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オーストリア商標制度の実務ガイド|商標保護法1970・ÖPAは先行商標を審査せず・ファストトラック約10営業日・登録後3か月の異議・出願日から10年・不使用5年・ウィーン商事裁判所の専属管轄・EUTMとの使い分けを弁理士が徹底解説

オーストリア商標制度の実務ガイド|商標保護法1970・ÖPAは先行商標を審査せず・ファストトラック約10営業日・登録後3か月の異議・出願日から10年・不使用5年・ウィーン商事裁判所の専属管轄・EUTMとの使い分けを弁理士が徹底解説

オーストリアは人口約922万人、GDP約5,128億ユーロ、1人当たりGDPが約5万5,700ユーロ(購買力平価)という中欧の高所得国で、レッドブル、スワロフスキー、KTM、ドッペルマイヤー、レンツィング、ウィーナーベルガー、マナー、ユリウス・マインルなど、世界的に知られたブランドを数多く生んでいます。日本との関係では、2025年の日本からの輸出は約2,019億円(自動車・機械類)、輸入は約3,614億円(医薬品・機械類・食料品)で、在留邦人は約3,400人、ウィーンには多くの日本企業の欧州拠点が置かれています。音楽・観光・冬季スポーツの分野で日本との結びつきが強く、オーストリアでの商標保護の相談も増えています。

オーストリアの商標制度は、1970年の商標保護法(Markenschutzgesetz 1970、MSchG)をEU商標指令に合わせて改正を重ねた現行法に基づき、オーストリア特許庁(Österreichisches Patentamt、ÖPA)が登録します。ÖPAは絶対的理由のみを審査し、先行商標を理由に職権で拒絶することはなく、先行権利者が登録公告から3か月の異議で争う仕組みです。文字商標や図形商標ならファストトラックで約10営業日で処理され、存続期間は出願日から10年、不使用取消は5年で、取消はÖPAの無効部が審理します。民事の侵害訴訟はウィーン商事裁判所が専属管轄を持ち、刑事罰や税関の水際措置も整っています。2026年には最高裁(OGH)がジオブロッキングと商標使用の関係をEU司法裁判所に付託するなど、インターネット上の商標使用をめぐる動きも注目されます。本記事では、商標保護法の条文(ÖPA公表の英訳)、ÖPAの手数料表と2025年統計、最高裁の決定、財務省の模倣品報告、外務省のデータを一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・EUTMとの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 根拠法は商標保護法1970(MSchG、EU商標指令に合わせて改正)、管轄はオーストリア特許庁(ÖPA)。ÖPAは絶対的理由のみ審査し、先行商標を理由に拒絶しない。先行権利者は登録公告から3か月の異議で守る(異議が認められると登録は遡って取り消される)
  • 庁費用はオンライン出願294ユーロ(3区分まで・約5.1万円)、4区分目以降は1区分75ユーロ。文字・図形商標はファストトラックで約10営業日で処理。登録されなければ70ユーロが返金される
  • 存続期間は出願日から10年、更新700ユーロ(満了後6か月の猶予期間は840ユーロ)。不使用取消は5年。異議は230ユーロ、取消・無効の申立てはÖPA無効部へ341ユーロで申し立て、不服はウィーン高等裁判所、さらに最高裁へ
  • 侵害訴訟はウィーン商事裁判所が全国で専属管轄(EU商標裁判所を兼ねる)。刑事は日額罰金360日分以下、業として行えば2年以下の拘禁刑。税関は2024年に6,327件・12.9万点(3,800万ユーロ超)、2025年に3,204件・1,200万ユーロの模倣品を差し止め、9割超が郵便小包
  • 2025年の国内出願は5,022件(前年比13%増)で、オーストリア出願人によるEUTM出願は4,095件。マドプロでオーストリアを指定する手数料は個別手数料ではなく補足手数料CHF 100。EUTM(850ユーロ)との使い分けが設計のポイント

目次

  1. オーストリア商標制度の全体像:商標保護法1970とÖPA
  2. 国内出願は年5,000件:市場環境と統計
  3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ審査・類似調査は任意
  4. 出願手続の流れと審査期間:ファストトラック約10営業日・登録後3か月の異議
  5. 費用一覧(ÖPA公式手数料・EUTM・マドプロ)
  6. 異議申立:登録公告後3か月・230ユーロ・遡及的取消
  7. 不使用取消(5年)と無効:ÖPA無効部とウィーン高等裁判所
  8. 使用義務と更新:出願日起算の10年
  9. 権利行使:ウィーン商事裁判所・刑事罰・税関
  10. 最近の動向:2025〜2026年の判例と制度改正
  11. オーストリア国内商標・EUTM・マドプロの使い分け
  12. 日本の商標制度との比較
  13. 日本企業がオーストリア出願で押さえるべき実務ポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. 出典・参考文献

オーストリア商標制度の全体像:商標保護法1970とÖPA

オーストリアの商標の根拠法は商標保護法1970(Markenschutzgesetz 1970、連邦法律公報260/1970)です。1970年の制定後、EU加盟(1995年)に伴う改正、2004年の改正(連邦法律公報I 149/2004)、EU商標指令(2015/2436)を国内化した2017年改正(連邦法律公報I 124/2017、2019年1月施行の部分を含む)などを経て、現在もEU各国と共通の枠組みで運用されています。商標権は商標登録簿への登録によって発生し(第2条)、登録の管轄はオーストリア特許庁(Österreichisches Patentamt、ÖPA)です。ÖPAは1899年設立の連邦官庁で、特許・実用新案・意匠・商標を一元的に扱っています。

