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モンゴル商標制度の実務ガイド|商標及び地理的表示法(2021年改正)と2020年知的財産法・絶対的理由と相対的理由を9か月で審査・方式審査後の公告と出願日から3か月の異議・モンゴル語願書とキリル文字音訳・公費は3区分で約4,600円・出願日から10年・不使用取消5年・マドプロ付加手数料100スイスフラン・紛争解決評議会と検査官制度を弁理士が徹底解説
モンゴル国は、中国とロシアに挟まれた人口約359万人の内陸国で、石炭・銅などの鉱物資源とカシミヤを輸出し、2016年に日本と経済連携協定(日・モンゴルEPA)を発効させた「第三の隣国」外交の重点相手国です。日本からは自動車・一般機械・建設鉱山機械を輸出し(2024年の対モンゴル輸出約1,474億円)、進出日系企業は226拠点(2024年10月、外務省)に上ります。商標を所管するのは法務内務省の実施機関である知的財産庁(IPOM:Intellectual Property Office of Mongolia)で、ウランバートルに本部があります。
制度の根拠は商標及び地理的表示法(2010年6月10日改正法、2021年5月6日改正・同年9月23日施行)と、2020年に制定された知的財産法です。審査は絶対的理由と相対的理由(先行商標・周知商標)の両方について出願から9か月以内に行われ、方式審査後の公告に対して3か月の異議申立てが可能で、存続期間は出願日から10年、不使用取消は5年です。公的手数料は3区分までの出願が5万トグログ(約2,200円)と世界でも最も安い水準にあり、マドリッド協定(1985年)と議定書(2001年)の双方に加盟しているため、日本からはマドプロ指定でも直接出願でも権利化できます。他方、モンゴル語(キリル文字)での手続、先行商標との抵触や周知商標の保護をめぐる審査の厳しさ、知的財産庁の紛争解決評議会(Dispute Resolution Council)を中心とする独特の紛争処理、2024年1月の法改正の内容が英訳されていないことなど、注意すべき点もあります。本記事では、日本特許庁が公開する商標法の英訳と制度概要(2024年統計版)、WIPO Lexの知的財産法英訳、WIPOの統計プロファイルとマドリッド制度の宣言一覧、外務省の基礎データ、知的財産庁の公開情報、現地事務所の解説を照合し、日本企業がモンゴルで商標を取得・維持・行使するために必要な事項を弁理士が解説します。
この記事のポイント
- 根拠法は商標及び地理的表示法(2003年施行、2010年6月10日全面改正、2021年5月6日改正・同年9月23日施行、2024年1月12日にも改正)と知的財産法(2020年1月23日制定、同年12月1日施行)。所管は法務内務省傘下の知的財産庁(IPOM)で、登録・審査・紛争解決評議会・執行(国家検査官)を一手に担う。
- 審査は絶対的理由と相対的理由の両方(第5条:識別力、国章・著名人・勲章、公序良俗、誤認、先行商標との同一・類似、周知商標、著作権等との抵触、地理的表示、悪意の出願)について出願から9か月以内(最長6か月延長)に行い、方式審査後に公告された出願に対して出願日から3か月(2か月延長可)の異議申立てができる(第8条)。暫定拒絶への応答は3か月(3か月延長可)。
- 公的手数料は出願が3区分まで5万トグログ(約2,200円)、追加区分5,000トグログ、登録証の発行が3区分まで5.5万トグログ、更新が8万トグログ(2021年7月改定、日本特許庁の制度概要)。本記事では1万トグログ≒440円(2026年11月2日のモンゴル銀行公式レート、1円=22.81トグログ)で換算した。マドプロ指定は個別手数料制ではなく、付加手数料100スイスフラン(約1.9万円)で済む。
- 存続期間は出願日から10年、更新は最終年と満了後6か月の猶予期間に申請(第9条・第10条)。正当な理由のない5年間の不使用は、利害関係人が知的財産庁の紛争解決評議会に取消(無効)を請求できる(第33条)。代理店・販売店が権利者の同意なく登録した商標も無効理由になる。
- マドリッド協定(1985年4月21日)と議定書(2001年6月16日)の双方に加盟。18か月の拒絶通報期間や個別手数料の宣言は行っておらず、国際登録への異議は国際公告から5か月以内。2024年の商標出願は4,462件で外国出願人が2,519件(56%)、日本からは141件(WIPO統計)。非居住者の出所は中国26%、韓国10%、米国8%、ロシア8%、スイス7%(区分数ベース)。
- 権利行使は、知的財産庁の国家知的財産検査官への申立て(使用停止・販売停止・廃棄命令と違反法上の制裁)、裁判所での損害賠償請求、刑法上の責任追及、税関への商標登録(録記)による輸入差止めを組み合わせる。知的財産庁の決定や検査官の処分への不服は、評議会の決定から30日以内に裁判所へ申し立てる。
- モンゴル語(キリル文字)での出願が必須で、キリル文字以外の商標には音訳または翻訳を添える。委任状は公証・認証不要で、スキャンの提出でよく、出願から2か月以内(2か月延長可)に提出できる。先願主義で登録前の使用は原則保護されないため、日本ブランドの先取り出願への備え(早期出願と周知商標の認定)が重要になる。
目次
- モンゴル商標制度の全体像:商標及び地理的表示法(2010年・2021年・2024年改正)と知的財産法(2020年)、知的財産庁と紛争解決評議会、条約加盟
- 市場環境と統計:年間出願4,000件台、外国出願人が過半、日本からは年90〜140件、登録まで約半年、日系企業226拠点
- 保護対象と拒絶理由:音・匂い・色彩・立体も可、識別力(第5.1条)、不登録事由11項目(第5.2条)、周知商標の認定制度、団体商標・証明商標、権利不要求
- 出願手続の流れ:モンゴル語の願書と音訳、知的財産代理人、1出願1商標・多区分可、方式審査10営業日→公告→異議3か月→実体審査9か月→登録、委任状2か月・優先権書類3か月、早期審査
- 費用一覧(出願5万トグログ・登録証5.5万・更新8万、追加区分、延長の手数料)とマドプロの付加手数料100スイスフラン、為替の注意
- 拒絶・異議への対応と不服申立て:暫定拒絶への応答3か月、最終決定3か月、紛争解決評議会への申立て30日、裁判所へ30日、異議の手続
- 登録・存続期間・更新:出願日から10年、最終年の更新と猶予6か月、変更の記録(6か月以内)、権利の消滅
- 不使用取消(5年)と無効:紛争解決評議会の管轄、第5条違反・代理店による無断登録・不使用の3類型、請求期間、裁判所への不服
- マドリッド制度とモンゴル:協定と議定書、宣言なし(12か月・付加手数料)、国際登録の審査と5か月の異議、暫定拒絶への応答、2023年からの電子出願、直接出願との使い分け
- 使用・譲渡・ライセンス:使用の定義(輸出入・インターネットを含む)、先使用者の抗弁、書面の譲渡契約と記録、ライセンスは登録が効力要件、知的財産の商業化と評価
- 侵害への救済:国家知的財産検査官(3日以内に調査開始)、違反法上の制裁、裁判所での損害賠償、刑事責任、公正競争・消費者保護庁、最高裁判例の傾向
- 税関と模倣品対策:税関への商標登録、通関差止めの申立て、税関検査官の権限、中国・ロシア国境からの流入
- 日本企業の出願戦略と実務ポイント:先取り対策、マドプロか直接出願か、キリル文字表記、区分設計、公報監視と異議、使用証拠、代理店契約、2024年改正の確認
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 出典・参考文献
1. モンゴル商標制度の全体像:商標及び地理的表示法(2010年・2021年・2024年改正)と知的財産法(2020年)、知的財産庁と紛争解決評議会、条約加盟
モンゴルの商標制度は、1992年の民主化憲法の下で整備が始まり、日本特許庁の制度概要によれば2003年5月2日に商標法が施行され、2010年6月10日に「商標及び地理的表示法」として全面改正されました。現行法はこの2010年法を基礎に、2021年5月6日の改正(2021年9月23日施行)で、方式審査後の公告と2段階の異議手続、実体審査期間(9か月+6か月)の明文化、悪意の出願の拒絶理由化、5年の不使用取消、各種期限の延長制度(手数料付き)、国際登録への5か月の異議などを導入しました。WIPO Lexには2024年1月12日付の改正(MN051)も収録されていますが、本稿執筆時点ではモンゴル語のみで英訳がなく、内容は確認できていません(後述の注意枠)。
商標法と並ぶ基本法が、2020年1月23日に制定され同年12月1日に施行された知的財産法です。同法は知的財産を著作権・著作隣接権と産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標・地理的表示)に分類し、知的財産政策を担当する政府構成員(大臣)、首相直属の国家知的財産評議会、そして実施機関としての知的財産庁(IPOM)という3層の体制を定めています。知的財産庁には産業財産権紛争解決評議会(Dispute Resolution Council)と著作権評議会が置かれ、国家知的財産検査官(長官が首席検査官)が執行を担います。知的財産代理人(弁理士に相当)の資格・免許、ライセンス・フランチャイズ契約の登録、知的財産の評価人・仲介業者の登録、手数料の決定権限(政府が金額を定める)も同法に規定されています。2021年5月6日と2022年6月17日に改正され、2023年1月1日からは代理人免許が許可法の体系に組み込まれました。
| 項目 | モンゴルの商標制度(根拠) |
|---|---|
| 根拠法 | 商標及び地理的表示法(2010年6月10日改正法、2021年5月6日改正・9月23日施行、2024年1月12日改正)、知的財産法(2020年1月23日制定・12月1日施行、2021年・2022年改正)。民法、違反法、刑法、競争法が補完 |
| 所管官庁 | 知的財産庁(IPOM、法務内務省傘下の政府実施機関、ウランバートル市バヤンズルフ区)。産業財産権局が出願・審査、執行局が検査、紛争解決評議会が異議・無効・周知認定 |
