1. 登録要件(新規性・独自性など) 英国では意匠登録の要件として新規性(novelty)および独自性(individual...
タイの意匠制度概要
1. 意匠の定義と保護対象
タイの意匠制度は、タイ王国の「特許法」に基づき運用されています。タイ特許法上、「意匠」とは物品の形状、模様または色彩(工芸品を含む工業製品として使用可能なもの)であって、当該物品に特別な特徴を与えるものと定義されています。言い換えれば、製品(物品)の外観デザインが保護対象となり、芸術性だけでなく工業上利用できるデザインであることが要件です。またタイでは意匠も「特許(デザイン特許)」の一種と位置付けられており、意匠に関する規定は特許法の中に含まれています。
2. 登録要件(新規性・創作性など)
タイで意匠として登録を受けるためには新規性および産業上の利用可能性(工業製品等に利用できること)が求められます。具体的には、以下の場合には「新規でない」と判断されます:
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公知デザイン:出願日(または優先日)より前にタイ国内で既に存在し、または公衆に使用されている意匠。
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文献公表:出願日より前に国内外で頒布された刊行物等にその形状や要部・詳細が掲載された意匠。
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先願公開:出願日より前に他の意匠出願が公開された結果、公衆に知られた意匠。
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既知意匠の模倣:上記いずれかに該当する意匠と類似し、模倣と判断できる意匠。
このように世界的な新規性が要求され、既存の意匠と実質的に同一または紛らわしいほど類似するデザインは登録できません。なお、産業上の利用可能性とは、そのデザインが工業製品や手工業製品として実際に製造・利用し得ることを意味し、多くの場合問題になりません。一方、公序良俗に反する意匠や政府の勅令で定める特定の意匠は登録を受けることができません(例えば社会倫理に反するデザイン等は不可)。
創作性(創作容易性)についてタイ現行法は明文で独立の要件としていませんが、実務上は既存意匠との類否判断においてデザイン全体として顕著な特徴があるか(既存のデザインから容易に創作できないか)が検討されます。2025年時点で準備中の新法改正案では、意匠が「当業者にとって容易に創作できない特別の特徴」を有することが要件として追加される予定です。また新規性に関して、現行法でも一定の例外規定が設けられており、例えば政府が後援・認定する展示会で公開された意匠については、所定期間内に出願すれば新規性を喪失しない扱いとなる場合があります(展示会例外)。新改正案では出願前6か月以内にデザイナー自身が公開したり第三者により無断公開された場合にも新規性を失わないグレースピリオド規定が設けられる見込みです。
3. 出願手続(出願書類、出願ルート、費用、言語など)
タイで意匠出願を行う際には、基本的に現地の代理人(弁理士など)を通じて行います。出願に必要な書類は以下のとおりです:
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願書(所定の出願様式)
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意匠の写真または図面(出願する意匠を表す図面または写真。6面図等を提出)
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意匠の説明書(任意提出。図面に表せない材料・用途・機能などを補足説明するもの。提出する場合はタイ語で100文字以内)
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意匠の請求の範囲(クレーム)。ただし1出願につき1意匠のみ記載可能です(一意匠一出願の原則)。複数意匠を1件でまとめて出願することは認められていません。
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委任状(Power of Attorney)(代理人経由で出願する場合。公証人認証が必要)
