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OAPI(アフリカ知的財産機関)商標制度の実務ガイド|1件の出願で17か国に単一の登録・バンギ協定2015年改正の附属書III(2022年1月発効)・審査は絶対的理由のみで公告後3か月の異議と所有権主張が勝負・出願36万FCFA(1区分)+追加区分7.5万・不使用取消は5年で1か国の使用で足りる・マドプロ指定可だが批准論点で直接出願が主流・無効と侵害は17か国の裁判所を弁理士が徹底解説
OAPI(Organisation Africaine de la Propriété Intellectuelle、アフリカ知的財産機関)は、西アフリカ・中部アフリカのフランス語圏を中心とする17か国(ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コモロ、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、赤道ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、チャド、トーゴ)が加盟する広域知的財産庁で、本部はカメルーンの首都ヤウンデにあります。加盟国には国内の商標登録庁がなく、OAPIへの1件の出願が自動的に17か国すべてに及ぶ単一の登録となる点で、指定国を選ぶ欧州連合商標(EUTM)やマドリッド制度とも、加盟国を個別に指定するARIPO(アフリカ広域知的財産機関)とも異なる、世界でも珍しい仕組みです。
制度の根拠は1977年3月2日のバンギ協定(Accord de Bangui)で、1999年2月24日の改正を経て、2015年12月14日にマリのバマコで採択された改正協定(バマコ改正)が現行法です。商標を定める附属書III(Annexe III)は2022年1月に発効し、音の商標や視聴覚商標の導入、商品と役務を1件の出願にまとめる多区分出願、出願公告後3か月の異議申立て、先使用者による「所有権主張」など、手続が大きく変わりました。2024年6月からは電子出願も始まっています。本記事では、OAPIの公式手数料表、バンギ協定2015年改正法の英訳・日本特許庁の和訳、WIPOの統計とマドリッド制度の通知、現地事務所の実務報告を照合し、日本企業がOAPIで商標を取得・維持・行使するために必要な事項を弁理士が解説します。
この記事のポイント
- 根拠法はバンギ協定(1977年3月2日、1999年2月24日改正、2015年12月14日バマコ改正)とその附属書III「商標及び役務商標」(2022年1月発効)。協定と附属書は各加盟国の国内法として直接適用され(協定第5条)、OAPIが17か国すべての「国内特許庁」を務める(第3条)。1件の登録が17か国全体に効力を持ち、国ごとの指定や国内手続はない。
- OAPIは方式と絶対的拒絶理由(識別力、公序良俗、誤認、国章等)のみを審査し(附属書III第18条)、先行商標との抵触は出願公告から3か月の異議申立て(第15条、17万FCFA)と、先使用者による所有権主張(第16条、17万FCFA)で争う。異議の決定とOAPIの拒絶決定への不服は審判高等委員会(Commission Supérieure de Recours)へ60日以内(審判手数料96万FCFA)。
- 公式手数料は出願・公告が1区分36万FCFA、2区分目から1区分7.5万FCFA(優先権主張は1件7.5万FCFA)。3区分で51万FCFA(約13.7万円)、登録料は別途かからない。更新は1区分50万FCFA+追加区分10万FCFA、遅延割増13万FCFA。FCFAはユーロに固定(1ユーロ=655.957FCFA)で、本記事では1FCFA≒0.27円(2026年10月29日の欧州中央銀行レート)で換算した。
- 存続期間は出願日から10年で、更新は満了前1年以内、満了後6か月の猶予期間は割増付き(第22条・第24条)。不使用取消は請求前5年間の継続不使用が要件で、加盟国のいずれか1か国での使用で足りる(第27条)。無効・取消はOAPIではなく加盟国の国内裁判所が判断し、使用の立証責任は権利者にある。
- マドリッド議定書でOAPIを指定できる(2015年3月5日発効、拒絶通報期間18か月、個別手数料は2026年4月12日から1区分503スイスフラン・追加区分105スイスフラン)。2015年改正でバンギ協定本体(第9条・第11条)と附属書III(第25条)に国際登録の効力が明記されたが、加盟国の批准状況を理由に重要案件はOAPIへの直接出願を勧める現地事務所が多い。
- 侵害への救済は加盟国の国内裁判所で、仮処分(一方的手続を含む)と差押え、損害賠償(逸失利益・侵害者の利益・精神的損害を考慮)、廃棄・判決公表を請求できる。刑事罰は500万〜3,000万FCFAの罰金と3か月〜2年の拘禁(再犯は倍増)、民事の時効は5年。税関は申立てまたは職権で留置でき、権利者は10営業日(生鮮品3営業日)以内に提訴または仮処分が必要。
- OAPIへの商標出願は年間6,000〜7,000件(2024年6,854件、登録6,917件)で、日本からの出願は年50〜70件。外国出願人が区分数ベースで約3分の2を占める。日系企業の拠点はコートジボワール20社、セネガル24社、カメルーン7社(2024年10月、外務省)。域外の出願人はOAPI認定代理人を通じた出願が必須で、2026年3月2日付の通達第004号でも改めて徹底された。
目次
- OAPI商標制度の全体像:バンギ協定(1977年・1999年・2015年改正)と附属書III(2022年1月発効)、17加盟国に単一の登録、OAPIが各国の特許庁
- 市場環境と統計:年間出願6,000〜7,000件、日本からは年50〜70件、外国出願人が約3分の2、商標公報は2週間に1回
- 保護対象と拒絶理由:音・視聴覚・連続標章も可、団体商標と団体証明商標、絶対的理由は職権審査、先行商標は異議と所有権主張で争う、周知商標
- 出願手続の流れ:OAPI本部または各国の担当省へ、認定代理人が必須、電子出願(2024年6月〜)、優先権6か月・書類3か月、商品と役務の混在可、公告→異議3か月→登録→再公告
- 費用一覧(出願・公告36万FCFA+追加区分7.5万、更新50万+10万、異議・所有権主張17万、審判96万)とマドプロ個別手数料、為替の注意
- 拒絶・異議・所有権主張への対応と不服申立て:補正3か月+30日、答弁3か月(1回延長可)、聴聞、審判高等委員会へ60日
- 登録・存続期間・更新:出願日から10年、更新は最終年、猶予6か月と割増13万FCFA、更新時の再審査なし、失効後3年の再登録禁止、権利の回復
- 不使用取消(5年)と無効:いずれも加盟国の裁判所、1か国での使用で足りる、立証責任は権利者、普通名称化、相対的無効は先行権利者のみ、周知商標は5年
- マドリッド制度とOAPI:2015年3月5日発効、18か月宣言と個別手数料(2026年4月改定)、協定第9条・第11条と附属書III第25条、加盟国の批准をめぐる論点、直接出願との使い分け
- 使用・譲渡・ライセンス・消尽・商号:書面要件、登録簿への記録が対抗要件、ライセンスの国別限定、無効条項、国際消尽、商号(附属書V)と不正競争(附属書VIII)
- 侵害への救済:加盟国の裁判所での民事・刑事、仮処分と10営業日の本案提起、差押え(外国人は担保)、損害賠償の算定、廃棄・公表、時効5年、刑事罰(500万〜3,000万FCFA・3か月〜2年)
- 税関と模倣品対策:申立てによる留置と10営業日(生鮮品3営業日)、職権留置、担保、仲裁・調停センター
- 日本企業の出願戦略と実務ポイント:直接出願かマドプロか、区分設計と見出し語の制限、仏語・英語、ARIPOとの違い、商号・地理的表示、電子出願
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 出典・参考文献
1. OAPI商標制度の全体像:バンギ協定(1977年・1999年・2015年改正)と附属書III(2022年1月発効)、17加盟国に単一の登録、OAPIが各国の特許庁
OAPIの起源は、フランスから独立した旧仏領12か国が1962年9月13日に署名したリーブルビル協定です。この協定でヤウンデに共同の特許庁「アフリカ・マダガスカル工業所有権庁(OAMPI)」が置かれ、特許・意匠・商標に共通の広域法が適用されました(1964年1月1日発効)。マダガスカルの脱退などを経て、1977年3月2日に中央アフリカの首都バンギで「アフリカ知的財産機関の設立に関する協定(バンギ協定)」が採択され、1982年2月8日に発効、機関の名称もOAPIに改められました。その後、TRIPS協定への対応を主眼とする1999年2月24日の改正(2002年2月28日施行)と、ドーハ宣言・シンガポール条約・ベイジン条約・マラケシュ条約など1999年以降の国際的な枠組みへの適合を目的とする2015年12月14日のバマコ改正が行われています。
2015年改正協定は、本体(全48条)と10の附属書(I特許、II実用新案、III商標及び役務商標、IV意匠、V商号、VI地理的表示、VII著作権・著作隣接権、VIII不正競争、IX集積回路の回路配置、X植物新品種)で構成されます。本体第42条により、改正協定は署名国の3分の2(17か国のうち12か国)が批准書を寄託してから2か月後に発効し、各附属書の発効日はOAPI長官または管理評議会議長が別途定めて加盟国に通知します。現地の実務報告によれば、2019年10月31日にカメルーンが12か国目の批准を行って本体が発効し、地理的表示や著作権などの附属書が2020年に、商標(III)・意匠(IV)・商号(V)の附属書が2022年1月に発効しました。特許・実用新案(I・II)については、2025年1月1日以降の出願に実体審査・分割出願・公告後3か月の異議申立てを導入する改正内容が2024年末に公表されています。
条文の確認状況と発効日の表記について
本記事の条文番号は、WIPO Lexに掲載された2015年改正バンギ協定の英訳(OAPI004、全242ページ)と、日本特許庁が公開する同協定の日本語訳に基づいています。OAPIの公用語はフランス語と英語で、公式サイトの一次情報(手数料表、通達、公報)はフランス語が中心です。附属書IIIの発効日は、OAPI長官のインタビュー(INTA)と複数の現地事務所が2022年1月1日、Adams & Adamsとジェトロが2022年1月2日と報告しており、本記事では「2022年1月」と表記します。また、附属書IIIの施行規則(Règlement d'application)の最新版は本記事執筆時点でOAPIのサイトから全文を確認できなかったため、手続の細目(様式、公報の発行方法など)はOAPIの公式ページ、手数料表、通達、現地事務所の報告で補っています。
OAPI制度の最大の特徴は、協定と附属書が各加盟国の国内法としてそのまま適用されることです(本体第5条)。各加盟国には独自の商標法も国内登録庁もなく、OAPIがパリ条約第12条にいう各国の「国内工業所有権庁」を兼ね、PCTの受理官庁・指定官庁、マドリッド議定書の本国官庁・指定官庁としても機能します(第3条)。出願はOAPI本部(ヤウンデ)に直接行うか、出願人が住所を有する加盟国の工業所有権担当省(各国に置かれた「国家連絡機構(Structures Nationales de Liaison、SNL)」)を経由して行い、担当省は5営業日以内にOAPIへ送付します(第8条(1)(2))。加盟国の領域外に居住する出願人は、加盟国のいずれかで選任したOAPI認定代理人(mandataire agréé)を通じて出願しなければならず(第8条(4))、2026年3月2日付のOAPI長官通達第004号は、非居住者による出願は認定代理人の委任状が提出されない限り処理しない旨を改めて周知しています。
登録された商標はすべての加盟国で国内登録と同じ効力を持ち(第9条(1)、第11条(2))、一方で、その有効性や侵害をめぐる争いは各加盟国の国内裁判所の専属管轄とされています(第4条(1))。すなわち、権利の取得(出願・審査・異議・登録・更新)はOAPIに一元化されているのに対し、権利の無効・取消・侵害訴訟は、商標が使われている国の裁判所で、その国ごとに判断されるという二層構造です。権利は「各加盟国で効力を有する独立した国内権利」と位置づけられ、ある加盟国の裁判所が無効を宣言しても、その効力は原則としてその国の領域にとどまります(附属書III第28条(1)は「加盟国の国内領域における登録の効力の無効」と規定)。