制度の骨格は、他のEU加盟国と同様に、ÖPAが出願を絶対的理由(識別力・記述性・公序良俗など)について職権で審査し、先行商標との抵触は職権では審査しないという点にあります(第20条)。出願人が希望すれば、ÖPAが先行商標の類似調査を行い結果を通知してくれますが(第21条)、その結果に基づいて拒絶することはありません。先行権利者は、商標が登録されて公告された日から3か月以内に異議を申し立てることができ(第29a条)、異議が認められると登録は出願時に遡って取り消されます。登録後5年を超えて使用されていない商標は、ÖPAの無効部への申立てにより取り消されます(第33a条)。

項目 内容
根拠法商標保護法1970(MSchG、連邦法律公報260/1970、最終改正を含む現行法)
管轄官庁オーストリア特許庁(ÖPA、ウィーン)
権利の発生登録による(第2条)。未登録の周知商標・商号は第31・32条や不正競争防止法で保護
審査の範囲方式と絶対的理由(第20条)。先行商標の類似調査は出願人の任意(第21条)
異議申立登録公告から3か月、先行権利者のみ(第29a条)、230ユーロ
存続期間出願日から10年、10年ごとに更新(2018年9月1日以降の登録)
不使用取消登録後5年の継続不使用(第33a条)。ÖPA無効部へ申立て
不服申立て法務部・無効部の決定→ウィーン高等裁判所(OLG Wien)→最高裁(OGH)
侵害訴訟ウィーン商事裁判所(HG Wien)が専属管轄(第56a条・第69d条)
国際条約パリ条約、マドリッド協定・議定書、ニース協定、TRIPS、EU商標規則

国内出願は年5,000件:市場環境と統計

ÖPAの2025年年次報告によると、2025年の国内商標出願は5,022件で、2021年以来初めて5,000件を超え、前年比13%増となりました。2025年に登録された国内商標は4,044件、オーストリアで有効な商標は25万1,313件(国内商標94,493件、国際商標97,805件、EU商標59,015件)です。マドプロでオーストリアを指定した国際商標は1,567件、オーストリアの出願人がÖPA経由で行った国際出願は379件でした。出願の種類は文字商標2,542件、文字図形商標2,353件、図形商標106件が中心で、形状・色彩・音の商標はごく少数です。出願件数の多い企業は、オーストリア・ロッテリー(26件)、ビオゲナ、アポヴィッド、レッドブル(19件)、ウィーナーベルガーなどでした。

オーストリア企業の出願先は国内にとどまりません。ÖPAの2026年3月の発表によると、オーストリアの出願人によるEU商標(EUTM)出願は4,095件(前年比15.5%増)、WIPOへの国際出願は4,799件に上ります。WIPOの統計プロファイル(2024年)でも、オーストリア出願人の商標出願は区分数ベースで41,339件(世界33位)、オーストリアで有効な商標は95,398件(世界60位)と、国の規模に比べて海外志向の強さが際立ちます。日本企業にとっては、自社ブランドの競合がEUTMと国内商標の両方に存在しうることを意味し、出願前の調査ではÖPAのデータベースだけでなくEUIPOとWIPOの登録簿を合わせて確認する必要があります。

指標(2025年) 件数 備考
国内商標出願5,022件前年比13%増。2021年以来の5,000件超え
国内商標登録4,044件文字2,542・文字図形2,353・図形106(出願ベース)
マドプロによるオーストリア指定1,567件世界からの国際商標
ÖPA経由の国際出願379件オーストリア出願人の海外出願(WIPO全体では4,799件)
オーストリア出願人のEUTM出願4,095件前年比15.5%増
オーストリアで有効な商標251,313件国内94,493・国際97,805・EUTM 59,015

市場としてのオーストリアは、ドイツ語圏の一角としてドイツ・スイスと一体の商圏を形成しており、商品名やキャッチコピーのドイツ語での記述性・識別力が審査と紛争の双方で問題になります。ドイツ語で記述的な語は、英語圏では識別力があっても拒絶されるため、ネーミング段階でドイツ語の意味を確認しておくことが重要です。

保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ審査・類似調査は任意

商標保護法第1条は、商標を「ある事業者の商品または役務を他の事業者のものから識別する能力があり、保護対象を明確かつ正確に特定できる形で登録簿に表示できるあらゆる標識」と定義し、文字、人名、図形、色彩、商品や包装の形状、音を例示しています。EU商標指令に合わせて図形的表現の要件は撤廃されており、音声ファイルや動画ファイルによる出願も可能です。団体商標(第62条以下)と証明商標(第63a条以下)も登録できます。

登録が拒絶される絶対的理由は第4条に列挙されています。識別力を欠く標識、商品の種類・品質・産地などを記述する標識、取引上一般化した標識、商品の性質や技術的効果に由来する形状、公序良俗に反する標識、公衆を誤認させる標識、国章や国際機関の紋章、保護された原産地名称や地理的表示・伝統的名称・植物品種名と抵触する標識などです。識別力の欠如や記述性については、出願前の使用によって取引上の識別力を獲得していれば登録が認められます(第4条2項)。ÖPAは出願を受け取ると、これらの絶対的理由について職権で審査し(第20条)、問題があれば出願人に意見を述べる機会を与えてから拒絶します。

一方、先行する同一・類似の商標(相対的理由、第30条)は職権では審査されません。出願人は、出願時またはその後に先行商標の類似調査をÖPAに依頼することができ、ÖPAは類似すると思われる先行商標を出願人に通知します(第21条)。この通知は情報提供にとどまり、出願人は調査結果を見て出願を取り下げるか、そのまま登録に進むかを自分で判断します。

