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カザフスタン商標制度の実務ガイド|1999年商標法(2026年1月改正)・国立知的財産研究所Qazpatentは先行商標も職権審査+公告後2か月の異議・3区分で約5.4万円・不使用取消は3年で裁判所・EAEU域内消尽とEAEU商標制度の現状・税関登録には賠償責任保険が必要、マドプロとの使い分けを弁理士が徹底解説

カザフスタン商標制度の実務ガイド|1999年商標法(2026年1月改正)・国立知的財産研究所Qazpatentは先行商標も職権審査+公告後2か月の異議・3区分で約5.4万円・不使用取消は3年で裁判所・EAEU域内消尽とEAEU商標制度の現状・税関登録には賠償責任保険が必要、マドプロとの使い分けを弁理士が徹底解説

カザフスタンは面積272万平方キロメートル(日本の7倍、世界第9位)、人口約2,080万人、GDP約3,000億米ドル、1人当たりGDP約1万4,700米ドル(2025年、IMF)の中央アジア最大の経済で、石油・ガス、ウラン、クロムなどの資源国であると同時に、ロシア・ベラルーシ・アルメニア・キルギスとともにユーラシア経済連合(EAEU)を構成しています。日本との関係では、2025年の日本からの輸出が約1,338億円(自動車、タイヤ、建設・鉱山機械)、輸入が約1,111億円(合金鉄、アルミニウム、石炭)、日本からの直接投資残高は56.9億米ドル(2024年)、在留邦人は152人(2025年10月)で、2015年10月に日・カザフスタン投資協定が発効し、2025年12月にはトカエフ大統領が東京での「中央アジア+日本」対話の初の首脳会合に出席しました(外務省)。自動車、タイヤ、建設機械、農業機械、化粧品、食品の分野で、中央アジア5か国の中心市場としてのカザフスタンでの商標保護の相談が増えています。

カザフスタンの商標制度は、1999年7月26日の「商標、サービスマーク、地理的表示および原産地名称に関する法律」(法律第456-I号。以下「商標法」)に基づき、司法省の所管する国立知的財産研究所(РГП «НИИС»、ブランド名Qazpatent/Kazpatent)が審査・登録を行います。2018年の改正で出願公告と第三者異議、先行商標権者の同意書、EAEU域内消尽が導入され、2022年の改正で地理的表示が加わり、2025年11月24日の法律第233-VIII号(2026年1月25日施行)で異議期間が1か月から2か月に延長され、申請による10営業日の予備審査と3か月の本審査が導入されました。審査では絶対的理由と先行商標の両方を職権審査し、公告後の第三者異議も受け付けます。手数料は国の手数料ではなく研究所のサービス料金(付加価値税16%込み)で、2026年1月1日の料金表では出願・審査が3区分まで117,812.50テンゲ、登録・登録証・公告が37,849.64テンゲ、合計約5.4万円です。存続期間は出願日から10年、不使用取消は3年で裁判所、無効は司法省の審判評議会(Апелляционный совет)または裁判所が扱い、庁の拒絶決定には審判評議会への不服申立てが訴訟の前置要件です。消尽はEAEU域内消尽で、EAEU加盟国で正規に流通した商品の並行輸入は止められません。2021年4月26日に発効したEAEU商標条約による5か国一括の「EAEU商標」は、2026年10月時点でまだ出願受付が始まっていません。本記事では、商標法の現行条文(法令ポータルАділет)、国立知的財産研究所の2026年料金表と2024年年次報告、刑法・行政違反法典・関税規制法典、EAEU経済委員会の資料、WIPOの加盟情報と統計、外務省のデータを一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・マドプロとの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 根拠法は1999年商標法(2018年・2022年改正、2026年1月25日施行の最新改正)、審査機関は司法省所管の国立知的財産研究所Qazpatent(アスタナ)。予備審査1か月(申請で10営業日)→公告→2か月の第三者異議→本審査は出願から7か月(申請で3か月)。庁は絶対的理由と先行商標の両方を職権審査し、先行権利者の同意書で克服できる
  • 費用は研究所のサービス料金で出願・審査117,812.50テンゲ(3区分まで、各区分10品目まで)+登録・証書・公告37,849.64テンゲ、合計約155,660テンゲ(約5.4万円)。追加区分は審査34,994テンゲ+登録11,186テンゲ。早期審査は797,500テンゲ(約28万円)。更新は218,835テンゲ、審判評議会への不服・異議は37,053テンゲ。マドプロでの指定は個別手数料CHF 255(3区分まで)+CHF 76/区分
  • 存続期間は出願日から10年(更新は最終年に申請、満了後6か月は回復可)。不使用取消は提訴前3年の不使用で裁判所(第19条4項)、無効は審判評議会または裁判所で、先行商標との抵触を理由とする無効は登録から5年以内(第23条)。拒絶査定への不服は3か月以内に審判評議会へ(審理4か月)、その決定に不服なら行政裁判所へ。審判評議会の前置は必須
  • 消尽はEAEU域内消尽(第43条の1)で、ロシアなど加盟国で正規流通した商品の並行輸入は商標権で止められない。侵害訴訟は事業者間なら専門区際経済裁判所、損害賠償に代わる補償金の請求が可能。刑事は刑法222条(罰金80МРП=346,000テンゲ以下、大きな損害が要件)、行政は行政違反法典158条(20〜80МРПの罰金と没収)。税関登録簿は無料だが1,000МРП(約430万テンゲ)以上の賠償責任保険が必要
  • 2024年のカザフスタン向け商標出願は19,762件(国内出願14,188件、マドプロ指定5,574件)、登録14,105件、日本の出願人の国内出願61件、有効登録は85,710件(2026年10月1日)。カザフスタン外に住所・本拠のある出願人はカザフスタン国籍の登録弁理士の選任が必須(第46条)。EUTMの効力は及ばず、EAEU商標制度(5か国一括)は2026年10月時点で未稼働のため、国内出願かマドプロ指定で手当てする

目次

  1. カザフスタン商標制度の全体像:1999年商標法と国立知的財産研究所Qazpatent
  2. 年間2万件の出願:市場環境と統計
  3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由と相対的理由を職権審査、同意書で克服可
  4. 出願手続の流れ:弁理士義務・予備審査・公告・2か月の異議・本審査・登録料
  5. 費用一覧(2026年料金表・マドプロ個別手数料)
  6. 公告後2か月の異議と審判評議会:不服申立て3か月・前置主義
  7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の回復
  8. 不使用取消(3年・裁判所)と無効(審判評議会・5年)
  9. EAEU商標とユーラシア域内消尽:2021年発効の条約と未稼働の制度
  10. 侵害訴訟:専門経済裁判所・行政裁判所と2024年の訴訟447件
  11. 刑事罰・行政罰:刑法222条と行政違反法典158条
  12. 税関と模倣品対策:税関登録簿・賠償責任保険・2025年の押収20.5万点
  13. マドプロとの使い分けと日本企業の実務ポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. まとめ
  16. 出典・参考文献

1. カザフスタン商標制度の全体像:1999年商標法と国立知的財産研究所Qazpatent

カザフスタンの商標制度の根拠法は、1999年7月26日の法律第456-I号「商標、サービスマーク、地理的表示および原産地名称に関する法律」です。主要な改正は、2018年6月20日の法律第161-VI号(出願の公告、先行商標権者の同意書による登録、不使用取消の裁判所への移管、EAEU域内消尽の明文化、審査期間の短縮、登録証に代わる登録簿抄本)、2022年6月20日の法律第128-VII号(地理的表示の導入と法律の題名変更、公告後の第三者異議手続の整備、審判評議会の審理のビデオ記録)、そして2025年11月24日の法律第233-VIII号(2026年1月25日施行)で、第三者異議の期間を1か月から2か月に延長し、申請による10営業日の予備審査と3か月の本審査を導入し、裁判所への提訴を理由とする手続の中断を認め、審判評議会の期日延期を当事者双方が申し立てられるようにしました。法令ポータルАділетの現行版は2026年1月25日施行の改正を反映したもので、WIPO Lexの統合版の日付は2026年5月21日です。