| 権利の発生 | 国家登録簿への登録により排他権が発生(第12.1条)。先願主義(第6.7条)。効力は登録後だが存続期間は出願日から起算 |
| 審査 | 方式審査(10営業日)と、第5条の絶対的・相対的理由の実体審査(出願から9か月、最長6か月延長、第8.2条) |
| 異議申立て | 方式審査後に公告された出願に対し、出願日から3か月以内(2か月延長可、第8.10条・第8.11条)。国際登録は国際公告から5か月(第11.9条) |
| 存続期間 | 出願日から10年、10年ごとに更新。更新は最終年または満了後6か月の猶予期間内(第9.3条・第10.2条) |
| 不使用取消 | 正当な理由のない5年間の不使用。利害関係人が紛争解決評議会に請求(第33.1.3条・第33.2条) |
| 無効 | 第5条違反、代理店・販売店による無断登録、不使用を理由に紛争解決評議会へ(第33条)。評議会の決定への不服は30日以内に裁判所へ(知的財産法第25.2条) |
| マドリッド制度 | マドリッド協定(1985年4月21日)と議定書(2001年6月16日)。18か月の拒絶期間・個別手数料の宣言なし(付加手数料100スイスフラン) |
| 主な条約 | パリ条約(1985年4月21日)、PCT(1991年5月27日)、WTO(1997年1月29日)、ハーグ協定(1997年4月12日)、ニース協定・ウィーン協定(2001年6月16日)、シンガポール条約(2011年3月3日)。商標法条約には未加盟 |
| 紛争の管轄 | 知的財産庁の決定・検査官の処分は紛争解決評議会→行政裁判所。損害賠償は民事裁判所。刑事は刑法に基づき刑事裁判所 |
| 言語 | モンゴル語(第6.1条)。キリル文字以外の商標には音訳・翻訳を添付(第6.5.11条) |
条約面では、モンゴルは1985年4月21日にパリ条約とマドリッド協定に同時加盟し、1991年にPCT、1997年にWTOとハーグ協定(意匠の国際登録)、2001年6月16日にマドリッド議定書・ニース協定・ウィーン協定、2011年3月3日にシンガポール条約(商標法に関する条約)に加入しています。知的財産庁は2023年10月15日からWIPOのマドリッド電子出願(Madrid e-Filing)を東アジアで初めて導入し、モンゴルの出願人が国際出願をオンラインで行えるようになりました。商標法条約(TLT)には加盟していません。
2024年1月12日の法改正の内容は、本稿執筆時点で英訳が公開されていません
本記事の条文は、日本特許庁が公開する「商標及び地理的表示法(2021年5月6日改正版)」の英訳に基づいています。WIPO Lexには2024年1月12日付の改正法(MN051)がモンゴル語で収録されていますが、英訳はなく、知的財産庁の英語ページにも解説がありません。また、2024年には紛争処理機関の見直しなどを含む改正案が国会の法案フォーラムに掲載されていました。2021年改正で導入された手続(公告後の異議、9か月の実体審査、5年の不使用取消)が現在も運用されていることは現地事務所の最新情報(2026年3月確認)で裏づけられていますが、期限や不服申立ての経路の細部は2024年改正で変わっている可能性があります。具体的な案件では、現地代理人に現行の条文と運用を確認してください。
2. 市場環境と統計:年間出願4,000件台、外国出願人が過半、日本からは年90〜140件、登録まで約半年、日系企業226拠点
日本特許庁がWIPO統計に基づいてまとめた制度概要によれば、モンゴルへの商標出願は2021年4,322件、2022年3,621件、2023年4,017件、2024年4,462件で、このうち外国出願人の出願は2024年に2,519件(56%)、日本からの出願は2021年127件、2022年92件、2023年91件、2024年141件です。登録は2024年に4,180件(外国出願人2,772件、日本から166件)でした。区分数ベースのWIPO統計プロファイル(2024年)では、出願は15,611件(居住者10,531件・非居住者5,080件)、非居住者の出所は中国25.8%、韓国10.3%、米国7.8%、ロシア7.5%、スイス7.3%で、有効登録は21,517件、登録までの平均日数は168日、審査官1人当たりの出願は約5,200件と報告されています。モンゴルを本国官庁とするマドプロ出願は年7件程度で、海外出願の54%がマドリッド制度経由です。
| 年 | 商標出願(全数) | うち外国出願人 | うち日本から | 登録(全数) | 登録のうち日本から |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 4,322 | 2,104 | 127 | 3,481 | 138 |
| 2022年 | 3,621 | 1,969 | 92 | 4,024 | 143 |
| 2023年 | 4,017 | 2,469 | 91 | 3,793 | 103 |
| 2024年 | 4,462 | 2,519 | 141 | 4,180 | 166 |
出典:日本特許庁「諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等:モンゴル」(WIPO IP Statistics Data Centerに基づく)。外国出願人にはマドプロ指定を含む。
市場環境としては、モンゴルの名目GDPは約202.6億米ドル、1人当たりGDPは6,898米ドル(2024年)、2025年の経済成長率は6.8%、インフレ率は7.5%です。輸出の9割近くを石炭・銅精鉱などの鉱物資源が占め、輸出入とも中国が最大の相手国で、輸入では日本が中国・ロシアに次ぐ3位です。日本との貿易は2024年に約1,498億円(日本からの輸出1,474億円、輸入24億円)で、自動車・一般機械・建設鉱山機械が中心です。日本からの直接投資は累計約9.7億米ドル(2024年末)、進出日系企業は226拠点(2024年10月)、在留邦人は337人(2025年6月)で、2022年11月には両国が「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」を樹立しました。日本車(特に中古車)、日本食、化粧品、日用品の人気が高く、先願主義の下で登録前の使用が原則として保護されないため、日本企業の商標がモンゴルの第三者に先に出願されるリスクには早めの出願で備える必要があります。商標出願件数が年間4,000件台と少なく、審査官の負担が大きい一方で登録までの期間が比較的短いことも、この国の特徴です。
3. 保護対象と拒絶理由:音・匂い・色彩・立体も可、識別力(第5.1条)、不登録事由11項目(第5.2条)、周知商標の認定制度、団体商標・証明商標、権利不要求
商標及び地理的表示法第3条は、商標を「自然人または法人が自己の商品・役務を他人のものと区別するために用いる識別的な表現」と定義し、第4条は「語、図形、文字、数字、立体的形状、色彩、色彩の組合せ、音、匂い、またはこれらの組合せ」で表現できると定めています。団体商標(製造者・役務提供者が自発的に設立した法人の構成員が共同管理の下で使用する商標)と証明商標(認証機関が商品・役務の品質・製法その他の特性を証明するために他者に使用させる商標)も登録でき、願書でその旨を表示し、使用規則と認証機関である証拠を添付します(第6.5.9条〜第6.6.2条)。周知商標は「登録の有無を問わず、モンゴルの関連分野で広く知られるようになった商標」と定義され(第3.1.13条)、知的財産庁が周知商標のリストを承認・公告します(第5.5条)。
識別力を欠くもの(第5.1条)として、(1)文字・数字のみ、一般的な幾何学的形状、一般に知られた用語・名称のみからなるもの、(2)商品・役務の名称、数量・大きさ・重量・品質・用途・価格を示す語や図形、地名・地理的名称とその略称、地図上の位置、製造の時期・方法、(3)識別できない商品や包装の形状・図形、(4)モンゴルの歴史的・文化的記念物の名称や表示のみからなるもの、(5)モンゴルの歴史上の人物の名称・筆名・肖像・画像のみからなるもの、またはそれらに直接関連する名称が挙げられています。チンギス・ハーンなど歴史上の人物や史跡の名称を商標に使うことは、モンゴルでは特に慎重な扱いを受け、知的財産庁がその判定基準を規則で定めています(第5.4条)。
不登録事由(第5.2条)は11項目で、(1)モンゴル、パリ条約・WTO加盟国の国名・略称・国章・国旗・国家の象徴、国家機関や政府間国際機関の名称・紋章(権限ある当局の許可がある場合を除く)、(2)モンゴルの著名人の氏名・筆名・肖像・画像(本人または相続人の同意がある場合を除く)、(3)モンゴルの勲章・メダル・褒章、検査・保証の公的な標識に同一・類似のもの、(4)公序良俗に反する内容、(5)商品・役務の性質・品質・地理的出所などについて消費者を欺き誤認させるおそれのある表示、(6)同一の商品・役務について登録・出願済みの商標と同一のもの、(7)類似の商品・役務について登録・出願済みの商標と同一・類似で、混同のおそれがあるもの、(8)周知商標と同一・類似で、商品・役務の性質を問わず、混同、不当な利益、損害、名声の毀損のおそれがあるもの、(9)モンゴルで公表された著名な著作権・著作隣接権または産業財産権と明らかに抵触するもの、(10)登録された地理的表示と同一・類似で出所の混同のおそれがあるもの、(11)不当な利益を得る目的で出願された商標(悪意の出願)です。悪意の出願は2021年改正で追加されました。識別力のない要素や国章などが商標の主要部分でない場合は、その部分について権利不要求(ディスクレーマー)を付して登録できます(第5.3条)。
審査は先行商標・周知商標との抵触も対象ですが、「知的財産庁が自社の権利を守ってくれる」とは限りません