OAPIの機関は、管理評議会(Conseil d'Administration、各加盟国1名の代表で年1回開催、規則・手数料規則・予算の承認、長官の任命などを行う最高機関)、審判高等委員会(Commission Supérieure de Recours、出願の拒絶、更新・回復の拒絶、異議の決定に対する不服を審理)、総局(長官は任期5年・再任1回)の三つで、2015年改正により仲裁・調停センターも設置されました(第25条・第31条・第33条・第34条)。審判高等委員会は加盟国が指名した代表者から抽選で選ばれる3名で構成され(第31条(1))、OAPI長官のインタビューによれば実際には正委員3名・補欠3名の計6名の裁判官が任期2年で務め、ヤウンデの本部で年2回開催されています。現長官はコートジボワール出身のドゥニ・L・ボウスー(Denis L. Bohoussou)氏で、2017年8月の就任後に再任され、日本特許庁も毎年の管理評議会に協力パートナーとして招かれています(2025年12月のブラザビル会合には安田特許技監が出席)。
条約面では、OAPIの加盟国はすべてパリ条約、ベルヌ条約、TRIPS協定の締約国で、OAPI自身がマドリッド議定書(2015年3月5日発効)、ハーグ協定ジュネーブ改正協定(2008年9月16日)、リスボン協定ジュネーブ改正協定(2022年12月15日)に加盟しています。日本特許庁の資料は、このほか商標法条約(TLT)とシンガポール条約(2016年2月13日)への加盟も掲げています。商品・役務の分類はニース国際分類によります(附属書III第9条(2)(c)・第10条)。
| 項目 | OAPIの制度(根拠条文) |
|---|---|
| 根拠法 | バンギ協定(1977年3月2日採択、1999年2月24日改正、2015年12月14日バマコ改正)本体48条と附属書III「商標及び役務商標」(全69条、2022年1月発効)。協定と附属書は各加盟国の国内法として直接適用(本体第5条(2))。手数料は管理評議会が定める手数料規則(2022年1月1日からの新料金表) |
| 管轄機関 | OAPI(本部ヤウンデ、Rue Djoungolo)。各加盟国の工業所有権担当省に国家連絡機構(SNL)。拒絶・異議・回復の決定への不服は審判高等委員会へ60日以内(附属書III第15条(4)・第16条(4)・第19条・第29条(6))。無効・取消・侵害は加盟国の国内裁判所(本体第4条、附属書III第27条・第28条・第46条) |
| 効力の範囲 | 1件の出願・登録が17加盟国すべてに国内出願・国内登録と同じ効力(本体第9条(1)・第11条(2))。国ごとの指定や一部の国だけの登録はできない。新規加盟国への拡張は申請制(本体第45条、拡張手数料37,500FCFA) |
| 審査の範囲 | 方式要件・手数料(第18条(1))と絶対的理由(第3条(a)識別力、(c)公序良俗・法令、(d)誤認、(e)国章等。第18条(2))を審査。先行商標との抵触(第3条(b))は職権審査せず、異議(第15条)・所有権主張(第16条)・無効訴訟(第28条)で判断。不備は3か月以内に補正(30日延長可、第18条(3)) |
| 公告・異議 | 審査後に出願を公報(BOPI)に公告(第14条)。公告から3か月以内に何人も異議申立て可(第15条、17万FCFA)、先使用者は同じ3か月以内に所有権主張(第16条、17万FCFA)。登録後に再度公告するが、登録後の異議は認められない(第21条) |
| 審査期間 | 法定の期間なし。EUのアフリカIP SMEヘルプデスクのガイド(2024年)は審査約6か月・登録まで12〜15か月、World Trademark Reviewの旧制度下の報告は10〜14か月。公報は約2週間に1回発行(2026年は10月16日発行分が第19号) |
| 登録・証明書 | 要件を満たせば登録して公告し(第18条(7))、登録番号・出願番号・出願日・標章・区分・商品役務・権利者・優先権を記載した登録証を交付(第20条)。法律上の登録日は出願日(第18条(9))。登録料は不要(出願・公告手数料に含まれる) |
| 存続期間・更新 | 出願日から10年、10年ごとに無制限に更新可(第22条)。更新申請は最終年の間に行い、満了後6か月は割増付きで可(第24条(1)(2))。更新時に再審査はない(第24条(4))。更新されなかった商標は満了後3年間、同一・類似の商品役務について第三者が登録できない(第24条(6)) |
| 無効・取消 | 加盟国の国内裁判所が判断。不使用取消は請求前5年間の継続不使用(加盟国の1か国での使用で足りる)または普通名称化(第27条)。無効は第2条・第3条違反または先行権利との抵触(先行権利に基づく無効は先行権利者のみ請求可、第28条)。周知商標の権利者による無効請求は出願から5年以内(善意の出願の場合、第5条) |
| 代理 | 加盟国の領域外に居住する出願人はOAPI認定代理人を通じて出願(本体第8条(4)、通達第004号〔2026年3月2日〕)。委任状は私署で足り、印紙不要(附属書III第9条(2)(f))。現地の報告では公証・認証も不要 |
| 条約 | 加盟国はパリ条約・ベルヌ条約・TRIPS協定の締約国。OAPIとしてマドリッド議定書(2015年3月5日)、ハーグ協定ジュネーブ改正協定(2008年9月16日)、リスボン協定ジュネーブ改正協定(2022年12月15日)、TLT・シンガポール条約(2016年2月13日、日本特許庁資料)。分類はニース分類 |
| 言語 | 公用語はフランス語と英語(実務はフランス語が中心)。優先権書類はフランス語または英語(認証付き) |
2. 市場環境と統計:年間出願6,000〜7,000件、日本からは年50〜70件、外国出願人が約3分の2、商標公報は2週間に1回
OAPIの17加盟国は、西アフリカのCFAフラン圏(UEMOA)と中部アフリカのCFAフラン圏(CEMAC)を中核とし、両地域のCFAフランはいずれも1ユーロ=655.957FCFAの固定レートでユーロに連動しています(モーリタニア、ギニア、コモロは独自通貨)。OAPIの手数料もFCFA建てで、手数料表には「1ユーロ=655.957FCFA」と明記されています。日本との関係では、外務省の基礎データによればコートジボワールに20社、セネガルに24社、カメルーンに7社の日系企業が進出し(いずれも2024年10月現在)、在留邦人はコートジボワール169名(2025年10月)、セネガル219名(2025年10月)、カメルーン60名(2024年10月)です。日本からの輸出品は自動車・一般機械・ゴム製品・化学製品などが中心で、現地では模倣品も流通するため、販売代理店を通じた進出の段階から商標を押さえておく必要があります。
日本特許庁がWIPO統計に基づいてまとめたOAPIの商標統計は次のとおりです。出願件数は2021年6,843件、2022年6,188件、2023年6,661件、2024年6,854件と年6,000〜7,000件台で推移し、日本からの出願は2021年74件、2022年60件、2023年50件、2024年70件です。登録件数は2021年7,117件、2022年4,674件、2023年6,006件、2024年6,917件(うち日本からは74件、61件、65件、51件)で、2022年の落ち込みは附属書IIIの発効に伴う手続の切替えと新料金表への移行の影響とみられます。WIPOの「World Intellectual Property Indicators 2025」は区分数ベースの数字も示しており、2024年の出願区分数は12,793(非居住者の割合67.2%)、登録区分数は13,224(同73.0%)でした。出願人の3分の2以上が域外の企業という構造は、OAPIが外国ブランドの保護を主な役割とする登録庁であることを示しています。
| 年 | 商標出願(件) | うち日本から | 商標登録(件) | うち日本から |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 6,843 | 74 | 7,117 | 74 |
| 2022年 | 6,188 | 60 | 4,674 | 61 |
| 2023年 | 6,661 | 50 | 6,006 | 65 |
| 2024年 | 6,854 | 70 | 6,917 | 51 |
出典:日本特許庁「アフリカ知的財産機関(OA)」統計表(WIPO IP Statisticsに基づく)。2024年の区分数ベースはWIPO「World Intellectual Property Indicators 2025」(出願12,793区分・登録13,224区分)。
手続のインフラも整いつつあります。OAPIは2024年6月3日に商標の電子出願システムを稼働させ、先行調査の請求、出願、更新、登録簿への記録、異議申立てが認定代理人によりオンラインで行えるようになりました(ただし、電子出願後も添付書類の原本・印刷物を提出する必要があるとの報告があります)。公式サイトでは商標の検索データベース(WOPublish)が公開され、商標公報(BOPI)は「Marques」として約2週間に1回のペースで発行されています(2026年は5月29日の第10号から10月16日の第19号まで連続して確認できます)。異議申立ての決定と審判高等委員会の決定もサイト上で公開されており、OAPI長官は2017年以降の情報システム整備と「2018〜2022年戦略計画」で手続の迅速化に取り組んできたと説明しています。
審査期間の目安は資料によって幅があります
附属書IIIに審査期間の定めはなく、公表資料の数字も一致しません。EUのアフリカIP SMEヘルプデスクが2024年に公表したOAPI商標ガイドは、本文で「6〜9か月に短縮」としつつ、同じ資料の一覧表では「審査6か月、登録まで12〜15か月」と記載しています。旧制度下(登録証の交付後に6か月の異議期間が走る仕組み)のWorld Trademark Reviewの解説は10〜14か月でした。2022年の新制度では出願公告→3か月の異議期間→登録→再公告という順序に変わったため、異議がない場合でも出願から登録証の交付まで1年前後を見込み、優先権を主張する案件は日本出願から6か月以内のOAPI出願を厳守してください。
3. 保護対象と拒絶理由:音・視聴覚・連続標章も可、団体商標と団体証明商標、絶対的理由は職権審査、先行商標は異議と所有権主張で争う、周知商標
附属書III第2条(1)は、商標を「使用され、または使用が予定されている、自然人または法人の商品・役務を識別できる視覚的または聴覚的な標識」と定義し、例示として、(a) 語・語の組合せ・氏・特殊な名称・文字・略語・数字、(b) 図形・ラベル・印章・織物の耳・浮彫・ホログラム・ロゴ・合成画像、商品や包装の形状、色彩の配置・組合せ・濃淡、(c) 音・楽句などの聴覚的標識、(d) 視聴覚的標識、(e) 連続標章(シリーズ)を挙げています。1999年改正法では視覚的標識に限られていたため、音の商標、視聴覚(マルチメディア)商標、連続標章は2022年1月の附属書III発効で新たに認められた類型です。OAPI長官によれば、非伝統的商標はデジタル媒体で表示を提出し、願書上の表示とデジタル媒体の両方がある場合は紛争時に願書上の表示が優先し、公報ではデジタル媒体へのリンクが示されます。
団体商標は、公的に承認され法人格を有する公企業、組合、協会、生産者・製造業者・職人・商人の団体が、所管当局の承認を受けた使用規則に基づいて使用する商標です(第2条(2)、第38条〜第41条)。2015年改正で団体証明商標(規則で定めた性質・品質・特性を備えた商品・役務に付される商標)が新設され(第2条(3)、第42条〜第45条)、使用規則の提出に13万FCFAの手数料がかかります。団体商標は譲渡できず(合併の場合に担当省の許可で移転可、第41条)、団体証明商標は証明の対象となる商品の製造者・輸入者・販売者は出願できません(第42条)。
商標権は最初に出願した者に帰属する先願主義です(第4条(1))。出願・登録をしていない者は、附属書IIIに定める行為(使用など)をしても排他権を主張できません(第4条(2))。もっとも、先使用者を完全に無視する制度ではなく、出願人が出願時に他人の先使用を知っていた、または知り得た場合には、先使用者が公告から3か月以内にOAPIに「所有権主張(revendication de propriété)」を申し立てて出願の移転を求めることができ(第16条)、登録後は国内裁判所に同じ主張ができます(第47条)。また、パリ条約第6条の2・TRIPS協定第16条(2)(3)の周知商標の権利者は、OAPIに登録していなくても、混同のおそれのある商標の出願の効力の無効を加盟国の国内裁判所に請求できます(第5条)。ただし、その出願が善意でされたものである限り、請求は出願日から5年以内に限られます。
登録を受けられない商標は第3条が列挙しています。(a) 識別力を欠くもの(特に商品やその組成の必要的・一般的な名称からなるもの)、(b) 他人の登録商標、または先の出願日・優先日を有する商標と同一・類似で、同一・類似の商品・役務について誤認・混同を生じさせるおそれのあるもの、(c) 公の秩序・善良の風俗・法令に反するもの、(d) 商品・役務の地理的出所・性質・特徴について公衆や取引界を誤認させるおそれのあるもの、(e) 国や国際機関の紋章・旗・記章・略称・公的な監督保証記号を許可なく複製・模倣・包含するものです。ここで重要なのは、OAPIが職権で審査する理由は(a)(c)(d)(e)の絶対的理由に限られ、(b)の先行商標との抵触は審査されないことです(第18条(2))。