制度は「所管官庁」と「審査機関」の二層構造です。所管官庁(уполномоченный орган)は司法省で、法令の整備、審判評議会(Апелляционный совет)の運営、弁理士の認定を担います。審査・登録は司法省傘下の国営企業国立知的財産研究所(Республиканское государственное предприятие «Национальный институт интеллектуальной собственности»、略称НИИС、ブランド名Qazpatent/Kazpatent)が「専門機関(экспертная организация)」として行い、アスタナのマンギリク・エル大通り57A(アルマティに支所)に置かれています。商標の手続費用は国の手数料ではなく、研究所の「サービス料金」として司法省が承認する料金表で定められ(商標法第3条の1・第45条)、付加価値税16%が含まれます。商標権は国家商標登録簿への記録により発生し(第4条2項)、存続期間は出願日から10年です(第15条)。審査では絶対的理由(第6条)と相対的理由(第7条)の両方を職権で審査し(第11条)、公告後2か月の第三者異議(第11条の2)も考慮して登録・一部登録・拒絶を決定します(第12条)。拒絶に対しては司法省の審判評議会への不服申立てが裁判の前置要件で(第41・42条)、無効は審判評議会または裁判所(第23・24条)、不使用取消は裁判所のみ(第19条4項)です。カザフスタンはマドリッド協定(1991年12月25日、旧ソ連から承継)とマドリッド議定書(2010年12月8日発効)、ニース協定(2002年)、商標法条約(2002年)、シンガポール条約(2012年)の締約国で、2015年からEAEU加盟国としてEAEU商標条約(2021年4月26日発効)の当事国でもあります。EUTMの効力は及びません。

項目 カザフスタンの制度(根拠条文)
根拠法商標・サービスマーク・地理的表示・原産地名称法(1999年7月26日法律第456-I号)。2018年法律第161-VI号、2022年法律第128-VII号、2025年11月24日法律第233-VIII号(2026年1月25日施行)で改正
管轄機関所管官庁は司法省(審判評議会、弁理士認定)。審査・登録は国立知的財産研究所Qazpatent(アスタナ、司法省傘下の国営企業)。費用は研究所のサービス料金(VAT16%込み)
審査の範囲予備審査(方式、1か月)と本審査(第6条の絶対的理由と第7条の相対的理由、出願から7か月)を職権で実施(第11条)。先行商標権者の書面同意で登録可(第7条1項)
異議期間予備審査終了後5営業日以内に公報に公告(第11条の1)。公告から2か月以内に利害関係人が異議(第11条の2、2026年1月25日から。従来1か月)。出願人の意見は3か月
存続期間出願日から10年、10年ごとに更新(第15条)。更新申請は最終年に、満了後6か月以内に回復申請が可能
使用義務提訴前3年間の不使用で利害関係人が裁判所に取消を請求(第19条4項)。使用の立証は権利者、不可抗力は考慮
取消・無効無効は審判評議会または裁判所(第23・24条)。先行商標・先行出願との抵触を理由とする無効は登録から5年以内、絶対的理由・代理人の冒認・商号との抵触は期間制限なし。審判評議会は6か月で審理
裁判管轄侵害・不使用取消:事業者間は専門区際経済裁判所(民事訴訟法第27条)、個人が当事者なら地区裁判所。審判評議会の決定:専門区際行政裁判所→控訴→最高裁判所。審判評議会の前置が必須(第42条)
代理人カザフスタン外に居住する自然人・外国法人は、カザフスタン国籍の登録弁理士(патентный поверенный)を通じてのみ手続(第46条5項)
消尽EAEU加盟国の領域で権利者またはその同意を得た者が適法に流通させた商品には権利が及ばない域内消尽(第43条の1)
国際条約パリ条約・マドリッド協定(1991年12月25日)、マドリッド議定書(2010年12月8日)、ニース協定(2002年4月24日)、商標法条約(2002年11月7日)、シンガポール条約(2012年9月5日)、EAEU商標条約(2021年4月26日発効、制度は未稼働)。EUTMの効力なし

2. 年間2万件の出願:市場環境と統計

国立知的財産研究所の2024年年次報告によると、2024年にカザフスタンでの保護を求めた商標出願は19,762件で、うち研究所に直接提出された国内出願が14,188件(カザフスタンの出願人11,703件、外国の出願人2,485件)、マドリッド制度を通じた指定が5,574件でした。国内出願は2020年の5,596件から4年で2.5倍に増え、特にカザフスタンの出願人による出願が3,784件から11,703件へ急増しています。外国の出願人の国内出願は、2024年は中国614件、ロシア574件、米国235件、韓国163件、UAE146件、日本61件、英国60件、インド58件、スイス56件、トルコ46件の順で、ロシアによるウクライナ侵略後にロシア企業と中国企業の出願が大きく増えたのが近年の特徴です。登録は14,105件(前年比22%増)で、国内手続による登録9,105件(カザフスタンの権利者6,586件、外国の権利者2,519件)、マドプロ経由の保護付与5,000件、日本の権利者の国内登録は75件でした。WIPOの2024年統計では、区分数ベースの出願50,911件のうち居住者が64.1%、非居住者分ではロシア27.1%、中国17.2%を占めます。研究所のサイトによると、2026年10月1日時点でカザフスタンで有効な商標は85,710件です。2025年の年次報告は2026年に公表されていますが画像形式のため、本稿では機械判読できた2024年の数値を用いています。

執行面では、現地法律事務所の集計で2024年に第一審の民事裁判所に提起された商標関係の訴訟が447件と前年の3.7倍に増え、過去10年で最多になりました。国民経済省が2026年3月に議員質問に答えたところでは、2025年に司法機関が318件の検査を実施して293件の違反を摘発し、行政違反法典158条(他人の商標の違法使用)で303件の行政事件が立件され、294人に合計3,280万テンゲの罰金が科され、205,222点の模倣品が流通から押収されました。業界団体の推計では、カザフスタンの模倣品の流通額は年間約6,000億テンゲ(小売売上高の2.3%)に上ります。日本企業にとってのカザフスタンは、中央アジア5か国(人口約8,000万人)の物流・販売の中心であると同時に、ロシア・中国との国境を持つEAEU加盟国として、ロシア経由の並行輸入と中国製模倣品の双方に備える必要がある市場です。EUTMは効力が及ばず、EAEU商標制度はまだ使えないため、保護は国内出願かマドプロ指定で手当てします。

指標(国立知的財産研究所2024年年次報告) 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
国内出願(カザフスタンの出願人)3,7844,7705,2508,64511,703
国内出願(外国の出願人)1,8121,7051,7102,3632,485
マドプロによるカザフスタン指定5,9375,7474,7825,9565,574
出願合計11,53312,22211,74216,96419,762
登録(国内手続)4,6764,9555,1656,3199,105
登録(マドプロ経由の保護付与)5,3175,8045,2675,2395,000
登録合計9,99310,75910,43211,55814,105
日本の出願人の国内出願/登録55/5231/4924/3259/2961/75

※有効登録は85,710件(2026年10月1日、研究所サイト)。2024年の外国出願人上位は中国614、ロシア574、米国235、韓国163、UAE146、日本61(国立知的財産研究所2024年年次報告)。

3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由と相対的理由を職権審査、同意書で克服可

商標法第5条は、商標として登録できる標章を「図形、文字、字母、数字、立体その他の標章またはその組合せで、商品・役務を識別できるもの」とし、任意の色彩または色彩の組合せで登録できると定めます。権利の主体は自然人と法人で(第4条2項)、2018年改正までは個人事業主としての登録が必要でしたが、現在は個人でも出願でき、他方で共同出願(複数名義)は認められません(第8条1項)。

絶対的拒絶理由(第6条)は、識別力を欠く標章、普通名称化した標章、慣用の記号・用語、商品の種類・品質・数量・用途・価値・製造場所や時期を示す記述的標章、医薬品の国際一般名(INN)、商品との直接的な記述的関連を持つ標章(1項。使用による識別力の獲得で克服可)、国章・国旗・国際機関の紋章など(2項。権限ある機関の同意で不保護要素として含められる)、商品や製造者について虚偽または誤認を生じさせる標章、ミネラルウォーター・ワイン・蒸留酒の地理的名称、公序良俗に反する標章(3項)です。相対的拒絶理由(第7条)は、①他人の先行登録商標(国際条約で保護されるものを含む)と同一・類似で商品・役務が同種、②周知商標と同一・類似(商品を問わない)、③他人の先行出願と同一・類似、⑤保護される地理的表示・原産地名称との抵触で、同一人の同一商品についての同一商標の二重登録も禁じられます。2項は他人の先行意匠、著名な著作物の題号、著名人の氏名・筆名・肖像、歴史的・文化的遺産を列挙します。カザフスタンの実務上の特徴は、第7条1項①〜③に該当しても、先行商標権者の書面による同意(letter of consent)があれば登録が認められると法文で明記されていることで(第7条1項末尾)、法人の同意書は社用箋に権限者の署名と押印、個人の同意書は公証による署名認証が必要です。拒絶理由は国際登録のカザフスタン指定にも同様に適用されます(第7条4項)。

