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カタール商標制度の実務ガイド|GCC統一商標法・MOCI・費用・異議・不使用取消・投資商事裁判所・マドプロ加盟を弁理士が解説|知的財産事務所エボリクス

作成者: 弁理士 杉浦健文|2026/09/28

カタールは人口約340万人、1人当たりGDPが約7万米ドルに達する世界有数の富裕国で、日本にとってはLNG(液化天然ガス)と原油の重要な供給国です。2025年の日本のカタールからの輸入は約9,800億円、輸出は約2,200億円で、自動車・鉄鋼管・自動車部品が主な輸出品です。2022年のFIFAワールドカップを機に消費市場としての存在感も高まり、日本車、化粧品、日本食、電機製品、アニメ関連商品などが富裕層と約270万人の外国人居住者に受け入れられています。こうした中で、カタールでの商標保護の相談が増えています。

カタールの商標制度は、2023年8月にGCC(湾岸協力会議)統一商標法の適用が始まり、2024年8月にはマドリッド協定議定書(マドプロ)への加盟が発効するという大きな転換期を経たばかりです。異議期間は4か月から60日に短縮され、存続期間は出願日から10年、不使用取消は5年で裁判所が判断し、2026年には第33類(アルコール飲料)の登録も解禁されました。一方で、委任状はカタール領事館での認証と外務省での再認証が必要で、1出願1区分の運用、そして2026年2月末以降の中東情勢の影響で商標庁が一時的に在宅勤務に移行するなど、日本企業が知っておくべき運用上の特徴もあります。本記事では、GCC統一商標法の条文、WIPOの加盟通知、商業産業省(MOCI)の2025年実績、外務省の統計を一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・マドプロの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 根拠法はGCC統一商標法(法律7/2014号で承認、大臣決定56/2023号で2023年8月10日から適用)。管轄は商業産業省(MOCI)知的財産権保護局で、先行商標との類似も含めて審査し、公告から60日が異議期間
  • 庁費用は出願1,000リヤル+登録2,000リヤル(合計約12万円)、更新は2,500リヤル。1出願1区分で、委任状はカタール領事館の認証+外務省の再認証+アラビア語訳が必要。異議がなければ8〜14か月で登録
  • 存続期間は出願日から10年、更新は最終年に申請し猶予6か月。不使用取消は5年で裁判所が判断。登録から5年間使用が続くと登録の効力を争えなくなる「不可争性」の規定あり
  • 侵害は投資商事裁判所(2022年設置)で差止・損害賠償、刑事は1か月〜3年の拘禁刑と最大100万サウジリヤル相当の罰金、税関は権利者の申立から7日以内に通関停止を判断
  • マドプロ加盟(2024年8月3日発効)。個別手数料は1区分CHF 984(更新765)、拒絶通報18か月。2025年の登録は9,218件(前年比23%増)、2026年から第33類も登録可能

目次

  1. カタール商標制度の全体像:GCC統一商標法とMOCI
  2. 2025年は登録9,218件:市場環境と2026年の情勢
  3. 保護対象と拒絶理由:宗教的標章の禁止と第33類の解禁
  4. 出願手続の流れと審査期間:1出願1区分・委任状は領事認証
  5. 費用一覧(MOCI公式手数料・マドプロ個別手数料)
  6. 異議申立:公告後60日・委員会・裁判所
  7. 不使用取消(5年)と無効:いずれも裁判所が判断
  8. 使用義務と更新:出願日起算の10年
  9. 権利行使:投資商事裁判所・刑事罰・税関
  10. 最近の動向:MOCIの摘発・2026年の臨時措置・周知商標
  11. マドプロ指定と直接出願の使い分け
  12. 日本の商標制度との比較
  13. 日本企業がカタール出願で押さえるべき実務ポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. 出典・参考文献

1. カタール商標制度の全体像:GCC統一商標法とMOCI

LEGAL FRAMEWORK

2002年の商標法(法律9/2002号)に代わり、GCC6か国共通の「GCC商標法」を承認した法律7/2014号が、大臣決定56/2023号(官報2023年7月9日、適用開始2023年8月10日)により実施規則とともに施行されました。カタールはUAE・サウジアラビア・バーレーン・クウェートに続く5番目の実施国です。

カタールの商標法は、長く法律9/2002号(商標・商号・地理的表示・意匠法)が根拠でしたが、GCC(湾岸協力会議)が共通のGCC商標法を採択したことを受け、2014年に法律7/2014号で承認し、2023年8月10日から大臣決定56/2023号により実際の適用が始まりました。GCC商標法は6か国で条文が共通ですが、EUの欧州連合商標のような統一登録ではなく、各国の官庁が自国の登録を扱う「法律の統一」にとどまります。カタールで登録した商標はカタールでのみ効力を持ち、UAEやサウジアラビアには別途出願が必要です。移行に伴い、異議期間は4か月から60日へ、拒絶理由への応答期間は2か月から1か月へ短縮され、公告料は受理通知から30日以内の納付が義務づけられました。音と香りの商標が明文で認められ、手数料表も改定されています。