先行商標との抵触はOAPIの審査官が調べません
附属書III第18条(2)は、拒絶の対象を第3条(a)(c)(d)(e)に適合しない出願と定め、先行商標との同一・類似(第3条(b))を職権審査の対象から外しています。OAPI長官も、2022年の改正で「すべての絶対的拒絶理由」を審査するようになった(1999年法では(c)と(e)の2つだけだった)と説明する一方、相対的理由の審査には触れていません。現地事務所の報告も一致して「相対的理由の審査はない」としています。したがって、自社の商標と紛らわしい後願があっても、OAPIが拒絶してくれることは期待できず、公報を監視して公告から3か月以内に異議を申し立てる必要があります。逆に、自社の出願が先行商標と類似していても、異議がなければそのまま登録されますが、登録後に先行権利者から国内裁判所で無効を請求されるリスクが残ります(第28条(2))。なお、EUのアフリカIP SMEヘルプデスクのガイド(2024年)は「OAPIは相対的理由でも拒絶できる」と記載していますが、附属書IIIの条文と他の資料に照らして本記事では採用していません。出願前の先行商標調査(OAPIの調査手数料は語の要素・図形要素それぞれ9.5万FCFA)を強くお勧めします。
登録によって権利者は、指定した商品・役務について商標の所有権を取得し(第6条(1))、同一の商品・役務については「方式、様式、システム、模造、型、方法」といった語を付加した場合を含めて、商標の複製・使用・付着および複製標章の使用を禁止でき(第6条(2))、類似の商品・役務については混同のおそれを条件に複製・模倣を禁止できます(第6条(3))。制限として、第三者が自己の名称・住所・筆名・地理的名称や、商品の種類・品質・数量・用途・価値・原産地・製造時期に関する正確な表示を、識別や情報提供の目的で誤認を生じない態様で善意に使用することは禁止できません(第7条(1))。
消尽は「第三国で適法に販売された商品」にも及びます(国際消尽)
附属書III第7条(2)は、加盟国または第三国の領域で商標の下に適法に販売された商品について、商品がまったく変更されていない限り、第三者による商標の使用を禁止できないと定めています。文言どおりに読めば国際消尽であり、日本や欧州で正規に販売された自社商品がOAPI域内に並行輸入されても、商標権では差し止められない可能性が高いと考えられます。並行輸入対策は、販売店契約・品質管理・包装の相違など商標権以外の手段を組み合わせて検討してください。
商品・役務の記載について、OAPIは2022年3月1日付で、第7類(機械)、第37類(修理・設置役務)、第40類(材料処理)、第45類(個人向け役務)の類見出しをそのまま記載した出願を受け付けないこと、および「マーチャンダイジング商品」「家庭用品」「販促品」「ウェルネス製品」「小売役務」「卸売役務」といった曖昧な表示には具体化を求めることを発表しています(Spoor & Fisherの報告)。日本の指定商品・役務をそのまま仏訳・英訳するのではなく、OAPIの運用に合わせて具体的な表示に書き換えることが拒絶理由通知を避ける近道です。
4. 出願手続の流れ:OAPI本部または各国の担当省へ、認定代理人が必須、電子出願(2024年6月〜)、優先権6か月・書類3か月、商品と役務の混在可、公告→異議3か月→登録→再公告
出願は、OAPI本部(ヤウンデ)に直接、または出願人が住所を有する加盟国の工業所有権担当省(国家連絡機構)を経由して行います(附属書III第9条(1)、本体第8条(1)(2))。日本企業のように加盟国に住所のない出願人は、加盟国のいずれかで選任したOAPI認定代理人を通じて出願しなければなりません(本体第8条(4))。OAPIは2026年3月2日付の長官通達第004号で、非居住者の出願は認定代理人の委任状の提出がない限り処理しないことを改めて周知しました。認定代理人の一覧はOAPIのサイトで公開されています。委任状は印紙を貼らない私署証書で足り(第9条(2)(f))、現地の報告では公証や領事認証は不要で、署名入りの委任状のスキャンをOAPIの求めから3か月以内に提出すればよいとされています。
2024年6月3日からは認定代理人による電子出願が稼働し、先行調査請求、出願、更新、登録簿への記録、異議申立てがオンラインで行えます。ただし、電子出願後も添付書類の原本や印刷物をOAPIに提出する必要があるとの報告があり、完全なペーパーレスにはなっていません。願書の様式はMA301(出願)、RM302(更新)、M203(譲渡・ライセンス等の記録)、M205(名称変更)、M206(住所変更)などがOAPIのサイトからダウンロードできます。
| 段階 | 内容(根拠条文・期間) |
|---|---|
| 1. 出願 | 願書(長官宛て)、手数料の納付証明、標章の表示と商品・役務の明確かつ網羅的な一覧(ニース分類の区分付き)、団体商標・団体証明商標の場合は使用規則、優先権書類、代理人がいる場合は委任状(第9条(2))。1件の出願に商品の区分と役務の区分を混在できる(第10条)。OAPIまたは担当省が出願の日時を記した調書を作成し写しを交付(第11条) |
| 2. 出願日の認定 | 出願人の特定情報、登録を求める旨の情報、標章の表示と商品・役務、出願手数料の納付に関する情報、代理人選任の有無と代理人の氏名・住所が揃った受領日が出願日(第13条(1))。手数料が出願から1か月以内に納付されない出願は取り下げたものとみなされる(第13条(2)) |
| 3. 優先権 | パリ条約に基づく最初の出願から6か月以内にOAPIへ出願(第12条(1))。出願から3か月以内に、先の出願の日付・番号・国・出願人名を記した宣言と認証謄本を提出し、優先権1件ごとに7.5万FCFAを納付(第12条(2)(3))。3か月を過ぎると優先権を失うが、権利の回復を申請できる(第12条(4)(5))。優先権書類はフランス語または英語(認証付き) |
| 4. 審査 | 方式要件と手数料(第18条(1))、絶対的理由(第3条(a)(c)(d)(e)、第18条(2))を審査。方式不備は通知から3か月以内に補正(必要性が認められれば30日延長可)、期間内に補正すれば出願日を維持(第18条(3))。補正がなければ拒絶、拒絶は長官が決定し、補正の機会を与えずに拒絶することはできない(第18条(4)〜(6))。明白な誤記はOAPIが職権で訂正できる(第18条(8)) |
| 5. 出願の公告 | 出願番号・出願日・標章・商品役務と区分・出願人・優先権・代理人を公報(BOPI)に公告(第14条)。公報「Marques」は約2週間に1回発行 |
| 6. 異議・所有権主張 | 公告から3か月以内に何人も異議申立て可(第15条、17万FCFA)。先使用者は同じ3か月以内に所有権主張(第16条、17万FCFA)。出願人の答弁は3か月(1回延長可)、求めがあれば聴聞。OAPIの決定への不服は審判高等委員会へ60日以内 |
| 7. 登録・登録証 | 要件を満たせば登録して公告(第18条(7))。登録証には登録番号・出願番号・出願日・標章・区分・商品役務・権利者・優先権を記載(第20条)。登録の公告と専用登録簿への記入(第21条)。登録後の異議は認められない。法律上の登録日は出願日(第18条(9)) |
| 8. 分割 | 登録の決定まで、異議・所有権主張の手続中、またはその審判の手続中に、商品・役務の一覧を分けて分割出願できる。分割出願は原出願の出願日と優先権を維持(第17条)。手数料は1区分36万FCFA+追加区分7.5万FCFA |
2022年1月の改正前は、登録証を交付した後に公告し、公告から6か月の異議期間が走るという独特の順序で、商品の区分と役務の区分を1件の出願にまとめることもできませんでした(例えば第1類・第4類・第35類を保護するには、商品の出願と役務の出願の2件が必要でした)。現行制度では、出願公告→3か月の異議期間→登録→登録の再公告という順序になり、商品と役務の混在が可能になった一方、出願手数料は「3区分まで一律」から「1区分ごと」に改められています(第5章参照)。
実体審査の開始時期と手続の運用について
OAPI長官は2022年1月1日以降の出願から絶対的理由の全面的な実体審査を導入したと説明し、Spoor & Fisherは2022年3月1日にOAPIが「実体審査のためのツールを段階的に導入している」と発表したと報告しています。他方、EUのアフリカIP SMEヘルプデスクのガイドは実体審査の開始を2023年7月としており、運用の本格化には時間差があったものとみられます。また、同ガイドは「登録後3年目に使用宣誓書の提出が必須」と記載していますが、附属書IIIにそのような規定はなく、OAPIの手数料表にも対応する項目がないため、本記事ではこの記載を採用していません。実際の運用は変わり得ますので、出願時に現地代理人に最新の実務を確認してください。
日本語の商標をOAPIで出願する場合、審査・公告はフランス語または英語で行われるため、漢字・仮名の商標は図形的な標章として扱われ、公報上の検索性は低くなります。現地の消費者と取引先に認識させる観点からは、アルファベット表記(ローマ字・英語名)を基本とし、ロゴや漢字商標はそれに追加して出願するのが実務的です。加盟国の公用語はフランス語が中心ですが、カメルーンは英語も公用語、赤道ギニアはスペイン語、ギニアビサウはポルトガル語圏であり、商品名が各言語で記述的・誤認的な意味を持たないかの確認も必要です。
5. 費用一覧(出願・公告36万FCFA+追加区分7.5万、更新50万+10万、異議・所有権主張17万、審判96万)とマドプロ個別手数料、為替の注意
OAPIの手数料は管理評議会が定める手数料規則によります。附属書IIIの発効に合わせて2022年1月1日から新しい料金表が適用され、商標の出願手数料は旧制度の「3区分まで一律40万FCFA」から「1区分36万FCFA+2区分目以降1区分7.5万FCFA」に改められました(色彩の主張に対する追加手数料は廃止)。以下はOAPI公式サイトの「商品・役務商標に適用される手数料表(Grille des taxes applicables aux Marques de produits et services)」の主な項目です。円換算は、CFAフランの対ユーロ固定レート(1ユーロ=655.957FCFA)と欧州中央銀行の2026年10月29日の参考レート(1ユーロ=175.92円)から算出した1FCFA≒0.268円を用いた概算です。
| 手続 | 公式手数料(FCFA) | 円換算(概算) |
|---|---|---|
| 出願・公告(1区分) | 360,000 | 約96,500円 |
| 2区分目以降(1区分ごと) | 75,000 | 約20,100円 |
| 優先権の主張(1件ごと) | 75,000 | 約20,100円 |
| 団体商標・団体証明商標の使用規則の提出、共有規則の提出 | 130,000 | 約34,900円 |
| 分割出願(1区分)/追加区分 | 360,000/75,000 | 約96,500円/約20,100円 |
| 誤記の訂正(公告前/公告後) | 40,000/60,000 | 約10,700円/約16,100円 |
| 更新(1区分) | 500,000 | 約134,100円 |
| 更新の追加区分(1区分ごと)/遅延更新の割増 | 100,000/130,000 | 約26,800円/約34,900円 |
| 権利の回復(権利者の責めによらない事情/代理人の過失) | 375,000/650,000 | 約100,600円/約174,300円 |
| 登録簿への記録・公告(譲渡等の権利の移転、ライセンスの設定・取消・満了・停止、名称・住所・法人形態の変更、団体商標規則の変更) | 各265,000 | 約71,100円 |
| 先行商標調査(語の要素/図形要素/語+図形、各1区分) | 各95,000(追加区分10,000、権利者名の調査120,000) | 約25,500円 |
| 登録簿の記載事項の証明、非抹消証明、非失効証明、登録・更新の認証謄本など | 70,000〜100,000 | 約18,800〜26,800円 |
| 異議申立て/所有権主張 | 各170,000 | 約45,600円 |
| 審判高等委員会への審判請求 | 960,000 | 約257,500円 |
| 効力の拡張(新規加盟国の登録をOAPIへ/OAPI登録を新規加盟国へ) | 250,000/37,500 | 約67,000円/約10,100円 |
| 代理人の変更(1商標ごと) | 90,000 | 約24,100円 |
出典:OAPI「Grille des taxes applicables aux Marques de produits et services」(公式サイト掲載の料金表)、「Taxes diverses」。円換算は1FCFA≒0.268円(1ユーロ=655.957FCFA、欧州中央銀行2026年10月29日参考レート1ユーロ=175.92円)。現地代理人の手数料、送金手数料、翻訳費用は含まない。
