | 2026年9月28日(月)17:00 |
| 採択・発表 | 2026年11月下旬頃(予定)、jGrantsで通知 |
| 補助事業完了期限日 | 2027年(令和9年)3月26日(金) ※費用の支払完了後30日以内、または上記期限日のいずれか早い方までに実績報告書を提出 |
| 申請方法 | jGrants(デジタル庁の補助金電子申請システム)のみ。GビズIDプライムアカウントが必要 |
| 申請単位 | 1社(者)1申請。複数案件がある場合は1回の申請にまとめる |
| 問い合わせ先 | INPIT外国出願補助金事務局(一般社団法人発明推進協会) TEL 03-3502-5424(平日10:00〜17:00) |
締切間際の申請は避けてください:応募申請後、事務局が提出書類を確認し、不備があれば修正・追加提出を求められます。締切直前に申請すると対応時間が確保できず、また締切直前はjGrantsが混み合いシステムエラーが出ることもあります。INPITも早めの申請を呼びかけています。
最新の公募情報は、INPIT外国出願補助金の公式ページでご確認ください。
この補助金は、日本国内に本社を有する事業者が対象です。そして、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
【対象外となる事業者】
以下の事業者はこの補助金の対象となりません。
支援の対象となる活動は、主に以下の外国特許庁等への出願(「補助対象出願」)です。第4回公募(出願手続の補助)で申請できるのは出願手続の費用で、出願審査請求や拒絶理由通知への応答といった「中間手続」の補助は、別途「中間手続補助」の交付申請(令和8年度は2026年4月1日〜12月14日受付)で扱われます。
名義の同一性に注意:外国特許庁への出願と、その基礎となる日本国特許庁への出願の出願人の名義が同一でない場合は、補助対象となりません。例えば、国内出願が社長個人名義、外国出願が会社名義というケースは対象外です。この場合、基礎となる国内出願の名義を会社に変更(名義変更)してから申請する必要があります。
なお、欧州特許庁(EPO)への出願も補助対象です。ただし、登録査定後に行う各加盟国への有効化(validation)手続や欧州単一効特許の申請は補助対象外です。
補助事業のために明確に区分でき、その必要性や金額の妥当性を証拠書類で確認できる経費が対象となります。また、交付決定日以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に検収及び支払いを完了したものが対象です。補助対象経費の内容と金額は、応募申請時に提出する見積書で確認されます。
主な補助対象経費は以下の通りです。
【補助対象外となる経費の例】
補助対象経費に対して、補助率は1/2です。補助される金額の上限は以下の通りです。
| 区分 | 上限額 |
|---|---|
| 1事業者あたり(中小企業者、創業特定法人、実施権者等、独立行政法人・公設試験研究機関等) | 300万円以内 |
| 1事業者あたり(大学・高専の研究者、大学等を設置する者、承認TLO) | 上限なし |
| 1出願あたり:特許出願 | 150万円以内 |
| 1出願あたり:実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願 | 60万円以内 |
| 1出願あたり:商標の抜け駆け対策の出願 | 30万円以内 |
| (参考)中間手続補助:1手続(各国別)あたり | 50万円以内 |
上限額のポイント
応募申請は、公募要領に定められた審査項目に基づいて審査されます。要件を満たしていれば自動的に採択されるわけではなく、権利取得の可能性と事業化の見通しが問われます。
1. 適格性
補助対象者・補助対象出願の要件を満たしているか。提出書面に不備がないか。
2. 権利取得の可能性
先行技術・先行商標・先行意匠調査やISR(国際調査報告)から、外国で権利を取得できる可能性が高いか。
3. 事業化面
出願先国の市場に参入・継続できるか、権利化した知財をどう活用するか(知財戦略)、体制・財務面で海外展開を遂行できるか。
これに加えて、以下に該当する事業者には加点があります。該当するものがあれば、申請時に忘れずに記載・証明書類を添付しましょう。
| 加点項目 | 内容 |
|---|---|
| 賃上げ | 補助事業完了日が属する事業年度とその前事業年度を比較し、全従業員の給与支給総額を2.5%以上増加させること(中小企業者・創業特定法人・実施権者等のみ)。「賃金引上げ計画の誓約書」「従業員への表明書」の提出が必要。 ※加点を受けた後、正当な理由なく実績が2.5%に満たない場合は交付決定が取り消されることがあります。 |