管轄官庁は商業産業省(Ministry of Commerce and Industry:MOCI)の知的財産権保護局で、その商標事務所(Trademark Office)が出願の審査、公告、異議の受付、登録、更新を担います。拒絶や異議の決定に不服がある場合は、実施規則で定める委員会への不服申立と、裁判所への提訴が用意されています。カタールでは2021年の法律21号で投資商事裁判所(Investment and Trade Court)が設置され(2022年5月10日開設)、商標を含む知的財産の紛争はこの専門裁判所の第一審部と控訴部が扱い、最終的に破毀院に至ります。不使用取消と無効も裁判所の管轄で、MOCIは確定判決を受けて登録を抹消します。日本企業にとって重要なのは、登録手続はMOCI、争訟は裁判所という役割分担と、GCC共通法でありながら各国ごとに出願が必要という点です。

カタール独自のポイント:マドプロ加盟と領事認証

カタールは2024年8月3日にマドプロ加盟が発効し、GCCではバーレーン・オマーン・UAEに続く4番目の加盟国になりました(サウジアラビアとクウェートは未加盟)。一方、直接出願に必要な委任状は、ハーグ条約(アポスティーユ)の非締約国であるため、日本の公証役場での公証、外務省の公印確認、在日カタール大使館の領事認証を経て、さらにカタール外務省で再認証し、アラビア語訳を添える必要があります。この手間を避けられることが、カタールでマドプロを使う最大の利点です。

2. 2025年は登録9,218件:市場環境と2026年の情勢

MOCIが2026年2月に公表した2025年第4四半期の業績報告によると、2025年に登録が認められた商標出願は9,218件で、前年比23%増でした。特許は255件(6%増)、著作権登録は258件(89%増)です。同じ年に商業登記は約28,000件と57%増え、外国企業の登記が急増しており、市場開放とマドプロ加盟が商標出願の増加を後押ししています。カタール商標庁は2024年にWIPOのグローバルブランドデータベースにも参加し、登録商標の検索が国外からも可能になりました。

指標 数値 出所
登録が認められた商標出願(2025年)9,218件(+23%)MOCI 2025年Q4業績報告(QNA)
特許/著作権の登録(2025年)255件(+6%)/258件(+89%)同上
マドプロ加盟2024年8月3日発効(115番目)。個別手数料CHF 984/更新765、拒絶通報18か月WIPO
人口/GDP/1人当たりGDP約337万人(2026年1月)/約2,212億米ドル/約7万米ドル(2025年)外務省(IMF)
対日貿易(2025年)カタール→日本9,766億円(LNG・石油)/日本→カタール2,160億円(自動車・鉄鋼管・部品)外務省(財務省貿易統計)
為替1米ドル=3.64リヤル(ドルペッグ)外務省

2026年の情勢にも触れておく必要があります。2026年2月28日に始まった中東情勢の悪化により、カタールエナジーはLNG生産の一時停止を発表し、MOCIの知的財産権保護局も一時的に在宅勤務に移行しました。商標庁は「管理の及ばない状況」を理由に、登録料・更新料・公告料・異議申立料の納付期限に猶予期間を設ける通達を出し、2026年3月9日に対面業務を再開しています。期限管理を現地代理人と密に行うこと、そして期限の徒過が救済され得ることを知っておくことが、当面の実務上の注意点です。

3. 保護対象と拒絶理由:宗教的標章の禁止と第33類の解禁

GCC商標法2条は、名称、語、署名、文字、数字、図形、ロゴ、印章、写真、包装など識別力のある形態を持つあらゆるものを商標と定め、音と香りも商標の一部になり得ると明記しています。商標のほか、団体商標・証明商標、商号、地理的表示が保護対象です。出願人は、GCC域内の事業者、GCC域内に居住する外国人に加え、GCC加盟国が締約する多国間条約の締約国に属する外国人にも認められ(5条)、日本企業はパリ条約を根拠に出願できます。

拒絶理由は3条に15項目が列挙されています。識別力の欠如、公序良俗違反、国章・国旗・国際機関の標章、赤新月・赤十字の標章、純粋に宗教的な性格を持つ標章と同一・類似の標章、出所の混同を生じる地名、第三者の氏名・肖像、誤認を生じる表示、取引禁止者の商標、そして同一・類似の商品・役務について先に出願・登録された商標と類似し混同を生じる商標(11号)、周知商標の複製・模倣・翻訳(13号・14号)などです。MOCIはこれらを職権で審査するため、出願前の先行商標調査(公式調査は1区分1,000リヤル)が実務の出発点です。4条は、本国の国境を超えて国際的な名声を持つ商標は、所有者の請求または明示の承認がなければ登録できないと定め、名声の判断要素として、広告や長期の使用、登録国の数、商標の価値を挙げています。周知商標は、非類似の商品・役務についても、出所の関連を示唆したり所有者の利益を害したりする場合は保護されます。

第33類の解禁(2026年):カタール商標庁は長年、アルコール飲料(第33類)の商標登録を受け付けていませんでしたが、2026年にニース分類第13版を採用するとともに、第33類を含む全45区分での登録を認める方針を明らかにしました。ただし、イスラムの原則や公序に反する商品・役務の指定は個別に審査されるため、指定商品の表現は現地代理人と調整が必要です。