隣国ドイツと同じ「先行商標は職権で拒絶しない」運用です。オーストリア特許庁は、公式サイトでも「先行する商標権が存在するかどうかは審査しない」と明記しています。日本企業にとっては、自社の出願が先行商標で拒絶される心配は少ない一方、他社の類似商標は登録公告の監視と3か月以内の異議で自ら止めなければならないことを意味します。出願前にÖPAの登録簿、EUIPOのeSearch plus、WIPOのMadrid Monitorで先行商標を調べ、必要なら任意の類似調査も活用してください。

商標権者には、取引上、同一の商品について同一の標識を使用すること、混同のおそれがある類似の標識を使用すること、著名商標についてはその識別力や名声を不当に利用し、または害する標識を使用することを禁止する権利が認められます(第10条)。商品やその包装への標識の付加、販売の申出、輸出入、取引書類や広告での使用のほか、EU商標指令に合わせて通過貨物(トランジット)に対する権利や、包装・ラベルの準備行為に対する権利も明文化されています(第10a・10b条)。

出願手続の流れと審査期間:ファストトラック約10営業日・登録後3か月の異議

出願はÖPAのオンラインシステムか書面で行います。ÖPAは2025年11月に新しいオンライン出願システムを導入し、スマートフォンでの利用や、入力内容から自動的にファストトラックの対象かどうかを判定する機能を備えました。出願書類には、出願人の氏名・住所、商標の表示、商品・役務(ニース分類)、優先権主張などを記載します。オーストリア・スイス・EEA域内に住所も営業所もない出願人は、ÖPAの手続において弁理士・弁護士・公証人を代理人に選任する必要があります(第61条)。

段階 内容 期間の目安
出願オンラインまたは書面でÖPAへ。受領通知と出願番号が発行されるオンラインは即時、書面は1週間以内に受領通知
方式・絶対的理由の審査識別力・記述性などを審査。問題があれば意見提出の機会ファストトラック約10営業日、通常は数か月
類似調査(任意)出願人の求めに応じて先行商標を通知。拒絶理由にはならない審査と並行
登録・公告登録簿に登録され、毎月20日発行の商標公報で公告審査終了後の直近の公報
異議期間先行権利者が公告から3か月以内に異議。認められれば登録は遡及的に取消公告から3か月

オーストリアの特徴は「登録後異議」です。ÖPAは絶対的理由の審査を終えると直ちに商標を登録し、登録を公告します。先行権利者はこの公告から3か月以内に異議を申し立て、異議が認められると、登録は出願時に遡って取り消されます。したがって、出願から登録までは短く、ファストトラック対象の文字商標・図形商標・文字図形商標なら約10営業日で処理されます。ファストトラックは、オンライン出願で、TMclassの調和済みの商品・役務表示を使い、手数料を即時に納付した場合に自動的に適用され、書面出願や団体・証明商標は常に通常審査となります。

審査で拒絶された場合や期限を徒過した場合の救済として、続行請求(拒絶通知の送達から2か月以内)と原状回復(障害の消滅から2か月以内)の制度があります。ÖPAの法務部の決定に不服がある場合は、ウィーン高等裁判所に上訴(Rekurs)し、さらに最高裁へ上告できます(第35条以下)。

費用一覧(ÖPA公式手数料・EUTM・マドプロ)

ÖPAの手数料は公式サイトの手数料表に基づきます。出願手数料は3区分までを含む基本料金で、オンライン出願は294ユーロ(書類手数料44ユーロを含む)、書面出願は314ユーロです。4区分目以降は1区分につき75ユーロが加算されます。商標が登録されなかった場合は、出願手数料のうち70ユーロが返金されます。円換算は1ユーロ=約175円で計算しています。

手続 ÖPA手数料 円換算の目安
出願(オンライン、3区分まで)294ユーロ(書類手数料44ユーロ込み)約5.1万円
出願(書面、3区分まで)314ユーロ約5.5万円
4区分目以降(1区分につき)75ユーロ約1.3万円
団体商標・証明商標の出願474ユーロ(3区分まで)約8.3万円
更新(10年)700ユーロ(猶予期間内は840ユーロ)約12.3万円(約14.7万円)
異議申立230ユーロ(書類手数料74ユーロ込み)約4.0万円
無効部への申立て(取消・無効)341ユーロ約6.0万円
名義変更(譲渡の登録)147ユーロ約2.6万円
出願・登録の分割200ユーロ約3.5万円
ウィーン高等裁判所への上訴(一方当事者手続)543ユーロ(両当事者手続は773ユーロ)約9.5万円(約13.5万円)

比較のために、EU商標(EUTM)の出願料は1区分850ユーロ、2区分目50ユーロ、3区分目以降150ユーロ、異議申立料は320ユーロです。マドプロでオーストリアを指定する場合、オーストリアは個別手数料を宣言していないため、基本手数料(CHF 653、色彩付きはCHF 903)に加えて国ごとの補足手数料CHF 100と、3区分を超える区分ごとの追加手数料CHF 100を納付します。1か国のためだけに国際出願するより直接出願の方が安いことも多く、複数国を指定する場合にマドプロの利点が生きます。

これらに加えて、現地代理人の費用がかかります。オーストリアの弁理士・弁護士による出願代理は数百ユーロから1,000ユーロ台が相場で、異議や取消の手続は事案の複雑さによって大きく変わります。日本の弁理士を通じて出願する場合は、現地代理人費用に日本側の手数料が加わりますが、調査・指示・期限管理を一元化できる利点があります。

異議申立:登録公告後3か月・230ユーロ・遡及的取消

異議は、商標の登録が商標公報に公告された日から3か月以内に、ÖPAに書面で申し立てます(第29a条)。異議の根拠は、先行する国内商標・国際商標・EU商標(第30条)、パリ条約6条の2の周知商標、保護された原産地名称・地理的表示(第32a条)に限られ、申し立てられるのは先行権利者だけです。マドプロでオーストリアを指定した国際商標に対する異議は、WIPOによる公告の翌月1日から3か月以内に申し立てます。手数料は230ユーロ(書類手数料74ユーロを含む)です。

