ベトナムで商標を出願・権利化・権利行使する実務担当者のために、2005年知的財産法(Luật Sở hữu trí tuệ 2005)を中核に、IP...
【ベトナム】ベトナム商標の商標登録証の必要性

目次
ベトナムにおける商標登録証の重要性
外国で商標登録を行う場合、主に「直接出願ルート(パリルート)」と「マドプロ出願ルート(国際商標出願)」の2つの方法があります。
マドプロ出願ルートはコスト面・手続面でメリットが大きく、多くの出願人がこのルートを選択されます。しかし、ベトナムにおいては、マドプロルートで出願した場合に商標登録証が自動的には発行されないという重要な違いがあります。
ベトナムでは、商標権の権利行使の際に商標登録証が必要とされるため(ベトナム知的財産法第203条)、マドプロルートで出願された場合でも、別途商標登録証を取得しておくことが重要です。
重要:ベトナムでは、商標登録証がなければ権利行使(侵害者への対応等)が困難になる場合があります。マドプロルートで出願した場合も、必ず商標登録証の取得を検討してください。
2つの出願ルートの違い
直接出願ルートとマドプロ出願ルートでは、登録証の取得方法が大きく異なります。以下の比較表で確認しましょう。
| 項目 | 直接出願(パリルート) | マドプロ出願ルート |
|---|---|---|
| 登録証の発行 | 自動的に発行される | 自動では発行されない(別途請求が必要) |
| 登録通知の形式 | 紙媒体の登録証 | WIPOからPDFの保護認容声明のみ |
| 権利行使への利用 | 登録証をそのまま利用可能 | 別途取得した登録証明書が必要 |
| 現地代理人の選任 | 出願時に必要 | 登録証取得時に別途選任が必要 |
直接出願ルート(パリルート)の場合
直接出願ルート(パリルート)で出願した場合、登録査定後にベトナム国家知的財産庁(IPVN)から商標登録証が発行されます。
- 登録に応じて商標登録証がIPVNから付与される(ベトナム知的財産法第117条・第118条)
- 商標登録証は紙媒体で交付される(省令第18.2(a)条)
- 商標登録証は権利行使の際に必要(ベトナム知的財産法第203条)
直接出願ルートでは、現地代理人が登録手続を代行するため、登録証は現地代理人経由で送付されます。登録証の取得に追加の手続は不要です。
マドプロ出願ルートの場合
マドプロ出願ルートでベトナムを指定した場合、登録が認められるとWIPO国際事務局から「保護認容声明(Statement of Grant of Protection)」がメールで届きます。
しかし、この保護認容声明はPDF形式の通知にすぎず、ベトナムの商標登録証としては機能しません。なお、このメールは出願を弁理士に依頼している場合、弁理士の事務所に届きます。
マドプロルートでの登録証取得手順
保護認容声明の受領後、ベトナムの現地代理人を選任し、別途請求することで商標登録証明書の交付を受けることができます(省令第41.6(e)条)。マドプロ出願の場合も、商標登録証明書は権利行使の際に必要です(ベトナム知的財産法第203条)。
なぜ商標登録証が必要なのか
ベトナムは中国と同様に、マドプロで指定した場合でも、商標登録証を別途取得しておくことを強くおすすめします。その理由は以下のとおりです。
- 権利行使に必要:ベトナム知的財産法第203条により、商標権の行使には登録証が求められます
- 模倣品対策:税関での取締りや侵害者への警告など、実務上の権利行使には登録証の提示が不可欠です
- 証拠としての信頼性:保護認容声明(PDF)だけでは、現地当局や取引先に対する説得力に欠ける場合があります
参考情報
中国の登録証事情については、こちらの記事をご参照ください:【中国】中国国家知識産権局(CNIPA)特許証の電子化
商標登録証の取得ご相談
当事務所では、リーズナブルな価格でベトナムにおける商標登録証明書の取り寄せを行っております。マドプロルートで出願済みの方も、お気軽にお問い合わせください。
ベトナム商標の登録証が必要ですか?
マドプロ出願後の登録証取得について、弁理士がサポートいたします。
AUTHOR / 執筆者
杉浦 健文 (SUGIURA Takefumi)
知的財産事務所エボリクス(EVORIX) 代表弁理士
特許・商標・意匠・著作権の出願から審判・侵害訴訟まで、IT・製造・スタートアップ・ファッション・医療など幅広い業種のクライアントを支援。AI・IoT・Web3・FinTech等の先端分野の知財戦略にも精通。日本弁理士会/アジア弁理士協会(APAA)/日本商標協会(JTA)等 複数団体所属。