ECモールでの知財侵害品の発見は、近年の知財戦略において極めて重要なテーマです。本記事では、弁理士としての実務経験をもとに、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなど主要ECモールでの侵害品発見の具体的なコツと、プラットフォームごとの対応方法を解説します。
目次
近年、知財戦略というと出願戦略だけでなく、侵害品の発見・対策もその重要な柱の一つとなっています。一般消費者向けの商品を販売している企業にとって、ECモールでの知財戦略はますます重要視されています。
この記事のポイント
本記事では、弁理士として実際に効果のあった侵害品発見の手法をご紹介します。記事へのお問い合わせは文末のフォームからお願いいたします。
ECモールでは個人事業主から中小企業まで、比較的容易に出店許可を得ることができます。また、インターネットを通じて仕入れも容易になっており、個人でもECモールで商品を販売できる時代になりました。
例えば、Amazonでは出品費用と販売手数料を支払えば商品を販売できますし、楽天市場では数万円の出店料とシステム利用料で出店が可能です。この参入障壁の低さが、結果として知財侵害品が流通しやすい構造を生み出しています。
ECモール vs. 実店舗の違い
小売店での販売では、小売店が商品を取り扱う際にメーカーへ知的財産権の調査状況を確認することがあります。そのため、実店舗ではECモールほど侵害品が出回りにくい傾向があります。一方、ECモールではそうしたチェック機能が薄いため、より積極的な侵害品の監視が必要です。
ECモールでは個人でも簡単に出店でき、仕入れた商品や自社オリジナル商品を販売できるようになりました。しかし、個人や中小企業の中には知的財産権の専門知識を持たず、他人の権利を侵害していることに気づかないまま販売しているケースがあります。
自社でオリジナル製品を製作している場合でも、十分な知財の侵害予防調査を行わずに製造販売しているケースは少なくありません。こうした背景から、権利者側が能動的に侵害品を発見する取り組みが不可欠となっています。
ECモールで侵害品を効率的に発見するための具体的な手法を5つご紹介します。
ECモールの商品検索を利用して侵害品を見つけるのが基本的な手法です。ただし、検索キーワードの選定にはコツがいります。自社商品の一般名称、特徴的な機能名、カテゴリ名など、複数のキーワードパターンで検索することが重要です。
検索キーワードのコツ
最近のECモールにはレコメンド機能が充実しています。自社商品や類似商品を閲覧すると、「よく一緒に購入されている商品」「この商品に関連する商品」として類似商品が提案されます。この機能を活用することで、通常の検索では見つけにくい侵害品を発見できる場合があります。
SNSマーケティングが重要になった現在、多くの販売者がInstagramなどのSNSで商品を宣伝しています。SNSで無名だった商品が一気に認知され大量に売れることもあります。この流れを逆手に取り、SNS上で類似商品を検索・監視することで、侵害品の販売者を早期に発見できます。
小売店での侵害品発見については、社内の営業担当者に自社の知的財産権の情報を共有し、営業活動中に侵害品を見つけてもらうよう指示しておくのが効果的です。営業担当者は日常的に市場を観察しているため、侵害品の早期発見に貢献できます。
Google画像検索やAmazonの画像検索機能を使い、自社製品の画像で類似商品を検索する方法も有効です。特に意匠権の侵害では、外観が類似している商品を画像ベースで効率的に発見できます。
侵害品の発見をより確実にするためには、社内外の体制構築が重要です。
EC担当者への情報共有
EC担当者はECモールに商品を掲載する作業を日常的に行っており、ECモールの情報を最も多く見ています。作業中に侵害品を発見する可能性が高いため、自社の知的財産権に関する情報を共有しておくことが効果的です。
取引先への情報共有
ECモールへの商品掲載は取引先が行うこともあります。取引先やそのEC担当者にも知財に関する情報を共有しておくことで、侵害品発見の網を広げることができます。
主要ECモールには、それぞれ知的財産権侵害に対応するためのプログラムや窓口が用意されています。以下にプラットフォームごとの特徴をまとめます。
| 項目 | Amazon | 楽天市場 | Yahoo!ショッピング |
|---|---|---|---|
| 知財保護プログラム | Amazon Brand Registry | 楽天知的財産権保護プログラム | 知的財産権侵害申告窓口 |
| 申告方法 | オンラインフォーム | 専用フォーム・メール | 専用フォーム |
| 対応スピード | 比較的速い(数日程度) | 案件による(1~2週間) | 案件による |
| 特徴 | ブランド登録で自動監視機能あり | 出店審査が比較的厳格 | ストアクリエイターProから申告可能 |
| 必要書類 | 商標登録番号等 | 権利証明書類 | 権利証明書類 |
侵害品を発見した場合の対応は、以下のステップで進めるのが効果的です。
Step 1:証拠保全
侵害品の商品ページのスクリーンショット、URL、販売者情報を記録・保存します。
Step 2:商品の購入・現物確認
WebページだけではJ判断が難しい場合、実際に商品を注文して現物を確認します。写真と実物が異なることも多いため、現物確認は重要です。
Step 3:専門家への相談
弁理士等の知的財産の専門家に相談し、特許権・意匠権・商標権の侵害に該当するか判断を仰ぎます。
Step 4:ECモールへの申告
各ECモールの知的財産権侵害申告窓口を通じて、侵害品の削除・出品停止を申請します。
Step 5:侵害者への対応検討
悪質な場合や繰り返しの場合は、警告書の送付や法的措置を検討します。
ECモールのウェブサイトには画像や動画しか掲載されていないため、商品の具体的な仕様がわからず、侵害かどうかの判断がつかない場合があります。
侵害認定のポイント
当事務所(知的財産事務所エボリクス)では、お客様に代わって知的財産権の内容を把握し、侵害品の調査・検討を行うサービスを提供しています。
詳しくはこちら → Amazon知的財産権の侵害支援
ECモールでの侵害品発見のコツをまとめると、以下の5つのポイントが重要です。
侵害品の発見は一度きりではなく、継続的な監視が必要です。上記の手法を組み合わせて定期的にチェックすることで、自社の知的財産を効果的に守ることができます。
ECモールでの知財侵害品対策についてご相談がある方は、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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