モンゴルでは審査官が第5.2.6条〜第5.2.8条に基づいて先行商標や周知商標との抵触を審査します。現地事務所も「方式審査、識別力の審査、先行商標の調査」が審査に含まれると説明しています。しかし、2020年と2023年の最高裁判所の判決(WIPO Lex収録)は、キリル文字の普通名称的な語が単独で登録されたり、未登録の商標を根拠に検査官が制裁を科したりした事例で、知的財産庁の判断が覆されたことを示しています。審査官1人当たりの出願件数は年間5,000件を超え、周知商標の認定は権利者が紛争解決評議会に申請して得る仕組みです(2014年7月1日施行の周知商標規則)。したがって、日本企業は、自社の商標が先に出願されていないかを出願前に調査し、出願後は公告を監視して出願日から3か月以内に異議を申し立て、著名ブランドについては周知商標の認定を取得しておくことが重要です。
先に出願された者が権利を取得する先願主義が明記され(第6.7条)、登録前の使用に基づく権利は原則として認められませんが、登録商標の出願日より前にモンゴル国内で同一の商品・役務に同一の商標を公正に使用していた者に対しては、類似使用の差止請求権(第12.3.5条)が及びません(第12.4条、先使用者の抗弁)。なお、商号や企業名は商標とは別に法人登録で保護され、商標法上は著名な産業財産権との抵触(第5.2.9条)や競争法上の不正競争(他人の商標・ラベル・商号・包装の無断使用の禁止)として扱われます。
4. 出願手続の流れ:モンゴル語の願書と音訳、知的財産代理人、1出願1商標・多区分可、方式審査10営業日→公告→異議3か月→実体審査9か月→登録、委任状2か月・優先権書類3か月、早期審査
出願は、商標の登録を希望する自然人・法人がモンゴル語で、紙または電子的に知的財産庁に提出します(第6.1条)。出願人本人または知的財産代理人が出願でき(第6.2条)、商標法には外国人に代理人を義務づける明文はありませんが、知的財産法第16条に基づく免許を持つ代理人(モンゴル国籍、高等教育、3年以上の実務経験、25歳以上、モンゴル在住、または同国の法人)だけが知的財産庁での代理を行えるため、日本企業は実務上、現地の知的財産代理人を通じて出願します。現地事務所も外国出願人には代理人の選任が必要と案内しています。1出願には1つの商標のみを含め(第6.3条)、商品・役務は複数の区分を指定できます(多区分出願、第8.9条の分割規定)。
| 段階 | 内容(根拠条文・期間) |
|---|---|
| 1. 出願前の準備 | 知的財産庁の国内商標データベース(WIPO Publishで公開)とMadrid Monitorで先行商標を調査。ニース分類で商品・役務を特定。キリル文字の音訳と、外国語の意味の説明を準備 |
| 2. 願書の記載事項 | 登録の請求、出願人の氏名・住所・国籍・居住国(法人は名称・法的性質・住所・設立国・権限ある者の署名と印)、代理人の氏名・住所・署名、優先権の主張、商標の表示と説明、団体商標・証明商標の表示、キリル文字以外の商標の音訳と外国語の翻訳、商品・役務の区分と一覧(第6.5条) |
| 3. 添付書類と後出し | 手数料納付の証明は出願時に必要(第6.4.2条)。委任状、団体商標・証明商標の使用規則は出願日から2か月以内(第7.6条、手数料を払えばさらに2か月延長可)、優先権書類(先の出願の認証謄本)は出願日から3か月以内(第7.7条)。期限内に出なければ出願は取下げ扱い、優先権は主張しなかったものとみなす(第7.8条・第7.9条)。委任状は公証・認証不要で、スキャンで足りる(MNCCI、IP-Coster) |
| 4. 方式審査と出願日 | 受領から10営業日以内に方式審査し、要件を満たせば受領日を出願日として書面で通知(第7.1条・第7.2条)。不備は通知から20日以内に補正(補正すれば当初の受領日が出願日、第7.3条・第7.4条)。補正がなければ出願は拒否されたものとみなす(第7.5条) |
| 5. 公告(第1段階) | 方式審査と出願日の付与の後、知的財産庁は商標の表示と書誌事項を公式定期刊行物に公告(第7.10条)。2021年改正で導入された早期公告 |
| 6. 異議申立て | 利害関係人は、公告された出願に対して出願日から3か月以内に異議を申し立てることができ、手数料を払えば2か月延長できる(第8.10条・第8.11条)。異議は本人または知的財産代理人が提出(第8.12条)。第6章参照 |
| 7. 実体審査 | 第5条の要件(識別力、不登録事由、先行商標・周知商標との抵触)を審査し、出願日から9か月以内(必要なら最長6か月延長)に審査報告書を作成(第8.1条・第8.2条)。要件を満たせば登録決定、満たさなければ暫定的な拒絶決定を書面で通知(第8.3条・第8.4条)。審査中は商標そのものの変更を除く補正が可能で、区分の追加は新規出願(第8.8条)。多区分出願の分割も可(第8.9条) |
| 8. 拒絶への応答 | 暫定拒絶の受領から3か月以内に理由を付した応答を提出(正当な理由があれば手数料付きで3か月延長、第8.5条)。知的財産庁は応答の受領から3か月以内に最終決定(第8.6条)。応答がなければ最終拒絶(第8.7条) |
| 9. 登録・公告(第2段階) | 登録決定により国家商標登録簿に記録し、登録証を発行(第9.1条)。登録証の発行には国家印紙税と手数料を納付(第9.4条)。登録商標の表示と書誌事項を公式定期刊行物(月刊)に公告(第9.5条) |
| 10. 所要期間 | 法定の審査期間は9か月(最長15か月)。現地事務所は異議がない場合で6〜9か月、または9〜12か月と案内し、WIPO統計の登録までの平均日数は168日。追加手数料を払う早期審査(ファストトラック)で1〜3か月短縮でき、早期審査では実体審査が6か月に短縮される |
優先権はパリ条約・WTO加盟国での先の出願から6か月で(第3.1.16条)、出願時に優先権を主張し、3か月以内に先の出願の認証謄本を提出します。公式の博覧会に出品した商品の商標については、出品から6か月以内の出願について出品日を出願日とみなす規定が2010年法にありましたが(旧第7.4条)、2021年改正法の英訳ではこの規定の位置づけが明確でないため、博覧会優先を利用する場合は現地代理人に確認してください。モンゴルはシンガポール条約に加盟しており、2023年10月からは国際出願の電子出願、国内出願についても知的財産庁の電子システムが整備されています。
異議期間の起算点は「出願日」と「公告日」で資料が分かれます
商標及び地理的表示法第8.10条の英訳は、第7.10条により公告された出願に対して「出願日から3か月以内」に異議を申し立てられると定めています。方式審査(10営業日)の直後に公告されるため、実質的には公告から約2か月半の期間になります。一方、現地事務所の解説(IP-Coster、GRATA)には「公告から3か月」と説明するものもあり、知的財産庁の運用がどちらかは断定できません。公告を見つけたら出願日を基準に最短の期限を計算し、間に合わない場合は手数料を払って2か月の延長を申請してください。なお、2021年改正は「2段階の異議手続」を導入したとされ、実体審査後の月刊公告の後にも異議(登録後の無効請求)が可能です(第8章)。
キリル文字の音訳と「意味の説明」が必要です
第6.5.11条は、商標がキリル文字以外の文字で表されている場合にキリル文字への音訳を、外国語の場合はその翻訳を願書に記載するよう求めています。現地事務所も「文字商標の場合は語の意味を説明する」と案内しています。日本語の商標(漢字・かな)やローマ字の造語を出願する場合、音訳の表記ゆれによって同一商標と認められなくなったり、意味の説明が記述的と判断されたりするおそれがあるため、音訳の綴りを社内で統一し、造語である場合はその旨を説明してください。キリル文字表記そのものを別途出願しておくと、音訳をめぐる後願との争いを避けられます。
5. 費用一覧(出願5万トグログ・登録証5.5万・更新8万、追加区分、延長の手数料)とマドプロの付加手数料100スイスフラン、為替の注意
モンゴルの商標の公的費用は、国家印紙税法に基づく印紙税(登録証の発行と更新、ライセンス記録に課される、第9.4条・第17.3条)と、政府が金額を定める知的財産庁の手数料(知的財産法第24条)の2本立てです。2021年7月1日に全面的に引き上げられ、商標出願の手数料は従来の2万トグログ(定額)から3区分まで5万トグログに、登録証の発行は1.5万から3万トグログになりました(IP-Coster、Country Index)。日本特許庁の制度概要(2024年統計版)は、現行の公的費用を次のとおり整理しています。
| 手続 | 公的費用(印紙税・手数料) | 円換算(1万トグログ≒440円) |
|---|---|---|
| 出願(3区分まで) | 50,000トグログ | 約2,200円 |
| 出願の追加区分(4区分目から1区分につき) | 5,000トグログ | 約220円 |
| 登録(登録証の発行、3区分まで、印紙税を含む) | 55,000トグログ | 約2,400円 |
| 登録の追加区分(1区分につき) | 5,000トグログ | 約220円 |
| 更新(3区分まで、印紙税を含む) | 80,000トグログ | 約3,500円 |
| 更新の追加区分(1区分につき) | 3,000トグログ | 約130円 |
| 期限延長(応答・異議・書類提出)、早期審査、周知商標の認定、紛争解決評議会への申立て | 手数料あり(金額は知的財産庁の手数料表による) | ― |
| 譲渡・ライセンスの記録、名称・住所変更 | 印紙税・手数料あり(第10.6条・第17.3条) | ― |
出典:日本特許庁「諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等:モンゴル」、IP-Coster「Amendments to IP fees in Mongolia」(2021年7月)、Country Index。印紙税と手数料の内訳は資料によって区別されていない。
3区分の商標なら、出願5万+登録5.5万=10.5万トグログ(約4,600円)で登録まで到達でき、これは本シリーズで扱った国の中でも際立って低い水準です。実際の費用の大半は現地代理人の手数料(出願から登録まで数百〜1,000米ドル程度が相場)と、キリル文字の音訳・翻訳の作成費用です。期限の延長、早期審査、周知商標の認定、紛争解決評議会への申立てには別途手数料がかかります。