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譲渡証明書(出願人が創作者本人でない場合に必要)
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優先権証明書(パリ条約に基づく優先権主張を行う場合)
言語はタイ語が原則です。願書や説明書等はタイ語で作成・提出する必要があります。また図面に付記する簡単な説明もタイ語で記載します。外国からの出願の場合、日本を含むパリ条約加盟国の出願であればパリ優先権を主張して出願することが可能です(優先期間は意匠の場合6か月)。なお、現時点(2025年)でタイはハーグ協定に未加盟のため、国際意匠出願によってタイを指定することはできません(※後述のとおり加盟準備中)。したがって、日本企業がタイで意匠権を取得するには、タイの知的財産局(DIP)に直接国内出願をするルートが一般的です。
費用について、タイの意匠出願は官公庁手数料が比較的低廉です。公式の出願料は1件あたり250バーツ、出願公開料が250バーツ、登録料(発行料)が500バーツと定められています(1バーツ=約4円前後)。この他、代理人費用や図面作成費用等が別途かかります。タイでは年金制度があり、意匠登録から一定年数経過後に年金(維持年料)を納付しないと権利が失効します。現行法では意匠権の存続期間が10年ですが、5年目以降から毎年年金を納付する必要があります(5年目500バーツ、6年目650バーツ、…10年目まで漸増)。一括前納も可能で、初回にまとめて7,500バーツを納付すれば10年分の年金納付が完了します。
出願の流れとしては、日本の意匠出願と似ていますが一部手続きに特徴があります。タイでは出願するとまず形式審査(方式審査)が行われ、願書や図面の形式要件に不備がないかチェックされるとともに、上述した不登録事由(公序良俗違反など)に該当しないかも審査されます。方式審査に合格すると出願公開に回されます。公開は特許公報と同様に出願内容(図面等)が公衆に開示される手続で、公開時期は方式審査通過後、出願から数か月~数年以内に行われます(特許の場合18か月での公開規定がありますが、意匠は明確な法定公開時期がなく、実務上は数ヶ月遅れて公開されるケースもあります)。
4. 審査制度(方式審査、実体審査、審査期間)
タイの意匠出願は、方式審査後に出願内容が公開され、その後実体審査(審査官による登録要件の審査)が行われます。タイには日本の特許のような「審査請求制度」はなく、出願公開から所定の期間が経過すれば自動的に実体審査に移行します。具体的には、公開後90日間の異議申立期間が設けられており、その期間に利害関係人から異議が提起されなかった場合(または異議が提出されても最終的に棄却された場合)に、審査官が新規性・創作性について実体審査を行います。異議申立期間中に異議があればその審理が優先され、異議申立が認められれば出願は拒絶されます。異議がなければ実体審査の結果に基づき、要件を満たしていれば登録決定がなされ意匠権が発生します(拒絶理由がある場合は拒絶理由通知が発送され、意見書・補正の機会が与えられます)。タイの審査基準では、新規性の判断に際し先行意匠との全体的な類否を見る点など、日本と概ね共通する部分があります。審査官は提出された図面を基に、新規性を欠くか否か、既存の意匠と比較して意匠として特徴があるか等を判断します。
審査に要する期間は、近年多少短縮傾向にあるものの、出願から登録まで平均で2~3年程度は見ておく必要があります。方式審査から公開まで数ヶ月~1年程度、公開後、最初の審査結果(拒絶理由通知)が出るまで概ね1~2年程度を要するとの統計もあります。案件によっては審査官の着手が遅れ、出願から登録まで5年以上かかるケースも報告されています。権利化を急ぐ場合、早期権利化のための措置として、他国で対応意匠が登録査定された場合にその結果を提出して審査促進を図るなどの方法も考えられます。またタイ商務省知的財産局(DIP)は2024年より環境対応製品のグリーン関連意匠について早期審査制度(Target Patent Fast-Trackプログラム)を導入しており、要件を満たす申請については3か月以内に審査結果を出す試験運用が行われています。このプログラムを利用するにはタイに最初に出願すること(優先権主張がないこと)が必要ですが、該当すれば審査期間を大幅に短縮できるため、グリーン分野の意匠出願については活用が検討できます。
