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商標とブランド~商標登録の必要性~

 
商標登録の必要性│商標とブランド
[目次]

商標登録の必要性

 「商標権って必ず取らないといけないんですか?権利を取るお金がもったいないし、もし権利者から何か言われたら、その時に販売をストップすればいいかと思うのですが」といった趣旨の質問をよく頂きます。確かに警告書が届いてから事業をストップすれば損害を少なく抑えることは可能です。

 しかし、少なくともそれまで事業に投下した資本は無駄になってしまいますし、なによりブランド保護の観点から見て全く建設的はありません。ブランドの保護のため商標権の取得はマストであるでしょう。

ブランドとは?

 そもそもブランドとは何でしょう?

 例えば、Aさん、Bさん、Cさんの三人は、それぞれ10個ずつウイスキーが入った樽を所有しています。この30個の樽をなんの印も付けずに同じ場所に保管した場合、どれが誰のウイスキー樽か判別がつかなくなってしまいます。ここで樽に「A」、「B」、「C」といったように目印を付けてみましょう。そうすれば一目瞭然で、どれが誰のウイスキー樽かが判別できるようになります。

 初めは誰のウイスキー樽かを判別するにすぎなかった目印ですが、それはいつしか、「A」のウイスキーはまろやかでコクがある、「B」はスモーキーである、「C」は風味が強い等といったように、それぞれの個性を示すものに変わっていきました。

 この「個性」こそブランドです。もし目印であるブランドの名称がコロコロ変わるとどうなるでしょう?「A」の名前がいきなり「α」に変わってしまうと、まろやかでコクがあるウイスキーを求めていたお客さんは、「A」と「α」が同じものかどうかわからないので困ってしまいます。本人(目印の使用者)でなく、お客さん(需要者)や市場(取引者)にとっても好ましいものではありません。

 ブランドとは、モノやサービスに対する生産者の「こだわり」や商品等に一貫した姿勢を示す「個性」のみならず、お客さんに対する「約束」事(信用)を示すものです。個性や信用は目に見ることはできません。これらが可視化されたものが商標であり、商売上、自分が築き上げてきたブランドの商品であることを示す「目印(標識)」=「商標」を保護することにより個性、信用=ブランドの保護を図ることができます。

 

商標権を取得することの具体的なメリット


 ブランド保護のために商標権を取得するメリットは大きく分けて、以下の通り二つあります。 

  1. 自らが自由にその商標を使用するため
  2. 他人の勝手な商標の使用を阻止するため

  1の「自らが自由にその商標を使用するため」ついて、原則、商標権の取得は早い者勝ち(特許庁に手続きした順)です。そのため使用しようと思っている名称について先に他人に権利を取得されると、自由に使用できなくなってします。他人に先に権利を取られてしまった場合、同じ商標を使っては、こちらが他人の商標を侵害することとなってしまい、損害賠償を支払わなければならない事態にもなりますから名称の変更を余儀なくされます。つまり、他人の商標権を侵害しないため、自由にその商標を使用するために商標権を取得しておいたほうが良いといえます。

 2の「他人の勝手な商標の使用を阻止するため」について、もし同じ商標を付した他人の商品の品質が劣悪な場合、本物の商品である自分の商品の品質も良くないとお客さんに誤解され、信用がなくなってしまいます。同じ商標を使い続けることで信用が蓄積されていきますし、信用がなくなればブランドが崩壊しかねません。長い年月をかけて自らが築き上げたブランドの価値がなくなってしまうことを避けるためにも商標権を取得しておくことが望ましいです。

商号と商標について


 上記で、商標は「目印」であると説明しました。つまりSONYPanasonicといった、これらの名称を聞いただけで商品の特徴や個性が頭に浮かぶように商号(会社名)も商標といえます。商標といえる以上、商標権の取得は必須です。個々の商品の名称よりも表に出る頻度の高い会社名であれば権利化の必要性は高いといえるでしょう(個々具体的な名称の性質にもよります)。

 ※自分の家畜と他人の家畜を間違えないように焼き印を押して区別していた。焼き印を押す意味の「brandr(ブランドル)」が転じて「brand(ブランド)」と言うようになった。

※商標権:自社の商品・サービスであることを示す「目印(シンボルマーク)」に化体した「信用」を保護する権利

まとめ

 商標権を取得する意味は、自らが自由にその商標を使用できるようにするとともに、他人の勝手な商標の使用を阻止するためにも、是非、この機会に商標登録を検討してみてはいかがでしょうか。

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