異議はÖPAの法務部の担当者が審理します。被申立人(商標権者)は、異議の根拠となる先行商標が登録後5年を経過している場合、先行商標の使用の証明を要求することができ、証明がなければ異議は認められません(第29b条)。当事者は和解のための手続停止を求めることができ、口頭審理も可能です。異議が認められると、登録は出願時に遡って取り消されます。異議が認められなかった場合も、先行権利者は後述の無効部への取消申立てで争うことができますが、異議の決定で既に判断された事項は蒸し返せません。異議手続の費用は各当事者の自己負担です(第29b条7項)。法務部の決定に対しては、ウィーン高等裁判所に上訴できます(手数料773ユーロ)。

日本企業が異議を受ける側になる場合、先行商標が登録後5年を超えていれば使用証明を要求することが最初の防御策であり、相手が使用証拠を揃えられないケースは珍しくありません。

不使用取消(5年)と無効:ÖPA無効部とウィーン高等裁判所

登録商標が、登録後5年間、オーストリアで商標権者またはその同意を得た者によって真正に使用されていない場合、何人もÖPAの無効部(Nichtigkeitsabteilung)に取消を申し立てることができます(第33a条)。正当な理由のない不使用が要件で、使用の証明責任は商標権者にあります。異議が申し立てられなかった商標については、不使用取消の申立ては異議期間の満了から5年を経過した後に初めて可能です(第33a条1a項)。

無効部には、不使用取消のほか、先行商標との抵触を理由とする取消(第30条)、絶対的理由を理由とする無効(第33条)、誤認を生じるに至った商標の取消(第33b条)、普通名称化した商標の取消(第33b条)、周知商標や商号・人名との抵触(第31・32条)、代理人による冒認(第30a条)などを申し立てます。手数料は341ユーロで、無効部が書面と口頭審理により判断します。先行商標に基づく取消申立てでは、先行商標が5年を超えていれば使用の証明が求められ、先行権利者が5年にわたり後行商標の使用を知りながら黙認していた場合は、取消を求められなくなります(第30条)。

手続 申立先・期限 手数料 不服申立て
異議ÖPA法務部。登録公告から3か月230ユーロ(先行権利ごと)ウィーン高等裁判所(773ユーロ)→最高裁
不使用取消ÖPA無効部。登録後5年の不使用341ユーロウィーン高等裁判所(1,040ユーロ)→最高裁(1,531ユーロ)
先行商標に基づく取消ÖPA無効部。5年の黙認で失権341ユーロ同上
絶対的理由による無効ÖPA無効部。期限なし341ユーロ同上

無効部の決定に対する不服は、特許庁内の審判部ではなくウィーン高等裁判所(OLG Wien)への控訴(Berufung)によって争い、さらに最高裁(OGH)への上告が可能です(第40条以下)。2014年の司法改革で特許庁の審判部門が廃止され、裁判所への一本化が図られた結果、無効・取消の判断は早い段階から裁判官の目にさらされることになりました。侵害訴訟の被告は、裁判所に対して原告商標の無効を抗弁として主張することもでき(第56b条)、実務では無効部への申立てと侵害訴訟での抗弁が並行することがあります。

使用義務と更新:出願日起算の10年

商標権の存続期間は出願日から10年で、10年ごとに何度でも更新できます。ÖPAは更新期限の6か月前までに商標権者に通知を送ります(第19a条)。更新手数料は700ユーロで、存続期間満了前1年以内に納付でき、満了後6か月の猶予期間内に納付する場合は20%増しの840ユーロになります。更新時に区分数を減らすことはできますが、増やすことはできません。

2018年9月1日より前に登録された商標は、存続期間の計算が異なります。旧法では存続期間が登録月の末日から10年で計算されていたため、ÖPAは旧法下の登録について、現在進行中の存続期間が終わった後に、出願日起算の新制度へ移行させる経過措置を設けています。移行後の最初の期間は10年に満たないことがあり、その期間の長さに応じて更新手数料が段階的に減額されます。古い登録を日本企業が譲り受ける場合や、長期にわたり保有している場合は、ÖPAの登録簿で次回の満了日を必ず確認してください。

使用義務は登録後5年で、使用はオーストリア国内での真正な使用でなければなりません。登録された形と識別力に影響しない範囲で異なる形での使用や、輸出目的での商品への付加も使用と認められます。EU商標の場合はEU域内のどこかでの真正な使用で足りるため、オーストリアだけで使用している日本企業にとっては、EUTMよりも国内商標の方が不使用取消のリスクが低いわけではなく、むしろ逆に、オーストリアで使用していない国内商標は取り消されるが、EUTMはドイツでの使用で維持できるという関係になります。

使用証拠としては、オーストリア向けの価格表、ドイツ語のカタログ、請求書、オーストリアの顧客への納品書、ウェブサイトのアーカイブ、展示会の出展記録などを年単位で保管しておくと、異議・取消・侵害訴訟のいずれでも対応できます。

権利行使:ウィーン商事裁判所・刑事罰・税関

商標権侵害に対する民事の救済は第51条以下に定められています。差止請求(第51条)、侵害品・工具の除去や廃棄(第52条)、適正な使用料相当額の支払い、故意・過失がある場合の損害賠償または侵害者利益の返還(第53条)、情報開示(第55a条)、判決の公表(第55条)が認められます。侵害者に過失があれば、使用料相当額に代えて逸失利益を含む損害賠償または侵害者利益の返還を選ぶことができ、故意・重過失の場合は損害の証明なしに使用料相当額の2倍を請求できます(第53条)。

