📜 特許(全20語)― クリックで概要を表示/非表示
CATEGORY OVERVIEW
特許に関する用語
発明を保護する特許制度に関する基本用語をまとめました。出願・審査・権利行使までの全プロセスで使われる用語を網羅しています。
特許(Patent)
新規で産業上利用可能な発明に対し、特許庁の審査を経て、出願人に対して一定期間(出願から20年)独占的に実施する権利を与える制度。
📝 例:新しい製造方法、新規アルゴリズム、画期的なデバイス構造など。
発明(Invention)
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの(特許法第2条)。
単なるアイデアや発見、自然法則そのもの、ビジネス手法のみ(技術的要素を含まないもの)は特許の対象になりません。
📝 例:AIの新しい学習アルゴリズム、IoTデバイスの省電力制御方式など。
特許請求の範囲(Claims)
特許出願において、権利を取得したい発明の範囲を文章で明確に定義する箇所。「クレーム」とも呼ばれます。
特許権の効力範囲はこのクレームに記載された内容に基づいて判断されるため、特許出願において最も重要な部分です。
明細書(Specification)
発明の内容を技術的に詳細に説明した書面。発明の目的・構成・効果・実施例などが記載されます。
特許請求の範囲と並び、特許出願書類の中核となる文書です。
出願(Application)
特許権を取得するために、特許庁に対して所定の書面を提出する手続き。
出願日が「先願主義」における優先順位の基準となるため、できるだけ早期の出願が重要です。
優先権(Priority Right)
最初の出願(基礎出願)から1年以内に他国で出願する場合、最初の出願日を優先日として扱える権利(パリ条約による)。
海外出願戦略において重要な制度です。
先行技術(Prior Art)
特許出願時点で、世の中にすでに公開されている技術。論文・特許文献・製品・ウェブサイト等を含みます。
新規性・進歩性の判断において、出願された発明と比較される基準となります。
拒絶理由通知(Office Action)
審査官が出願された発明に対して、特許要件(新規性、進歩性等)を満たさないと判断した場合に発行する通知。
審査請求(Request for Examination)
特許出願後、3年以内に審査官による実体審査を求める手続き。
審査請求をしないと、出願は審査されることなく取り下げ扱いとなります。
実施例(Example)
特許明細書において、発明の具体的な実施形態を記載した部分。
実施例が豊富であるほど、権利範囲を広く解釈できる可能性が高まります。
拒絶査定(Rejection)
拒絶理由通知に対する応答(意見書・補正書)でも特許要件を満たさないと判断された場合の最終判断。
拒絶査定不服審判を請求することで再審査を求めることができます。
公開特許公報(Published Patent Application)
特許出願から原則として1年6ヶ月経過後に出願内容が一般に公開される公報。
競合他社の技術動向把握や先行技術調査に活用されます。
特許異議申立て(Opposition)
特許権の設定登録から6ヶ月以内であれば、誰でも特許の取消を求めて異議申立てができる制度。
分割出願(Divisional Application)
元の出願に含まれる複数の発明のうち、一部を別の出願として切り出す制度。
権利化戦略の自由度を高める重要な手段です。
先願主義(First-to-File)
同じ発明について複数の出願があった場合、先に出願した者が権利を取得できる原則。日本を含む多くの国で採用。
国内優先権(Domestic Priority)
最初の出願から1年以内であれば、改良発明等を追加して新たに出願し、最初の出願日の利益を受けられる制度。
パリ条約(Paris Convention)
1883年に成立した工業所有権の保護に関する国際条約。優先権制度・内国民待遇などの基本原則を定めています。
PCT(Patent Cooperation Treaty)
特許協力条約。1つの国際出願により、複数の加盟国に同時に出願した効果を得られる制度。
海外特許戦略の中核となる手段です。
特許権侵害(Patent Infringement)
特許権者の許諾なく、特許発明を業として実施する行為。差止請求・損害賠償請求・刑事罰の対象となります。
ライセンス契約(License Agreement)
特許権者が他者に対し、特許発明の実施を許諾する契約。独占的ライセンスと非独占的ライセンスがあります。
🎨 意匠(全20語)― クリックで概要を表示/非表示
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意匠に関する用語
製品やUIの外観デザインを保護する意匠制度に関する用語をまとめました。2020年改正以降は、画像意匠・建築物意匠・内装意匠も保護対象となり活用範囲が広がっています。
意匠(Design)
製品の外観としての形状、模様、色彩またはそれらの結合で、視覚を通じて美観を起こさせるもの(意匠法第2条)。
📝 例:家電製品の形状、ロゴデザイン、Webサイトの画面UI(GUI)、建築物の外観など。
意匠権(Design Right)