手数料は政府決定で改定され、資料によって金額が異なります
本記事の金額は日本特許庁の制度概要(2024年統計版)に基づく2021年7月改定後の公的費用です。知的財産庁のウェブサイト(モンゴル語)には手数料表が掲載されておらず、知的財産法第24条により政府が金額を定めるため、改定の有無を知的財産庁の公開情報から確認することはできませんでした。現地のコンサルティング会社の中には「出願手数料12万トグログ」と記載するものもあり、印紙税・手数料の合計や代理人費用を含めた金額である可能性があります。見積りの際は、現地代理人に最新の印紙税・手数料表を確認してください。
マドリッド制度でモンゴルを指定する場合、モンゴルは議定書第8条(7)(a)の個別手数料の宣言を行っていないため(WIPOの宣言一覧)、国際出願の基本手数料(白黒653スイスフラン、カラー903スイスフラン)に加えて、モンゴル1か国につき付加手数料100スイスフラン(約1.9万円)と、区分が3を超える場合の追加手数料(1区分100スイスフラン、指定国数にかかわらず)を納付するだけで済みます。1スイスフラン≒192円(2026年11月2日のモンゴル銀行レート、1スイスフラン=4,375トグログ)で換算すると、他の国と同時に出願する場合のモンゴル分の追加コストは約2万円です。国内出願の公費約4,600円に代理人費用を加えた金額と比べ、マドプロの方が手続も費用も軽いことが多く、マドプロ指定が第一選択になります(第9章)。
為替の注意:トグログは対ドルで下落傾向にあります
モンゴル・トグログ(MNT)は変動相場制で、モンゴル銀行が毎営業日に公式レートを公表しています。本記事の換算(1万トグログ≒440円)は2026年11月2日の公式レート(1円=22.81トグログ、1米ドル=3,598.99トグログ、1スイスフラン=4,375.41トグログ)に基づきます。外務省の基礎データによる2025年平均は1米ドル=3,454トグログで、トグログ安が進んでおり、円換算額は今後さらに小さくなる可能性があります。予算を組む際は最新のレートで再計算してください。
6. 拒絶・異議への対応と不服申立て:暫定拒絶への応答3か月、最終決定3か月、紛争解決評議会への申立て30日、裁判所へ30日、異議の手続
拒絶への対応:実体審査で第5条の要件を満たさないと判断されると、知的財産庁は審査報告書に基づく暫定的な拒絶決定を書面または電子的に通知します(第8.4条・第8.13条)。出願人は受領から3か月以内に理由を付した応答を提出でき、正当な理由があれば手数料を払ってさらに3か月延長できます(第8.5条)。応答は本人または知的財産代理人が行います(第8.12条)。知的財産庁は応答の受領から3か月以内に最終決定を行い(第8.6条)、応答がなければ最終拒絶を通知します(第8.7条)。実務上の対応としては、指定商品・役務の限定、識別力のない部分の権利不要求(第5.3条)、先行商標との非類似の主張、周知性の立証、先行権利者の同意書の提出などがあります。多区分出願で一部の区分だけが拒絶された場合は、出願を分割して問題のない区分を先に登録することができます(第8.9条)。
不服申立て:方式審査(第7条)や実体審査(第8条)に関する知的財産庁の決定に不服がある出願人は、通知の受領から30日以内に紛争解決評議会に申し立てます(第32.1.1条・第32.2条)。評議会は知的財産庁の下に置かれ、産業財産権に関する申立て・異議・無効請求・周知商標の認定を審理する合議体で(知的財産法第11.3条・第25.1条)、過半数の出席と出席者の単純多数で決定します(同法第25.3条)。評議会は紛争の開始から90日以内(申立人の同意で30日延長)に決定するとされ(同法第25.6条)、商標法第32.4条は6か月以内と定めています。評議会の決定に不服がある者は、決定の受領から30日以内に裁判所(行政裁判所)に訴えることができます(同法第25.2条)。
異議申立て:方式審査後に公告された出願に対して、利害関係人は出願日から3か月以内(2か月延長可)に異議を申し立てます(第8.10条・第8.11条)。異議の根拠は第5条の拒絶理由すべてで、先行する登録・出願商標との同一・類似(第5.2.6条・第5.2.7条)、周知商標(第5.2.8条)、著作権等との抵触(第5.2.9条)、地理的表示(第5.2.10条)、悪意の出願(第5.2.11条)のほか、識別力の欠如や国章・著名人・公序良俗などの絶対的理由も主張できます。異議は知的財産庁が実体審査の中で考慮し、第三者の異議は知的財産法第25.1.4条により紛争解決評議会の審理事項にも挙げられています。異議の結果として出願が拒絶された場合、出願人は上記の不服申立てで争います。出願件数が少ないモンゴルでは、公告の監視と異議が先取り出願への最も費用対効果の高い対抗手段です。
| 手続 | 期限・内容(根拠) |
|---|---|
| 方式審査の不備の補正 | 通知から20日以内(第7.3条) |
| 委任状・使用規則の提出 | 出願日から2か月以内、手数料で2か月延長(第7.6条、MNCCI) |
| 優先権書類の提出 | 出願日から3か月以内(第7.7条) |
| 異議申立て | 出願日から3か月以内、手数料で2か月延長(第8.10条・第8.11条)。国際登録は国際公告から5か月(第11.9条) |
| 暫定拒絶への応答 | 受領から3か月以内、正当な理由があれば手数料で3か月延長(第8.5条) |
| 知的財産庁の最終決定 | 応答の受領から3か月以内(第8.6条) |
| 紛争解決評議会への申立て | 決定の受領から30日以内(第32.2条)。評議会の決定は90日以内(+30日、知的財産法第25.6条)または6か月以内(商標法第32.4条) |
| 裁判所への訴え | 評議会の決定の受領から30日以内(知的財産法第25.2条) |
評議会の審理期間は「90日」と「6か月」の2つの規定があります
知的財産法第25.6条は紛争解決評議会の決定期限を紛争開始から90日(申立人の同意で30日延長)とし、商標及び地理的表示法第32.4条は受理から6か月と定めています。どちらが優先するかは明らかでなく、2024年の改正で調整された可能性もあります。申立てを行う際は、評議会からの通知に記載された期限に従い、延長の同意を求められた場合は不利益がないか現地代理人に確認してください。
7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、最終年の更新と猶予6か月、変更の記録(6か月以内)、権利の消滅
商標登録は出願日から10年間有効で、権利者の請求により10年ごとに更新できます(第9.3条)。更新の請求は有効期間の最終年、または満了後6か月の猶予期間内に知的財産庁へ提出し(第10.2条)、印紙税と手数料(3区分まで8万トグログ、追加区分3,000トグログ)を納付します。現地事務所の案内では満了前12か月から申請でき、猶予期間内の更新には割増がかかります。更新時に商標の変更や商品・役務の追加はできません(第10.3条)。猶予期間内に更新請求がなければ権利は消滅し(第18.1.1条)、知的財産庁が登録を無効にして公告します(第33.4.1条)。失効した登録を回復する手続は商標法に規定されていません。
登録後の変更として、更新、権利者の名称・住所の変更、権利の移転、商品・役務の限定が国家登録簿に記録されます(第10.1条)。名称・住所の変更と権利の移転は、変更が生じた日から6か月以内に知的財産庁に書面で届け出る必要があり(第10.4条)、記録には手数料がかかり(第10.6条)、公式定期刊行物に公告されます(第10.5条)。権利者の名義が古いままだと、更新や権利行使の際に同一性の証明を求められるため、日本本社の社名変更や合併の際は忘れずに届け出てください。権利者は書面の宣言で登録を放棄でき(第18.1.3条・第33.4.2条)、法人が清算されて権利が移転されないまま残った場合は登録が無効になります(第33.4.3条)。
登録証には登録番号、出願番号、権利者の氏名・名称・住所・国名、商標の表示、ニース分類に従った商品・役務の一覧、出願日、優先日、有効期間、権利不要求の部分が記載されます(第9.2条)。登録商標の効力は、登録簿に記載された権利者と商品・役務の範囲に限られます(第9.6条・第12.2条)。2020年の最高裁判所判決(WIPO Lex収録、決定第46号)は、登録商標の指定商品の一覧に含まれない商品について権利者が排他権を主張できないこと、登録前の出願段階では排他権が発生していないことを明確にしており、指定商品の記載と登録の完了が権利行使の前提であることを示しています。
8. 不使用取消(5年)と無効:紛争解決評議会の管轄、第5条違反・代理店による無断登録・不使用の3類型、請求期間、裁判所への不服
登録後の商標の無効・取消は、裁判所ではなく知的財産庁の紛争解決評議会が第一次的に判断します。商標及び地理的表示法第33条は、無効の理由として次の3類型を定めています。
| 類型 | 内容(根拠) | 請求権者・手続 |
|---|---|---|
| 第5条違反の登録 | 識別力の欠如、不登録事由(国章・著名人・公序良俗・誤認)、先行商標や周知商標との抵触、著作権等との抵触、地理的表示、悪意の出願に反して登録された商標(第33.1.1条) | 利害関係人が紛争解決評議会に請求(第33.2条・第32.1.2条)。評議会が理由ありと認めれば無効を決定し、知的財産庁が登録を無効にして公告(第33.3条・第33.5条) |
| 代理店・販売店による無断登録 | パリ条約加盟国で商標権者の許可なく、その代理人・販売店の名義で登録された商標(第33.1.2条、パリ条約第6条の7に対応) | 同上。日本企業のモンゴル代理店が本社の商標を自己名義で登録した場合に使える |
| 不使用 | 正当な理由なく5年間使用されていない商標について、使用されていない商品・役務の範囲で無効(第33.1.3条)。2021年改正で導入 | 同上。現地事務所によれば、権利者が市場での使用に向けた合理的な努力の証拠を示せない場合に無効となる |