具体的な予算感としては、1区分の出願で公式手数料36万FCFA(約9.7万円)、3区分で51万FCFA(約13.7万円)、優先権を1件主張すればさらに7.5万FCFA(約2万円)です。登録料は別途かからず、出願・公告手数料に含まれます。17か国分の権利が1件の手数料で得られることを考えれば、国別に出願するアフリカの他の国々と比べて費用対効果は非常に高いといえます。一方、更新は1区分50万FCFA(約13.4万円)と出願より高く、争いになったときの審判請求96万FCFA(約25.8万円)も高額です。これに現地代理人の手数料(出願・異議・更新ごとに設定されるのが通常)が加わります。
手数料表の版の違いと為替について
OAPIの公式サイトには、商標の料金表(画像形式)のほかに「マドリッド制度の国際商標に適用される手数料」の文書も掲載されており、後者は異議申立てを15万FCFA、個別指定手数料を「3区分まで40万FCFA+追加区分8.2万FCFA」とするなど、2022年1月改定前の体系に基づく記載が残っています。本記事では商標の料金表(異議・所有権主張17万FCFA)を採用し、マドリッド制度の個別手数料はWIPOが公表するスイスフラン建ての金額に従います。CFAフランはユーロに固定されているため、円換算額はユーロ円相場で変動します。2026年10月時点では円安により1FCFA≒0.27円ですが、2022年初めは約0.20円でした。見積りの際は最新のレートで再計算してください。
マドリッド議定書でOAPIを指定する場合の個別手数料は、WIPOの通知第15/2026号により2026年4月12日から出願・事後指定が1区分503スイスフラン、追加区分105スイスフラン、更新が1区分699スイスフラン、追加区分140スイスフラン、猶予期間内の更新の割増182スイスフランです(2022年3月23日から2026年4月11日までは572/119、794/159、207スイスフラン。それ以前は3区分まで704スイスフラン・追加区分144スイスフランでした)。欧州中央銀行の同日レート(1ユーロ=0.9222スイスフラン)で換算すると1スイスフラン≒191円となり、1区分約9.6万円、3区分約13.6万円で、OAPIへの直接出願の公式手数料とほぼ同水準です。国際登録を地域出願に転換(transformation)する場合の手数料は3区分まで40万FCFA、追加区分8.2万FCFAです。
6. 拒絶・異議・所有権主張への対応と不服申立て:補正3か月+30日、答弁3か月(1回延長可)、聴聞、審判高等委員会へ60日
OAPIの審査で方式の不備が見つかると、出願人または代理人に通知され、通知日から3か月以内に補正を求められます。必要性が認められる場合は請求により30日の延長が可能で、期間内に補正すれば出願日は維持されます(附属書III第18条(3))。期間内に補正しなければ出願は拒絶され、拒絶はOAPI長官の決定として通知されます(第18条(4)(5))。識別力の欠如など絶対的理由による拒絶も、補正や意見の機会を与えずに行うことはできません(第18条(6))。拒絶決定に対しては、通知から60日以内に審判高等委員会へ審判を請求できます(第19条、審判手数料96万FCFA)。
他人の出願に対しては、公告から3か月以内に、理由を記した書面をOAPIに提出して異議申立てができます(第15条(1))。異議の理由は、第2条(商標の定義)・第3条(不登録事由)の違反、または異議申立人の先行する登録権利で、先の出願や先の優先日を有する出願に基づく異議も認められます。OAPIは異議書の写しを出願人に送付し、出願人は3か月以内(申請により1回延長可)に理由を付した答弁を提出できます(第15条(2))。当事者の求めがあればOAPIは聴聞を行い(第15条(3))、理由があると認める場合に限り出願を拒絶します(第15条(5))。OAPIの決定に対しては、当事者への通知から60日以内に審判高等委員会へ審判請求できます(第15条(4))。OAPIの公式サイトによれば、異議は長官が設置する異議委員会で審理され、審判請求には取消請求書、理由書、審判手数料の納付証明が必要です。
所有権主張(revendication de propriété)は、出願人が出願時に他人の先使用(先の使用権)を知っていた、または知り得た場合に、その他人が公告から3か月以内にOAPIへ申し立てる手続で、答弁3か月(1回延長可)、聴聞、審判高等委員会への60日の審判請求は異議と同じです(第16条)。理由があると認められれば、OAPIは出願を申立人に移転し、専用登録簿に記録します(第16条(5)(6))。異議が「登録された先行権利」を基礎とするのに対し、所有権主張は「登録のない先使用」を基礎とする点が異なり、OAPI長官は、先使用のみに基づく異議は認められないため、先使用者が取るべき手続は所有権主張であると説明しています。異議も所有権主張も、審理中は出願を分割して争いのない区分を先に登録させることができます(第17条)。
| 手続 | 期間・手数料(根拠条文) |
|---|---|
| 方式不備の補正 | 通知から3か月、必要性が認められれば30日延長(第18条(3)) |
| 拒絶決定への審判 | 通知から60日以内に審判高等委員会へ(第19条)。96万FCFA |
| 異議申立て | 出願公告から3か月(第15条(1))。17万FCFA。理由は第2条・第3条違反、先行登録権利、先願・先の優先日 |
| 所有権主張 | 出願公告から3か月(第16条(1))。17万FCFA。出願人が先使用を知り得た場合に出願の移転を請求 |
| 出願人の答弁 | 異議書・申立書の送付から3か月、申請により1回延長可(第15条(2)、第16条(2))。求めがあれば聴聞 |
| 異議・所有権主張の決定への審判 | 当事者への通知から60日以内に審判高等委員会へ(第15条(4)、第16条(4))。96万FCFA |
| 優先権・更新の回復請求の拒絶への審判 | 通知から60日以内(第12条(6)、第29条(6)) |
| 審判高等委員会の構成・開催 | 加盟国が指名した代表者から抽選で選ばれる3名(本体第31条)。OAPI長官によれば正委員3名・補欠3名の裁判官が任期2年で務め、ヤウンデで年2回開催。審理の規則は管理評議会が採択 |
異議の判断基準は、OAPIが公開する異議決定集から読み取れます。ジェトロのアフリカ知財ニュースレター(2019年3月)が紹介した事例では、第32類の「7UP」に対する「ICE UP」、第9類の「NEXANS」に対する「NEXUS」、「BOSS/HUGO BOSS」に対する第17類・第18類の「BIG BOSS」の各出願について、視覚的・聴覚的な類似性と商品の同一・類似を理由に異議が認められ、オランダのVlisco社は「PETIT HOLLANDAIS」の出願に対し、オランダ原産と誤認させるおそれ(第3条(d))を理由とする異議に成功しています。他方、2026年5月19日の決定では、AFP(フランス通信社)が「AFP+ロゴ」を根拠に「AFO+ロゴ」の出願(第35類・第38類・第41類)に申し立てた異議が、役務が重なり「A」「F」の文字を共有していても全体の相違と観念の違いから混同のおそれは生じないとして退けられており(審判高等委員会への審判が可能)、役務の重複と部分的な共通性だけでは異議は認められないことが示されています。
異議期間は3か月で延長できません:公報監視が前提になります
附属書III第15条の3か月は公告日から起算され、延長の規定はありません(旧制度の6か月から半減)。登録後に異議を申し立てる手続もないため、公告を見逃すと、相手の登録を争う手段は加盟国の国内裁判所での無効訴訟(第28条)に限られ、費用と時間が大きく増えます。OAPIの商標公報は約2週間に1回発行され、商標検索データベース(WOPublish)とTMviewでも検索できますので、主要商標については現地代理人または監視サービスによる定期的なウォッチングを組み込んでください。
7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、更新は最終年、猶予6か月と割増13万FCFA、更新時の再審査なし、失効後3年の再登録禁止、権利の回復
審査を通過し、異議・所有権主張がないか退けられた出願は登録され、登録が公告されます(附属書III第18条(7)、第21条)。登録証には登録番号、出願番号、出願日、標章、ニース分類の区分、商品・役務、権利者の名称・住所、有効に主張された優先権が記載され(第20条)、法律上の登録日は出願日です(第18条(9))。登録の有効期間は出願日から10年で、10年ごとの更新により無期限に維持できます(第22条)。
更新の申請は10年の期間の最終年の間に行い、所定の手数料(1区分50万FCFA+追加区分10万FCFA)を納付します(第24条(1))。期間満了後も6か月の猶予期間があり、割増(13万FCFA)を納付すれば更新できます(第24条(2))。更新に際して標章や商品・役務の一覧を変更することはできず、商品・役務の限定のみ可能で(第24条(3))、更新時に再審査は行われません(第24条(4))。更新は専用登録簿に記録・公告されます(第24条(5))。注目すべき規定として、更新されなかった商標は、満了後3年間、同一・類似の商品・役務について第三者が登録を受けることができません(第24条(6))。これは失効した商標の権利者を保護する猶予であると同時に、他人の失効商標を取得しようとする出願人にとっては3年待つ必要があることを意味します。
更新を逃した場合の救済が権利の回復(restauration)です。権利者の責めに帰すことのできない事情により更新されなかったときは、その事情がやんだ日から6か月以内、かつ更新期限から2年以内に、更新手数料と割増(権利者の責めによらない事情の場合37.5万FCFA、代理人の過失の場合65万FCFA)を納付し、理由を記した申請書をOAPIに提出して回復を求めることができます(第29条(1)(2))。OAPIは理由を審査して回復または却下し、却下決定には60日以内に審判高等委員会へ審判を請求できます(第29条(3)(6))。回復によって存続期間の上限が延びることはなく(第29条(4))、回復した商標は公告されます(第29条(5))。同じ仕組みは、条約上の期間内に出願できなかった場合(優先権期間の徒過など)にも適用されます(第29条(7))。OAPIのサイトによれば、回復は長官が設置する回復委員会での相手方のない「恩恵的」手続として扱われています。
| 項目 | 内容(根拠条文) |
|---|---|
| 存続期間 | 出願日から10年(第22条)。登録日=出願日(第18条(9)) |
| 更新時期 | 最終年(満了前1年以内)に申請(第24条(1))。満了後6か月は割増13万FCFA付きで可(第24条(2)) |
| 更新手数料 | 1区分50万FCFA、追加区分10万FCFA(手数料表)。様式RM302 |
| 更新時の変更 | 標章・商品役務の変更不可、商品役務の限定のみ可(第24条(3))。再審査なし(第24条(4)) |
| 失効後の保護 | 更新されなかった商標は満了後3年間、同一・類似の商品役務について第三者が登録不可(第24条(6)) |
| 権利の回復 | 事情がやんだ日から6か月以内かつ更新期限から2年以内。更新手数料+割増37.5万FCFA(代理人の過失は65万FCFA)。却下には60日以内に審判(第29条) |
| 放棄 | 登録後いつでも全部または一部を放棄可。書留郵便で通知し登録簿に記録・公告。ライセンスが記録されている場合はライセンシーの同意が必要(第26条) |
「使用宣誓書」の要否について
EUのアフリカIP SMEヘルプデスクのOAPI商標ガイド(2024年)は、登録後3年目に使用宣誓書(Declaration of Use)の提出が必須であると記載していますが、附属書IIIにはそのような規定がなく、OAPIの手数料表にも対応する項目はありません。附属書IIIで使用が問題になるのは、5年間の不使用を理由とする取消(第27条)の場面に限られます。本記事では使用宣誓書の要件は存在しないものとして扱いますが、運用の変更がないか現地代理人に確認することをお勧めします。
8. 不使用取消(5年)と無効:いずれも加盟国の裁判所、1か国での使用で足りる、立証責任は権利者、普通名称化、相対的無効は先行権利者のみ、周知商標は5年
OAPI制度では、登録後の商標の有効性を争う手続(無効・取消)はOAPIではなく加盟国の国内裁判所が担当します。取消(déchéance、失効)について、附属書III第27条(1)は、何人かの請求により、管轄の国内裁判所が、(a) 請求前の5年間、加盟国のいずれかの領域内で継続して使用されておらず、権利者が正当な理由を示さない商標、または(b) 権利者の行為により商品・役務の通常の名称(普通名称)となった商標について失効を確認し、登録の抹消を命じることができると定めています。取消は商品・役務の全部または一部について認められます。