5. 保護期間と更新
現行のタイ意匠権の存続期間(保護期間)は出願日から10年間です。出願日から起算して10年をもって権利が満了し、それ以上の延長や更新はできません(年金の支払いも10年目まで)。ただし、万一存続期間内に争訟(無効審判や訴訟等)が係属した場合、その係属期間は存続期間の計算に算入しない旨が規定されています。これは、係争で権利行使が実質的に制限される期間がある場合に、権利者の保護期間を実質的に延長して救済する趣旨です。
なお、タイ特許法の改正案では意匠権の保護期間を大幅に延長することが盛り込まれています。改正案が成立すれば、意匠権の存続期間は初回登録から5年とし、その後5年ごとに2回まで更新可能(最長15年)に変更される見込みです。更新には所定の更新申請と追加費用が必要ですが、最大15年間の長期保護が可能になります。この改正は国際条約(ハーグ協定)との整合性を図る目的もあり、近い将来実現するものと予想されています。
6. 登録後の権利(専用権・禁止権など)
タイで意匠登録(デザイン特許)が成立すると、意匠権者にはその登録意匠に関する専用実施権(独占的に実施できる権利)および禁止権(無断実施を排除できる権利)が与えられます。具体的には、意匠権者は登録意匠を製品に実施(製造)し、その製品を販売したり販売のために所持・申し出たり輸入したりする行為を独占的に行うことができます。他人が意匠権者の承諾なくこれらの行為を行った場合、意匠権の侵害となります。タイ特許法第63条において、意匠権侵害となる行為類型が定められており、上記のとおり製造・販売・輸入等が含まれます。一方で、研究・試作目的など非営利目的で意匠を使用する行為については侵害から除外される旨の規定があり、例えば純粋な学術研究のために意匠を用いる場合は意匠権侵害を構成しません。
意匠権者はその権利を第三者に譲渡(移転)したり実施許諾(ライセンス)することも可能です。譲渡やライセンス契約を行った場合、現行法ではDIPへの登録が必要であり、これをもって第三者対抗要件・有効要件となります。改正案では届出制への緩和が検討されています。いずれにせよ、日本の意匠権と同様に、登録された意匠は知的財産として売買・利用許諾が可能であり、ビジネス上の資産として活用できます。
7. 権利行使と侵害対応(差止請求、損害賠償、罰則等)
タイにおける意匠権侵害に対しては、民事上および刑事上の両面から法的救済を求めることが可能です。
民事措置として、意匠権者は侵害者に対し裁判所からの差止命令(侵害行為の停止・予防)を求めることができます。また、侵害によって被った損害について損害賠償請求を行うことも可能です。タイには知的財産権訴訟を専門に扱う**中央知的財産・国際貿易裁判所(IP&ITコート)**がバンコクに設置されており、知的財産権侵害訴訟は原則として同裁判所で集中的に審理されます。訴訟手続はタイ語で行われ、証拠として製品の写真や意匠登録証、侵害の事実を示す資料等を提出します。損害賠償額は立証された実損害額を基準に認定されますが、タイでは過去の判例上、賠償額が控えめになる傾向が指摘されています。ただし悪質な事案では高額の賠償が認められたケースもあり、例えば日本企業の本田技研工業(ホンダ)が意匠権侵害訴訟で約1,600万バーツ(約5,000万円相当)の賠償を勝ち取った例があります。さらに、訴訟では侵害品の廃棄や差押えなども命じられる場合があります。
刑事措置として、タイ特許法は意匠権(特許権)侵害を犯罪行為とも位置付けています。意匠権者の許諾なく意匠を実施した者に対しては、**最長2年の禁錮刑または最大40万バーツの罰金(またはその両方)**が科され得ます(特許法第85条の規定)。もっとも、実務上、意匠権侵害で直ちに刑事手続がとられることは稀であり、まずは警告状の送付等の民事的手段で解決が図られるのが一般的です。悪質な模倣業者などに対しては意匠権者が警察に刑事告訴することで捜査・摘発を促すことも可能ですが、十分な証拠の収集と現地代理人によるサポートが重要になります。
その他の侵害対応策として、税関での水際措置(輸入差止め)を活用する方法もあります。タイ関税法には知的財産権侵害品の輸入差止制度があり、意匠権を含む知財権者は税関に申請して侵害物品の輸入を監視・差止めしてもらうことができます。またDIP内には知的財産権侵害の防止調整センターが設置されており、模倣品の市場調査や摘発に関する行政支援を受けることも可能です。