| 職権による無効 | 猶予期間内に更新されない、権利者が放棄を宣言した、法人の清算で権利が移転されない場合(第33.4条) | 知的財産庁が無効にして公告 |
「使用」とは、商品・包装・容器への商標の付与や役務への使用、商標を付した商品の供給・販売の申出・保管、商品の輸入・輸出、通信・カタログ・広告・インターネットでの使用を指し(第13.1条)、モンゴル向けの輸出やオンラインでの使用も含まれます。不使用取消への備えとしては、モンゴル国内の販売店への請求書・納品書、現地語の広告やウェブサイト、ライセンシーの使用記録を5年単位で保存しておくことが有効です。評議会の決定に不服がある場合は、受領から30日以内に裁判所に訴えることができます(知的財産法第25.2条)。
無効請求の期間制限は条文上「公告から1年以内」と読める規定があります
商標及び地理的表示法第32.3条の英訳は、第33.1.1条〜第33.1.3条に基づく無効請求を「公式定期刊行物での公告の日から1年以内に紛争解決評議会へ提出する」と定めています。登録公告から1年以内という読み方をすると、不使用取消(5年の不使用が要件)や悪意の登録の無効が事実上できなくなり、現地事務所の解説(登録後いつでも不使用取消を請求できるという説明)とも整合しません。この規定が第5条違反の無効のみに適用されるのか、2024年改正で修正されたのかは確認できませんでした。先取り登録や不使用の登録を見つけた場合は、公告から1年以内に請求できるならその期限を優先し、過ぎている場合は現地代理人に請求の可否を確認してください。
周知商標の認定は、権利者が紛争解決評議会に申請して得るもので(第32.1.4条、知的財産法第25.1.6条)、2014年7月1日に施行された周知商標規則に基づきます。認定を受けた商標は知的財産庁がリストとして公告し(第5.5条)、商品・役務の区分を問わず後願の拒絶理由・無効理由になります(第5.2.8条)。日本の著名ブランドがモンゴルで模倣・先取りされている場合、認定を取得しておくと異議・無効・検査官への申立てのいずれでも有利になります。
9. マドリッド制度とモンゴル:協定と議定書、宣言なし(12か月・付加手数料)、国際登録の審査と5か月の異議、暫定拒絶への応答、2023年からの電子出願、直接出願との使い分け
モンゴルは1985年4月21日からマドリッド協定、2001年6月16日からマドリッド議定書の締約国で、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でモンゴルを指定できます(制度の全体像と費用は国際商標出願(マドプロ)の解説をご覧ください)。WIPOが公表する宣言一覧によれば、モンゴルは議定書第5条(2)(b)の18か月の拒絶通報期間も、第8条(7)(a)の個別手数料も宣言していません。したがって、拒絶通報の期間は原則12か月、手数料は付加手数料100スイスフラン(3区分を超える場合は1区分100スイスフランの追加手数料)です。
国際登録でモンゴルを指定した商標は、国内出願と同じ第8条の実体審査(絶対的・相対的理由)と第9.5条の公告を受け、国際登録日または事後指定の日が出願日とみなされます(第11.1条・第11.2条)。国際登録に対する異議は、国際公告の日から5か月以内に、本人または知的財産代理人を通じて知的財産庁に申し立てます(第11.9条・第11.12条)。知的財産庁の決定はWIPOの国際事務局に通報され(第11.8条)、暫定拒絶への応答期限はWIPOが通報を送付した日から3か月で、手数料を払えば延長できますが、応答には現地代理人の選任が必要です(IP-Coster)。モンゴルの出願人がマドプロを使う場合、知的財産庁が本国官庁となり(第11.3条・第11.4条)、2023年10月15日からWIPOの電子出願システムで国際出願ができます。
| 比較項目 | 知的財産庁への直接出願 | マドリッド議定書によるモンゴル指定 |
|---|---|---|
| 公費(3区分) | 出願5万+登録5.5万トグログ(約4,600円)+現地代理人費用+音訳・翻訳 | 付加手数料100スイスフラン(約1.9万円)+WIPO基本手数料(653/903スイスフラン、複数国で按分) |
| 現地代理人 | 実務上必須(免許を持つ知的財産代理人) | 出願時は不要。暫定拒絶・異議への対応時に必要 |
| 商標の表示 | モンゴル語の願書にキリル文字の音訳と翻訳を記載。キリル文字表記の商標そのものも出願可 | 国際出願の言語(英・仏・西)で、音訳はWIPOの様式に記載。キリル文字表記は別途国内出願 |
| 審査・異議 | 9か月(+6か月)の実体審査、出願日から3か月の異議 | 同じ審査。異議は国際公告から5か月。暫定拒絶の通報は12か月以内、応答は3か月 |
| 登録後の管理 | 知的財産庁で更新(8万トグログ)・変更記録 | WIPOで一括更新。基礎出願・登録への依存(5年のセントラルアタック) |
| 権利行使 | 登録証をもとに検査官・税関・裁判所で行使 | 同等。検査官や税関での手続には国際登録の保護付与の証明と現地代理人が必要 |
| 向いているケース | キリル文字表記を押さえたい、モンゴルが主要市場で商品表示を現地実務に合わせたい | 中国・韓国・ロシア・中央アジアなど周辺国と同時に出願、費用を抑えて広く押さえたい |
モンゴルへの出願の過半はマドプロ経由の外国出願人で、国際登録の効力をめぐる法的な論点はありません。日本企業の実務としては、中国・韓国・ロシアなどの周辺国と合わせてマドプロで指定し、現地での販売が本格化する商標についてはキリル文字表記を国内出願で補う組合せが合理的です。なお、マドプロの基礎登録が日本で取り消されると国際登録も失効するため(セントラルアタック)、モンゴル単独でも長期に維持したい商標は国内出願への転換(議定書第9条の5)を検討してください。
10. 使用・譲渡・ライセンス:使用の定義(輸出入・インターネットを含む)、先使用者の抗弁、書面の譲渡契約と記録、ライセンスは登録が効力要件、知的財産の商業化と評価
登録商標の権利者は、登録された形態と商品・役務の範囲で(第12.2条)、商標を所有し、他人に使用を許諾し、譲渡し、無断使用の停止を求め、混同のおそれのある同一・類似商標の使用の停止を求め、損害賠償を請求する排他権を持ちます(第12.3条)。ただし、登録商標の出願日より前にモンゴル国内で同一の商品・役務について同一の商標を公正に使用していた者には、類似使用の差止請求権が及びません(第12.4条)。権利者は登録を示すために丸囲みのRマークを使用できます(第13.2条)。使用の定義(第13.1条)は、商品・包装・容器への付与、販売の申出・供給・保管、輸出入、書類・広告・インターネットでの使用を含み、不使用取消への対抗や侵害の判断の基準になります。
譲渡は、登録商標に係る商品・役務の全部または一部について書面の契約で行い(第16.1条)、譲渡契約は知的財産庁に記録され、権利の移転は登録簿への記録によって効力を生じます(第16.2条)。モンゴル国民・モンゴル法人は法律に定める税金を納めた上で記録を受け、移転は公式定期刊行物で公告されます(第16.3条)。ライセンスは、商品・役務の全部または一部について書面の契約で許諾し、両当事者の署名と知的財産庁への登録によって効力を生じます(第17.1条・第17.2条)。記録には印紙税と手数料がかかり(第17.3条)、公告されます(第17.4条)。知的財産法第12.1.10条は、譲渡・ライセンス・フランチャイズ・マーチャンダイジング契約の登録を知的財産庁の機能として明記し、同法第19条は、ライセンス・フランチャイズ・出資・担保など知的財産の「商業化」の形態と、登録制度の下での評価(知的財産評価人の免許)を定めています。
ライセンス契約は知的財産庁に登録しなければ効力が生じません
第17.2条は、ライセンス契約が「書面で作成され、両当事者が署名し、知的財産庁に登録された後に効力を生じる」と定めています。現地事務所も「登録されて初めて契約が有効とみなされる」と説明しており、日本のように当事者間では有効で登録は対抗要件という扱いではありません。モンゴルの販売店・現地法人に商標の使用を許諾する場合は、必ずモンゴル語訳付きの書面契約を作成し、知的財産庁に記録してください。未登録のライセンスに基づくライセンシーの使用は、不使用取消の場面で権利者の使用と認められないおそれがあり、販売店が自己名義で商標を出願した場合の無効理由(第33.1.2条)を主張する際にも、契約関係の証拠として登録済みの契約が役立ちます。
並行輸入については、商標法に消尽を定める明文はなく、使用の定義に「輸入」が含まれる(第13.1.3条)一方で、権利者の同意を得て流通した真正品の輸入を侵害とする規定も見当たりません。現地事務所の解説も並行輸入の扱いには触れていないため、真正品の並行輸入の差止めを検討する場合は、販売店契約や競争法上の整理を含めて個別に現地代理人と検討する必要があります。
11. 侵害への救済:国家知的財産検査官(3日以内に調査開始)、違反法上の制裁、裁判所での損害賠償、刑事責任、公正競争・消費者保護庁、最高裁判例の傾向
モンゴルの商標権行使は、知的財産庁の国家知的財産検査官による行政的な取締りを中心に、裁判所での民事・刑事手続と税関措置を組み合わせる構造です。商標及び地理的表示法第30条と知的財産法第14条により、知的財産庁には首席検査官(長官)、上級検査官、検査官が置かれ、国家検査法と違反法に基づいて検査を行います。法律違反者は刑法または違反法に基づく責任を負い(商標法第34.2条、知的財産法第26.1条)、損害賠償は民事裁判所に請求します(第12.3.6条)。
| 手段 | 内容(根拠・出典) | 期限・注意点 |
|---|---|---|