管轄は明確で、商標権侵害に基づく訴訟と仮処分は、訴額にかかわらずウィーン商事裁判所(Handelsgericht Wien)が全国で専属管轄を持ちます(第56a条)。EU商標に関する訴訟についても、ウィーン商事裁判所がEU商標裁判所(第一審)に指定されています(第69d条)。控訴審はウィーン高等裁判所、上告審は最高裁です。仮処分(einstweilige Verfügung)は、回復不能の損害や証拠隠滅のおそれがある場合、相手方を審尋せずに発令することができ(第56条)、実務では侵害の発見から数週間で差止命令を得る手段として広く使われています。

手段 内容 根拠
民事訴訟差止・除去・廃棄・使用料相当額・損害賠償・利益返還・情報開示・判決公表。ウィーン商事裁判所の専属管轄商標保護法第51〜56a条
仮処分緊急時は相手方を審尋せずに発令可。担保の提供を命じられることがある第56条、執行法
刑事罰日額罰金360日分以下。業として行った場合は2年以下の拘禁刑。親告罪。ウィーン刑事地方裁判所の管轄第60・60a条
税関の水際措置EU規則608/2013に基づく権利者の申立て(AFA)と職権差止。製品海賊法2020EU規則608/2013、製品海賊法2020

刑事罰は第60条に定められ、商標権を侵害した者は日額罰金360日分以下、業として侵害した者は2年以下の拘禁刑に処されます。親告罪で、被害者の請求により訴追され、ウィーン刑事地方裁判所が管轄します(第60a条)。

税関の水際措置は、財務省が毎年国会に提出する製品海賊報告で公表されています。2024年にはオーストリア税関が6,327件の模倣品の差止(貨物ベース)を行い、12万8,898点、3,800万ユーロ超の商品が押収され、9,974件の手続が開始されました。このほか、違法な医薬品の差止が7,147件・37万8,109点に上ります。2024年の差止のうち98.36%が郵便小包で、オンラインで注文された模倣品の小口輸入が中心です。2025年は3,204件・1,200万ユーロ・4,635手続と件数が前年の約半分に減りましたが、郵便小包の割合は91.28%で変わらず、越境ECを通じた模倣品が主戦場であることに変わりはありません。

日本企業が模倣品に対処する場合は、EUIPOのIP Enforcement Portal(IPEP)を通じてEU全域をカバーする税関措置の申立て(AFA)を行い、オーストリア税関を含む各国税関に権利情報を登録しておくのが基本です。税関が疑わしい貨物を止めると権利者に通知が届き、所定の期間内に侵害を確認すれば簡易手続で廃棄できます。

最近の動向:2025〜2026年の判例と制度改正

最高裁がジオブロッキングと商標使用の関係をEU司法裁判所に付託(2026年5月)

オーストリア最高裁(OGH)は2026年5月20日、4 Ob 169/25v事件で、EU司法裁判所に先決裁定を求めました。事案は、オーストリアの文字商標を保有する樽製造業者が、同じ標識を社名とドメイン(メールアドレス)に使う同業者を訴えたもので、差止命令を受けた被告は、オーストリアのIPアドレスからのアクセスをジオブロッキングで遮断し、サイトに「オーストリア市場向けではない」との免責表示を付けました。最高裁は、保護国でホスティングされているがジオブロッキングにより保護国からはアクセスできず免責表示も付いているウェブサイトについて、商標指令10条2項・3項にいう商標の「使用」に当たるかを問うています。インターネット上の商標使用の地理的範囲は、日本企業が欧州向けサイトを運営する際にも直接影響する論点で、EU司法裁判所の判断が注目されます。

ドメイン名による侵害:差止は認めるが抹消請求は認めない(最高裁2007年判例)

最高裁は2007年10月2日の決定(17 Ob 13/07x)で、商標権を侵害するドメイン名について、侵害的な使用の差止は認めるものの、ドメイン登録そのものの抹消を求める請求は認めないとする判例変更を行いました。外国の商標をドメインに使う場合、ウェブサイトの内容が商標の保護範囲に含まれるときにのみ侵害が成立するとした点も、現在まで実務の基準になっています。ドメインは商標とは異なる用途(侵害しない商品や私的利用)にも使えるため、登録の抹消は過剰な救済になるという考え方です。日本企業が自社ブランドを含むドメインを相手方に取得された場合、オーストリアではドメイン名の使用態様を特定して差止を求める設計が必要になります。

ÖPAのオンライン出願刷新とファストトラック(2025年11月)

ÖPAは2025年11月に商標と意匠のオンライン出願システムを刷新しました。新システムは、入力内容からファストトラック(約10営業日)の対象かどうかを自動で判定し、スマートフォンやスクリーンリーダーにも対応しています。ÖPAによれば2024年にはオーストリアから4,441件の商標出願があり、約95,000件の商標が登録されていました。2025年の出願は5,022件に増え、ÖPAは2026年3月の発表で「オーストリアは再び明らかに多く発明している」として、商標・特許の出願増加を報告しています。

模倣品の水際対策:郵便小包が9割超

財務省の製品海賊報告は、オーストリアの模倣品対策が越境ECとの戦いになっていることを示しています。2024年の差止の98.36%、2025年の手続の91.28%が郵便小包で、品目では衣料・靴・アクセサリー・携帯電話関連の小口輸入が中心です。違法な医薬品の差止も2024年に7,147件・37万8,109点と多く、個人輸入の形をとった模倣医薬品に対する税関の監視は厳しくなっています。

オーストリア国内商標・EUTM・マドプロの使い分け

オーストリアで商標を守る手段は3つあります。オーストリアはマドプロの加盟国で、国際登録で直接指定できます。また、EU加盟国としてEU商標(EUTM)の効力が及びます。