実務上の要点は三つあります。第一に、17か国のうちどこか1か国で使用していれば、全加盟国について取消を免れると解されています(第27条(1)(a)の文言、およびEUのアフリカIP SMEヘルプデスクのガイドの説明)。第二に、使用の立証責任は権利者にあり、権利者の承認を受けた他人(ライセンシーや販売代理店)による使用、および識別力を変えない範囲で変更した態様での使用も商標の使用と認められます(第27条(2))。第三に、取消を命じる決定が確定するとOAPIに通知され、OAPIが専用登録簿に記録して登録を抹消し、公告します(第27条(3)(4))。なお、英訳の第27条(4)は抹消後の登録を「初めから効力がなかったものとみなす」と訳し、日本特許庁の和訳は「その時から効力がなくなった」としており、取消の遡及効については表現に揺れがあります。
無効(nullité)は、検察官、利害関係人または職業団体の請求により、管轄の国内裁判所が宣言します(第28条(1))。無効理由は、商標が第2条(商標の定義)・第3条(不登録事由)に適合しないこと、または先行権利との抵触で、先行権利に基づく無効は先行権利者のみが請求できます(第28条(2))。無効は商品・役務の全部または一部について宣言され、確定判決はOAPIに通知されて専用登録簿に記録・公告され、登録は登録日に遡って無効とされます(第28条(3)(4))。第28条(1)が「加盟国の国内領域における登録の効力の無効」と規定しているとおり、判決の効力は原則としてその国に限られます。周知商標(パリ条約第6条の2)の権利者による混同商標の無効請求は、善意の出願である限り出願日から5年以内という期間制限があります(第5条)。悪意の出願にはこの制限が及ばないと解されます。
| 手続 | OAPI附属書IIIの定め |
|---|---|
| 不使用取消 | 請求前5年間、加盟国のいずれの領域でも継続使用がなく正当な理由がない場合、国内裁判所が失効を確認し抹消を命令(第27条(1)(a))。1か国での使用で足りる。立証責任は権利者、承認を受けた他人の使用・識別力を変えない変更態様での使用も可(第27条(2)) |
| 普通名称化による取消 | 権利者の行為により商品・役務の通常の名称となった場合(第27条(1)(b))。2015年改正で明文化 |
| 無効 | 検察官・利害関係人・職業団体の請求により国内裁判所が宣言。理由は第2条・第3条違反または先行権利との抵触(先行権利者のみ請求可)。登録日に遡って無効(第28条) |
| 周知商標に基づく無効 | パリ条約第6条の2・TRIPS第16条(2)(3)の周知商標の権利者が国内裁判所に請求。善意の出願に対しては出願日から5年以内(第5条) |
| 裁判所での所有権主張 | 出願人が先使用を知り得た場合、または法令・契約に違反して取得された商標について、国内裁判所に移転を請求。確定判決はOAPIが登録簿に記録・公告しライセンシーに通知(第47条) |
| 管轄・判決の効力 | 無効・取消・侵害は加盟国の国内裁判所の専属管轄(本体第4条(1))。無効は「加盟国の国内領域における効力」について宣言(第28条(1))。刑事裁判所は被告が主張する無効・失効・帰属の争点も判断(第46条(2)) |
使用の証拠は国ごとではなく「域内のどこか」で残す
17か国すべてで商品を販売していなくても、コートジボワールやカメルーンなど主要市場の1か国で、日付入りの請求書、輸入通関書類、現地販売店のカタログ、広告などを継続的に保存しておけば、不使用取消への防御になります。使用はライセンシーや販売代理店によるものでも構いませんが、権利者の承認の下での使用であることを示す契約書や書簡を残してください。登録から5年を経過した商標でOAPI域内での販売実績がないものは、第三者から取消を請求されるリスクがあると同時に、自社が他社の休眠商標を取り消す際の根拠にもなります。
9. マドリッド制度とOAPI:2015年3月5日発効、18か月宣言と個別手数料(2026年4月改定)、協定第9条・第11条と附属書III第25条、加盟国の批准をめぐる論点、直接出願との使い分け
OAPIは2014年12月5日にマドリッド議定書の加入書をWIPOに寄託し、2015年3月5日に議定書が発効しました(WIPO通知MADRIDP-GP/203)。加入に際してOAPIは、拒絶の通報期間を1年から18か月に延長し、異議に基づく拒絶は18か月経過後も通報できる旨の宣言(議定書第5条(2)(b)(c))と、個別手数料を受け取る旨の宣言(第8条(7)(a))を行っています。日本の出願人は、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でOAPIを指定でき、OAPIを指定した国際登録は、協定本体第9条(3)により各加盟国での国内出願と同じ効力を持ち、第11条(3)によりOAPIに登録された商標と同じ効力を各加盟国で生じます。OAPIは指定官庁として附属書IIIに従って審査・公告し、異議があれば暫定拒絶を通報します。
ここで知っておくべきなのが、国際登録のOAPI域内での有効性をめぐる長年の議論です。OAPIは2015年の加入を管理評議会の決議(国際登録に関する規則)に基づいて行いましたが、OAPIは加盟国の主権を代位するものではなく、国際条約を加盟国の名で批准する権限はないため、各国の議会がOAPIのマドリッド加入を承認しない限り、国際登録は加盟国で執行できないのではないかという懸念が実務家の間で広く共有されていました。2015年12月14日のバマコ改正は、まさにこの点を手当てするために、協定本体第3条(3)・第9条(3)・第11条(3)と附属書III第25条に国際登録の効力を明記したものです。Von Seidels(Managing IP)は、2019年10月31日にカメルーンが12か国目の批准を行って改正協定が全加盟国を拘束するようになった以上、OAPIを指定した国際登録は全加盟国で執行可能なはずだと論じています。他方、Adams & AdamsやInventaは2022年の時点でも、すべての加盟国がOAPIのマドリッド加入を批准するまでは、重要な商標についてはOAPIへの直接出願を推奨するとの立場を維持しており、ジェトロのニュースレター(2019年3月)も同様の懸念を紹介していました。
批准状況の一覧は確認できていません
2015年改正協定について、17加盟国それぞれの批准書の寄託日を一覧にした公式資料は、本記事執筆時点でOAPIのサイトやWIPO Lexで確認できませんでした(セネガルは2016年12月29日の法律第2017-05号で批准を承認、マリは2016年3月29日の命令で承認するなど、個別の国内法令は確認できます)。改正協定本体は3分の2の批准で全加盟国に対して発効する建付けであり(第42条(1))、OAPI自身は国際登録を指定どおり処理していますが、未批准国の裁判所で国際登録に基づく権利行使を争われたときの帰結は、判例がない以上なお不確実です。本記事では「法的な整備は進んだが、重要案件では直接出願を選ぶ事務所が多い」という現状をそのまま記載します。
費用面では、2026年4月12日からの個別手数料(1区分503スイスフラン、追加区分105スイスフラン)は、OAPIへの直接出願の公式手数料(1区分36万FCFA、追加区分7.5万FCFA)とほぼ同額に設定されており、マドプロの利点は手数料の安さではなく、現地代理人を介さずに出願でき、更新・名義変更を一括管理できる点にあります。反対に、マドプロには国際登録日から5年間は基礎出願・基礎登録の運命に従う(セントラルアタック)という制約があり、暫定拒絶や異議を受けた場合には結局OAPI認定代理人の選任が必要になります。日本企業の判断基準としては、(1) 主力ブランドや模倣リスクの高い商標はOAPIへの直接出願で確実に権利化する、(2) 防衛的・周辺的な商標や多数国への同時展開はマドプロでOAPIを指定して管理コストを抑える、(3) いずれの場合も異議期間の監視と、使用証拠の保全は直接出願と同じく必要、という整理が現実的です。OAPIを本国官庁とする国際出願(附属書III第25条)はOAPI加盟国の国民・居住者・営業所を有する者に限られるため、日本企業がOAPI登録を基礎に国際出願することは通常ありません。
| 比較項目 | OAPIへの直接出願 | マドプロでOAPIを指定 |
|---|---|---|
| 公式手数料(3区分) | 51万FCFA(約13.7万円)+現地代理人費用 | 713スイスフラン(約13.6万円)+基本手数料653スイスフラン(他国と共通) |
| 代理人 | OAPI認定代理人が必須(本体第8条(4)、通達第004号) | 出願時は不要。暫定拒絶・異議への応答時に必要 |
| 審査・異議 | 附属書IIIに従う(方式・絶対的理由、公告後3か月の異議) | 同じ。拒絶通報期間18か月(異議に基づく拒絶はその後も可) |
| 効力の根拠 | 本体第9条(1)・第11条(2) | 本体第9条(3)・第11条(3)、附属書III第25条。加盟国の批准をめぐる論点が残る |
| 基礎出願への従属 | なし | 国際登録日から5年間(セントラルアタック)。転換は3区分まで40万FCFA+追加区分8.2万FCFA |
| 更新 | 1区分50万FCFA+追加区分10万FCFA、OAPIへ申請 | 1区分699スイスフラン+追加区分140スイスフラン、WIPOへ一括 |
| 向いている商標 | 主力ブランド、模倣リスクの高い商標、権利行使を見据える商標 | 多数国へ同時展開する商標、防衛的・周辺的な商標、管理コストを重視する場合 |
マドリッド制度の全体的な仕組みと費用は、国際商標出願(マドプロ)の解説記事をご覧ください。
10. 使用・譲渡・ライセンス・消尽・商号:書面要件、登録簿への記録が対抗要件、ライセンスの国別限定、無効条項、国際消尽、商号(附属書V)と不正競争(附属書VIII)
商標権は全部または一部を移転でき、所有権の移転、使用権の許諾(ライセンス)や譲渡、質権の設定・抹消は、無効を免れるために書面で証明しなければなりません(附属書III第30条(1)(2))。移転やライセンスは商品・役務の一部に限ることができますが、地域的に1加盟国の領域に限定できるのはライセンスの効力だけで、商標権そのものを国ごとに分割して譲渡することはできません(第30条(3))。これらの行為は、OAPIの専用登録簿に記録され公報に公告されない限り第三者に対抗できず(第31条(1))、記録・公告の手数料は1件26.5万FCFAです。OAPIは請求に応じて登録簿の記載の写し、質権の記録の有無の証明、標章の同一性証明を発行します(第31条(2))。
ライセンス契約は書面で作成し当事者が署名することが有効要件で、期間は商標登録の存続期間を超えることができません(第32条(2)(3))。契約はOAPIの専用登録簿に記録され、記録・公告まで第三者に対抗できず(第32条(4))、契約の満了・終了を証明すれば権利者またはライセンシーの請求で抹消されます(第32条(5))。契約に別段の定めがなければライセンスは非独占的で、ライセンサーは他者への許諾(ライセンシーへの通知が必要)と自己使用ができ、独占的ライセンスでは他者への許諾ができず、反対の定めがなければライセンサー自身の使用も制限されます(第32条(6)(7))。反競争的な制限や、登録から生じる権利に由来せず権利維持にも必要でない制限をライセンシーに課す条項は無効で、ただし使用の範囲・期間・品質に関する制限と、登録の有効性を害する行為をしない義務は許されます(第33条(1)(2))。別段の定めがなければライセンスの譲渡とサブライセンスはできません(第33条(3))。無効条項の認定は国内裁判所が行います(第34条)。
第3章で述べたとおり、消尽は加盟国または第三国で適法に販売された商品に及びます(第7条(2))。並行輸入品を商標権で止めることは原則として難しいため、総代理店との契約で輸入経路を管理し、商品の改変・再包装があれば「商品がまったく変更されていない」という要件を欠くとして対応することになります。登録商標を使用したビジネスの証拠(請求書、広告、現地販売店の資料)は、不使用取消への防御(第27条)だけでなく、侵害訴訟での損害の立証にも使うことになるため、国別・年別に整理して保管してください。
商号は附属書Vにより別途OAPIに登録できます(様式NC501、商号の手数料表あり)。商標とは別の登録ですが、OAPIの公報には商号の公告(「NC」)もあり、自社の社名・店名がそのまま商号として登録されるおそれがある市場では、商標と併せて検討する価値があります。不正競争は附属書VIIIが定め、商標登録のない表示の保護や営業上の混同行為の差止めは各加盟国の裁判所で不正競争として争います。地理的表示は附属書VIで保護され、OAPIは2022年12月15日にリスボン協定ジュネーブ改正協定に加盟しており、ニジェールの「キリシ(干し肉)」「ガルミの紫タマネギ」、マリの「バンディアガラのエシャロット」、ブルキナファソの「サポネの帽子」などが地理的表示として認められています。日本の地理的表示産品をOAPI域内で保護する場合も、商標(団体商標・団体証明商標)との組合せが選択肢になります。