| 検査官への申立て(行政) | 権利者が証拠を添えて知的財産庁の執行局に申し立てる。担当の国家検査官は申立てから3日以内に調査を開始し、14日以内(必要なら30日延長)に実施。制裁として、商標の使用停止と是正措置、商品の販売停止または廃棄、違反法に基づく罰金を命じる(GRATA)。検査官の決定は期限内に履行義務(知的財産法第14.8条) | 検査官の処分に不服の場合は上級検査官または裁判所へ。最高裁判所は、未登録の商標や指定商品の一覧がない登録を根拠とする処分を違法と判断(2020年1月27日決定第46号) |
| 民事訴訟 | 無断使用・混同を生じる類似使用の停止と、金銭的・非金銭的損害(営業上の信用の毀損を含む)の賠償を裁判所に請求(第12.3.4条〜第12.3.6条)。損害は証拠で立証する必要がある | 法定損害賠償の規定はない。知的財産の評価人による損害額の算定が用いられる |
| 刑事責任 | 登録商標を付した模倣品の製造・供給・販売・保管は、違反法上の違反または刑法上の犯罪として処罰(第34.2条、GRATA)。警察(経済犯罪部門)が捜査 | 罰金・刑の具体的な額は本稿では確認できず(注意枠参照) |
| 競争法上の申立て | 他人の商標・ラベル・商号・品質保証表示・商品名・包装の無断使用は競争法の禁止行為。公正競争・消費者保護庁の検査官が60日以内(30日延長可)に調査(GRATA) | 商標登録のない商品の外観・包装の模倣にも使える |
| 知的財産庁の決定への不服 | 紛争解決評議会(30日以内)→行政裁判所(30日以内)。評議会は侵害の予防のための勧告も行える(知的財産法第25.5条) | 第一審は首都の行政裁判所、控訴審、最高裁判所の三審制 |
WIPO Lexに収録された最高裁判所の判決は、モンゴルの権利行使の実像を示しています。2020年1月27日の決定(第46号)は、知的財産庁の検査官が「БАЗАЛИТ(バザリット)」という語を単独で使用した会社に違反法上の制裁を科した事件で、制裁の時点では第三者の単独語商標がまだ登録されておらず(登録は2019年5月)、先に登録されていた結合商標には指定商品の一覧がなかったとして、排他権が発生していない商標を根拠とする制裁を違法と判断しました。2023年5月22日の決定(第001/ХТ2023/0037号)は、同じ語の単独登録そのものを、普通名称的で識別力がなく第5条に反するとして争った行政訴訟です。これらは、登録の完了と指定商品の記載が権利行使の前提であること、キリル文字で書かれた外来語(ロシア語由来の普通名称)は識別力を否定されうること、検査官の処分が裁判所で覆されることがあることを示しています。日本企業がモンゴルで権利行使する際は、登録証と指定商品の一覧、使用の証拠、模倣品の購入記録を揃えた上で、検査官への申立てと民事訴訟を使い分けてください。
違反法・刑法上の罰金・刑の具体的な額は本稿では確認できませんでした
商標及び地理的表示法と知的財産法は、違反者の責任を違反法(2017年施行)と刑法(2015年)に委ねており、最高裁判所の判決は違反法第8.5条第1項を制裁の根拠として引用しています。しかし、同条の罰金額(トグログまたは「単位」建て)と刑法の該当条文は、英訳された資料や現地事務所の解説からは確認できませんでした。現地事務所は、検査官の制裁として使用停止・販売停止・廃棄と罰金、裁判所での損害賠償、模倣品の製造・販売に対する刑事責任を挙げています。具体的な事件では、制裁の水準と手続を現地代理人・弁護士に確認してください。
12. 税関と模倣品対策:税関への商標登録、通関差止めの申立て、税関検査官の権限、中国・ロシア国境からの流入
モンゴルは内陸国で、輸入品の大半は中国(ザミンウード)とロシア(アルタンブラグ)の陸路国境、およびウランバートルのチンギス・ハーン国際空港を経由します。知的財産庁が公開する規則一覧には「知的財産権に関係する商品の税関国境通過に関する規則」が含まれており、商標権者またはライセンス契約に基づく使用権者は、登録証を根拠に税関総局に商標を登録(録記)できます。現地事務所(GRATA)の説明によれば、録記された商標について申立てがあれば税関は模倣品の通関を認めず、権利者は、侵害品が不正に通関した場合や通関検査中に侵害品があると信じる相当の根拠がある場合に、権利者・知的財産権・侵害品の詳細と求める措置を記載した通関停止の申立てを税関に提出できます。税関の国家検査官は、知的財産庁の検査官と同様の制裁(使用停止、販売停止・廃棄、罰金)を科す権限を持ちます。
| 項目 | 内容(出典) |
|---|---|
| 税関への録記 | 登録商標の権利者または登録済みライセンスの使用権者が、知的財産庁の登録証を根拠に税関総局に商標を登録(GRATA、知的財産庁の規則一覧第16項) |
| 通関停止の申立て | 権利者の情報、知的財産権、侵害品の詳細な説明、税関に求める措置を記載。不正に通関した商品、または通関検査中の侵害品について申し立てる(GRATA) |
| 税関検査官の権限 | 知的財産庁の検査官と同様の制裁(使用停止・是正、販売停止・廃棄、違反法上の罰金)を侵害者に科す(GRATA) |
| 関係機関 | 知的財産庁(執行局)、税関総局、国税総局、通信規制委員会、公正競争・消費者保護庁、警察経済犯罪部門が連携(GRATA) |
| 主な流入経路 | 中国・ロシアとの陸路国境、ウランバートルの国際空港。輸入の最大相手国は中国(外務省) |
税関手続の期限・担保・有効期間は規則本文で確認が必要です
税関録記の有効期間、留置後に権利者が提訴すべき期限、担保の要否などは、知的財産庁の規則(モンゴル語)に定められており、本稿では英訳された資料から確認できませんでした。関税法(WIPO Lex収録の英訳)にも商標に関する国境措置の詳細は含まれていません。模倣品の流入が予想される場合は、現地代理人を通じて税関総局への録記と、留置時の連絡・判断の段取りを事前に整えてください。
13. 日本企業の出願戦略と実務ポイント:先取り対策、マドプロか直接出願か、キリル文字表記、区分設計、公報監視と異議、使用証拠、代理店契約、2024年改正の確認
以上を踏まえ、日本企業がモンゴルで商標を取得・維持・行使する際の実務ポイントを整理します。
- 先願主義を前提に、販売開始・代理店契約の前に出願する。登録前の使用は原則として保護されず、先使用者の抗弁も「同一商標・同一商品」の公正な使用に限られます。モンゴルの代理店や現地パートナーが自己名義で出願する事例に備え、代理店契約の締結前に主力商標を出願してください。無断登録には第33.1.2条(代理店による登録)と第5.2.11条(悪意の出願)で対抗できますが、公告から1年以内という期間制限の読み方に不確実性があるため、早期発見が鍵です。
- マドプロ指定を基本に、キリル文字表記は直接出願で補う。個別手数料がなく付加手数料100スイスフラン(約1.9万円)で指定できるため、周辺国と同時に出願するならマドプロが最も効率的です。一方、キリル文字表記の商標や、現地で使う音訳を確実に押さえたい場合は、知的財産代理人を通じた直接出願(公費約4,600円+代理人費用)を併用します。
- キリル文字の音訳と意味の説明を統一する。願書にはキリル文字への音訳と外国語の翻訳を記載する必要があります。日本語・ローマ字の商標は音訳の綴りを社内で統一し、造語であることを説明して記述的と判断されるのを避けてください。歴史上の人物名・史跡名・地名を含む商標は識別力を否定されやすく、著名人の名称は同意が必要です。
- 多区分出願で費用を抑え、指定商品は具体的に記載する。3区分まで定額で、追加区分は5,000トグログです。最高裁判決が示すとおり、指定商品の一覧に含まれない商品には排他権が及ばないため、将来の展開を見据えて具体的に記載し、審査中の区分追加は新規出願になる点に注意します。
- 委任状と優先権書類の期限を守る。委任状は公証不要でスキャンで足りますが、出願日から2か月以内(手数料で2か月延長)、優先権書類は3か月以内です。日本の優先権証明書は早めに取得しておきます。
- 公告の監視と出願日基準の異議期間。方式審査直後に公告され、異議は出願日から3か月以内(2か月延長可)です。現地代理人に公式定期刊行物の監視を依頼し、競合する出願を見つけたら出願日を基準に期限を計算してください。実体審査でも先行商標は審査されますが、審査官の負担が大きく、自社の権利は自社で守る前提で臨みます。
- 著名ブランドは周知商標の認定を取得する。紛争解決評議会に申請して周知商標として認定・公告されると、区分を問わず後願の拒絶理由・無効理由になり、検査官への申立てでも有利です。モンゴル国内での販売実績・広告・知名度の資料を準備します。
- 使用証拠を5年単位で保存し、ライセンスは登録する。不使用取消は5年で、輸出やインターネットでの使用も使用に含まれます。販売店への請求書、現地語の広告、ウェブサイトを保存し、ライセンス契約は書面で知的財産庁に登録しないと効力を生じない点に注意してください。
- 更新と変更記録の期限管理。更新は出願日基準の10年ごとに最終年または猶予6か月以内、回復手続はありません。名称・住所の変更と権利の移転は6か月以内に届け出ます。
- 模倣品対策は検査官・税関・裁判所を組み合わせる。知的財産庁の検査官は申立てから3日以内に調査を開始し、使用停止・販売停止・廃棄・罰金を命じることができます。税関総局への商標の録記と通関停止の申立て、競争法上の申立て、民事訴訟での損害賠償を事案に応じて使い分け、登録証・指定商品の一覧・使用証拠・模倣品の購入記録を揃えておきます。
- 2024年改正と手数料改定を確認する。2024年1月12日の改正法は英訳がなく、紛争処理機関の見直しを含む改正案も国会に提出されていました。期限・不服申立ての経路・手数料は変わる可能性があるため、出願や紛争の前に現地代理人に現行の条文と手数料表を確認してください。
- 周辺国と合わせてポートフォリオを設計する。モンゴルの輸入は中国・ロシア・日本・韓国が中心で、模倣品も中国・ロシア国境から流入します。中国・韓国・ロシア・中央アジア諸国の出願と合わせて、マドプロでの一括指定と各国の直接出願を組み合わせてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. モンゴルへの商標出願はマドプロでできますか?費用はどのくらいですか?