なお、タイで意匠権侵害訴訟を提起する場合の時効にも留意が必要です。基本的に侵害を知った日から1年以内、かつ侵害行為が行われた日から10年以内に訴えを提起する必要があるとされています(時効の経過により請求権が消滅)。発見が遅れた場合でも10年が経過すると法的救済が困難になりますので、侵害を発見した際は速やかな対応が求められます。
8. 意匠制度の国際的側面(ハーグ協定加盟の有無、パリ条約優先権など)
タイは知的財産分野の主要な国際条約のうち、パリ条約およびWTOのTRIPS協定に加盟しています。そのため、前述のとおり外国で出願した意匠についてパリ優先権(6か月)を主張してタイに出願することが認められています。また、タイは意匠分類に関するロカルノ協定には加盟していませんが、実務上は出願時に製品の区分を申告する必要があり、国際的なロカルノ分類に基づいて分類が行われます。
ハーグ協定(工業意匠の国際登録に関するハーグ協定)については、現時点ではタイは未加盟です。したがって、日本や欧米のように一度の国際出願でタイを指定して意匠登録を得ることはできません。しかし、タイ政府はハーグ協定への加盟を積極的に進めており、2022年11月にタイ議会がハーグ協定加盟を承認しています。加盟には国内法整備や加盟書の寄託が必要ですが、タイ特許法の改正によってハーグ協定に準拠した制度(部分意匠の保護や関連意匠制度、登録前の公表手続の整備など)が導入される見込みです。近い将来タイがハーグ協定ジュネーブテキストに正式加盟すれば、日本の意匠出願人もハーグ出願を通じてタイで意匠権を取得する選択肢が生まれることになります。
また、タイはASEAN(東南アジア諸国連合)の一員として、域内の知財調和にも取り組んでいます。ASEAN知的財産計画(ASEAN IPR Action Plan 2016-2025)の下、各加盟国がハーグ協定加盟を含むデザイン分野の強化を図ることが謳われており、タイの動きもこれに沿ったものです。国際的側面では他に、意匠権の優先権制度はパリ条約に準じますし、タイ国内で取得した意匠権を基礎に外国へ優先権主張出願することも可能です。日本企業がタイで意匠保護を図る際は、日本出願→タイ出願(優先権主張)または直接タイに出願、といったルートを適宜使い分けることになります。
9. 最近の法改正や実務上の留意点
タイ意匠制度は今まさに大きな変革期にあります。2020年代に入り、タイ特許法の意匠関連規定を全面的に見直す改正法案が準備されており、2025年現在もその成立に向けたプロセスが進行中です。今回の改正はハーグ協定加盟に向けた国内法整備と、審査の迅速化・ユーザビリティ向上を目的としており、主な変更点は以下のとおりです。
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創作性要件の明文化:従来は新規性要件の範囲で判断されていた「創作容易性」について、改正案では当業者が容易に考案できないような「特別の特徴」を備えることが意匠の新たな登録要件として追加される見込みです。これにより、単に新しいだけでなく一定の創作的高度さを持つデザインが保護対象になることが明確化されます。
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部分意匠の保護:改正案では意匠の定義が拡張され、製品全体ではなく製品の一部の形状等についても意匠特許の対象として保護できるようになります。例えば製品の一部分だけに特徴がある場合、その部分デザインのみを権利化できるようになるため、保護の柔軟性が増すと期待されます。
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関連意匠制度の導入:日本の「関連意匠(類似意匠)」制度に類似した制度が導入されます。改正案では主意匠と関連意匠の概念が設けられ、同一出願人による類似デザインを一定期間内(主意匠の出願日から6か月以内、かつ主意匠未公開であること)であれば関連意匠として出願可能となります。関連意匠は主意匠とセットでのみ譲渡・ライセンス可能とされ、権利の一貫した管理が求められます。