実務上の注意:職権審査、同意書、キリル文字とラテン文字

研究所は日本と同じく先行商標を職権で引用し、2024年は中国・ロシア企業の出願が急増しているため、ラテン文字の原表記だけでなくロシア語・カザフ語のキリル文字表記での先行調査が欠かせません。引用された場合の対応は、商品の限定、先行権利者からの同意書の取得(法文上認められる)、先行商標の不使用取消訴訟(3年)の3つで、同意書の形式要件(法人は社用箋と押印、個人は公証)を満たさないと受け付けられません。カザフ語は2017年からラテン文字への移行が段階的に進められているため、カザフ語表記の商標は将来のラテン文字表記も視野に入れて設計します。

4. 出願手続の流れ:弁理士義務・予備審査・公告・2か月の異議・本審査・登録料

カザフスタン外に居住する自然人と外国法人は、司法省および研究所との手続を、登録弁理士(патентный поверенный)を通じてのみ行うことができます(第46条5項)。弁理士はカザフスタン国籍で国内に常住し、司法省の認定を受けて弁理士登録簿に登録された者に限られ、商標・地理的表示の専門と発明・意匠の専門に分かれます(同条1項)。委任状は私署で足り、2018年改正以降は出願時に委任状の写しで足ります。出願は研究所の電子出願システムまたは書面で行い、願書、標章の表示、ニース分類に従った商品・役務のリスト、委任状、料金の納付証明を提出します。1出願で複数区分を指定でき、料金表は「3区分まで、各区分10品目まで」を基本単位として、追加の区分と品目に加算する構造です。パリ条約の優先権は6か月で、優先権主張は出願から3か月以内に証明書類を提出します(第10条)。

審査は2段階です(第11条)。予備審査は出願日から1か月以内(申請により10営業日)に方式と料金を確認し、受理または手続終了の通知が送られます(第12条1項)。受理された出願は予備審査終了から5営業日以内に公報に公告され(第11条の1)、公告から2か月以内に利害関係人が第6条・第7条を理由とする異議を研究所に提出できます(第11条の2。2026年1月25日施行の改正前は1か月)。研究所は異議を5営業日以内に出願人へ送付し、出願人は3か月以内に意見を述べることができます。本審査(полная экспертиза)は第6条・第7条の全要件を審査し、出願日から7か月以内(申請による早期審査は3か月以内)に、登録、一部登録または拒絶の予備的な専門意見(предварительное экспертное заключение)を出します。拒絶または一部登録の予備意見に対して、出願人は送付から3か月以内に理由を付した反論を提出でき、研究所は反論の受領から3か月以内に最終意見を出して登録・一部登録・拒絶を決定します(第12条2項)。審査中の追加資料の提出期限は3か月で、期限は最長6か月延長でき、徒過後2か月以内の回復申請も可能です(第13条)。登録決定の通知から3か月以内に登録料(登録・登録証・公告のサービス料金)を納付しないと出願は取り下げられたものとみなされ(第12条4項)、納付により国家商標登録簿に記録されて権利が発生し(第4条2項、第14条)、週刊の公報に公告されます(第16条)。最終意見に不服があれば、送付から3か月以内に司法省の審判評議会に申し立てます(第12条5項。審理期間4か月)。法定の審査期間から、拒絶理由や異議がなければ出願から登録まで9〜12か月程度が目安で、早期審査を使えば数か月に短縮できます。

段階 内容(根拠条文) 期間・期限
出願外国人は登録弁理士が必須(第46条5項)。単独名義のみ(第8条)。電子出願可。料金は3区分・各10品目を基本単位優先権6か月、優先権書類は出願から3か月以内(第10条)
予備審査方式と料金の確認、受理通知(第11条1項、第12条1項)出願から1か月(申請で10営業日)
公告・異議予備審査終了後5営業日以内に公報に公告(第11条の1)。利害関係人の異議(第11条の2、37,053テンゲ)。出願人の意見3か月公告から2か月(2026年1月25日〜)
本審査第6・7条を職権審査、異議を考慮して予備意見(第11条1項2号、第12条2項)。追加資料の提出は3か月(延長6か月、回復2か月)出願から7か月(早期審査3か月)
反論・最終意見拒絶・一部登録の予備意見に反論(第12条2項)。最終意見に基づき登録・一部登録・拒絶を決定反論は送付から3か月、最終意見は反論受領から3か月
登録料の納付・登録登録・登録証・公告のサービス料金を納付(第12条4項)。登録簿に記録し公報で公告(第14・16条)。権利は登録日に発生し、存続期間は出願日から10年決定通知から3か月。未納は取下げ擬制
不服最終意見に対して司法省の審判評議会へ(第12条5項、第41条)。審判評議会の決定は行政裁判所で争う(第41条の2第9項)送付から3か月、審理4か月(延長3か月)

5. 費用一覧(2026年料金表・マドプロ個別手数料)

カザフスタンには商標の国家手数料がなく、国立知的財産研究所のサービス料金(司法省承認の料金表、付加価値税16%込み)を納付します。料金表は法人向け、中小企業(МСБ)向け、個人向けの3段階で、外国企業は法人向け料金が適用され、非居住者の割増はありません。2026年1月1日施行の料金表では、3区分まで(各区分10品目まで)の出願受付と審査が117,812.50テンゲ(予備審査31,718.75+本審査86,093.75。約41,000円)、4区分目以降は1区分34,994.19テンゲ(予備14,821.06+本審査20,173.13)、1区分内で11品目目以降は1品目1,950テンゲ(700+1,250)の加算です。登録決定後の登録・登録証発行・公告は3区分まで37,849.64テンゲ(約13,000円)、追加区分11,185.72テンゲです。したがって3区分の商標を出願から登録まで進めた庁費用は約155,660テンゲ(約5.4万円、約344米ドル)で、拒絶理由や異議がなければこれで済みます。早期審査(予備審査10営業日+本審査3か月)は3区分まで797,500テンゲ(約28万円)と高額です。更新は3区分まで218,835.42テンゲ(約7.7万円、追加区分33,013.39テンゲ)、異議・不服申立て(公告後の第三者異議、拒絶・一部登録の専門意見への不服)は37,052.69テンゲ、不服申立期限の延長は1か月あたり10,098.22テンゲ、出願書類の変更は1件17,477.67テンゲ、譲渡・ライセンスの登録は1件58,259.55テンゲ(追加1件14,344.64)、マドプロ国際出願の取次は1区分54,958.11テンゲ(追加区分19,031.25)、登録簿抄本は7,146.42テンゲです。中小企業と個人の割引(更新は2028年1月1日まで)は、カザフスタンで登記された事業者が対象です。

手続(2026年料金表・法人向け、VAT込み) 料金(テンゲ) 円換算の目安
出願受付+予備審査(3区分まで、各10品目まで)31,718.75約1.1万円
本審査(3区分まで)86,093.75約3.0万円
 追加区分(予備+本審査)、1区分につき34,994.19約1.2万円
 11品目目以降、1品目につき1,950約700円
登録・登録証・公告(3区分まで)/追加区分37,849.64/11,185.72約1.3万円/3,900円
出願〜登録の合計(3区分まで)約155,662約5.4万円
早期審査(予備10営業日+本審査3か月、3区分まで)797,500約28万円
更新(10年、3区分まで)/追加区分218,835.42/33,013.39約7.7万円/1.2万円
第三者異議・拒絶への不服申立て37,052.69約1.3万円
不服申立期限の延長(1か月につき)10,098.22約3,500円
譲渡・ライセンスの登録(1件)/追加1件58,259.55/14,344.64約2.0万円/5,000円
出願書類の変更(1件)/登録簿抄本17,477.67/7,146.42約6,100円/2,500円
マドプロ国際出願の取次(1区分)/追加区分54,958.11/19,031.25約1.9万円/6,700円
マドプロでカザフスタンを指定(個別手数料、3区分まで+追加区分)CHF 255+76約4.7万円+1.4万円(基本手数料CHF 653は別)
マドプロ更新の個別手数料(3区分まで+追加区分)CHF 359+54約6.6万円+1.0万円
EUTM(参考)850ユーロ(1区分)カザフスタンには効力なし