できます。モンゴルはマドリッド協定(1985年)と議定書(2001年)の双方に加盟しており、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でモンゴルを指定できます。個別手数料の宣言をしていないため、モンゴル分の費用は付加手数料100スイスフラン(約1.9万円、3区分を超える場合は1区分100スイスフランの追加手数料)だけです。直接出願の公費は3区分まで出願5万トグログ+登録5.5万トグログ(合計約4,600円)で、これに現地代理人の費用とキリル文字の音訳・翻訳の費用が加わります。周辺国と同時に出願するならマドプロ、キリル文字表記を押さえるなら直接出願という使い分けが一般的です(第5章・第9章)。
Q2. 審査では先行商標との類似も判断されますか?異議はいつまでに申し立てますか?
判断されます。商標及び地理的表示法第5.2条は、同一の商品についての同一商標(6号)、類似の商品についての同一・類似商標で混同のおそれがあるもの(7号)、周知商標との同一・類似(8号)、著作権等との抵触(9号)、地理的表示(10号)、悪意の出願(11号)を不登録事由とし、知的財産庁は出願から9か月以内(最長6か月延長)にこれらを審査します。異議は、方式審査後に公告された出願に対して出願日から3か月以内に申し立て、手数料を払えば2か月延長できます。国際登録に対する異議は国際公告から5か月以内です(第3章・第6章)。
Q3. 日本語やローマ字の商標はそのまま出願できますか?
出願できますが、願書はモンゴル語で作成し、キリル文字以外の商標にはキリル文字への音訳と、外国語の場合はその翻訳を記載する必要があります(第6.5.11条)。音訳の綴りが商標の同一性の判断に影響するため、社内で表記を統一し、造語であれば意味がないことを説明してください。現地の消費者がキリル文字で呼ぶ名称を模倣業者に先に登録されないよう、主力商標はキリル文字表記も出願しておくことをお勧めします(第4章・第13章)。
Q4. 現地代理人や委任状の公証は必要ですか?
商標法上は出願人本人または知的財産代理人が出願すると定められており、知的財産庁で代理を行えるのは同庁の免許を持つ知的財産代理人(モンゴル国籍・在住で3年以上の実務経験がある者または同国の法人)に限られるため、日本企業は実務上、現地代理人を通じて出願します。委任状は公証・認証不要で、署名したものをスキャンで提出でき、出願日から2か月以内(手数料を払えばさらに2か月)に後出しできます。優先権書類は出願日から3か月以内です(第4章)。
Q5. 存続期間・更新・不使用取消のルールを教えてください。
存続期間は出願日から10年で、最終年または満了後6か月の猶予期間内に更新します(3区分まで8万トグログ、約3,500円)。更新時に商標の変更や商品の追加はできず、失効した登録の回復手続はありません。正当な理由なく5年間使用されていない商標は、利害関係人が知的財産庁の紛争解決評議会に無効を請求でき、使用には輸出入やインターネットでの使用も含まれます。評議会の決定に不服がある場合は30日以内に裁判所に訴えることができます(第7章・第8章)。
Q6. 代理店に自社ブランドを先に登録されていました。どうすればよいですか?
公告中であれば出願日から3か月以内に異議を申し立てます。登録済みの場合は、パリ条約加盟国で権利者の許可なく代理人・販売店の名義で登録された商標の無効(第33.1.2条)、または悪意の出願(第5.2.11条)を理由に紛争解決評議会へ無効を請求します。第32.3条は請求を公告から1年以内とする趣旨に読めるため、発見したら直ちに現地代理人と期限を確認してください。日本で著名なブランドであれば、周知商標の認定を申請し、区分を問わない保護を得ることも有効です。登録済みのライセンス契約や代理店契約は、契約関係と悪意を立証する証拠になります(第8章・第13章)。
Q7. 模倣品を見つけたらどうすればよいですか?
まず知的財産庁の執行局(国家知的財産検査官)に証拠を添えて申し立てます。検査官は3日以内に調査を開始し、14日以内(30日延長可)に、商標の使用停止と是正、商品の販売停止・廃棄、違反法上の罰金を命じることができます。輸入段階では税関総局に商標を録記し、通関停止を申し立てます。損害賠償は民事裁判所に請求し、模倣品の製造・販売は刑法・違反法上の責任追及の対象です。登録証、指定商品の一覧、使用の証拠、模倣品の購入記録を揃えておくことが、処分や判決を得るための前提になります(第11章・第12章)。
まとめ
モンゴルの商標制度は、2010年の商標及び地理的表示法を2021年に近代化し、2020年の知的財産法で知的財産庁・紛争解決評議会・検査官の体制を整えた、先願主義・審査主義の制度です。絶対的理由と相対的理由の両方を9か月以内に審査し、方式審査後の公告に対する3か月の異議、出願日から10年の存続期間、5年の不使用取消、代理店による無断登録の無効理由が備わっています。公費は3区分で約4,600円、マドプロの付加手数料は100スイスフランと費用は軽く、マドリッド協定・議定書・シンガポール条約に加盟し、2023年からは電子出願も整っています。
他方、モンゴル語の願書とキリル文字の音訳、免許制の知的財産代理人、登録が効力要件となるライセンス、紛争解決評議会を経由する独特の不服申立て、無効請求の期間制限や評議会の審理期間をめぐる条文の不整合、罰則や税関手続の細部が英訳資料で確認できないこと、2024年改正の内容が未公開であることが、この国で実務を行う際の注意点です。日本企業としては、代理店契約や販売開始の前にマドプロまたは直接出願で主力商標とキリル文字表記を押さえ、委任状・優先権書類・異議・応答の期限を出願日基準で管理し、周知商標の認定と使用証拠の保全、ライセンスの登録、税関録記までを一連の運用として設計することが重要です。
各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。
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出典・参考文献
本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年11月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。商標及び地理的表示法の条文番号は日本特許庁が公開する2021年5月6日改正版の英訳、知的財産法の条文番号はWIPO Lex掲載の英訳(2022年改正まで反映)に基づきます。
法令・判例(日本特許庁・WIPO Lex・知的財産庁)
- 日本特許庁「Law of Mongolia on Trademarks and Geographical Indications (As amended on May 6, 2021)」(英訳PDF)/第3条定義(周知商標、優先日、国際登録)、第4条商標の表現、第5条登録要件(識別力・不登録事由11項目・権利不要求・周知商標リスト)、第6条出願(モンゴル語、代理人、1出願1商標、記載事項、音訳、添付書類、先願主義)、第7条方式審査(10営業日、補正20日、委任状2か月、優先権書類3か月、公告)、第8条審査(9か月+6か月、暫定拒絶、応答3か月+3か月、最終決定3か月、補正・分割、異議3か月+2か月)、第9条登録・公告・10年、第10条変更の記録(更新の最終年・猶予6か月、6か月以内の届出)、第11条国際登録(異議5か月)、第12条排他権と先使用者、第13条使用の定義とRマーク、第14条・第15条団体・証明商標、第16条譲渡、第17条ライセンスの登録、第18条権利の消滅、第29条〜第31条知的財産庁・検査官・代理人、第32条紛争解決評議会(30日、1年、6か月)、第33条無効、第34条責任の根拠。
https://www.jpo.go.jp/e/system/laws/gaikoku/document/index/mongolia-e_shouhyou.pdf - WIPO Lex「Law on Trademarks and Geographical Indications (amended up to May 6, 2021)」(モンゴル、MN048)/2021年改正統合版の書誌の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22461 - WIPO Lex「Amendments to the Law on Trademarks and Geographical Indications of May 6, 2021」(MN050)/2021年5月6日改正の書誌の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22463 - WIPO Lex「Amendments to the Law on Trademarks and Geographical Indications of January 12, 2024」(MN051、モンゴル語のみ)/2024年1月12日改正の存在と英訳未収録の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22464 - WIPO Lex「Law of Mongolia on Trade Marks and Geographical Indications (as last amended June 10, 2010)」(MN035/英訳MN015)/2010年法の方式審査20日・補正2か月、博覧会優先(旧第7.4条)など旧規定の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/11774 - WIPO Lex「Law on Intellectual Property (promulgated January 23, 2020, as amended)」(モンゴル、MN054、英訳PDF)/第11条知的財産庁と紛争解決評議会、第12条知的財産庁の機能(代理人免許、契約の登録、公報)、第14条国家知的財産検査官、第16条知的財産代理人の要件、第19条〜第22条商業化・評価・政府支援、第24条手数料(政府が決定)、第25条紛争解決評議会(30日の出訴、90日+30日)、第26条責任、第27条2020年12月1日施行、2021年5月6日・2022年6月17日改正の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22467 - WIPO Lex「Supreme Court of Mongolia, Decision No. 46, January 27, 2020」(行政事件、モンゴル語本文)/検査官の制裁が、登録前の商標と指定商品の一覧のない登録を根拠としたため違法とされた事例の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/text/599029 - WIPO Lex「Supreme Court of Mongolia, Decision No. 001/ХТ2023/0037, May 22, 2023」(モンゴル語本文)/普通名称的な語の単独登録を第5条違反として争った行政訴訟の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/text/599038 - WIPO Lex「Supreme Court of Mongolia, Decision No. 223, June 10, 2020」(商標・行政制裁)/最高裁判所の商標侵害・行政制裁に関する判断の存在の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/judgments/details/3447 - WIPO Lex「Supreme Court of Mongolia, Decision No. 159, May 6, 2020」/同上(鑑定証拠に関する判断)。
https://www.wipo.int/wipolex/en/judgments/details/3446 - 知的財産庁(IPOM)「Шийдвэрлэх журам, хугацаа, бүрдүүлэх баримт бичиг」(手続規則一覧)/商標・地理的表示の出願・審査・登録・変更の規則、周知商標認定規則、知的財産権に関係する商品の税関国境通過規則、紛争解決評議会の運営規則、代理人の選抜規則、ライセンス契約等の登録規則が制定されていることの根拠。