項目 国内商標(ÖPA直接出願) マドプロでオーストリア指定 EU商標(EUTM)
効力の範囲オーストリアオーストリアEU27か国
庁費用294ユーロ(3区分まで、約5.1万円)基本手数料CHF 653+補足手数料CHF 100(+3区分超はCHF 100/区分)850ユーロ(1区分、約14.9万円)
審査絶対的理由のみ。ファストトラック約10営業日ÖPAが絶対的理由を審査。拒絶通報の期限は18か月絶対的理由のみ。先行商標は調査報告で通知
異議登録公告から3か月、230ユーロWIPO公報の公告から3か月、230ユーロ公告から3か月、320ユーロ
使用義務オーストリア国内で5年以内に使用同左EU域内のいずれかで5年以内に使用
存続期間出願日から10年、更新700ユーロ国際登録日から10年(WIPOで更新)出願日から10年、更新850ユーロ〜
弱点オーストリア限定。現地代理人が必要基礎出願への従属(5年)。1か国だけなら割高1か国の先行商標で全体が拒絶・無効になりうる

実務上の使い分けは次のとおりです。ドイツ・オーストリア・スイスのドイツ語圏を含む欧州全体で展開するならEUTMを軸にし、スイス(EU非加盟)はマドプロで指定します。オーストリアだけで事業を行う場合や、EUTMが他国の先行商標のために拒絶・無効のリスクを抱えている場合は、約10営業日で登録され先行商標の職権拒絶がない国内出願が有力な選択肢です。日本の基礎出願を持ち、オーストリアを含む複数の国を同時に押さえたい場合は、マドプロで一括指定するのが管理面で合理的で、オーストリアは個別手数料がないため費用も抑えられます。

日本の商標制度との比較

項目 オーストリア 日本
根拠法・官庁商標保護法1970(MSchG)・オーストリア特許庁(ÖPA)商標法・特許庁
先行商標の審査職権拒絶なし(任意の類似調査で通知。異議のみ)職権で審査(4条1項11号)
権利の発生登録主義。周知商標・商号は別途保護登録主義。周知商標は不正競争防止法で保護
登録までの期間ファストトラック約10営業日、通常は数か月約6〜10か月(早期審査あり)
異議申立登録後、公告から3か月、先行権利者のみ、230ユーロ。認容で遡及的取消登録後、公報から2か月、何人も可
存続期間出願日から10年登録日から10年
不使用取消5年。ÖPA無効部(341ユーロ)3年。特許庁の審判
審決への不服ウィーン高等裁判所→最高裁知財高裁→最高裁
侵害訴訟ウィーン商事裁判所の専属管轄(EU商標裁判所を兼ねる)東京・大阪地裁など
刑事罰日額罰金360日分以下、業としては2年以下の拘禁刑(親告罪)10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(78条)

日本企業がオーストリア出願で押さえるべき実務ポイント

  1. 先行商標は自分で調べ、自分で守る。ÖPAは先行商標を理由に拒絶しません。出願前にÖPA・EUIPO・WIPOの登録簿を調べ、登録後は毎月20日発行の商標公報を監視して、3か月以内の異議で他社の類似商標を止める体制が必要です。
  2. ドイツ語での意味を確認する。英語では造語でも、ドイツ語で記述的な語は識別力なしとして拒絶されます。ネーミング段階でドイツ語圏の意味と発音を確認してください。
  3. 速さを活かす。文字・図形商標をオンラインで出願し手数料を即納すれば、ファストトラックで約10営業日で登録されます。展示会や発売に合わせて権利を確保したいときに有効です。
  4. 異議は登録後3か月、230ユーロ。自社が異議を受けたら、相手の先行商標が5年を超えていれば使用証明を要求するのが第一の防御です。認容されると登録は遡って取り消されるため、登録直後の大規模投資は異議期間を見てから判断します。
  5. 障害登録には無効部への申立てを。5年以上使われていない登録は341ユーロで取消を申し立てられます。不服はウィーン高等裁判所で争われ、裁判官の判断が早い段階で入ります。
  6. 使用証拠はオーストリア向けのものを保存。不使用取消は5年で、オーストリア国内での使用が必要です。ドイツ語の価格表・請求書・ウェブサイトのアーカイブを年単位で残してください。EUTMならドイツでの使用でも維持できます。
  7. 侵害にはウィーン商事裁判所の仮処分を。管轄が一本化されているため手続は予測しやすく、緊急時は相手方を審尋しない仮処分も得られます。税関にはIPEP経由でAFAを登録し、郵便小包経由の模倣品に備えてください。
  8. 更新は満了日の確認から。2018年9月前の登録は存続期間の計算が旧法と異なり、移行期間は10年未満になることがあります。譲受けや長期保有の商標は登録簿で満了日を確認し、猶予期間(20%増)に頼らない管理を。

よくある質問(FAQ)

Q1. 登録までどのくらいかかりますか?

文字商標・図形商標・文字図形商標をオンラインで出願し、標準的な商品・役務表示を使って手数料を即時に納付すれば、ファストトラックで約10営業日で処理されます。それ以外の出願や、拒絶理由が通知された場合は数か月かかります。登録後に3か月の異議期間があるため、権利が安定するのは登録公告から3か月後です。マドプロでオーストリアを指定した場合は、拒絶通報の期限が18か月なので、権利の確定まではこれより長くなることがあります。

Q2. ÖPAは先行商標を調べてくれますか?

出願人が希望すれば調べますが、拒絶はしません。ÖPAは任意の類似調査で先行商標を出願人に通知するだけで、先行商標を理由に職権で拒絶することはなく、先行権利者が登録公告から3か月以内に異議を申し立てるかどうかに委ねられています。したがって、出願前の自主的な調査と、登録後の公報監視が実務の要になります。

Q3. 現地代理人は必要ですか?