登録された意匠を独占的に実施する権利。他人の模倣を防止できます。
権利期間は出願から25年です。
意匠登録出願(Design Application)
意匠権を取得するために、特許庁に対して所定の書面を提出する手続き。
意匠公報(Design Gazette)
意匠登録された意匠の内容が掲載される公報。
意匠図面(Design Drawing)
意匠の内容を表現する図面。正面図・背面図・左側面図・右側面図・平面図・底面図の6面図を提出するのが原則です。
代わりに3DCGや写真でも提出可能になっています。
部分意匠(Partial Design)
物品の一部分のみについて意匠登録を受ける制度。
📝 例:スマートフォンの背面のカメラ部分のみのデザインなど。
関連意匠(Related Design)
一つの意匠(本意匠)に類似する複数の意匠を、本意匠に関連する意匠として登録できる制度。
秘密意匠(Secret Design)
意匠権設定登録の日から3年以内に限り、意匠の内容を秘密にできる制度。
未発表の新製品デザインを保護するのに有効です。
先願主義(First-to-File)
同一または類似の意匠について複数の出願があった場合、先に出願した者が権利を取得できる原則。
類否判断(Similarity Judgment)
2つの意匠が類似するかどうかの判断。意匠の需要者の視覚を通じて起こさせる美感を基準に判断されます。
新規性(Novelty)
意匠登録の要件の一つで、出願前に世の中に知られていないこと。
創作非容易性(Non-Obviousness)
意匠登録の要件の一つで、当業者が容易に創作できない程度の創作性があること。
意匠の実施(Working of Design)
意匠に係る物品の製造・使用・譲渡・貸渡し・輸出・輸入・譲渡の申出・貸渡しの申出を行うこと。
意匠の存続期間(Term of Protection)
意匠権の存続期間は意匠登録出願の日から25年。
2020年4月1日施行の改正法により、それまでの「設定登録から20年」から延長されました。
意匠権侵害(Design Infringement)
意匠権者の許諾なく、登録意匠またはそれに類似する意匠を業として実施する行為。
意匠ライセンス契約(Design License Agreement)
意匠権者が他者に対し、意匠の実施を許諾する契約。
拒絶理由通知(Office Action)
意匠登録出願に対し、審査官が登録要件を満たさないと判断した場合の通知。
優先権主張(Priority Claim)
パリ条約に基づく優先権を主張すること。最初の出願日から6ヶ月以内であれば、他国出願時に優先日として扱えます(特許の12ヶ月とは異なります)。
組物の意匠(Design of a Set of Articles)
同時に使用される2以上の物品から構成される一組の物品について、全体として一つの意匠として登録できる制度。
📝 例:ナイフ・フォーク・スプーンの一組、応接セットなど。
動的意匠(Dynamic Design)
物品の機能に基づいてその形状・模様・色彩が変化する意匠。一つの意匠として登録できます。
📝 例:折りたたみ式のスマートフォン、変形するロボット玩具など。
🏷️ 商標(全20語)― クリックで概要を表示/非表示
商標(Trademark)
商品やサービスの出所を識別し、他と区別するためのマーク。
📝 例:文字(社名・ブランド名)、ロゴマーク、図形、音、立体形状、色彩、動きなど。
商標権(Trademark Right)
登録された商標を独占的に使用できる権利。他者による類似商標の使用を禁止できます。
権利期間は登録から10年で、更新により半永久的に維持可能です。
商標登録出願(Trademark Application)
商標権を取得するために、特許庁に対して商標と指定商品・指定役務を記載した書面を提出する手続き。
指定商品・指定役務(Designated Goods/Services)
商標を使用する商品(モノ)または役務(サービス)の範囲。
出願時に指定し、その範囲内でのみ商標権の効力が及びます。
類似群(Similarity Group)
特許庁が商品・役務の類否判断のために設定したグループ。
同じ類似群コードに属する商品・役務同士は類似と推定されます。
更新登録(Renewal Registration)
商標権の存続期間(10年)満了時に、登録を継続するための手続き。何度でも更新可能。
使用主義(Use-based Trademark System)
実際に使用している商標に対して権利を付与する考え方。米国などで採用されています。
登録主義(Registration-based Trademark System)
登録されたことを要件として商標権を付与する考え方。日本を含む多くの国で採用。
識別力(Distinctiveness)
商標として、自己の商品・役務を他人のものと区別できる力。商標登録の必須要件。
普通名称や慣用商標、産地名などには識別力が認められません。
不使用取消審判(Cancellation for Non-use)
登録商標が継続して3年以上使用されていない場合、誰でも商標登録の取消を求めることができる審判制度。
異議申立て(Opposition)