※国立知的財産研究所「業務・サービス料金表」(2026年1月1日施行、法人向け列)とWIPO個別手数料表による。円換算はカザフスタン国立銀行の2026年10月19日公定相場(1円=2.86テンゲ、1米ドル=452.12テンゲ)から1テンゲ≒0.35円、1スイスフラン≒185円の概算。現地弁理士の費用は含みません(事務所により異なりますが、出願から登録までで10万〜20万円程度が一つの目安です。出典のない経験則としてご覧ください)。

マドプロでカザフスタンを指定する場合、カザフスタンは個別手数料を宣言しており、3区分までCHF 255、4区分目以降1区分CHF 76(団体商標はCHF 474+57)、更新はCHF 359+54です。日本の基礎出願からカザフスタン1か国だけを指定すると、基本手数料CHF 653(白黒)+個別手数料CHF 255+特許庁の手数料9,000円で3区分までCHF 908(約17万円)となり、国内出願の庁費用(約5.4万円)に現地弁理士費用を加えた額と比べてカザフスタン単独ではマドプロが割高です。一方、キルギス(個別手数料あり)、ウズベキスタン、ロシア、ベラルーシなどとまとめて指定する場合は、マドプロの一括管理の利点が生きます。マドプロ指定でも研究所は絶対的理由と先行商標を職権審査し、公告後2か月の第三者異議の対象にもなるため、暫定拒絶が出れば現地弁理士の選任が必要です。

6. 公告後2か月の異議と審判評議会:不服申立て3か月・前置主義

カザフスタンの異議制度は、日本の登録異議とは異なり出願段階、本審査の前に置かれています。予備審査を終えた出願は5営業日以内に公報に公告され(第11条の1)、公告から2か月以内に、利害関係人は第6条・第7条の拒絶理由を根拠に、研究所に対して異議(возражение против регистрации)を提出できます(第11条の2第1項)。2025年11月の法律第233-VIII号により、2026年1月25日から異議期間が従来の1か月から2か月に延びました。研究所は異議の受領から5営業日以内に写しを添えて出願人に通知し、出願人は通知の送付から3か月以内に書面で立場を表明できます(同条2・3項)。異議は独立の審判手続ではなく、審査官が異議と出願人の意見を考慮して専門意見を出す仕組みで(同条4項)、異議申立人は手続の当事者にはなりません。異議が受け入れられずに登録された場合、異議申立人は登録後に審判評議会への無効の申立て(第23条)で争うことになります。手数料は異議・不服とも37,052.69テンゲです。

審判評議会(Апелляционный совет)は司法省に置かれる合議体で、5人以上の奇数の委員(司法省と起業支援当局の代表を含み、弁理士と研究所職員は加われない)で構成され、審理はビデオ記録されます(第41条3〜6項)。審判評議会が扱うのは、①研究所の拒絶決定(国際登録の保護拒絶を含む)への不服、②地理的表示の拒絶への不服、③登録済み商標に対する無効の申立て(国際登録の無効を含む)、④地理的表示の登録への申立てで、これらの不服・申立ての審判評議会への前置は義務です(第41条2項)。拒絶への不服は最終意見の送付から3か月以内に申し立て(第12条5項)、審判評議会は受領から4か月以内(第12条5項。最長3か月延長可)に、無効の申立ては6か月以内(第23条4項)に審理し、認容、一部認容、審理拒否、棄却のいずれかを決定します(第41条の2第5項)。審判評議会は申立ての対象や理由を職権で変更できず、決定は10営業日以内に当事者に送付され、裁判所に提訴して争うことができます(同条7・9項)。実務では、審判評議会の決定を司法省の行政行為として専門区際行政裁判所(アスタナ)に提訴し、控訴審、最高裁判所の行政事件部へと進む事例が公表されています。出願人の不服申立てに対しては、審判評議会の決定を待たずに国内出願の審査が中断され(第13条7号)、2026年1月からは裁判所への提訴を理由とする中断も認められます。

手続 期限・内容(根拠条文)
第三者の異議(出願段階)公告から2か月、利害関係人、第6・7条を理由に研究所へ(第11条の2)。出願人の意見3か月。審査官が専門意見で判断
予備意見への反論拒絶・一部登録の予備的専門意見の送付から3か月(第12条2項)。研究所は3か月で最終意見
審判評議会への不服(拒絶)最終意見の送付から3か月(第12条5項)。前置必須(第41条2項)。審理4か月(延長3か月)。手数料37,052.69テンゲ
審判評議会への無効申立て相対的理由は登録から5年以内、絶対的理由・代理人の冒認・商号との抵触は期間制限なし(第23条)。審理6か月
審判評議会の決定への不服裁判所へ(第41条の2第9項)。実務では専門区際行政裁判所→控訴→最高裁判所
周知商標の認定司法省が認定(第18条の1)。周知商標は商品を問わず先行権利(第7条1項2号)

7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の回復

商標権は国家商標登録簿への記録日に発生し(第4条2項)、登録は出願日から10年間有効で、権利者が有効期間の最終年に申請すれば10年ごとに何度でも更新できます(第15条1・2項)。更新の記録は申請受領から10営業日以内に登録簿と登録証に反映されます。申請期限を過ぎた場合も、満了後6か月以内に権利者が申し立てれば期限が回復されます(同条3項)。更新料は3区分まで218,835.42テンゲで、満了後の割増規定は料金表上ありません。権利は登録証と登録簿抄本で証明され(第4条3項)、2018年改正以降は登録簿抄本が主たる証明書類です。消滅した商標と同一・類似の商標は、消滅から1年間は他人名義で登録できません(第17条)。登録後の手続として、名称・住所の変更などの登録簿の変更、譲渡(全部または一部の商品・役務について契約で可能。消費者に商品や製造者について誤認を生じさせる譲渡は不可。第21条1項)、ライセンス(ライセンス契約、フランチャイズ契約など。第21条2項)、質権があり、譲渡・ライセンスの登録は研究所が10営業日で処理します(料金58,259.55テンゲ)。ライセンス契約に期間の定めがない場合は5年と解されます。登録商標には「R」の記号またはカザフ語・ロシア語の「登録商標」の表示を付すことができ(第20条)、未登録の標章にこの表示を付して大きな損害を与えた場合は刑事罰の対象です(刑法222条2項)。

8. 不使用取消(3年・裁判所)と無効(審判評議会・5年)

商標権者には使用義務があり(第19条1項)、提訴日に先立つ3年間商標が使用されていない場合、利害関係人は裁判所に登録の取消を請求できます(第19条4項)。請求は登録証に記載された商品・役務の全部または一部について行えます。不使用期間はEU諸国やウクライナの5年より短い3年で、2018年改正までは審判評議会が審理していましたが、現在は裁判所の専属です。使用の証拠は、権利者または契約により使用権を得た者による商品・包装への付与、製造、輸入、保管、販売の申出、販売、役務の提供、広告、業務書類、インターネットでの使用などで、権利者が提出する証拠は請求で特定された期間に関するものでなければならず、裁判所は権利者の責めに帰さない事情による不使用の証拠を考慮します。2025年に公表されたLOGNEX事件(ロシアの在庫管理SaaS「МОЙ СКЛАД」をめぐる紛争)では、アスタナの区際民事裁判所が、使用義務は出願日ではなく登録日(2021年10月25日)から起算されるため提訴時点(2024年夏)で3年が経過しておらず、不使用取消は認められないと判断し、続く無効請求(誤認を理由とするもの)も、出願日前にカザフスタンの消費者が当該標章をロシア企業のものと認識していた証拠がないとして行政裁判所が棄却し、控訴審も維持しました。外国での知名度はカザフスタンに自動的には及ばず、先に国内出願した者が強いことを示す事例です。