11. 侵害への救済:加盟国の裁判所での民事・刑事、仮処分と10営業日の本案提起、差押え(外国人は担保)、損害賠償の算定、廃棄・公表、時効5年、刑事罰(500万〜3,000万FCFA・3か月〜2年)
商標権の侵害(contrefaçon、第6条の権利の侵害)は民事責任と刑事責任の双方を生じさせ、侵害はあらゆる方法で立証できます(附属書III第49条)。訴えは侵害行為が行われた加盟国の管轄裁判所に提起し、商標に関する民事事件は略式手続(référé)として審理されます(第46条(1))。刑事裁判所に侵害事件が係属した場合、被告が主張する商標の無効・失効・帰属の争点もその刑事裁判所が判断します(第46条(2))。17か国それぞれに裁判制度があり、多くはフランス法に由来する民事訴訟・刑事訴訟手続を採用していますが、公表された判決は多くなく、現地の弁護士(avocat)と認定代理人の連携が不可欠です。OAPIは裁判官向けの「Guide du magistrat」を発行して裁判所の理解を支援しています。
出願中の商標については、出願公告前の行為は侵害とみなされませんが、出願の公式謄本を侵害者に通知した後の行為は記録・訴追でき、裁判所は登録の公告まで判断を留保します(第48条)。したがって、模倣を発見したら、まず出願の謄本を相手に送達して以後の行為を侵害として追及できる状態にしておくことが重要です。
| 救済手段 | 内容(附属書III) |
|---|---|
| 仮処分・差止の緊急申立て | 侵害の差止めを求め得る者は、国内裁判所に緊急申立てをして、侵害者または侵害者が利用する仲介者に対し、差し迫った侵害の防止・継続の停止を命じる措置(間接強制付き)を求めることができる。遅延により回復不能の損害が生じるおそれがあるときは相手方に通知しない一方的手続(ex parte)も可(合理的に入手できる証拠で侵害の蓋然性を示す必要)。継続の禁止、担保の提供、侵害疑義品の差押え・第三者への引渡しを命じ得る。申立人に担保を命じ得る(第50条(1)〜(4)) |
| 本案提起の期限 | 本案前に仮の措置が命じられた場合、申立人は措置の実施日から10営業日以内に民事または刑事の本案を提起しなければならず、怠れば被告の申立てにより措置は取り消される(第50条(5)) |
| 侵害品の差押え(saisie-contrefaçon) | 権利者または独占的使用権者は、管轄裁判所の所長の命令を得て、執行官・公務員に(必要なら専門家の立会いで)侵害品の詳細な目録作成または差押えを国境を含めて行わせることができる。命令は登録の証明を提出して申請。裁判所は申立人に担保を命じ得て、外国人の申立人には常に担保が要求される(第51条)。差押え・目録作成から10営業日以内に民事・刑事の手続を開始しなければ当然に無効(第52条) |
| 情報提供命令 | 侵害品の出所と流通経路を特定するため、被告や侵害品の所持者・製造者・流通業者に対し、関係文書・情報の開示を命じ得る(第53条) |
| 損害賠償 | 逸失利益を含む経済的な不利益、侵害者が得た利益、権利者の精神的損害を考慮して裁判所が額を定める(第54条) |
| 廃棄・公表 | 侵害品と製造に主に用いられた材料・器具の流通経路からの回収・排除・廃棄・没収、判決の掲示・新聞やオンラインでの公表を侵害者の費用で命じ得る(第55条) |
| 民事の時効 | 侵害行為の日から5年(第56条) |
| 刑事罰 | 商標の不正な複製・使用、偽造商標付き商品の販売・販売の申出、商標の抹消・改変、模倣商標の使用、誤認表示付き商品の販売などに500万〜3,000万FCFA(約134万〜805万円)の罰金と3か月〜2年の拘禁(併科または択一、第57条)。強制商標・禁止標識の違反は500万〜1,000万FCFAと15日〜6か月(第58条)。5年以内の再犯は刑が倍(第60条)。刑は併科されず最も重いもののみ(第59条)。商工会議所等の選挙権の最長10年の剥奪と判決の掲示・公表(第62条)。無罪の場合でも侵害商標付き商品と器具の没収・廃棄を命じ得る(第63条) |
| 仲裁・調停 | 協定の適用に関する紛争は仲裁・調停で解決でき(本体第4条(2))、2015年改正でOAPI内に仲裁・調停センターを設置(第34条)。運用規則は管理評議会が採択 |
権利行使は「国ごと」に行い、10営業日の期限を守る
OAPI登録は17か国で有効ですが、差止めや損害賠償の判決は提訴した国の裁判所のものであり、他の加盟国に自動的には及びません。複数国で同時に模倣が広がっている場合は、物流の起点となる港(アビジャン、ドゥアラ、ダカールなど)のある国で税関措置(第12章)と仮処分・差押えを組み合わせ、措置の実施・差押えから10営業日以内に本案を提起する段取りを事前に現地弁護士と確認してください。外国人には差押えに担保が必ず要求される(第51条(3))ため、担保金の準備も必要です。公表されている判例が少ないこと、刑事罰の下限(500万FCFA)が設けられている一方で実際の量刑は各国の裁判所の裁量であることも踏まえ、警告書や和解による解決も並行して検討するのが現実的です。
12. 税関と模倣品対策:申立てによる留置と10営業日(生鮮品3営業日)、職権留置、担保、仲裁・調停センター
2015年改正で附属書IIIに国境措置の章(第66条・第67条)が設けられました。登録商標の権利者または独占的使用権者は、権利を証明する書類を添えて税関に書面で申し立て、税関が検査の際に模倣品と疑われる商品を留置することができます(第66条(1))。留置は検察官・申立人・輸入者に直ちに通知され、商品の種類と実際または推定の数量が権利者に伝えられます(第66条(2))。権利者は、留置の通知から10営業日(生鮮品は3営業日)以内に、(a) 国内裁判所が命じた仮の措置、または (b) 民事・刑事の裁判官への申立て(相手方の損害を担保する保証を含む)を税関に証明しなければ、留置は当然に解除されます(第66条(3))。訴えの準備のため、権利者は税関に対し、守秘義務にかかわらず発送人・輸入者・数量・仕向人の氏名と住所の開示を求めることができます(第66条(4))。10営業日を過ぎても司法当局または独立の行政機関による差止めの決定がないときは、所有者・輸入者・仕向人は担保を供託して留置の解除を求めることができます(第66条(5))。
権利者の申立てがなくても、税関は検査の過程で登録商標を侵害するおそれのある商品を職権で留置でき、直ちに権利者と検察官に通知し、商品の種類と数量を伝えます(第67条(1)〜(3))。不当な留置については税関に責任が生じ得ますが、善意で行動した場合は免責されます(第67条(4))。また、第51条の差押え(saisie-contrefaçon)は国境でも実施できると明記されています。
| 項目 | 内容(附属書III) |
|---|---|
| 申立てによる留置 | 登録商標の権利者または独占的使用権者が権利の証明を添えて書面で申立て。税関は検査時に模倣疑義品を留置(第66条(1))。検察官・申立人・輸入者に即時通知、種類と数量を権利者に通知(第66条(2)) |
| 権利者の対応期限 | 通知から10営業日(生鮮品3営業日)以内に、裁判所の仮の措置または民事・刑事の申立て(担保付き)を税関に証明。なければ留置は当然解除(第66条(3)) |
| 情報の開示 | 発送人・輸入者・数量・仕向人の氏名と住所の開示を税関に請求可(第66条(4)) |
| 輸入者側の解除 | 10営業日経過後、司法当局等の差止め決定がなければ、所有者・輸入者・仕向人は担保を供託して留置の解除を請求可(第66条(5)) |
| 職権留置 | 申立てがなくても税関は職権で留置し、権利者と検察官に即時通知。不当な留置は税関の責任(善意の場合を除く)(第67条) |
| 国境での差押え | 裁判所の命令に基づく執行官による目録作成・差押えは国境でも実施可(第51条(1))。外国人には担保が必須(第51条(3))。10営業日以内に本案提起(第52条) |
税関は17か国それぞれの行政機関です
附属書IIIは国境措置の枠組みを定めていますが、税関そのものはOAPIの機関ではなく、各加盟国の税関当局です。OAPIの手数料表に税関記録の項目はなく、申立ての様式、担保の額、記録の有効期間などは国ごとの税関の運用に委ねられています。実務では、アビジャン(コートジボワール)、ドゥアラ(カメルーン)、ダカール(セネガル)、ロメ(トーゴ)、コトヌー(ベナン)といった主要港の税関に、現地代理人や弁護士を通じて登録商標の情報と真正品の識別方法を事前に提供しておくことが、職権留置(第67条)を引き出す近道になります。留置の通知を受けてから10営業日以内に裁判所の措置を得る必要があるため、通知の受領体制と、仮処分を申し立てる現地弁護士をあらかじめ決めておくことが不可欠です。
13. 日本企業の出願戦略と実務ポイント:直接出願かマドプロか、区分設計と見出し語の制限、仏語・英語、ARIPOとの違い、商号・地理的表示、電子出願
OAPIは「1件の出願で17か国」という費用対効果の高さと、「先行商標の審査がなく、無効・取消・侵害は17の国内裁判所」という権利行使の難しさを併せ持つ制度です。日本企業がOAPI域内(西アフリカ・中部アフリカのフランス語圏)に商品を輸出し、または現地パートナーを通じて販売する際の実務ポイントを整理します。
- 直接出願とマドプロの使い分け。主力ブランドや模倣リスクの高い商標はOAPI認定代理人を通じた直接出願で権利化し、周辺的な商標や多数国への同時展開はマドプロでOAPIを指定する。公式手数料はほぼ同額(3区分で約13.6〜13.7万円)なので、判断基準は「権利行使の確実性」と「管理コスト」です(第9章)。
- 出願前の先行商標調査。OAPIは先行商標との抵触を審査しないため、調査をしないと先行権利者から無効訴訟を起こされるまで問題に気づかない。OAPIの調査(語・図形各9.5万FCFA)、WOPublish、TMviewを組み合わせ、仏語・英語での意味も確認する(第3章)。
- 区分と商品表示の設計。1件の出願に商品と役務を混在できる(第10条)。第7類・第37類・第40類・第45類の類見出しは受け付けられず、「小売役務」「販促品」などの曖昧な表示は具体化が求められる。日本の指定商品をそのまま訳さず、OAPIの運用に合わせて書き換える(第3章)。
- 優先権の期限管理。日本出願から6か月以内にOAPIへ出願し、出願から3か月以内に優先権の宣言と認証謄本(仏語または英語)を提出、優先権1件ごとに7.5万FCFAを納付する。3か月を過ぎると優先権を失う(第12条)。
- アルファベット表記を基本に、ロゴ・漢字は追加で。審査・公告は仏語・英語で行われ、漢字・仮名は図形として扱われる。現地で呼称される名称(ローマ字・英語名)を主たる商標とし、音の商標や連続標章も必要に応じて活用する(第3章・第4章)。
- 公報監視と3か月の異議。約2週間に1回の商標公報を監視し、紛らわしい出願には公告から3か月以内に異議(17万FCFA)を申し立てる。延長はなく、登録後の異議もない。先使用に基づく主張は「所有権主張」で行う(第6章)。
- 更新は出願日基準で10年ごと。登録日ではなく出願日から10年で満了し、最終年に更新(1区分50万FCFA+追加区分10万FCFA)。6か月の猶予(割増13万FCFA)と、2年以内の回復請求を知っておく(第7章)。
- 使用証拠は「域内のどこか1か国」で残す。5年の不使用で裁判所に取り消され得るが、1か国での使用で足りる。ライセンシー・販売代理店の使用も権利者の承認があれば使用と認められるので、契約で承認を明確にし、請求書・通関書類・広告を保存する(第8章)。
- ライセンス・譲渡は書面+登録簿への記録。書面でなければ無効、記録・公告しなければ第三者に対抗できない(1件26.5万FCFA)。ライセンスは国別に限定できるが、商標権の国別分割譲渡はできない。並行輸入は国際消尽により商標権では止めにくい(第10章)。
- 権利行使は国ごと、10営業日の期限を前提に体制を組む。仮処分・差押え・税関留置のいずれも10営業日以内の本案提起が必要で、外国人の差押えには担保が必須。主要港のある国の弁護士・代理人と事前に段取りを決め、刑事告訴(罰金500万〜3,000万FCFA)と和解を組み合わせる(第11章・第12章)。
なお、OAPIの登録はアフリカ全体をカバーするものではありません。ナイジェリア、ガーナ、ケニア、モロッコ、南アフリカ、エジプトなどは対象外で、英語圏を中心とするARIPO(アフリカ広域知的財産機関、バンジュール議定書に基づき加盟国を個別に指定)や各国の国内出願が必要です。OAPIとARIPOは、OAPIが「国内庁のない単一の登録」であるのに対し、ARIPOは「国内庁を持つ加盟国を指定する方式」である点が根本的に異なります。アフリカ南部・北部については、南アフリカの商標制度とエジプトの商標制度の解説もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. マドプロでOAPIを指定できますか?指定すれば17か国すべてで保護されますか?