4. 出願手続の流れと審査期間:1出願1区分・委任状は領事認証

出願はMOCIの電子システムを通じて行い、外国企業はカタールの登録代理人を通じて出願することが義務づけられています。GCC商標法9条は実施規則に従って複数区分の出願を認めていますが、カタールの運用は1出願1区分で、区分ごとに出願と手数料が必要です。手続の流れは次のとおりです。

  1. 出願と方式・実体審査(90日):願書、商標見本、区分と商品・役務(アラビア語と英語)、委任状、優先権書類を提出します。委任状は日本の公証役場で公証し、外務省の公印確認と在日カタール大使館の領事認証を経て、カタール外務省で再認証し、認証付きアラビア語訳を添えます。出願時に間に合わない場合は出願から30日以内に提出します。優先権書類も認証付きの写しと翻訳を出願時または出願から1か月以内に提出します(GCC商標法11条は6か月以内と定めていますが、カタールの運用は短いので注意が必要です)。MOCIは出願から90日以内に登録の可否を判断し(12条4項)、拒絶理由や条件の通知には30日以内に応答します。応答がなければ出願は放棄されたものとみなされます。
  2. 受理と公告(受理後2か月程度):受理通知から30日以内に公告料を納付すると、商標公報(Trademarks Bulletin)に公告されます。
  3. 異議期間(60日):公告日から60日以内に、利害関係人が書面で異議を申し立てられます(14条)。MOCIは30日以内に出願人に異議を送達し、出願人は60日以内に答弁します。答弁がなければ出願は放棄されたものとみなされます。
  4. 登録と登録証(2か月程度):異議がなければ、異議期間の満了後に登録され(16条)、登録料の納付を経て登録証が発行されます。登録の効力は出願日に遡り(17条)、登録証には出願日、登録日、満了日、優先権情報が記載されます。

異議がない場合の所要期間は、現地事務所の案内で8〜12か月から12〜14か月とされています。拒絶された場合は、通知から60日以内に委員会に不服を申し立て、その決定から60日以内に裁判所に提訴できます(13条)。期限を過ぎると出願は放棄されたものとみなされるため、期限管理が重要です。同一・類似の商標が同時に出願された場合、MOCIは一方が権利を放棄するか判決が確定するまで全ての出願を保留します(10条)。

領事認証の所要期間を見込む

委任状の公証から在日カタール大使館の領事認証、カタール外務省の再認証、アラビア語訳の手配までには通常数週間かかります。優先権期限(日本出願から6か月)が迫っている案件では、出願を先に行い、委任状は30日以内に追完する運用が一般的です。マドプロで指定すれば、これらの認証手続は不要になります。

5. 費用一覧(MOCI公式手数料・マドプロ個別手数料)

手数料は大臣決定56/2023号の手数料表で定められ、カタール・リヤル(QAR)建てです。リヤルは1米ドル=3.64リヤルの固定相場で、円換算は1リヤル≒41円の概算です。以下は現地事務所が2026年時点で案内している主な金額で、MOCIの裁量で改定されることがあります。

手続 手数料 円換算目安・備考
商標登録出願(1区分=1出願)1,000リヤル約4万1,000円(約275米ドル)
公告料受理通知から30日以内に納付金額は事務所により500〜1,200リヤルと案内が分かれる
登録料2,000リヤル約8万1,000円(約550米ドル)。出願+登録で約12万2,000円
更新(10年ごと)2,500リヤル約10万2,000円(約685米ドル)。猶予期間は割増
公式の先行商標調査1,000リヤル/区分約4万1,000円
マドプロ指定(個別手数料)CHF 984/区分約18万円(2025年11月9日に1,122から引下げ)
マドプロ更新(個別手数料)CHF 765/区分約14万円(875から引下げ)

庁費用だけを比べると、直接出願(出願+登録で約3,000リヤル、約824米ドル)の方がマドプロ指定(CHF 984、約1,230米ドル)より安くなります。しかし直接出願には現地代理人の費用と委任状の領事認証費用が加わるため、総額ではマドプロが有利になることが多く、GCC加盟国の複数を対象にする場合はその差が広がります。中小企業はINPIT外国出願補助金の対象になります。

6. 異議申立:公告後60日・委員会・裁判所

異議は登録前の制度で、商標公報の公告日から60日以内に、利害関係人がMOCIに書面で申し立てます(GCC商標法14条)。2023年8月の移行前は4か月でしたので、監視の頻度を上げる必要があります。MOCIは異議を受理してから30日以内に出願人に写しを送達し、出願人は60日以内に書面で答弁します。答弁がなければ出願は放棄されたものとみなされます。MOCIは必要に応じて双方の陳述を聴取したうえで、登録を拒絶または承認する決定を出し、承認の場合には制限や条件を付すことができます(15条)。