| 経済産業省施策の認定企業 | J-Innovation HUB(国際展開型)に選定された拠点、地域未来牽引企業、新規輸出1万者支援プログラム登録事業者、日本の食輸出1万者支援プログラム登録事業者 |
| ワーク・ライフ・バランス等 | えるぼし・プラチナえるぼし認定、くるみん・トライくるみん・プラチナくるみん認定、ユースエール認定を受けている者。従業員100人以下で一般事業主行動計画を公表している者も対象 |
| INPIT支援事業の採択事業者 | IPランドスケープ支援事業、iAca(大学等の研究成果の社会実装に向けた知財支援事業)、IPAS(スタートアップに向けた知財アクセラレーション事業)、加速的支援の採択事業者 |
弁理士からのアドバイス:審査で見られる「権利取得の可能性」は、先行技術調査・先行商標調査の結果やISRの内容で判断されます。調査費用自体は補助対象外ですが、質の高い調査報告書と、出願先国での事業計画・知財活用戦略を具体的に書き込んだ申請書が採択の鍵になります。当事務所では、調査から申請書類のブラッシュアップまで一貫してサポートしています。
第4回公募要領に基づく主な提出書類は以下の通りです(原本の提出は不要)。様式類はINPITの応募申請(出願手続)ページからダウンロードできます。
| 書類 | 必須 | ポイント |
|---|---|---|
| 様式第1別紙(応募申請書) | 全者必須 | 企業・民間研究機関用と大学等用の2種類。Excel様式に記入 |
| 基礎となる出願の出願書類等 | 全者必須 | 受領書、願書、明細書、特許請求の範囲、図面、要約書など。PCT出願の場合は国際出願の書類一式、拒絶理由通知等の応答書類がある場合はそれらも |
| 調査報告書 | 全者必須 | 特許はISR・ISA見解書、国内出願の拒絶理由通知書や特許査定で代替可。ない場合は先行技術調査報告書を作成。商標は先行商標調査結果、意匠は先行意匠調査結果 |
| 見積書一式 | 全者必須 | 外国庁費用、現地代理人費用、国内代理人費用、翻訳費用の内訳と消費税の課税区分を明記したもの。交付決定額の算定に使われる |
| 事業の概要や実態がわかる資料 | 全者必須 | 会社案内PDF、またはホームページの該当URL |
| 特許出願非公開制度に関する誓約書(様式第1別添3) | 特許出願の場合は必須 | 経済安全保障推進法の保全対象発明に該当しないこと等の誓約。出願時期にかかわらず全ての特許案件で必要 |
| 決算書(直近2期)、履歴事項全部証明書、役員名簿(様式第1別添2)、株主名簿、法人事業概況説明書 | 法人の場合 | 創業2年未満は1期分+預金残高証明書(直近2か月)、創業1年未満は法人設立届+預金残高証明書で代替。大学等は一部不要 |
| 確定申告書(直近2年) | 個人事業主の場合 | 開業1年未満は開業届+預金残高証明書、または事業計画書・収支計画書で代替 |
| 協力承諾書(様式第1別添1) | 該当者 | 現地代理人に直接依頼せず、国内代理人(弁理士)を通して依頼する場合に必要 |
| 持ち分割合・費用負担割合を示す書類 | 共同出願の場合 | 契約書、覚書など |
| 実施権者等の単独申請に要する書類(様式第1別添4・5) | 実施権者等の場合 | 出願人が作成する証明書面と、申請者が作成する宣誓書の2通 |
| 賃金引上げ計画の誓約書・表明書 | 賃上げ加点を希望する場合 | 常時使用する従業員がいない場合、表明書は不要 |
※審査の過程で追加資料を求められることがあります。事務局から連絡があった場合は速やかに対応してください。
補助金の全体の流れは、応募申請 → 応募審査 → 採択通知 → 交付決定 → 外国特許庁への手続(補助事業の実施) → 実績報告 → 補助金額の確定 → 精算払請求・支払 → 権利化状況の報告となります。
締切(9月28日17:00)までに余裕をもって申請するための、準備の目安です。
最も多い失敗:交付決定前の発注:交付決定日より前に契約(発注)した費用は、たとえ支払いが後でも補助対象になりません。採択発表は11月下旬頃の予定ですので、それより前に外国出願を進める必要がある案件は本補助金の対象にできません。
優先権期限との整合に注意:パリ条約の優先権を主張する場合、特許は国内出願日から12か月、意匠・商標は6か月以内に外国出願する必要があります。この期限が交付決定(11月下旬)より前に来る案件は、第4回公募では実質的に活用できません。PCT出願の国内移行期限(原則、優先日から30か月)についても同様の確認が必要です。