できます。OAPIは2015年3月5日からマドリッド議定書の締約機関で、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でOAPIを指定でき、個別手数料は2026年4月12日から1区分503スイスフラン・追加区分105スイスフランです。OAPIを指定した国際登録は、協定本体第9条(3)・第11条(3)により各加盟国で国内登録と同じ効力を持つと定められています。ただし、OAPIのマドリッド加入を各加盟国の議会が批准したかという論点が残っており、現地事務所の多くは重要な商標についてOAPIへの直接出願を勧めています(第9章)。
Q2. コートジボワールだけ、カメルーンだけ、といった国を選んだ登録はできますか?
できません。OAPI加盟国には国内の商標登録庁がなく、OAPIへの1件の出願・登録が自動的に17か国すべてに及びます(協定本体第9条(1)・第11条(2))。一部の国だけを対象にする、あるいは一部の国だけ放棄するという選択肢はなく、手数料も国数に関係なく一律です。ただし、ライセンスの効力は1加盟国の領域に限定できます(附属書III第30条(3))。
Q3. 審査では先行商標も調べられますか?
調べられません。OAPIが職権で審査するのは方式要件と絶対的理由(識別力の欠如、公序良俗・法令違反、誤認のおそれ、国章等)だけで、先行商標との同一・類似は審査の対象外です(附属書III第18条(2))。先行商標との抵触は、公告から3か月の異議申立て、先使用者の所有権主張、登録後の国内裁判所での無効訴訟で争われます。自社の商標を守るには公報の監視が不可欠です(第3章・第6章)。
Q4. 登録までの期間と費用はどのくらいですか?
公式手数料は出願・公告が1区分36万FCFA(約9.7万円)、2区分目から1区分7.5万FCFA(約2万円)で、3区分なら51万FCFA(約13.7万円)です。登録料は別途かかりません。これに優先権主張(1件7.5万FCFA)と現地代理人の手数料が加わります。期間は法定されておらず、公表資料では審査約6か月、異議がなければ出願から登録まで12〜15か月程度が目安です。更新は1区分50万FCFA+追加区分10万FCFAと出願より高めです(第5章)。
Q5. 日本語(漢字・仮名)の商標はそのまま出願できますか?
出願自体は可能ですが、審査・公告はフランス語または英語で行われるため、漢字・仮名の商標は図形的な標章として扱われ、公報上の検索性や現地での認識は限られます。現地で実際に使う名称(ローマ字・英語名)を主たる商標として出願し、ロゴや漢字商標は必要に応じて追加するのが実務的です。優先権書類と委任状以外に翻訳の提出は求められませんが、商品・役務はフランス語または英語で具体的に記載する必要があります(第4章)。
Q6. 使っていない商標はいつ取り消されますか?17か国すべてで使う必要がありますか?
請求前の5年間、加盟国のいずれの領域でも継続して使用せず、正当な理由もない場合に、何人かの請求により加盟国の国内裁判所が取消(失効)を命じることができます(附属書III第27条)。17か国すべてで使う必要はなく、1か国での使用で足ります。使用の立証責任は権利者にあり、ライセンシーや販売代理店による使用も権利者の承認があれば認められます。取消はOAPIではなく裁判所の手続である点に注意してください(第8章)。
Q7. 模倣品が見つかったらどうすればよいですか?税関で止められますか?
侵害が行われている加盟国の裁判所に、仮処分(緊急時は相手方に通知しない一方的手続も可)や執行官による差押えを申し立て、措置の実施から10営業日以内に民事または刑事の本案を提起します。外国人の差押えには担保が必要です。税関には権利者が書面で申し立てて模倣疑義品を留置してもらうことができ、職権での留置もありますが、通知から10営業日(生鮮品3営業日)以内に裁判所の措置を証明しなければ解除されます。刑事罰は500万〜3,000万FCFAの罰金と3か月〜2年の拘禁で、再犯は倍になります(第11章・第12章)。
まとめ
OAPIの商標制度は、バンギ協定(2015年バマコ改正)と附属書III(2022年1月発効)が17加盟国の国内法としてそのまま適用され、1件の出願・登録が全加盟国に及ぶという、世界でも例のない単一の広域制度です。出願・公告の公式手数料は1区分36万FCFA(約9.7万円)と、17か国分の権利としては極めて低廉で、音の商標・視聴覚商標、商品と役務の混在、分割出願、電子出願(2024年6月〜)と、手続の近代化も進んでいます。他方、OAPIは先行商標との抵触を審査せず、公告から3か月の異議申立てと先使用者の所有権主張が唯一の防波堤であること、無効・取消・侵害訴訟は17か国それぞれの国内裁判所で行い、判決の効力もその国に限られること、仮処分・差押え・税関留置のいずれも10営業日以内の本案提起が求められること、マドプロ指定の有効性をめぐる加盟国の批准問題が残ることが、この制度の難しさです。
日本企業としては、主力商標をOAPI認定代理人経由の直接出願で確実に権利化し、周辺的な商標はマドプロで管理する二本立てを基本に、先行商標調査、OAPIの運用に合わせた商品表示、6か月の優先権と3か月の優先権書類の期限、約2週間に1回の公報監視、出願日基準の10年更新、域内1か国での使用証拠の保全、書面と登録簿記録によるライセンス管理、主要港の税関と現地弁護士との事前の段取りまでを、一連の運用として設計することが重要です。
各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。
OAPI・アフリカ地域への商標出願は弁理士にご相談ください
OAPIへの直接出願とマドプロ指定の使い分け、認定代理人の手配、先行商標調査、フランス語・英語での商品・役務の表示設計、優先権の期限管理、公報監視と異議申立て、更新・ライセンス記録、税関と現地弁護士との連携まで、アフリカでのブランド保護を一貫してサポートします。ARIPO加盟国や南アフリカ・エジプト・ナイジェリアなど他のアフリカ諸国との組合せもご提案します。
出典・参考文献
本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。附属書IIIの条文番号は、WIPO Lex掲載の2015年改正バンギ協定英訳と日本特許庁の日本語訳に基づきます。
法令・通達・手数料表(WIPO Lex・OAPI・日本特許庁)
- WIPO Lex「Bangui Agreement on the Creation of an African Intellectual Property Organization, Act of December 14, 2015(OAPI004、英訳・仏語原文)」/協定本体(第1条定義、第3条OAPIの地位、第4条紛争の管轄、第5条国内法としての適用、第8条出願と代理人、第9条・第11条登録と国際登録の効力、第25条・第31条・第33条・第34条機関、第42条発効、第43条経過規定)と附属書III全69条(第2条標章、第3条不登録事由、第4条先願、第5条周知商標、第6条・第7条権利と制限、第9条〜第24条出願・審査・異議・登録・更新、第25条国際出願、第26条〜第29条放棄・取消・無効・回復、第30条〜第34条移転・ライセンス、第35条〜第45条団体商標、第46条〜第65条訴訟・刑事罰、第66条・第67条国境措置、第68条・第69条経過規定)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/20949 - OAPI「Accord de Bangui」(法的枠組みページ、仏・英・西・葡・アラビア語版PDFへのリンク)/1977年3月2日採択、1999年2月24日・2015年12月14日改正、10の附属書の構成、1999年以降の国際条約への適合という改正目的の根拠。
https://oapi.int/cadre-juridique/accord-de-bangui/ - OAPI「Bangui Agreement – English version」(公式サイト掲載の英訳PDF)/WIPO Lex掲載の英訳との照合。
https://www.oapi.int/wp-content/uploads/2023/11/anglais.pdf - 日本特許庁「アフリカ知的所有権機関(OAPI)バンギ協定(2015年12月14日公布)」(日本語訳)/条文の日本語表記(審判高等弁務局、所有権の申立、取消、無効、回復など)の照合、第27条(4)の訳文の相違の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/bangui_kyoutei.pdf - 日本特許庁「バンギ協定に基づく規則(1999年2月24日改正、2002年2月28日施行)」(日本語訳)/1999年改正法の施行日と施行規則の構成の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/bangui_kyoutei_kisoku.pdf - OAPI「Les taxes applicables en matière de marques de produits ou de services」(商標の手数料表、1ユーロ=655.957FCFA)/出願・公告36万FCFA、追加区分7.5万、優先権7.5万、団体商標規則13万、分割36万、訂正4万・6万、更新50万・追加区分10万・遅延割増13万、回復37.5万・65万、登録簿記録26.5万、調査9.5万、証明7万〜10万、審判96万、異議17万、所有権主張17万、拡張25万・3.75万、代理人変更9万の根拠。
https://oapi.int/les-taxes-applicables-en-matiere-de-marques-de-produits-ou-de-services/ - OAPI「Taxes diverses」(その他の手数料)/代理人認定手数料(個人25万・法人50万FCFA)、公報の購読料の根拠。
https://oapi.int/taxes-diverses/ - OAPI「Taxes applicables aux marques internationales à l'OAPI(Protocole de Madrid)」/国際登録の地域出願への転換手数料(3区分まで40万FCFA・追加区分8.2万)、国際登録による地域商標の置換・ライセンス記録26.5万、同文書の異議15万という旧体系の記載の根拠。
https://oapi.int/wp-content/uploads/2023/11/reglement_taxes_madrid.pdf - OAPI長官「Note circulaire n° 26-004 – Dépôt par les déposants non-résidents」(2026年3月2日)/協定第8条(4)に基づき、加盟国域外に住所を有する出願人は認定代理人を通じて出願しなければならず、認定代理人の委任状がない非居住者の出願は処理しないことの根拠。
https://oapi.int/wp-content/uploads/2026/04/CIRCULAIRE-004-Depot-par-les-deposants-non-residents.pdf - WIPO「MADRIDP-GP/203: Accession by the African Intellectual Property Organization」(2014年12月5日)/加入書の寄託日(2014年12月5日)、18か月の拒絶通報期間と異議に基づく拒絶の宣言、個別手数料の宣言、2015年3月5日発効の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/notifications/details/treaty_madridp-gp_203 - WIPO「Information Notice No. 15/2026 – Change in the Amounts of the Individual Fee: OAPI」(2026年3月12日)/2026年4月12日からの個別手数料(出願・事後指定1区分503スイスフラン・追加区分105、更新699・140、猶予期間の割増182)と改定前の金額(572・119、794・159、207)の根拠。
https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/information-notices-en-2026-madrid_2026_15_e.pdf - WIPO「Information Notice No. 6/2022 – Change in the Amounts of the Individual Fee: OAPI」(2022年1月24日)/2022年3月23日の改定(3区分一律704スイスフランから1区分572スイスフランへ)の根拠。
https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/information-notices-en-2022-madrid_2022_6.docx - セネガル共和国「Loi n° 2017-05 autorisant le Président de la République à ratifier l'Accord de Bangui révisé」(2016年12月29日)/加盟国レベルの批准承認の例の根拠。
https://www.vie-publique.sn/documents/7586/loi-2017-05-autorisant-ratification-accord-bangui-revise
OAPI公式サイト・WIPO統計・日本特許庁・ジェトロ・外務省
- OAPI「Marque」(商標の保護手続ページ)/視覚的・聴覚的標識の定義、OAPI本部または各国の国家連絡機構(SNL)への出願、電子出願、手数料の納付証明の添付、先行調査の推奨の根拠。
https://oapi.int/proteger-la-pi/marque/ - OAPI「Etats Membres」(加盟17か国の一覧)/加盟国の構成の根拠。