MOCIの決定に不服がある者は、通知から30日以内にMOCIへの不服申立と、30日以内の裁判所への提訴ができます(15条3項)。登録を認める決定に対する不服は、裁判所が別途命じない限り登録手続を止めません。異議の理由には、先行商標との類似(3条11号)、周知商標の複製・模倣(3条13号・14号、4条)、公序良俗違反や誤認表示などが含まれます。異議の手数料は事務所により案内が異なるため、申立前に現地代理人に確認してください。2026年3月の臨時措置では、異議申立料の納付期限にも猶予が認められました。

日本企業の活用例:カタールで登録していない日本ブランドを第三者が出願した場合、公告から60日以内に、日本や他のGCC諸国での登録・使用実績、広告、販売実績を示して、4条の国際的な名声を持つ商標であることと、3条13号・14号の周知商標の模倣に当たることを主張します。カタール商標庁はグローバルブランドデータベースに参加しているため、他国の登録状況も参照されやすくなっています。

7. 不使用取消(5年)と無効:いずれも裁判所が判断

不使用取消(GCC商標法24条)

登録商標が連続5年間真剣に使用されていない場合、利害関係人の請求により裁判所が登録の抹消を命じることができます。権利者が、不使用が自らの支配を超えた理由によることを証明すれば取消は免れます。日本やアンデス諸国の3年より長く、判断機関がMOCIではなく裁判所である点が特徴です。取消請求の前には、権利者に1か月の予告を行うのが実務です。抹消された商標は、判決で短い期間が定められない限り、抹消から3年間は同一・類似の商品について第三者名義で再登録できません(25条)。

無効と「不可争性」(7条・22条)

違法に登録された商標は、MOCIまたは利害関係人が裁判所に抹消を求め、確定判決を受けてMOCIが登録を抹消します(22条)。日本企業にとって特に重要なのが7条です。登録した者はその商標の唯一の所有者とみなされ、登録から5年間、有効性を争う訴えを提起されることなく継続して使用すると、所有権を争えなくなります。先に使用していた者は、登録日から5年以内に裁判所に登録の取消を求めることができますが、その使用が登録者の明示または黙示の承認を受けていた場合は認められません。つまり、日本ブランドを第三者が先取り登録した場合、登録から5年以内に先使用と悪意を主張して裁判所で争う必要があり、5年を過ぎると登録が確定してしまいます。

5年の壁に注意:カタールでは異議期間が60日と短く、登録後は5年で不可争性が生じます。MOCIの商標データベースとWIPOのグローバルブランドデータベースで自社ブランドの登録状況を定期的に確認し、先取り登録を見つけたら速やかに投資商事裁判所への訴えを検討してください。

8. 使用義務と更新:出願日起算の10年

登録の存続期間は10年で、登録の効力が出願日に遡るため(17条)、出願日から起算して出願日の前日に満了します。更新は存続期間の最終年(現地の運用では満了前12か月以内)に申請し、満了後6か月の猶予期間内でも割増料金で更新できます(20条)。猶予期間内に更新しなければ、MOCIは職権で登録を抹消します。更新は新たな審査なしに認められ、公告はされますが第三者の異議は認められません。更新料は2,500リヤルで、使用証明は不要です。

使用義務では、連続5年の不使用が取消事由ですが、判断は裁判所が行い、正当な理由があれば免れます。使用の証拠は、カタール向けの請求書、通関書類、現地販売店との契約、アラビア語と英語の広告、SNSやECサイトでの販売記録など、日付と数量が分かる形で保管しておきます。マドプロで指定した国際登録も同じ使用義務に服します。各国の使用義務の違いは商標登録後の維持義務の国際比較も参考にしてください。

9. 権利行使:投資商事裁判所・刑事罰・税関

民事:投資商事裁判所での保全措置と損害賠償

商標権者は、侵害またはその切迫を理由に、投資商事裁判所に申立てのみで保全措置を求めることができます(GCC商標法40条)。裁判所は10日以内に判断し、侵害品と製造設備の詳細な記録、差押え、流通経路への投入と輸出の禁止(通関直後の輸入品を含む)、侵害の停止を命じます。遅延が回復不能な損害を生じる場合は相手方を呼ばずに命令でき、権利者は命令から20日以内に本案訴訟を提起しなければなりません。本案では、侵害者が得た利益を含む適切な損害賠償が認められ、故意の模倣の場合は権利者の選択で定額的な賠償を求めることもできます(41条)。裁判所は侵害品と製造設備の廃棄、侵害の停止、流通経路に関する情報の開示を命じ、商標を除去しただけの商品を流通に戻すことは認められません。投資商事裁判所は2022年5月に開設された専門裁判所で、電子提訴と証拠の一括提出により迅速な審理を目指しています。

刑事罰(42条・43条)と行政摘発

登録商標の偽造・模倣や、悪意で他人の商標を自己の商品に付する行為には、1か月以上3年以下の拘禁刑と5,000〜100万サウジリヤル相当(カタール通貨では約4,900〜97万リヤル)の罰金のいずれかまたは双方が科されます。偽造商標を付した商品の販売・所持、模倣用の道具の所持などには、1か月以上1年以下の拘禁刑と1,000〜10万サウジリヤル相当の罰金です(42条)。3年以内の再犯は刑の上限が2倍になり、15日〜6か月の店舗閉鎖と判決の公表が加わります(43条)。2022年には検察庁に知的財産・サイバー犯罪の専門部が設置され、MOCIの検査官は司法警察員の権限で立入検査と押収を行います。MOCIは内務省と連携して、ムシェイレブやアル・サッドの店舗での国際ブランドの模倣品販売、SNS上の模倣品販売アカウントの摘発を継続しており、消費者保護法(法律8/2008号)に基づく3,000〜100万リヤルの罰金と営業停止も併用されます。