Q. 個人でも申請できますか?
A. 日本国内に住所のある個人事業主のみ対象です。開業1年未満の場合は、確定申告書の代わりに事業計画書と収支計画書を提出します。
Q. 1つの国内出願を基に複数の国へ出願する場合、上限額はどうなりますか?
A. 複数の国・地域への出願をまとめて「1出願」として扱うため、特許なら合計で150万円以内が上限です。
Q. 特許庁の海外出願支援事業(都道府県の支援センター経由)と両方に申請できますか?
A. 同じ出願について両方に応募申請すること(重複申請)はできません。一方が不採択になった後であれば、他方に申請できます。
Q. 過去の公募回で採択された出願について、再度申請できますか?
A. 同一の外国出願について重ねて出願補助を受けることはできません。別の出願であれば、公募回が異なる限り申請回数に制限はありませんが、同一年度内の交付決定額の合計は1事業者300万円以内です。
Q. 欧州特許庁(EPO)への出願は対象ですか?
A. 対象です。ただし、登録査定後の各加盟国への有効化手続や欧州単一効特許の申請は対象外です。
Q. 補助金はいつ振り込まれますか?
A. 精算払いです。補助事業完了後に実績報告書を提出し、額の確定通知を受けてから精算払請求を行い、その後に振り込まれます。実績報告書の確認には締切から2〜3か月程度かかることがあります。
Q. 弁理士に申請手続を代行してもらえますか?
A. jGrantsの申請自体は申請者ご自身のGビズIDで行いますが、jGrantsの代理申請機能を使えば、弁理士が申請内容を事前チェックした上で提出できます。当事務所では、出願先国の選定、見積書・調査報告書の作成、申請書類の内容面でのブラッシュアップをサポートしています。
INPIT外国出願補助金は、海外での知的財産権取得にかかる費用の1/2を補助してくれる、海外展開を目指す中小企業・スタートアップ・大学にとって非常に心強い制度です。令和8年度 第4回公募は2026年9月28日(月)17:00締切で、今年度最後の公募(予定)です。
対象となる事業者や出願の要件、交付決定後でなければ発注できないというルール、優先権期限との整合など、押さえるべきポイントは多くありますが、事前に整理しておけば決して難しい制度ではありません。海外展開における知的財産戦略の一環として、ぜひ活用をご検討ください。
第4回公募(9/28締切)の申請準備をサポートします
出願先国の選定、見積書・先行調査の準備、申請書類の内容面のブラッシュアップまで、弁理士がワンストップで対応します。まずはお気軽にご相談ください。
無料相談・お問い合わせはこちらAUTHOR / 執筆者
杉浦 健文 (SUGIURA Takefumi)
知的財産事務所エボリクス(EVORIX) 代表弁理士
特許・商標・意匠・著作権の出願から審判・侵害訴訟まで、IT・製造・スタートアップ・ファッション・医療など幅広い業種のクライアントを支援。AI・IoT・Web3・FinTech等の先端分野の知財戦略にも精通。日本弁理士会/アジア弁理士協会(APAA)/日本商標協会(JTA)等 複数団体所属。