無効(признание регистрации недействительной)は、第6条・第7条に違反して登録された商標について、審判評議会または裁判所が全部または一部を無効とするものです(第23条1項、第24条2項)。先行登録商標・周知商標・先行出願との抵触(第7条1項1〜3号)を理由とする無効は登録から5年以内に限られ、絶対的理由(第6条)や地理的表示との抵触、他人の意匠・著作物・氏名との抵触を理由とする無効は保護期間中いつでも請求できます。パリ条約同盟国の商標権者の代理人・代表者が無断で登録した商標は、権利者の許諾がない限り期間制限なく無効にでき(第23条2項)、商標より先にカザフスタンで排他権が生じた他人の商号と同一・類似の場合は、その法人が無効を申し立てられます(同条3項)。審判評議会は申立てから6か月以内に審理し、申立人と権利者が審理に参加できます(同条4項)。無効となった登録は研究所が登録簿から抹消して公告します(同条5項)。無効の申立ても審判評議会への前置が義務で(第41条2項3号)、その決定に不服があれば行政裁判所で争います。

日本企業の使い方:障害となる先行商標と冒認登録への対処

研究所は先行商標を職権で引用するため、使われていない先行登録が障害になる場合は、登録から3年が経過していることを確認したうえで裁判所に不使用取消を請求し、並行して審査の応答期限の延長(最長6か月)を使って自社出願を維持します。現地の販売代理店が自社ブランドを勝手に登録した場合は、第23条2項の代理人の冒認を理由とする無効を審判評議会に申し立てられ、期間制限はありませんが、代理関係の立証が必要です。LOGNEX事件が示すとおり、外国での知名度や周知性の主張は出願日前のカザフスタン国内での認知の証拠がなければ通らないため、進出前に自社名義で出願しておくことが最も確実な対策です。

9. EAEU商標とユーラシア域内消尽:2021年発効の条約と未稼働の制度

カザフスタンはロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギスとともにユーラシア経済連合(EAEU)の加盟国で、2020年2月3日に署名された「EAEUの商標、サービスマークおよび原産地名称に関する条約」が2021年4月26日に発効しました(EAEU経済委員会)。条約は「EAEU商標」の概念を創設し、加盟国のいずれかの特許庁に1件の出願をすれば5か国すべてで保護が得られる「ワンストップ」方式と、EAEU公式サイト上の統一登録簿の整備を定め、2021年5月18日にEAEU経済委員会理事会が実施細則(出願方式、審査、登録、統一登録簿、各国庁の情報連携、手数料率)を承認しました。しかし、5か国の特許庁をつなぐ情報システムの構築が長引き、2026年7月14日にEAEU経済委員会が出願のライフサイクル(提出、登録、拒絶、取下げ、国内出願への転換など)に関する参照表を決定第86〜90号で承認した段階で、現地専門家の報告によれば2026年10月時点でもEAEU商標の出願受付は始まっておらず、開始日も発表されていません。したがって、カザフスタンを含むEAEU域内の保護は、当面は各国の国内出願またはマドプロの個別指定で手当てする必要があります。

一方、EAEUの枠組みはすでに消尽と税関の面でカザフスタンの実務に影響しています。商標法第43条の1は、EAEU加盟国のいずれかの領域で権利者またはその同意を得た者が適法に流通に置いた商品について商標を使用することは権利侵害にならないと定めており(2018年改正で明文化)、ロシアやベラルーシで正規に販売された商品をカザフスタンに持ち込む並行輸入は商標権では止められません。逆に、EAEU域外(日本、EU、中国など)で販売された商品の無断輸入は、域内消尽の対象外として商標権で差し止める余地があります。税関では、EAEU経済委員会が管理するEAEU統一税関登録簿と各国の税関登録簿が並存し(関税規制法典第459・460条)、カザフスタンの税関はいずれかに登録された商標について通関停止の措置を取ります。EAEU経済委員会の2025年の執行状況報告によると、加盟5か国で2025年に記録された知的財産権侵害は1,782件、うち商標権侵害が85.6%(1,525件)で、摘発された模倣品は950万点を超え、衣料・靴、家電・電子機器、玩具、自動車部品、酒類が中心でした。

10. 侵害訴訟:専門経済裁判所・行政裁判所と2024年の訴訟447件

商標法第42条は、裁判所が扱う紛争として、①登録証発行の適法性、②不使用による登録の取消、③商標権・地理的表示使用権の侵害、④ライセンス契約の締結・履行、⑤周知商標認定の適法性、⑥周知商標と抵触する登録の取消、⑦その他登録証に基づく権利の保護に関する紛争を列挙し、②③④⑦は当事者の合意で仲裁・調停に付すことができます。研究所の決定に対する訴えは審判評議会の審理を経た後でなければ提起できません(同条1項末尾)。カザフスタンには知的財産専門裁判所はなく、民事訴訟法第27条により、当事者が法人または個人事業主であれば専門区際経済裁判所(СМЭС)が、個人が当事者であれば地区裁判所が第一審です。審判評議会の決定など司法省の行政行為に対する訴えは、2021年施行の行政手続・行政訴訟法典の下で専門区際行政裁判所が扱い、控訴審を経て最高裁判所の行政事件部に至ります。現地法律事務所の集計では、2024年に第一審の民事裁判所に提起された商標関係の訴訟は447件で前年の3.7倍、過去10年で最多でした。

侵害は、権利者の同意なく商標または混同を生じるほど類似する標章を付した商品を流通に置くこと、商品・包装・看板・ラベルへの付与、製造、使用、輸入、保管、販売の申出、販売、広告・インターネットでの使用などで(第43条1項)、権利者は侵害の即時停止と損害賠償を請求でき(第44条1項)、侵害品と包装は模倣品(контрафактные)として、裁判所の決定により流通から排除され、権利者の請求で廃棄されます(同条3項。公共の利益のために流通が必要な場合を除く)。権利者は模倣品からの標章の除去を求めることもでき(同条4項)、2018年改正で導入された補償金(компенсация)は、侵害の事実が証明されれば損害賠償に代えて請求でき、裁判所が侵害の性質と原商品の市場価格などを考慮して額を定めます(同条6項)。実務では、裁判所が選任する言語学・商標の鑑定人の意見が類否判断の中心になり、仮処分(差押え、販売禁止)も民事訴訟法の一般規定で申し立てられます。侵害訴訟と並行して、反独占庁への不正競争の申立て、行政違反法典158条の行政手続(警察・司法省)、刑法222条の告訴を組み合わせるのが一般的です。

裁判例:LOGNEX事件(2024〜2025年)が示す「先願主義」の重さ

ロシアで在庫管理SaaS「МОЙ СКЛАД(私の倉庫)」を長年提供してきたLOGNEX社は、カザフスタンの個人事業主が2021年1月に出願し同年10月に登録した同名商標(登録第75601号)に対し、2024年に不使用取消、2025年に誤認を理由とする無効、さらに控訴と3つの手続を試みましたが、いずれも認められませんでした。アスタナ区際民事裁判所は使用義務の起算点は登録日であり3年が経過していないと判断し、専門行政裁判所は鑑定で称呼・観念の類似と役務の重複を認めつつも、出願日前にカザフスタンの消費者がLOGNEXの標章として認識していた証拠がないとして無効を否定、アスタナ控訴裁判所も維持しました。和解交渉では先行登録者側が約17.6万ユーロ相当を提示したと報じられています。外国での評判は自動的にはカザフスタンに及ばず、進出前の自社名義出願が最も確実な防御である、という教訓です。

11. 刑事罰・行政罰:刑法222条と行政違反法典158条

商標侵害の刑事罰は刑法第222条「商標、サービスマーク、商号、地理的表示および原産地名称の違法使用」が定め、2022年6月の改正で現在の形になりました。他人の商標等または類似標章を同種の商品・役務に違法に使用して大きな損害(крупный ущерб)を与えた者は、80МРП(月次計算指標)以下の罰金、同額の矯正労働、80時間以下の社会奉仕、または20日以下の拘留に処せられ(1項)、カザフスタンで未登録の商標に登録表示を付して大きな損害を与えた場合も同じです(2項)。初犯で損害を自主的に賠償した者は刑事責任を免除されます(注記)。刑法第3条38号により、第222条の「大きな損害」は個人に対しては200МРП、組織・国家に対しては2,000МРPを超える損害で、2026年のМРПは4,325テンゲ(2026〜2028年共和国予算法第7条)ですから、個人に86.5万テンゲ(約30万円)、法人に865万テンゲ(約300万円)超の損害が立件の要件、罰金の上限は34.6万テンゲ(約12万円)です。刑事手続は商業規模の模倣品に対する抑止力としては弱く、むしろ捜査に伴う押収と廃棄に実務上の意味があります。