オーストリア・スイス・EEA域内に住所も営業所もない出願人は、ÖPAの手続において弁理士・弁護士・公証人を代理人に選任する必要があります(第61条)。日本企業は通常、オーストリアの現地代理人を通じて手続を行います。マドプロで指定した場合は、拒絶通報への応答など争いが生じたときに初めて現地代理人が必要になります。

Q4. EUTMを持っていればオーストリア国内商標は不要ですか?

EUTMはオーストリアを含むEU全域で効力を持つので、通常はEUTMだけで足ります。ただし、EUTMが他国の先行商標を理由に拒絶や無効のリスクを抱えている場合や、オーストリアだけで速く確実に権利を確保したい場合は、先行商標の職権拒絶がなく約10営業日で登録される国内出願を併用する価値があります。ドイツ語圏で一体展開するならスイスはEUに含まれないため、マドプロでの指定を忘れないでください。

Q5. 他社の放置された登録が障害になっています。どうすればよいですか?

登録後5年間継続して使用されていなければ、ÖPAの無効部に341ユーロで取消を申し立てられます。使用の証明責任は商標権者側にあり、決定にはウィーン高等裁判所、さらに最高裁で争えます。相手が同意する見込みがあれば、共存合意を結んで自社の出願を進める方法もあります。オーストリアでは先行商標の職権拒絶がないため、障害登録が自社の出願を直接妨げる場面は、相手が異議を出した場合に限られます。

Q6. 模倣品が見つかった場合、まず何をすべきですか?

証拠を保全したうえで、ウィーン商事裁判所に仮処分を申し立てるのが最も速い対応です。緊急性があれば相手方を審尋せずに差止命令が出ます。並行して、IPEPから税関措置の申立て(AFA)を行い、郵便小包経由の輸入を税関で止めてもらいます。悪質な業者には第60条の刑事告訴(業としての侵害は2年以下の拘禁刑)も選択肢です。オーストリア国内の販売業者には、まず警告書で販売停止と仕入先の開示を求めるのが通例です。

Q7. 費用の総額はどのくらいですか?

庁費用はオンライン出願で3区分まで294ユーロ(約5.1万円)、4区分目以降は1区分75ユーロです。これに現地代理人の費用(数百ユーロから1,000ユーロ台)と日本側の手数料が加わり、1件あたり20万〜35万円程度が目安です。更新は10年ごとに700ユーロ、異議は230ユーロ、取消申立ては341ユーロです。中小企業は、INPITの外国出願補助金などの支援制度を活用すると負担を抑えられます。

オーストリアの商標制度は、絶対的理由のみを審査し、約10営業日で登録されるという速さと、登録後3か月の異議・ÖPA無効部・ウィーン商事裁判所という明快な紛争処理の仕組みが特徴です。先行商標を職権で拒絶しないため、出願前の調査と登録後の公報監視を自社で担う必要があります。ドイツ語圏での展開を考える日本企業には、EUTMを軸に、速くて確実なオーストリア国内出願を補完し、EU非加盟のスイスはマドプロで指定するドイツ語圏全体の設計をおすすめします。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

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出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。