https://oapi.int/presentation/etats-membres/ - OAPI「Traités internationaux」/マドリッド議定書・ハーグ協定・PCT・パリ条約・ベルヌ条約・TRIPS協定(全加盟国が加盟)に関する説明の根拠。
https://oapi.int/cadre-juridique/traites-internationaux/ - OAPI「Contentieux administratif」/異議と所有権主張の期間(公告から3か月)、手数料の納付証明、長官が設置する異議委員会、審判高等委員会への60日の審判請求と提出書類の根拠。
https://oapi.int/contentieux-de-la-pi/contentieux-administratif/ - OAPI「Contentieux judiciaire」/権利付与後の争い(無効、5年不使用・普通名称化による失効、所有権主張、侵害)が加盟国の裁判所で行われることの根拠。
https://oapi.int/contentieux-de-la-pi/contentieux-judiciaire/ - OAPI「Restauration des droits」/権利の回復が長官の設置する回復委員会での相手方のない手続であること、回復が存続期間を延長しないことの根拠。
https://oapi.int/contentieux-de-la-pi/restauration-des-droits/ - OAPI「Guide du Déposant」(様式一覧)/MA301(出願)、RM302(更新)、M203(移転・ライセンス)、M205・M206(名称・住所変更)、NC501(商号)、異議・所有権主張の様式、マドリッドMM2の根拠。
https://oapi.int/outils/guide-du-deposant/ - OAPI「BOPI – Marques des produits et de services」(商標公報一覧)/商標公報が約2週間に1回発行されていること(2026年第10号〔5月29日〕〜第19号〔10月16日〕)の根拠。
https://oapi.int/category/bopi/marques-des-produits-et-de-services/ - OAPI「Recueil des décisions d'opposition」/異議決定と抹消商標の公開の根拠。
https://oapi.int/recueil-des-decisions-dopposition/ - OAPI「WOPublish – Recherche de marques」(商標検索データベース)/公開の商標検索の根拠。
http://siege.oapi.int:9092/wopublish-search/public/trademarks - 日本特許庁「アフリカ知的財産機関(OA)」(外国産業財産権制度情報・統計表)/リーブルビル協定(1962年9月13日、1964年1月1日発効)、バンギ協定(1977年、1982年2月8日発効)、1999年改正、コモロの加盟(2013年5月25日)、マドリッド議定書発効(2015年3月5日)、ハーグ・リスボン・TLT・シンガポール条約の加盟、商標の出願・登録件数と日本からの件数(2021〜2024年)、代理人の要否の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/oa.pdf - 日本特許庁「アフリカ知的財産機関(OAPI)執行評議会においてアフリカとの積極的な協力を表明しました」(2025年12月17日)/第65回管理評議会(2025年12月、ブラザビル)への安田特許技監の出席、OAPIが仏語圏17か国の広域知財庁であること、ボウスー長官との会談の根拠。
https://www.jpo.go.jp/news/ugoki/202512/2025122201.html - WIPO「World Intellectual Property Indicators 2025」/OAPIの2024年の商標出願区分数12,793(非居住者67.2%)と登録区分数13,224(非居住者73.0%)の根拠。
https://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo-pub-941-2025-en-world-intellectual-property-indicators-2025.pdf - ジェトロ・ドバイ事務所「アフリカ知的財産機関(OAPI)における知的財産権取得に関する制度概要調査」(2017年4月、特許庁委託事業)/OAPIの名称・公用語・本部、1999年改正法下の商標制度の概要(旧制度との比較)の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/africa/ip/report_201704.pdf - ジェトロ「アフリカ知的財産ニュースレター Vol.39」(2019年3月)/バンギ協定改正案の内容(商品と役務の混在、所有権主張、国際登録に関する規定)、発効に必要な3分の2(12か国)の批准、国際登録の有効性への懸念、異議決定の事例(7UP対ICE UP、NEXANS対NEXUS、BOSS対BIG BOSS、PETIT HOLLANDAIS)の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/africa/newsletter201903.pdf - ジェトロ「アフリカ知的財産ニュースレター Vol.101」(2025年1月)/特許・実用新案の附属書I・IIの改正(2025年1月1日以降の出願に実体審査・分割出願・3か月の異議を導入)、管理評議会議長の交代の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/africa/newsletter202501.pdf - 外務省「コートジボワール共和国 基礎データ」(令和8年6月1日)/進出日本企業20社(2024年10月)、在留邦人169名(2025年10月)、対日貿易品目の根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cote_d/data.html - 外務省「セネガル共和国 基礎データ」(令和8年6月16日)/進出日本企業24社(2024年10月)、在留邦人219名(2025年10月)、通貨CFAフランと1ユーロ=655.957CFAフランの固定レートの根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senegal/data.html - 外務省「カメルーン共和国 基礎データ」(令和8年3月4日)/進出日本企業7社、在留邦人60名(いずれも2024年10月)、首都ヤウンデ、仏語・英語の公用語の根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cameroon/data.html - 欧州中央銀行「Euro foreign exchange reference rates」(2026年10月29日)/1ユーロ=175.92円、1ユーロ=0.9222スイスフランに基づく円換算の根拠。
https://www.ecb.europa.eu/stats/eurofxref/eurofxref-daily.xml
解説・実務報告
- INTA「OAPI Advances IP in French-Speaking Africa」(OAPI長官ボウスー氏インタビュー、2023年)/長官の就任(2017年8月)と再任、2022年1月1日以降の出願への絶対的理由の全面審査(1999年法は(c)(e)の2理由のみ)、出願と登録の二重公告、審判高等委員会の構成(裁判官6名・任期2年・年2回)、先使用に基づく主張は所有権主張によること、非伝統的商標のデジタル媒体での表示、リスボン協定ジュネーブ改正協定への加盟(2022年12月15日)、地理的表示の産品例の根拠。
https://www.inta.org/?p=45414 - Adams & Adams「OAPI: Bangui Agreement Revisions Change the Trade Mark Registration Process with Effect from 2 January 2022」/附属書III・IV・Vの2022年1月2日発効、音・視聴覚商標、商品と役務の混在、相対的審査なしと3か月の異議、登録後の異議不可、分割、所有権主張、5年の時効、国際登録の承認と直接出願の推奨、税関留置と10日、2022年1月1日からの新料金表(1区分ごとの手数料)の根拠。
https://www.adams.africa/stephen-hollis/oapi-bangui-agreement-revisions-change-the-trade-mark-registration-process-with-effect-from-2-january-2022/ - Adams & Adams「OAPI – Amendments to the Bangui Agreement」/新料金表の出願・公告36万FCFA(1区分)・追加区分7.5万FCFA、優先権7.5万FCFA据置き、色彩主張の追加手数料廃止、各改正点の条文番号の根拠。
https://www.adams.africa/intellectual-property/aripo-amendments-to-the-bangui-agreement/ - Adams & Adams「OAPI: E-filing process to commence from 3 June 2024」/2024年6月3日の電子出願開始、対象手続(調査・出願・更新・記録・異議)、添付書類の原本提出が引き続き必要であることの根拠。
https://www.adams.africa/adams-news/oapi-e-filing-process-to-commence-from-3-june-2024/ - Adams & Adams「OAPI rejects AFP opposition against AFO + Logo」(2026年)/2026年5月19日の異議決定(第35類・第38類・第41類の役務が重なり「A」「F」を共有しても混同のおそれなし、審判高等委員会への審判可)の根拠。
https://www.adams.africa/africa-ip-updates/oapi-rejects-afp-opposition-against-afo-logo/ - Inventa「Bangui Agreement: A Summary of The Essential Changes」(2022年)/OAPI加盟国に国内庁がないこと、ARIPOとの違い、附属書IIIの2022年1月1日発効、旧制度(登録証交付後に6か月の異議期間、商品と役務の別出願)、新制度の順序、分割、5年の時効、国際登録と直接出願の推奨、税関の10営業日・3営業日の根拠。
https://inventa.com/ip-news-insights/opinion/bangui-agreement-summary-essential-changes - Spoor & Fisher「OAPI: Widespread changes to come into effect」/2022年1月1日からの改正の要点、2022年3月1日の発表(第7類・第37類・第40類・第45類の類見出しの不受理、曖昧な表示の具体化、実体審査ツールの段階的導入)、普通名称化による取消の明文化、国際登録の有効性に関する見解の根拠。
https://spoor.com/oapi-widespread-changes-to-come-into-effect/ - Spoor & Fisher「OAPI: Electronic filing of trade mark applications」/2024年6月3日の電子出願開始と対象手続の根拠。
https://spoor.com/oapi-electronic-filing-of-trade-mark-applications/ - Von Seidels(Managing IP / IP STARS)「The Madrid system in OAPI member states」/OAPIが管理評議会決議でマドリッド制度に加入した経緯と有効性の懸念、2015年改正の第9条(3)・第11条(3)、2019年10月31日のカメルーンによる12か国目の批准、国際登録が執行可能とする見解と慎重論の根拠。
https://ipstars.com/NewsAndAnalysis/the-madrid-system-in-oapi-member-states/Index/9025 - World Trademark Review「A guide to OAPI: what you need to know」(Inventa、旧制度下の解説)/旧制度の手続(登録証交付後の公告と6か月の異議、審判高等委員会への不服、登録まで10〜14か月)、優先権書類の仏語・英語の認証翻訳の根拠。
https://www.worldtrademarkreview.com/article/guide-oapi-what-you-need-know - EU Africa IP SME Helpdesk「OAPI Trade Marks Guide 2024」(欧州委員会IP Helpdesk、2025年2月公開)/委任状の公証・認証不要と3か月の提出期限、優先権書類の認証と仏語・英語、2024年6月3日の電子出願、審査6か月・登録12〜15か月、異議3か月(延長不可)、1か国での使用で足りること、更新の猶予6か月、調査の所要日数の根拠。同ガイドの「相対的理由の審査」「使用宣誓書」「実体審査の2023年7月開始」の記載は本文で注記のうえ採用していない。
https://intellectual-property-helpdesk.ec.europa.eu/ip-management-and-resources/publications/oapi-trade-marks-guide-2024_en