商標権の設定登録から2ヶ月以内であれば、誰でも商標登録の取消を求めて異議申立てができる制度。
拒絶理由通知(Office Action)
商標登録出願に対し、審査官が登録要件を満たさないと判断した場合の通知。
周知商標(Well-known Trademark)
一定の地域・需要者の間で広く知られている商標。未登録でも一定の保護を受けられます。
著名商標(Famous Trademark)
全国的に広く知られている商標。異種商品分野まで保護範囲が広がる場合があります。
防護標章(Defensive Mark)
著名商標の保護範囲を拡張するため、他人による類似商標の使用を防ぐために登録できる標章。
商標権侵害(Trademark Infringement)
商標権者の許諾なく、登録商標またはそれに類似する商標を、指定商品・役務またはそれに類似するものに使用する行為。
商標使用許諾(Trademark License)
商標権者が他者に対し、商標の使用を許諾する契約。
使用許諾には専用使用権と通常使用権があります。
普通名称化(Genericide)
商標が広く使われすぎて、商品の一般名称として認識されるようになる現象。
📝 例:「エスカレーター」「ホッチキス」など、かつては商標だったが普通名称化した例。
マドリッド協定議定書(Madrid Protocol)
1989年成立の国際条約。1つの国際出願で複数加盟国に同時出願できる制度(マドプロ)。海外商標戦略に有効です。
地域団体商標(Regional Collective Trademark)
地域名と商品名を組み合わせた商標を、地域の事業協同組合などが団体商標として登録できる制度。
📝 例:「夕張メロン」「神戸ビーフ」など。
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著作権(Copyright)
文学、学術、芸術、音楽などの創作物(著作物)を保護する権利。
特許とは異なり、創作した時点で自動的に発生し、登録は不要です。保護期間は原則として著作者の死後70年です。
不正競争防止法(Unfair Competition Prevention Act)
不正競争行為を規制する法律。模倣品の販売、営業秘密の侵害、原産地誤認表示など、知的財産権では捕捉しきれない不正な競争行為を取り締まります。
ライセンス(License)
知的財産権の権利者が、他者に対して当該権利の使用・実施を許諾すること。
実施許諾(Grant of License)
特許権・意匠権などの権利者が、他者に対してその権利の実施を許諾すること。
著作者人格権(Moral Rights)
著作者の人格的利益を保護する権利の総称。公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つから構成されます。
著作財産権とは異なり、譲渡することができません。
営業秘密(Trade Secret)
不正競争防止法上の概念で、以下の3要件を満たす情報。
- 秘密管理性:秘密として管理されている
- 有用性:事業活動に有用な技術上または営業上の情報
- 非公知性:公然と知られていない
📝 例:製造ノウハウ、顧客リスト、設計図、原価情報、独自の仕入先情報など。
限定提供データ(Shared Data with Limited Access)
2018年の不正競争防止法改正で導入された新しい保護対象。業として特定の者に提供される、電磁的方法により管理された大量のデータを不正取得・使用から保護します。
知財ミックス(IP Mix)
特許・意匠・商標・著作権など、複数の知的財産制度を組み合わせて事業を多角的に守る戦略。
単独の権利だけでは保護が不十分な場合でも、複数の権利を組み合わせることで強固な防御網を構築できます。
クロスライセンス(Cross License)
複数の権利者が、互いに自社の特許等の実施を相互に許諾し合う契約。
技術分野が複雑に絡み合う業界で、訴訟リスクを避けつつ事業を進めるために多用されます。
ロイヤリティ(Royalty)
ライセンス契約において、ライセンシー(実施権者)がライセンサー(権利者)に支払う対価。
一括払い(一時金)、ランニングロイヤリティ(売上連動)、ミニマムロイヤリティ(最低保証)など複数の支払い方式があります。
FTO調査(Freedom to Operate)
「侵害予防調査」とも。新製品・新サービスを市場に出す前に、他社の知的財産権を侵害していないかを確認する調査。
職務発明(Employee Invention)
従業員等が、その職務に属する発明を行ったもの。原則として発明者である従業員に権利が帰属しますが、就業規則や契約により会社に承継させることが可能です。
会社への承継時には、従業員に「相当の利益」を支払う必要があります。
NDA(秘密保持契約)
Non-Disclosure Agreement。技術情報や事業情報などの機密情報を相手方に開示する際に、第三者への漏洩を防ぐために締結する契約。
特許出願前の発明についても、第三者と協議する際にはNDA締結が必須です。
AI生成物の権利
AI(生成AI含む)が生成した出力物の知的財産権の帰属に関する論点。
日本法では、「人」の創作的寄与がない場合、AI生成物そのものは著作権法上の著作物と認められないとされています。