法令・公的機関の資料

  1. 商標保護法1970(Markenschutzgesetz 1970)英訳(オーストリア特許庁作成、WIPO Lex掲載)/商標の定義(第1条)、登録による権利の発生(第2条)、絶対的理由と使用による識別力(第4条)、権利の内容(第10条)、使用の態様(第10a条)、消尽(第10b条)、登録事項(第17条)、存続期間と更新通知(第19・19a条)、絶対的理由の職権審査(第20条)、任意の類似調査(第21条)、異議3か月と遡及的取消(第29a条)、異議手続と使用証明・費用の自己負担(第29b条)、先行商標に基づく取消と黙認(第30条)、未登録周知商標・商号(第31・32条)、不使用5年(第33a条)、法務部の決定に対するウィーン高等裁判所への上訴(第35条以下)、無効部の決定に対する控訴(第40条以下)、民事救済(第51〜55a条)、仮処分と相手方不審尋(第56条)、ウィーン商事裁判所の専属管轄(第56a条)、無効の抗弁(第56b条)、刑事罰と親告罪・管轄(第60・60a条)、代理人(第61条)、EU商標裁判所(第69d条)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22639
  2. オーストリア特許庁「National Trademark」/ファストトラック(文字・図形・文字図形商標、TMclassの表示、手数料即納で約10営業日)、書面出願の受領通知、先行商標権を審査しないこと、毎月20日の商標公報、出願日から10年の存続期間、続行請求と原状回復(2か月)、代理人の要否、ウィーン高等裁判所への上訴の根拠。
    https://www.patentamt.at/en/apply-for-protection/protect-a-trademark/national-trademark
  3. オーストリア特許庁「Proceedings & Appeals」/異議期間3か月の起算(国内商標は公報公告日、国際登録はWIPO公告の翌月1日)、法務部・無効部からウィーン高等裁判所・最高裁への不服申立ての流れの根拠。
    https://www.patentamt.at/en/manage-preserve-protection/trademarks/proceedings-appeals
  4. オーストリア特許庁「Anmelde- & Veröffentlichungsgebühren」/出願手数料(オンライン294ユーロ・書面314ユーロ、3区分まで、書類手数料44ユーロ込み)、4区分目以降75ユーロ、団体・証明商標474ユーロ、不登録時の70ユーロ返金の根拠。
    https://www.patentamt.at/gebuehren
  5. オーストリア特許庁「Erneuerungsgebühr」/更新手数料700ユーロ、猶予期間6か月と20%増(840ユーロ)、満了前1年以内の納付、出願日起算10年への移行(2018年9月1日前の登録の経過措置と短縮期間の減額)の根拠。
    https://www.patentamt.at/rechte-verwalten-wahren/marken/erneuerungsgebuehr
  6. オーストリア特許庁「Verfahrensgebühren」/異議230ユーロ(書類手数料74ユーロ込み)、無効部への申立て341ユーロ、名義変更147ユーロ、分割200ユーロ、ウィーン高等裁判所への上訴543/773ユーロ、無効部の決定に対する控訴1,040ユーロ・上告1,531ユーロの根拠。
    https://www.patentamt.at/rechte-verwalten-wahren/verfahrensgebuehren
  7. オーストリア特許庁「Jahresbericht 2025」/2025年の国内商標出願5,022件(13%増)、登録4,044件、有効な商標251,313件(国内94,493・国際97,805・EUTM 59,015)、国際商標1,567件、ÖPA経由の国際出願379件、商標の種類別件数、出願上位企業の根拠。
    https://2025.patentamt.at/
  8. オーストリア特許庁プレスリリース「Österreich erfindet wieder deutlich mehr」(APA-OTS、2026年3月5日)/2025年の商標出願5,022件が2021年以来の5,000件超え、オーストリア出願人のEUTM出願4,095件(15.5%増)、WIPOへの国際出願4,799件の根拠。
    https://www.ots.at/presseaussendung/OTS_20260305_OTS0042/oesterreich-erfindet-wieder-deutlich-mehr-patentamt-verzeichnet-anstieg-bei-anmeldungen
  9. オーストリア特許庁プレスリリース「Noch schneller zum Schutz」(APA-OTS、2025年11月17日)/新しいオンライン出願システム(ファストトラックの自動判定、スマートフォン対応)、2024年の商標出願4,441件、登録商標約95,000件の根拠。
    https://www.ots.at/presseaussendung/OTS_20251117_OTS0023/noch-schneller-zum-schutz-oesterreichisches-patentamt-modernisiert-anmeldung-von-marken-und-designs
  10. 連邦財務省「Produktpirateriebericht 2024」(2025年3月、PDF)/2024年の税関差止6,327件・128,898点・3,800万ユーロ超・9,974手続、違法医薬品7,147件・378,109点、郵便小包98.36%の根拠。
    https://www.bmf.gv.at/dam/jcr:030c5117-33d0-4269-b998-67e2d5f19d32/PP-Bericht%202024.pdf
  11. オーストリア国会「Produktpiraterie 2025: Zoll erfasste 3.204 Sendungen mit gefälschten Waren」(PK0334、2026年4月20日)/2025年の税関差止3,204件・1,200万ユーロ・4,635手続、郵便小包91.28%の根拠。
    https://www.parlament.gv.at/aktuelles/pk/jahr_2026/pk0334
  12. WIPO「Statistical Country Profile: Austria」(2024年)/オーストリア出願人の商標出願41,339区分(世界33位)、オーストリアで有効な商標95,398件(世界60位)の根拠。
    https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/at.pdf
  13. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/オーストリアが個別手数料を宣言しておらず、補足手数料CHF 100が適用されることの根拠。
    https://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html
  14. EU商標規則(Regulation (EU) 2017/1001)附属書I(EUR-Lex)/EUTMの出願料850/50/150ユーロと異議申立料320ユーロ、EU商標裁判所の指定(第123条)の根拠。
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2017/1001/oj
  15. 外務省「オーストリア共和国 基礎データ」(2026年4月1日)/人口約922万人、GDP約5,128億ユーロ、1人当たりGDP約55,705ユーロ(購買力平価)、対日貿易(2025年)と品目、在留邦人3,415人の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/austria/data.html

判例

  1. オーストリア最高裁「Reicht das Hosten einer Website schon für eine Benutzungshandlung nach §§ 10, 10a MSchG im Schutzland aus?」(4 Ob 169/25v、2026年5月20日)/ジオブロッキングと免責表示を付したウェブサイトのホスティングが商標指令10条2項・3項の「使用」に当たるかをEU司法裁判所に付託した決定の根拠。
    https://www.ogh.gv.at/entscheidungen/vorabentscheidungsersuchen-eugh/reicht-das-hosten-einer-website-schon-fuer-eine-benutzungshandlung-nach-%c2%a7%c2%a7-10-10a-mschg-im-schutzland-aus/
  2. オーストリア最高裁「Rechtsprechungsänderung zur Markenrechtsverletzung durch eine Domain: Unterlassungsanspruch, aber kein Anspruch auf Löschung」(17 Ob 13/07x、2007年10月2日)/ドメイン名による商標権侵害について差止を認めつつ抹消請求を否定した判例変更の根拠。
    https://www.ogh.gv.at/entscheidungen/entscheidungen-ogh/rechtsprechungsaenderung-zur-markenrechtsverletzung-durch-eine-domain-unterlassungsanspruch-aber-kein-anspruch-auf-loeschung/

専門家による解説

  1. GEUER Rechtsanwälte「Markenverletzung trotz Geoblocking?」(2026年6月3日)/4 Ob 169/25v事件の事案(樽製造業者間の紛争、オーストリアIPアドレスのジオブロッキングと免責表示)と争点の整理の根拠。
    https://www.geuer.at/2026/06/03/markenverletzung-trotz-geoblocking/

※本記事は上記の資料を基に、2026年10月時点の情報で一般的な情報提供を目的として作成しています。手数料(円換算額)・運用・判例は変更されることがあります。ドイツ語の法令原文と英訳の間に差異がある場合は原文が優先されます。個別案件の具体的判断には、専門家へのご相談を推奨します。