税関(38条・法律17/2011号)

権利者は、模倣品の輸入を疑う正当な理由がある場合、証拠を添えて税関に通関停止を申し立てることができ、税関は7日以内に決定を通知します。認められた決定は1年間(または登録の残存期間)有効で、税関は担保を求めることができます。税関は職権でも輸入・通過・輸出貨物の通関を停止できます(38条4項)。通関停止後、権利者は10営業日以内に裁判所に本案の訴えを提起し税関に通知しなければならず、模倣が確定すれば輸入者の費用で廃棄されます。カタールには2011年の知的財産権保護のための国境措置法(法律17/2011号)もあり、権利者は関税総局(General Authority of Customs)に登録商標を記録して、疑わしい貨物の通知を受けることができます。税関の決定への不服は第一審裁判所に申し立て、裁判所は短期間で判断します。

10. 最近の動向:MOCIの摘発・2026年の臨時措置・周知商標

直近の動向で押さえておくべき点は四つあります。第一に、2023年8月のGCC商標法の適用開始により、異議期間60日、応答期間30日、公告料の30日以内納付という短い期限体系に変わったことです。第二に、2024年8月3日のマドプロ加盟で、カタールは個別手数料(当初CHF 1,122、2025年11月からCHF 984)、拒絶通報期間18か月と期間経過後の異議に基づく拒絶、国際登録簿への使用許諾の記録がカタールでは効力を持たないこと、加盟前の国際登録には保護が及ばないこと(議定書14条5項)を宣言しています。第三に、2026年の第33類の解禁で、ニース分類第13版の採用とともに全45区分での登録が可能になりました。第四に、2026年2月末以降の中東情勢を受けた商標庁の臨時措置で、登録料・更新料・公告料・異議申立料の納付期限に猶予が設けられ、対面業務は2026年3月9日に再開されました。

執行面では、MOCIの知的財産権保護局が2026年に入って模倣品の見分け方と商標侵害対策に関するワークショップを重ねており、2026年9月には第4回が開催されました。判例では、スイスの時計メーカーがカタールで出願した図形入り商標に対し、同じ図形要素を持つ先行登録の権利者が異議を申し立てた事件で、登録官と第一審は図形の同一性を理由に登録を認めませんでしたが、控訴裁判所は破毀院が示した「商標は特定の要素ではなく全体として観察する」という原則を適用し、両商標は全体として区別でき、問題の図形は一般的な記号で独占できないとして登録を認めました。商標全体の印象による類否判断が、カタールの裁判所の出発点です。カタールの判例はデータベースでの検索が難しいため、現地代理人を通じた先例の確認が実務上重要です。

11. マドプロ指定と直接出願の使い分け

カタールは2024年8月3日からマドプロの指定国に含められます。マドプロ指定の利点は、委任状の領事認証とアラビア語訳が不要なこと、日本の特許庁を通じて英語で手続できること、GCCの他の加盟国(UAE・バーレーン・オマーン)や中東各国とまとめて出願できること、更新も国際登録の一括更新で済むことです。カタールは拒絶通報期間を18か月に延長し、その後の異議に基づく拒絶も認めているため、登録の確定までは直接出願と同程度の時間がかかることを見込みます。暫定拒絶が通知された場合は現地代理人の選任が必要になります。

直接出願が向いているのは、庁費用を抑えたい単区分の案件、既に現地代理人と関係があり領事認証の負担が小さい場合、出願時点で指定商品の表現をアラビア語で細かく調整したい場合、そしてサウジアラビアやクウェートなどマドプロ未加盟国と同時に進める場合です。GCC全体を見据えるなら、UAE・バーレーン・オマーン・カタールはマドプロ、サウジアラビア・クウェートは直接出願という組合せが標準的な設計になります。マドプロ指定であっても、カタールの使用義務(5年)と不可争性(5年)は同じように適用される点に注意してください。

12. 日本の商標制度との比較

項目 カタール(MOCI) 日本(特許庁)
根拠法GCC統一商標法(2023年8月適用)+実施規則商標法
先行商標との類似の審査職権審査あり(3条11号)職権審査あり
多区分出願運用上は不可(1出願1区分)可
異議登録前・公告から60日登録後・公報から2か月
登録までの期間異議なしで8〜14か月6〜8か月程度(早期審査あり)
庁費用(1区分)出願1,000+登録2,000リヤル(約12万2,000円)出願12,000円+登録料32,900円
委任状公証+領事認証+カタール外務省の再認証+アラビア語訳(マドプロなら不要)原則不要
存続期間出願日から10年。猶予6か月登録日から10年
不使用取消5年・裁判所が判断・正当理由で免責3年・特許庁審判
無効・不可争性裁判所。登録+5年の使用で所有権を争えない(7条)特許庁審判。一部理由は5年の除斥期間
侵害の救済投資商事裁判所(保全措置10日以内・損害賠償・廃棄)裁判所(差止・損害賠償)
刑事罰1か月〜3年の拘禁刑・最大100万サウジリヤル相当の罰金。再犯は2倍+店舗閉鎖10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金
マドプロ加盟(2024年8月3日)。個別手数料CHF 984、18か月加盟(2000年)