刑事の要件に満たない侵害は行政違反法典第158条の対象で、他人の商標・サービスマーク・地理的表示・原産地名称または混同を生じるほど類似する標章を同種の商品・役務に違法に使用した者(消尽の場合を除く)に、個人20МРП(86,500テンゲ)、小規模事業者・非営利組織30МРП(129,750テンゲ)、中規模事業者40МРП(173,000テンゲ)、大規模事業者80МРП(346,000テンゲ)の罰金と模倣品の没収が科され、没収品は原則として廃棄されます(2025年1月の法律第155-VIII号で条文名を改正)。2025年にはこの条文で303件が立件され、294人に合計3,280万テンゲの罰金が科され、205,222点が押収されました(国民経済省の議員質問への回答、2026年3月)。司法省の知的財産権部門と地方司法局が検査と行政手続を担い、2025年は318件の検査で293件の違反を摘発しています。ロシアからのウクライナ侵略後にEAEU域内で模倣品の流通が増えたことを受け、業界団体は罰則の強化とオンライン販売の規制を提案しています。

12. 税関と模倣品対策:税関登録簿・賠償責任保険・2025年の押収20.5万点

国境措置は関税規制法典(2017年12月26日法典第123-VI号)第198・199条と第458〜464条が定め、EAEU関税法典の枠組みに沿っています。権利者は財務省国家歳入委員会(КГД)が管理するカザフスタン税関登録簿(第460条)またはEAEU統一税関登録簿(第459条、EAEU経済委員会が管理)に商標を登録でき、登録手数料は不要ですが、申請には権利の証明、委任状、真正品と模倣品の識別情報、申告者等への損害賠償義務の誓約と、保険金額1,000МРП(2026年は432.5万テンゲ、約150万円)以上の賠償責任保険契約の添付が必要です(第461条4項)。国家歳入委員会は20営業日(延長20営業日)以内に登録を決定し、保護期間は権利の残存期間の範囲で最長2年ずつ何度でも延長できます(第464条)。2025年4月14日からは申請と審査が税関情報システム「Keden」に一本化されました。

登録簿に記載された商標を含む貨物について侵害の兆候があれば、税関は通関を10営業日停止し、権利者の申請でさらに10営業日延長できます(第198条)。税関は停止の翌営業日までに申告者と権利者に通知し、権利者が期間内に侵害訴訟の受理を示す裁判所の決定を提出しなければ通関が再開されます(同条6・8項)。登録簿に未登録の商標についても、税関は職権で3営業日通関を停止でき、権利者が延長を申請すれば最初の停止から10営業日まで延長されます(第199条)。停止で申告者に生じた損害は、侵害が認められなかった場合に権利者が賠償します(第198条7項)。簡易廃棄手続はなく、模倣品の処分は民事・行政・刑事の各手続の結果によります。国家歳入委員会の2025年の年間統計は公表されていませんが、国民経済省によると2023〜2025年に税関が対外経済活動の参加者に対して行政違反法典158条で作成した調書は41件で、EAEU全体では2025年に950万点超の模倣品が摘発されています。税関登録には保険の手当てが必要なため、登録弁理士を通じて保険会社と契約し、Kedenで申請する段取りを、商標登録と並行して進めておくことを勧めます。

執行手段 根拠・機関 特徴・数字
税関の国境措置関税規制法典第198・199・458〜464条。国家歳入委員会(Keden)、EAEU統一登録簿登録無料だが賠償責任保険1,000МРП以上が必要。停止10営業日+10、職権3営業日。保護期間2年ごと更新
民事商標法第42〜44条。専門区際経済裁判所(事業者間)・地区裁判所差止め、損害賠償または補償金、模倣品の流通排除・廃棄。2024年の商標訴訟447件
不使用取消・無効商標法第19条4項(裁判所)、第23条(審判評議会・裁判所)不使用3年。相対的理由の無効は登録から5年以内。審判評議会の前置が必須
刑事刑法第222条。警察・検察・地区裁判所罰金80МРП(346,000テンゲ)以下など。大きな損害(個人200МРП、法人2,000МРП超)が要件
行政罰行政違反法典第158条。司法省・警察・裁判所罰金20〜80МРПと没収・廃棄。2025年は303件立件、罰金3,280万テンゲ、押収205,222点
不正競争企業家法典。競争保護発展庁他人の標章の無断使用を不正競争として審決。行政罰と併用

13. マドプロとの使い分けと日本企業の実務ポイント

カザフスタンで商標を保護するルートは国内出願とマドプロ指定の2つで、EUTMは使えず、EAEU商標制度は条約発効から5年を経ても出願受付が始まっていません。カザフスタン単独なら、庁費用約5.4万円に現地弁理士費用を加えた国内出願のほうが、マドプロ(個別手数料CHF 255+基本手数料CHF 653)より安く、職権審査で先行商標が引用された場合の同意書交渉や商品の限定も設計しやすいのが実情です。中央アジア・コーカサス諸国(ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンなど)やロシア・ベラルーシとまとめて保護する場合は、マドプロの一括管理が有利です。EAEU商標制度が稼働すれば、5か国を1件で保護できる第三のルートになるため、開始時期の動向を注視します。

実務上の留意点を挙げます。第一に、先願の重さです。LOGNEX事件が示すとおり、外国での知名度は国内での認知の証拠がなければ考慮されず、不使用取消は登録から3年経たないと使えません。進出や代理店契約の前に、ラテン文字の原表記とロシア語・カザフ語のキリル文字表記を自社名義で出願しておきます。第二に、EAEU域内消尽(第43条の1)です。ロシアやベラルーシで正規に販売された自社商品がカザフスタンに並行輸入されても商標権では止められないため、域内の価格・流通政策と契約で管理します。域外からの並行輸入は商標権で争う余地があります。第三に、代理店の冒認です。パリ条約同盟国の権利者の代理人による無断登録は期間制限なく無効を申し立てられますが(第23条2項)、代理関係の立証が必要なので、代理店契約に商標の帰属条項と出願禁止条項を入れます。第四に、税関登録です。無料ですが1,000МРП以上の賠償責任保険が必要で、Kedenシステムで申請します。EAEU統一登録簿への登録は、カザフスタン以外の加盟国での保護も得られる反面、EAEU経済委員会への申請が必要です。第五に、使用証拠と更新期限です。不使用期間は3年と短いため、カザフスタン向けの請求書、広告、ウェブサイトの記録を保存し、更新は最終年に申請します(満了後6か月の回復は可能)。第六に、異議期間の変更です。2026年1月25日から公告後の異議期間が2か月になったため、公報監視の体制を見直し、競合の出願に対して早期に異議を出せるようにしておきます。

比較項目 カザフスタン国内出願 マドプロでカザフスタン指定 EAEU商標(未稼働)
庁費用(3区分)審査117,812.50+登録37,849.64テンゲ(約5.4万円)個別手数料CHF 255(基本手数料CHF 653は別、約17万円)2021年5月にEAEU理事会が手数料率を承認、各国法で設定。出願受付は未開始
審査絶対的理由+相対的理由を職権審査、公告後2か月の第三者異議、同意書可同じ。暫定拒絶は登録弁理士で対応受付庁が5か国の庁と連携して審査(条約・実施細則)
代理人外国人はカザフスタン国籍の登録弁理士が必須出願時は不要、暫定拒絶・異議・不服で必要未定
存続期間・使用義務出願日から10年。提訴前3年の不使用で取消(裁判所)国際登録日から10年。不使用は国内法で判断条約上10年
向いている場合カザフスタン単独、先行商標との調整、キリル文字表記の追加中央アジア・ロシア・コーカサスをまとめて指定稼働後にEAEU5か国を一括保護したい場合

マドプロの制度全体や費用の考え方は国際商標出願(マドプロ)の解説記事を、EUTMの制度は欧州連合商標(EUTM)の解説記事をあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 登録までどのくらいかかりますか?

法定の審査期間は予備審査が出願から1か月、本審査が出願から7か月で、公告後2か月の異議期間と登録決定後3か月以内の登録料納付を含めると、拒絶理由や異議がなければ出願から9〜12か月程度が目安です。追加料金(3区分で797,500テンゲ)を払えば、予備審査10営業日・本審査3か月の早期審査が使えます。拒絶の予備意見が出れば、反論3か月と最終意見3か月、審判評議会への不服申立て(審理4か月)でさらに延びます。

Q2. 国立知的財産研究所は先行商標を調べてくれますか?