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意匠権の存続期間延長:前述のとおり、現行10年の存続期間が5年+更新2回(合計15年)に延長される予定です。まず登録により5年の権利が発生し、希望すれば2回まで更新申請することでそれぞれ追加5年ずつ延長できます(更新時には追加費用が必要)。これにより、日本(25年)には及ばないものの、現行より長期の独占権維持が可能となります。
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新規性喪失の例外規定(グレースピリオド)の導入:改正後は、出願前6か月以内にデザイナー自身が公開した意匠や、第三者による無断公開・漏洩があった意匠については、新規性が喪失していないものとみなす規定が導入されます。現行法では展示会等の例外を除き自己公開は一律アウトでしたが、改正により救済措置が拡充される形です(※改正案条文上は誤記で12か月とありますが6か月に修正予定)。
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意匠請求項の廃止:現行では出願時に「意匠請求の範囲(クレーム)」の記載が求められていましたが、改正案ではこのクレーム記載要件が撤廃されます。代わりに「提出図面を明確なものにすること」が要求され、権利の範囲は基本的に図面に示されたデザインによって定まることが明文化されます。ただし、出願時の意匠の名称や説明が権利範囲解釈の参考に用いられる点も規定される見込みです。
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手続の効率化(早期権利化):審査・登録までの手続きを迅速化するため、改正案では方式審査と実体審査を出願公開前に連続して実施し、その後直ちに意匠を公開するフローに変更されます。公開後の異議申立期間は現行90日から60日間に短縮される予定です(※改正案の一部では90日のままとの情報もあります)。また、出願人による自主的分割出願が公開前であれば認められることや、登録後の軽微な誤記訂正手続きの新設など、手続面の細かな改善も盛り込まれています。これらにより、権利取得までの期間短縮とユーザーフレンドリーな制度運用が期待されています。
以上の改正案は2025年時点で成立待ちの状況ですが、タイ政府はハーグ協定加盟の目標時期を念頭に早期の法改正施行を目指しています。最新情報によればタイ議会は既に協定加盟を承認済みであり、関連政省令の整備が完了次第、近い将来に改正法施行とハーグ協定加盟が実現すると見込まれます。実務上は、この移行期において現行法で認められていない部分意匠や関連意匠について、改正後に権利化を検討する戦略も必要になるでしょう。また、改正後は日本の意匠制度との共通点も増えるため、日本の実務経験がタイでも活かしやすくなると考えられます。
日本の意匠制度との比較
最後に、日本の意匠制度との簡単な比較に触れます。保護期間について、日本では2019年の法改正以降「出願日から25年」に延長されており(従前は登録日から20年)、タイ現行の10年と比べ大きな差があります。タイも改正後は最長15年になりますが、それでも日本の25年に比べれば保護期間は短めです。保護対象も、日本では物品の部分意匠や画像デザイン(画面デザイン)なども保護可能ですが、タイでは現行法では部分意匠の制度がなく、画像デザインも物品に適用される場合に限られます(改正で部分意匠は導入予定)。関連意匠制度も日本には類似意匠・関連意匠として存在しますが、タイではこれまで類似する意匠の複数保護は認められていませんでした(改正後に導入予定)。また、日本には意匠の秘密登録制度(最長3年公開延期)がありますが、タイ現行法には公開を遅らせる制度はありません(改正案で出願人の請求により意匠公報の発行を一定期間遅らせることが可能になる見込みです)。出願手続では、日本は2020年改正で一出願で複数意匠をまとめて出願できるようになりましたが、タイは今のところ一意匠一出願です。さらに、日本はハーグ協定加盟国として国際意匠登録制度を利用できますが、タイは未加盟のため日本の出願人は個別に国内出願する必要があります。このように細かな相違点は多いものの、タイも制度改正により日本に近い形へと変わりつつあります。日本企業にとっては、今後タイでも日本における実務知識を応用しやすくなり、意匠の国際出願戦略の選択肢も広がることが期待されます。