13. 日本企業がカタール出願で押さえるべき実務ポイント

  1. GCCの複数国ならマドプロ、単独ならコスト比較で判断する:UAE・バーレーン・オマーン・カタールはマドプロで一括指定でき、領事認証と現地代理人の費用を省けます。カタールだけの単区分出願なら、庁費用は直接出願の方が安いため、認証費用と代理人費用を含めて比較します。
  2. 直接出願なら委任状の認証を先に手配する:公証、外務省の公印確認、在日カタール大使館の領事認証、カタール外務省の再認証、アラビア語訳まで数週間かかります。出願後30日以内の追完が認められるので、優先権期限が迫る案件は先に出願します。
  3. 区分を絞り、アラビア語の指定商品を整える:1出願1区分なので、主力商品の区分を優先します。指定商品・役務はアラビア語と英語で提出し、公序良俗や宗教的観点で問題になり得る表現は現地代理人と調整します。
  4. 60日の異議期間に対応できる監視体制を組む:異議期間は4か月から60日に短縮されました。商標公報とグローバルブランドデータベースでのウォッチングを設定し、他のGCC諸国での登録・使用の証拠をすぐ出せるようにしておきます。
  5. 先取り登録には5年以内に裁判所で争う:登録から5年間使用が続くと不可争性が生じます。先使用と悪意を主張する訴えは投資商事裁判所に提起し、周知性の証拠(他国の登録、売上、広告)を揃えます。
  6. 5年の使用義務に備えて証拠を残す:不使用取消は5年ですが裁判所が判断するため、カタール向けの請求書、通関書類、現地販売店との契約、アラビア語の広告を日付付きで保管します。
  7. 侵害は保全措置と税関の記録から始める:投資商事裁判所は保全措置を10日以内に判断し、税関は通関停止を7日以内に決定します。関税総局への登録商標の記録、MOCIへの模倣品販売の通報、悪質な事案では検察庁の知的財産・サイバー犯罪部への刑事告訴を組み合わせます。
  8. 2026年の情勢と期限管理:商標庁は2026年3月に在宅勤務と期限の猶予措置を実施しました。情勢の変化で再び業務が制限される可能性があるため、期限は早めに処理し、猶予措置の通達を現地代理人から入手しておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. マドプロでカタールを指定できますか?

できます。カタールは2024年8月3日にマドプロ加盟が発効し、国際出願や事後指定でカタールを指定できます。個別手数料は1区分CHF 984(更新はCHF 765)で、拒絶通報の期間は18か月です。加盟前に行われた国際登録にはカタールの保護が及ばないため、既存の国際登録は事後指定で追加します。

Q2. 登録までどのくらいかかりますか?

異議がなければ、審査90日、公告、60日の異議期間、登録と登録証の発行を経て、8〜14か月程度です。存続期間は出願日から10年で、登録の効力も出願日に遡ります。2026年3月には情勢の影響で商標庁の業務が一時制限され、期限の猶予措置がとられました。

Q3. 費用はいくらかかりますか?

直接出願の庁費用は出願1,000リヤルと登録2,000リヤルの合計3,000リヤル(約12万2,000円)で、公告料が別途かかります。更新は2,500リヤルです。現地代理人の費用と委任状の領事認証費用が加わります。マドプロ指定の個別手数料はCHF 984(約18万円)で、認証と代理人の費用はかかりません。中小企業はINPIT外国出願補助金の対象になります。

Q4. 委任状にはどのような認証が必要ですか?

カタールはハーグ条約(アポスティーユ)の非締約国のため、日本の公証役場での公証、外務省の公印確認、在日カタール大使館の領事認証を経て、カタール外務省で再認証し、認証付きのアラビア語訳を添えます。出願時に間に合わない場合は出願から30日以内に提出します。マドプロで指定すれば委任状は不要です。

Q5. 日本ブランドをカタールで先取り登録されました。

公告から60日以内なら、他国での登録・使用と周知性を示して異議を申し立てます。登録後は、登録日から5年以内に投資商事裁判所に先使用と悪意を理由とする取消・無効を求めます。5年間使用が続くと登録の所有権を争えなくなるため、早期の対応が必要です。相手が5年以上使っていなければ不使用取消も選択肢です。

Q6. 模倣品がカタールで売られています。何から始めるべきですか?