はい。本審査で第7条の先行登録商標・先行出願・周知商標との抵触を職権で審査し、抵触があれば拒絶の予備意見が通知されます。法文上、先行権利者の書面による同意(法人は社用箋と押印、個人は公証)があれば登録が認められるのがカザフスタンの特徴です。出願前に研究所のデータベースでラテン文字・キリル文字の両方を調査することをおすすめします。

Q3. 現地代理人は必要ですか?

カザフスタン外に住所・本拠を持つ日本企業は、カザフスタン国籍の登録弁理士(патентный поверенный)を通じてのみ司法省・研究所と手続できます(第46条5項)。マドプロ指定なら出願時は不要ですが、暫定拒絶や異議、審判評議会への不服申立てでは選任が必要です。委任状は私署で足り、公証・認証は不要です。

Q4. EAEU商標を1件取れば5か国で保護されますか?

制度としては2021年4月26日発効のEAEU商標条約がそれを予定していますが、5か国の特許庁をつなぐシステムの整備が続いており、2026年10月時点で出願受付は始まっていません(2026年7月にEAEU経済委員会が出願データの参照表を承認した段階です)。当面はカザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギスそれぞれの国内出願かマドプロ指定で保護します。EUTMの効力もカザフスタンには及びません。

Q5. 使われていない他社の登録が障害になっています。どうすればよいですか?

登録から3年を過ぎていれば、裁判所に不使用取消の訴えを起こせます(第19条4項)。審判評議会の手続はなく、使用の立証責任は権利者側にあり、取消は提訴前3年の不使用が要件です。LOGNEX事件のように登録から3年未満では請求できないため、時期を確認したうえで、審査の応答期限の延長(最長6か月)と組み合わせて進めます。先行権利者の同意書で登録する道もあります。

Q6. 模倣品が見つかった場合、まず何をすべきですか?

輸入段階なら、国家歳入委員会の税関登録簿に登録しておき(1,000МРP以上の賠償責任保険が必要)、通関停止の通知から10営業日以内に裁判所へ侵害訴訟を提起して受理決定を税関に提出します。国内で流通している場合は、司法省・警察への行政違反法典158条の申立て(罰金と没収・廃棄)、専門区際経済裁判所への差止め・補償金請求、損害額が大きければ刑法222条の告訴を組み合わせます。ロシアなどEAEU加盟国で正規に販売された真正品の並行輸入は、域内消尽により商標権では止められません。

Q7. 費用の総額はどのくらいですか?

3区分(各区分10品目まで)の場合、庁費用は出願・審査117,812.50テンゲ+登録・証書・公告37,849.64テンゲの合計約155,660テンゲ(約5.4万円)です。4区分目以降は1区分あたり約46,180テンゲ(審査34,994+登録11,186)が加わり、1区分に11品目以上を記載すると1品目1,950テンゲの加算があります。これに現地弁理士の費用(事務所により異なり、出願から登録まで10万〜20万円程度が目安)が加わり、拒絶理由対応や異議があれば別途かかります。10年後の更新は218,835テンゲです。

まとめ

カザフスタンの商標制度は、1999年商標法の下で司法省傘下の国立知的財産研究所Qazpatentが絶対的理由と先行商標の両方を職権審査し、公告後2か月の第三者異議(2026年1月から)と司法省審判評議会への前置手続を経て争う仕組みです。費用は研究所のサービス料金で3区分の出願から登録まで約5.4万円と中央アジアでは手頃で、法定の審査期間は7か月、早期審査もあります。存続期間は出願日から10年、不使用取消は3年で裁判所、相対的理由の無効は登録から5年以内で、先行権利者の同意書が明文で認められる一方、LOGNEX事件が示すように外国での知名度は国内の先願に勝てません。EAEU域内消尽によりロシア経由の並行輸入は商標権で止められず、EAEU商標制度は2026年10月時点で未稼働、税関登録には1,000МРP以上の賠償責任保険が必要です。刑事罰は罰金中心で、行政違反法典158条(2025年に303件立件)と民事の補償金請求が執行の軸になります。EUTMの効力が及ばないため、国内出願かマドプロ指定(個別手数料CHF 255)で、キリル文字表記と代理店対策を含めて早めに手当てすることが実務のポイントです。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

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出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。

法令(法令ポータルӘділет)

  1. 商標、サービスマーク、地理的表示および原産地名称に関する法律(1999年7月26日法律第456-I号、2026年1月25日施行の法律第233-VIII号による改正を含む現行版)/二層構造と料金(第3・3条の1・45条)、権利の発生と証明(第4条)、標章(第5条)、絶対的理由(第6条)、相対的理由と同意書(第7条)、単独出願(第8条)、優先権(第10条)、審査期間と早期審査(第11条)、出願公告(第11条の1)、2か月の第三者異議(第11条の2)、予備意見・反論・最終意見・登録料3か月・審判評議会への不服3か月(第12条)、出願人の権利と期限延長(第13条)、登録簿(第14条)、存続期間と更新・回復(第15条)、公告(第16条)、再登録の1年制限(第17条)、使用義務と不使用取消3年(第19条)、登録表示(第20条)、譲渡・ライセンス・登録(第21条)、無効の理由と期間・審判評議会6か月(第23条)、登録の終了・無効(第24条)、審判評議会の権限・構成・前置義務(第41条)、審理手続(第41条の1・41条の2)、裁判所が扱う紛争と仲裁(第42条)、侵害の定義(第43条)、EAEU域内消尽(第43条の1)、救済と補償金・模倣品の廃棄(第44条)、弁理士と外国人の代理義務(第46条)、外国人の権利(第48条)の根拠。
    https://adilet.zan.kz/rus/docs/Z990000456_
  2. 刑法典(2014年7月3日法典第226-V号)第222条・第3条38号/商標等の違法使用の罰則(罰金80МРП以下、矯正労働、社会奉仕80時間以下、拘留20日以下)、初犯の免責、「大きな損害」の基準(個人200МРП、組織・国家2,000МРП)の根拠。
    https://adilet.zan.kz/rus/docs/K1400000226
  3. 行政違反法典(2014年7月5日法典第235-V号)第158条/他人の商標等の違法使用に対する罰金(個人20、小規模30、中規模40、大規模80МРП)と没収・廃棄、消尽の除外、2025年法律第155-VIII号による改正の根拠。
    https://adilet.zan.kz/rus/docs/K1400000235
  4. 関税規制法典(2017年12月26日法典第123-VI号)第198・199条、第458〜464条/登録簿に基づく通関停止10営業日+10営業日・通知・賠償(第198条)、未登録商標の職権停止3営業日と延長(第199条)、EAEU統一登録簿(第459条)、国内登録簿(第460条)、申請書類・賠償誓約・1,000МРП以上の賠償責任保険・審査20営業日(第461条)、延長(第462条)、除外(第463条)、保護期間2年ごとの更新(第464条)の根拠。
    https://adilet.zan.kz/rus/docs/K1700000123
  5. 民事訴訟法典(2015年10月31日法典第377-V号)第27条/事業者間の財産・非財産紛争についての専門区際経済裁判所の管轄の根拠。
    https://adilet.zan.kz/rus/docs/K1500000377