https://www.ipom.gov.mn/mn.php?page=131 - 知的財産庁「Хууль, тогтоомж」(法令一覧ページ)/商標及び地理的表示法などの法令の所在の根拠。
https://www.ipom.gov.mn/mn.php?page=108 - 知的財産庁(IPOM)英語ページ/政府実施機関としての位置づけ、産業財産権局・著作権局・執行局の構成、所在地の根拠。
https://www.ipom.gov.mn/en.php - 知的財産庁(IPOM)トップページ(モンゴル語)/組織構成、電子出願・WIPO Publish・マドリッド電子出願へのリンクの根拠。
https://ipom.gov.mn/
マドリッド制度・条約・統計(WIPO)
- WIPO「Madrid Protocol and Regulations: Declarations and Notifications by Madrid System Members」/18か月の拒絶期間(第5条(2)(b))と個別手数料(第8条(7)(a))の宣言国一覧にモンゴルが含まれないことの根拠。
https://www.wipo.int/madrid/en/members/declarations.html - WIPO Lex「Madrid Protocol – Contracting Parties」/議定書の批准(2001年3月16日)と発効(2001年6月16日)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=8 - WIPO Lex「Madrid Agreement (Marks) – Contracting Parties」/協定への加入(1985年4月21日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=21 - WIPO Lex「Paris Convention – Contracting Parties」/パリ条約への加入(1985年4月21日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=2 - WIPO Lex「Nice Agreement – Contracting Parties」/ニース協定への加入(2001年6月16日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=12 - WIPO Lex「Vienna Agreement – Contracting Parties」/ウィーン協定への加入(2001年6月16日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=14 - WIPO Lex「Singapore Treaty – Contracting Parties」/シンガポール条約への加入(2011年3月3日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=30 - WIPO Lex「Patent Cooperation Treaty – Contracting Parties」/PCTへの加入(1991年5月27日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=6 - WIPO Lex「Hague Agreement – Contracting Parties」/ハーグ協定への加入(1997年4月12日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=9 - WIPO「Intellectual property statistical country profile 2024: Mongolia」/区分数ベースの出願15,611件(居住者10,531・非居住者5,080)、出所別シェア、登録13,571件、有効登録21,517件、登録までの平均168日、審査官1人当たり件数、マドプロ出願7件、海外出願の54%がマドリッド経由の根拠。
https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/mn.pdf - WIPO「Explore IP Landscape: Mongolia」(国別プロファイル)/知的財産庁が国家知財官庁であることの根拠。
https://www.wipo.int/en/web/country-profiles/mn
日本の公的機関の資料・為替
- 日本特許庁「諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等:モンゴル」(制度概要PDF、2024年統計版)/知的財産庁の沿革(2003年商標法施行、2010年・2021年改正、2022年知的財産法)、加盟条約一覧、WIPO統計による商標出願・登録件数(2021〜2024年、外国出願人・日本からの件数)、商標制度の概要(商標の種類、先願主義、代理人、言語と音訳、10年、不登録事由、周知商標、多区分、実体審査、異議3か月+2か月、無効・不使用取消は紛争解決評議会、譲渡)、公的費用(出願5万・追加5,000、登録5.5万・追加5,000、更新8万・追加3,000トグログ)の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/mn.pdf - 外務省「モンゴル国 基礎データ」/面積・人口・言語、GDP・1人当たりGDP・成長率・インフレ率、貿易相手国(輸入で日本が3位)、通貨と為替(2025年平均)、日本との貿易額と品目(2024年)、直接投資累計、進出日系企業226拠点(2024年10月)、在留邦人337人(2025年6月)、EPA(2016年6月発効)、特別な戦略的パートナーシップ(2022年11月)の根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/mongolia/data.html - モンゴル銀行「Official Daily Foreign Exchange Rates」(2026年11月2日の公式レート)/1円=22.81トグログ、1米ドル=3,598.99トグログ、1スイスフラン=4,375.41トグログと、本記事の円換算(1万トグログ≒440円、1スイスフラン≒192円)の根拠。
https://www.mongolbank.mn/en/currency-rates
現地実務の解説
- IP-Coster「Amendments to the Trademark and Geographical Indications Law of Mongolia」(2021年10月)/2021年改正の内容(不使用5年、拒絶理由の明確化、2段階の異議、9か月+6か月、早期審査、国際登録への5か月の異議、期限延長制度)の根拠。
https://ip-coster.com/news/amendments_to_the_trademark_and_geographical_indications_law_of_mongolia/412 - IP-Coster「Amendments to IP fees in Mongolia, Portugal, and Russia」(2021年7月)/2021年7月1日の手数料改定(出願2万→5万トグログ、登録証1.5万→3万トグログ)の根拠。
https://ip-coster.com/news/amendments_to_ip_fees_mongolia_portugal_russia/405 - IP-Coster「Trademark registration in Mongolia – IP Guide」(2026年3月確認)/多区分出願、モンゴル語、出願日の要件、優先権書類、委任状の公証不要、公告から3か月の異議、更新の12か月前・猶予6か月、9〜12か月の所要期間、不使用5年、暫定拒絶への応答3か月と現地代理人の要否の根拠。
https://ip-coster.com/IPGuides/trademark-mongolia - Country Index(SMD Group)「Mongolia」(商標年鑑)/2021年9月23日施行の改正内容、2023年10月15日のマドリッド電子出願、2014年7月1日の周知商標規則、2011年3月3日のシンガポール条約加入、ハーグ協定の宣言、拒絶理由一覧、1出願1商標・多区分、外国出願人の代理人、9か月+6か月、手数料(2021年7月)の根拠。
https://www.country-index.com/country_surveys.aspx?ID=56 - モンゴル商工会議所(MNCCI)「FAQ for IPR services」(2024年10月)/知的財産庁の位置づけ、商標の種類、登録証発行まで6〜9か月、委任状の公証・認証不要・スキャン可・2か月+2か月の根拠。
https://www.mongolchamber.mn/resource/mongolchamber/File/2024/10/29/84fwsj7gs7ab80x9/FAQ%20for%20IPR%20services%20of%20MNCCI%20.pdf - GRATA International「Unfair Competition in the Use of Intellectual Property Objects: Mongolia」/検査官への申立て(3日以内の調査開始、14日+30日、制裁)、税関への録記と通関停止の申立て、税関検査官の権限、関係機関、損害賠償、刑事責任、公正競争・消費者保護庁の調査(60日+30日)、ライセンス登録の効力要件の根拠。
https://gratanet.com/publications/unfair-competition-in-the-use-of-intellectual-property-objects-in-mongolia - GRATA International「Trademark registration in Mongolia」/登録手続の流れ、早期審査(6か月)、公告後の異議と出願日基準の3か月、9〜12か月、紛争解決評議会への申立てと30日以内の裁判所への訴えの根拠。
https://gratanet.com/publications/trademark-registration-in-mongolia - GRATA International「Trademark protection in Mongolia」/登録による排他権の発生、必要書類、音訳・翻訳、9か月+6か月の根拠。
https://gratanet.com/publications/trademark-protection-in-mongolia - GRATA International「Legal Alert: The law on Intellectual Property has become applicable」/知的財産法の2020年12月1日施行、3層の体制、紛争解決評議会と著作権評議会、商業化の形態と評価の根拠。
https://gratanet.com/publications/law-on-intellectual-property-become-applicable - Viet An Law「How to Mongolia protect a trademark」/商標の種類(ホログラム・動き・色彩)、キリル文字以外の商標の翻訳、委任状、出願手数料12万トグログとする記載(注意枠で言及)の根拠。
https://vietanlaw.com/how-to-mongolia-protect-a-trademark/
※本記事は2026年11月時点の法令・料金・統計に基づく一般的な解説であり、個別の案件に関する法的助言ではありません。2024年1月12日の法改正の内容は英訳が公開されておらず、手数料は政府決定で改定されます。実際の出願・権利行使にあたっては、最新の情報を確認の上、弁理士および現地代理人にご相談ください。