輸入品は税関への通関停止の申立(7日以内に決定)と関税総局への登録商標の記録、国内流通品は投資商事裁判所への保全措置の申立(10日以内に判断)とMOCIへの通報が出発点です。悪質な事案は検察庁の知的財産・サイバー犯罪部への刑事告訴で、1か月〜3年の拘禁刑と最大100万サウジリヤル相当の罰金が科され得ます。損害賠償は本案訴訟で侵害者の利益を含めて請求します。いずれもカタールの弁護士を通じて行います。

まとめ

カタールの商標制度は、2023年のGCC統一商標法の適用と2024年のマドプロ加盟で大きく近代化されました。先行商標も審査する登録主義、60日の異議、出願日起算の10年、裁判所が判断する5年の不使用取消と不可争性、投資商事裁判所による迅速な保全措置と税関の通関停止が骨格です。委任状の領事認証と1出願1区分という直接出願の負担は、マドプロ指定で大きく軽減できるため、GCCの複数国を対象にする日本企業にはマドプロを軸にした設計が現実的です。一方で、60日という短い異議期間、5年で確定する先取り登録、宗教・公序に関わる審査、そして2026年の情勢に伴う業務の変動には、現地代理人との密な期限管理で備える必要があります。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

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出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年9月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。

法令・公的機関の資料

  1. GCC統一商標法(The Gulf Cooperation Council Trademark Law)英訳(日本国特許庁「外国知的財産権情報」)/商標の定義と音・香り(2条)、15項目の拒絶理由(3条)、国際的名声を持つ商標(4条)、出願人の資格(5条)、登録の効力と5年の不可争性・先使用者の5年以内の取消請求(7条)、区分(9条)、同時出願の保留(10条)、優先権6か月(11条)、90日以内の審査と応答期限(12条)、委員会と裁判所への不服申立(13条・15条)、公告と60日の異議・60日の答弁(14条)、異議なしの登録(16条)、出願日に遡る効力と登録証(17条)、10年・最終年の更新・猶予6か月・職権抹消(20条)、裁判所による無効(22条)、5年の不使用取消と正当理由(24条)、抹消後3年の再登録禁止(25条)、税関の通関停止(38条)、保全措置10日(40条)、損害賠償と廃棄(41条)、刑事罰(42条・43条)、司法警察員(45条)の根拠。
    https://www.jpo.go.jp/e/system/laws/gaikoku/document/index/gcc-e_trademark-law.pdf
  2. Al Meezan(カタール法令ポータル)「Law No. 7 of 2014 Promulgating the Law (Regulation) of Trademarks in the GCC Countries」/カタールがGCC商標法を法律7/2014号で承認したこと、抹消に関する章の根拠。
    https://www.almeezan.qa/LawArticles.aspx?LawArticleID=67615&LawID=6288&language=en
  3. Al Meezan「Law No. 17 of 2011 on Border Measures to Protect Intellectual Property Rights」/2011年11月17日制定・全12条の国境措置法、関税総局への権利の記録と侵害品の輸入禁止の根拠。
    https://www.almeezan.qa/LawPage.aspx?language=en&id=2520
  4. WIPO Lex「Law No. 9 of 2002 on Trademarks, Trade Names, Geographical Indications and Industrial Designs」/GCC商標法適用前の根拠法である法律9/2002号の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/3568
  5. WIPO「Qatar Joins the Madrid System」(2024年)/2024年5月3日の加入書寄託、2024年8月3日の発効、115番目の加盟国、GCCで4番目の加盟の根拠。
    https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/w/news/2024/qatar-joins-the-madrid-system
  6. WIPO「Information Notice No. 10/2024: Accession to the Madrid Protocol – Qatar」/個別手数料の宣言、拒絶通報期間18か月と期間経過後の異議に基づく拒絶、使用許諾の記録の無効、議定書14条5項の宣言、発効日の根拠。
    https://www.wipo.int/documents/497990/2472660/madrid_2024_10.pdf
  7. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/カタールの個別手数料(指定CHF 984/区分、更新CHF 765/区分)の根拠。
    https://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html
  8. カタール通信(QNA)「MOCI Unveils Issuance of Almost 28,000 CRs in 2025, with 57% Annual Growth」(2026年2月17日)/MOCIの2025年第4四半期業績報告に基づく、登録が認められた商標出願9,218件(+23%)、特許255件、著作権258件、商業登記約28,000件(+57%)の根拠。
    https://qna.org.qa/en/News-Area/News/2026-2/17/moci-unveils-issuance-of-almost-28000-crs-in-2025-with-57-annual-growth
  9. 外務省「カタール基礎データ」(2026年6月5日更新)/人口約337万人、GDP約2,212億米ドル、1人当たりGDP約7万米ドル、対日貿易(2025年:輸入9,766億円・輸出2,160億円と主要品目)、為替1米ドル=3.64リヤル、在留邦人702人の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/qatar/data.html
  10. 日本貿易振興機構(JETRO)ビジネス短信「日本のLNG輸入量のホルムズ海峡依存度は6.3%、LNG生産停止中のカタールのシェアは5.3%」(2026年3月11日)/2026年2月28日以降の中東情勢の悪化とカタールエナジーのLNG生産停止の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/03/7dc85f3bc19692d8.html

