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【アラブ首長国連邦(UAE)】マドプロ加盟及び法改正概要

作成者: 弁理士 杉浦健文|2022/01/10

目次

  1. UAE知的財産法改正の背景
  2. 商標法の主な改正ポイント
  3. マドプロ加盟 ― 国際商標出願が可能に
  4. 意匠法の変更点
  5. 特許・実用新案の変更点
  6. 改正内容の比較一覧
  7. お問い合わせ

1. UAE知的財産法改正の背景

アラブ首長国連邦(UAE)は、知的財産関連法の包括的な法改正を実施しました。特に商標法についてはマドプロ(マドリッド議定書)への加盟に伴い、海外企業にとっても商標権の取得が大幅に容易になっています。

新しい知的財産法は、UAE大統領のシェイク・ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン(Sheikh Khalifa bin Zayed Al Nahyan)氏によって承認され、2022年1月2日から完全施行されています。商標法、意匠法、特許法のそれぞれにおいて重要な変更が加えられており、UAE市場を視野に入れる企業は確認しておくべき内容です。

本記事のポイント:UAE知的財産法の改正は商標・意匠・特許の3分野にまたがる大規模なものです。特にマドプロ加盟により、日本企業が国際商標出願を通じてUAEでの商標権を取得するルートが開かれました。

2. 商標法の主な改正ポイント

商標法の改正では、保護対象の拡大と出願手続きの簡素化という2つの大きな柱があります。

保護対象の拡大:従来の文字・図形商標に加え、立体商標ホログラム音響商標が新たに保護対象となりました。

さらに、以下の重要な変更が含まれています。

  • 特定の地理的地域や国の名前と結びついた商標、および地理的表示に関する規定の改正
  • 商標登録の際の取引許可証(トレードライセンス)の要件の廃止
  • 中小企業に対し、展示会参加中の自社商標の一時的保護の付与

複数区分出願が可能に:新商標法では、1件の出願で複数区分を指定できるようになりました。従来は区分ごとに個別出願が必要でしたが、手続きの効率化とコスト削減が期待できます。

3. マドプロ加盟 ― 国際商標出願が可能に

UAEは2021年9月28日にマドリッド議定書(マドプロ)に加盟し、マドリッド制度の109番目の加盟国となりました。湾岸協力会議(GCC)加盟国としては、バーレーン、オマーンに続く3番目の加盟国です。議定書は2021年12月28日に発効しています。

マドプロ加盟の意義:日本企業は、日本の特許庁を通じた国際商標出願(マドプロ出願)で、UAEを指定国として商標権を取得できるようになりました。個別に現地出願を行う場合に比べ、手続きやコストの面で大きなメリットがあります。

注意点:国際登録の仮拒絶(暫定拒絶通報)、異議申立、不服申立については、これまで通り現地代理人の選任が必要です。マドプロ出願であっても、審査段階で拒絶理由が発せられた場合は現地代理人を通じた対応が求められます。

4. 意匠法の変更点

意匠(工業デザイン)に関しても重要な改正がなされました。新規性の判断基準として、出願日前に公表、使用、その他の方法によって公開されていない場合にのみ新規とみなされます。

保護期間の延長:意匠の保護期間が出願日から20年に延長されました。長期的なデザイン保護が可能となっています。

5. 特許・実用新案の変更点

新産業財産権法は、実用新案に関して大きな変更をもたらしています。施行規則で定められた条件を満たすことで、実用新案出願を特許出願に変更することが可能になりました。

また、グレースピリオド(新規性喪失の例外)についても規定が整備されました。発明者、または発明者から直接もしくは間接的に情報を得た第三者による情報の開示は、出願日前12ヶ月以内に行われたものであれば、特許の取得に影響を与えないとされています。

6. 改正内容の比較一覧

以下の表は、今回の知的財産法改正における主な変更点をまとめたものです。

分野 改正前 改正後
商標 ― 保護対象 文字・図形等 立体商標・ホログラム・音響商標を追加
商標 ― 区分 1出願1区分 複数区分出願が可能
商標 ― 出願要件 取引許可証が必要 取引許可証の要件を廃止
商標 ― 国際出願 マドプロ非加盟(個別出願のみ) マドプロ加盟(国際出願で指定可能)
意匠 ― 保護期間 旧法の期間 出願日から20年に延長
特許 ― グレースピリオド 規定なし 出願日前12ヶ月以内の開示は影響しない
実用新案 特許への変更不可 条件を満たせば特許出願に変更可能

7. お問い合わせ

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