国立知的財産研究所(Qazpatent)・政府・EAEU経済委員会の資料

  1. 国立知的財産研究所「業務・サービス料金表」(2026年1月1日施行、VAT16%込み)/出願・予備審査31,718.75、本審査86,093.75、追加区分14,821.06+20,173.13、追加品目700+1,250、登録・証書・公告37,849.64(追加区分11,185.72)、早期審査797,500(212,942.86+584,557.14)、更新218,835.42(追加33,013.39)、異議・不服37,052.69、期限延長10,098.22、変更17,477.67、譲渡・ライセンス登録58,259.55(追加14,344.64)、国際出願取次54,958.11(追加19,031.25)、登録簿抄本7,146.42、法人・中小企業・個人の3段階料金の根拠。
    https://kazpatent.kz/storage/app/media/Tarify%2001.01.2026/tarify-s-nds-16.pdf
  2. 国立知的財産研究所「Годовой отчет 2024」(2024年年次報告)/2020〜2024年の商標出願(合計19,762、国内14,188:国内出願人11,703・外国2,485、マドプロ5,574)、登録(14,105:国内9,105=6,586+2,519、マドプロ5,000)、外国出願人の国別(中国614、ロシア574、米国235、韓国163、UAE146、日本61、英国60、インド58、スイス56、トルコ46)、日本の出願人の出願・登録、保護文書16,220件の根拠。
    https://kazpatent.kz/storage/app/media/Godovoi_otchet_2024.pdf
  3. 国立知的財産研究所トップページ(Qazpatent)/2026年10月1日時点の有効な商標85,710件、法律第233-VIII号の2026年1月25日施行の案内、所在地(アスタナ、マンギリク・エル大通り57A)の根拠。
    https://kazpatent.kz/ru
  4. 国立知的財産研究所「Что такое товарный знак」(商標の概要ページ)/研究所が国家独占主体として行う業務(出願受付・審査、国際出願、登録簿、変更、更新、契約登録、公報)の根拠。
    https://kazpatent.kz/ru/ip-objects/trademark/general-information/what-trademark
  5. Tengrinews「Утвержден новый МРП на 2026 год в Казахстане」(2025年12月)/2026年のМРПが4,325テンゲ(2026〜2028年共和国予算法第7条)であることの根拠。
    https://tengrinews.kz/kazakhstan_news/utverjden-novyiy-mrp-na-2026-god-v-kazahstane-586608/
  6. Kazinform「Контрафакт на 17 млн тенге изъяли в Казахстане в 2025 году」(2026年3月12日、国民経済省の議員質問への回答)/2025年の検査318件・違反293件、行政違反法典158条の立件303件、294人への罰金3,280万テンゲ、押収205,222点の根拠。
    https://www.inform.kz/ru/kontrafakt-na17mln-tenge-izyali-vkazahstane-v2025-godu-363ef3
  7. Zakon.kz「Товары на 8 млрд тенге контрабандой ввезли в Казахстан за 3 года」(2026年3月12日)/2023〜2025年に税関が対外経済活動の参加者に対して行政違反法典158条で作成した調書41件、2025年の押収205,222点の根拠。
    https://www.zakon.kz/sobytiia/6510726-tovary-na-8-mlrd-tenge-kontrabandoy-vvezli-v-kazakhstan-za-3-goda.html
  8. Forbes Kazakhstan「Контрафакт в Казахстане: в профильной ассоциации подсчитали оборот」(2026年7月20日)/模倣品の流通額が年間約6,000億テンゲ(小売売上高の2.3%)とする業界団体の推計の根拠。
    https://forbes.kz/articles/kontrafakt-v-kazahstane-v-profilnoy-assotsiatsii-podschitali-oborot
  9. EAEU経済委員会「Вступил в силу Договор о товарных знаках ЕАЭС」(2021年4月27日)/2020年2月3日のEAEU商標条約が2021年4月26日に発効したこと、EAEU商標の概念、ワンストップ方式、統一登録簿の根拠。
    https://eec.eaeunion.org/news/vstupil-v-silu-dogovor-o-tovarnyh-znakah-eaes/
  10. EAEU経済委員会「Определены правила реализации Договора о товарных знаках ЕАЭС」(2021年5月18日)/EAEU経済委員会理事会による実施細則と手数料率の承認、各国法での手数料設定の根拠。
    https://eec.eaeunion.org/news/opredeleny-pravila-realizatsii-dogovora-o-tovarnyh-znakah-eaes/
  11. Хусаинов, Хомяков и Партнеры「Единый товарный знак ЕАЭС: утверждены справочники для цифровой системы регистрации」(2026年7月28日)/2026年7月14日のEAEU経済委員会決定第86〜90号(出願ライフサイクルの参照表)と、EAEU商標の出願受付が未開始で開始日未発表であることの根拠。
    https://khp.legal/tpost/1xeb8e6301-edinii-tovarnii-znak-eaes-utverzhdeni-sp
  12. ТКС.ру「В странах ЕАЭС за год выявили более 9,5 млн единиц контрафактных товаров」(2026年9月28日、EAEU経済委員会の2025年執行状況報告)/EAEU5か国の2025年の知財侵害1,782件、商標侵害85.6%(1,525件)、模倣品950万点超、主な品目の根拠。
    https://www.tks.ru/crime/2026/09/28/03/v-stranah-eaes-za-god-vyiyavili-bolee-9-5-mln-edinits-kontrafaktnyih-tovarov/
  13. カザフスタン国立銀行(NBK)公定為替相場/2026年10月19日の相場(1円=2.86テンゲ、1米ドル=452.12テンゲ、1ユーロ=508.95テンゲ)による換算の根拠。
    https://nationalbank.kz/rss/get_rates.cfm?fdate=19.10.2026

WIPO・外務省・専門家の解説

  1. WIPO Lex「Kazakhstan – Treaties」(条約加盟情報)/マドリッド協定(1991年12月25日発効、1993年2月16日継続適用宣言)、マドリッド議定書(2010年9月8日加入、12月8日発効)、ニース協定(2002年4月24日)、商標法条約(2002年11月7日)、シンガポール条約(2012年9月5日)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?code=KZ
  2. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/カザフスタンの個別手数料(出願CHF 255(3区分まで)+76、団体商標CHF 474+57、更新CHF 359+54)の根拠。
    https://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html
  3. WIPO「Statistical Country Profile: Kazakhstan」(2024年データ)/区分数ベースの出願50,911件(居住者64.1%)、非居住者分のロシア27.1%・中国17.2%、有効商標152,512件(区分数ベース)の根拠。
    https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/kz.pdf
  4. 外務省「カザフスタン共和国 基礎データ」(令和8年10月5日更新)/面積、人口約2,080万人、GDP3,000.5億米ドル、EAEU加盟、2025年の対日貿易(輸出1,337.99億円・輸入1,111.37億円)、直接投資残高56.9億米ドル、在留邦人152人、投資協定(2015年10月発効)、2025年12月のトカエフ大統領の「中央アジア+日本」首脳会合出席の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kazakhstan/data.html
  5. PETOŠEVIĆ「Kazakhstan Amends Several Key IP Acts」(2025年11月)/2025年11月24日署名・2026年1月25日施行の法律第233-VIII号の概要の根拠。
    https://www.petosevic.com/node/4921
  6. AIPPI「Kazakhstan Amends Several Key IP Acts」(2026年4月27日、CWB寄稿)/予備審査10営業日、本審査3か月、異議期間1か月→2か月、裁判所への提訴による中断、期日延期の申立権の拡大の根拠。
    https://www.aippi.org/news/kazakhstan-amends-several-key-ip-acts/
  7. PETOŠEVIĆ「Significant Amendments Introduced to Kazakhstan Trademark Law」(2018年改正の解説)/EAEU域内消尽の導入、自然人名義の登録、共同出願の禁止、登録証から登録簿抄本への移行、INNの不登録、同意書による登録、不使用取消・異議の前置の根拠。
    https://www.petosevic.com/node/3234
  8. AGIP「Kazakhstan Introduces Significant Changes to TM Legislation」(2018年9月)/法律第161-VI号による審査期間の短縮、出願公告、委任状の写し、ライセンス等の登録10営業日、不使用取消の裁判所への移管の根拠。
    https://www.agip.com/News/en/news/16663
  9. Kluwer Trademark Blog「Pirate or Not? Non-Use, Invalidity, and the Question of Trademark Squatting in Kazakhstan」(2025年11月25日)/LOGNEX事件(登録第75601号、アスタナ区際民事裁判所の不使用取消棄却、専門行政裁判所の無効棄却、控訴審維持、使用義務の起算点が登録日であること、和解交渉)の根拠。
    https://legalblogs.wolterskluwer.com/trademark-blog/pirate-or-not-non-use-invalidity-and-the-question-of-trademark-squatting-in-kazakhstan/
  10. SD Legal Pro「Судебные споры по товарным знакам в Казахстане」(2026年6月4日)/2024年に第一審民事裁判所に提起された商標関係訴訟447件(前年比3.7倍)の根拠(法律事務所の集計)。
    https://sdlegalpro.kz/spory-tovarnye-znaki-kazahstan/

※本記事の情報は2026年10月時点のものです。国立知的財産研究所の料金は毎年改定され、EAEU商標制度の開始時期は未定のため、実際の出願にあたっては研究所の最新情報と現地弁理士の確認をおすすめします。円換算は1テンゲ≒0.35円、1米ドル≒158円、1スイスフラン≒185円の概算です。