実務ガイド・専門家による解説

  1. FICPI「GCC TM law and its Implementing Regulations come into force in Qatar」(2023年)/大臣決定56/2023号(2023年7月採択、8月10日適用)、異議期間4か月→2か月、応答期間2か月→1か月、公告料の30日以内納付、音・香りの商標、手数料改定、審査90日の根拠。
    https://ficpi.org/industry-news/gcc-tm-law-come-force-qatar
  2. DLA Piper「Qatar implements the GCC Trade Mark Law and changes official fees」(2023年9月)/2023年8月10日の適用開始、異議期間60日、拒絶理由への対応期間の短縮、裁判所への上訴期限の短縮、手数料表の改定の根拠。
    https://www.dlapiper.com/en/insights/publications/2023/09/qatar-implements-the-gcc-trade-mark-law-and-changes-official-fees
  3. Abounaja IP「Trademark Registration in Qatar: Complete Guide 2026」/出願料1,000リヤル、登録料2,000リヤル、更新料2,500リヤル、審査90日・公告2か月・異議60日・登録証2か月、合計8〜12か月、存続期間は出願日から10年の根拠。
    https://abounaja.com/blog/trademark-registration-in-qatar
  4. IP Coster「Trademark registration in Qatar – cost, procedure, filing requirements」/多区分出願不可、委任状のカタール領事認証とカタール外務省の再認証・アラビア語訳・30日以内の提出、優先権書類1か月以内、登録まで12〜14か月、更新は満了前12か月〜猶予6か月、現地代理人の義務の根拠。
    https://ip-coster.com/IPGuides/trademark-qatar
  5. Ghanim Law Firm「Trademark Protection and Registration in Qatar: A Comprehensive Legal Guide」(2025年8月12日)/投資商事裁判所での民事救済、検察庁の知的財産・サイバー犯罪部(2022年設置)、MOCIへの行政通報、法律17/2011号に基づく税関記録、裁判所による5年の不使用取消の根拠。
    https://ghanimlawfirm.qa/case-studies/trademark-protection-and-registration-in-qatar-a-comprehensive-legal-guide/
  6. Pinsent Masons「Qatar establishes new specialised investment and commerce court」/法律21/2021号による投資商事裁判所の設置(2022年5月10日開設)、第一審部と控訴部、知的財産紛争の管轄、電子提訴と証拠の一括提出の根拠。
    https://www.pinsentmasons.com/out-law/analysis/qatar-establishes-new-specialised-investment-and-commerce-court
  7. Rouse「Qatar IP Office introduces temporary measures for trade mark deadlines (UPDATED)」(2026年3月6日・11日更新)/MOCI知的財産権保護局の在宅勤務、登録料・更新料・公告料・異議申立料の納付期限の猶予、2026年3月9日の対面業務再開の根拠。
    https://rouse.com/insights/news/2026/qatar-ip-office-introduces-temporary-measures-for-trade-mark-deadlines-updated
  8. Chang Tsi & Partners(Mondaq)「Qatar Opens Class 33 Restrictions, Fully Opens Trademark Registration Under Nice Classification」(2026年4月22日)/ニース分類第13版の採用と、第33類を含む全45区分での登録が可能になったことの根拠。
    https://www.mondaq.com/trademark/1776424/qatar-opens-class-33-restrictions-fully-opens-trademark-registration-under-nice-classification
  9. GLP「International Trademark: WIPO cuts individual fees for designation in Qatar, United Arab Emirates, New Zealand, Canada, Vietnam…」/2025年11月9日からのカタールの個別手数料引下げ(指定1,122→984、更新875→765)の根拠。
    https://www.glp.eu/en/update/news/?id=307
  10. CWB「Qatar Joins Global Brand Database」(2024年)/カタール商標庁のWIPOグローバルブランドデータベースへの参加の根拠。
    https://cwbip.com/insights/news/2024/qatar-joins-global-brand-database

判例・実務動向

  1. Al Tamimi & Company「Qatar Trademarks Dispute」(Law Update 2012年7・8月号)/スイスの時計メーカーの商標をめぐる異議事件で、登録官と第一審が登録を認めず、控訴裁判所が「商標は全体として観察する」という破毀院の原則を適用して登録を認めた経緯の根拠。
    https://www.tamimi.com/law-update-articles/qatar-trademarks-dispute/
  2. Qatar Tribune「MoCI ramps up efforts to combat trademark infringement」(2026年9月27日)/MOCI知的財産権保護局による2026年第4回の商標侵害対策・真贋鑑定ワークショップの根拠。
    https://www.qatar-tribune.com/article/256206/latest-news/moci-ramps-up-efforts-to-combat-trademark-infringement
  3. United Trademark & Patent Services(Mondaq)「Action Against Store Selling Counterfeit Items」(2022年11月21日)/MOCIと内務省によるムシェイレブの店舗(SNSで国際ブランドの模倣品を販売)の摘発の根拠。
    https://www.mondaq.com/trademark/1252426/action-against-store-selling-counterfeit-items

※本記事は上記の資料を基に、2026年9月時点の情報で一般的な情報提供を目的として作成しています。手数料(円換算額)・運用・判例は変更されることがあり、2026年の中東情勢により商標庁の業務や期限の運用が変わる可能性があります。アラビア語原文と英訳の間に差異がある場合はアラビア語原文が優先されます。個別案件の具体的判断には、専門家へのご相談を推奨します。