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オマーン商標制度の実務ガイド|GCC商標法(勅令33/2017号)と産業財産権法67/2008号・審査は相対的理由も対象で公告後60日の異議・1出願1区分と委任状のアポスティーユ・公費は出願50リアル+登録証50リアル・出願日から10年・不使用取消5年・マドプロ個別手数料417スイスフラン(2025年11月改定)・投資商事裁判所と税関録記制度を弁理士が徹底解説

オマーン商標制度の実務ガイド|GCC商標法(勅令33/2017号)と産業財産権法67/2008号・審査は相対的理由も対象で公告後60日の異議・1出願1区分と委任状のアポスティーユ・公費は出願50リアル+登録証50リアル・出願日から10年・不使用取消5年・マドプロ個別手数料417スイスフラン(2025年11月改定)・投資商事裁判所と税関録記制度を弁理士が徹底解説

オマーン国(スルタン国)は、アラビア半島の南東端でホルムズ海峡の入口を押さえる人口約536万人の君主国で、石油・天然ガスを基盤にドゥクム経済特区やソハール港を軸とした産業多角化(オマーン・ビジョン2040)を進めています。日本にとっては原油・LNGの供給国であり、日本からは自動車・機械・自動車部品を輸出しています(2024年の対日輸出3,854億円、輸入2,037億円、外務省)。商標を所管するのは商工業投資促進省(MoCIIP:Ministry of Commerce, Industry and Investment Promotion)の国家知的財産庁(National Intellectual Property Office)で、出願は2021年から電子プラットフォーム「Oman Business(Invest Easy)」を通じて行われます。

オマーンの商標制度の最大の特徴は、湾岸協力会議(GCC)の統一商標法を国内法として適用していることです。2008年の産業財産権法(勅令第67/2008号)が商標を含む産業財産権を一本化した後、2017年の勅令第33/2017号でGCC商標法を採択し(官報2017年7月30日、同月31日発効)、サウジアラビア・バーレーン・クウェートに続く4番目の適用国となりました。審査は絶対的理由と相対的理由(先行商標・周知商標)の両方について行われ、公告後60日の異議申立て、出願日から10年の存続期間、5年の不使用取消という枠組みはGCC共通です。一方、1出願1区分の運用、アラビア語訳の添付、公証・アポスティーユ付きの委任状、2025年10月に発足した投資商事裁判所、2026年の税関録記制度など、オマーン固有の実務も多くあります。本記事では、GCC商標法とその施行規則(日本特許庁の日本語訳とWIPO Lexの英訳)、勅令第67/2008号の英訳、WIPOのマドリッド制度通知(2025年11月の個別手数料改定)、WIPO統計、JETRO中東知財ニュースレター、外務省の基礎データ、現地事務所の解説を照合し、日本企業がオマーンで商標を取得・維持・行使するために必要な事項を弁理士が解説します。

この記事のポイント

  • 根拠法はGCC商標法(勅令第33/2017号で採択、2017年7月31日発効)とその統一施行規則(2015年5月21日、GCC商業協力委員会承認)。GCC商標法が定めない事項には産業財産権法(勅令第67/2008号)が補充的に適用される。GCC商標法は各国の法律をそろえる「統一法」であって単一の広域登録制度ではなく、オマーンで保護を得るにはオマーンへの出願が必要。
  • 審査は方式・絶対的理由・相対的理由(先行商標、周知商標)のすべてについて出願から90日以内に行われ(GCC商標法第12条)、受理された出願は公告され公告から60日以内の異議申立てが可能(第14条)。出願人の答弁は60日以内、不服は異議委員会(Grievance Committee)へ60日、裁判所へ60日。1出願1区分の運用で、委任状は公証・アポスティーユ付き、外国語の商標にはアラビア語の音訳・翻訳を添える。
  • 公的手数料は現地事務所の報告ベースで出願1区分50リアル(約2.1万円)、登録証50リアル、電子手続は20%の割増(上限20リアル)。公報掲載料(100リアル)は2023年5月30日の大臣決定第292/2023号で廃止された。2010年の大臣決定第51/2010号の公式料金表は本稿執筆時に閲覧できなかったため、見積りの際は現地代理人に確認が必要。本記事では1オマーン・リアル≒410円(米ドルペッグ0.3845、2026年10月29日の欧州中央銀行レート)で換算した。
  • 存続期間は出願日から10年、更新は最終年に申請し、満了後6か月の猶予期間あり(第20条)。5年間の継続不使用は裁判所で取消(第24条)、抹消された商標は3年間は第三者が再登録できない(第25条)。登録後5年間使用した商標は所有権を争えなくなる一方、先使用者は登録から5年以内に裁判所で取消を求められる(第7条)。
  • マドリッド議定書(2007年10月16日発効)でオマーンを指定可。個別手数料は2025年11月2日から1区分417スイスフラン(追加区分も同額、約8万円)、更新625スイスフランに引き下げ(団体・証明商標は1,042/1,250)。2024年の非居住者出願(WIPO統計、区分数ベース)は8,604件で全体の53%、出所は中国16%・米国9.8%・英国8.9%・スイス8.8%・ドイツ8.5%。
  • 権利行使は2025年10月1日に発足した投資商事裁判所(勅令第35/2025号、知財紛争を専属管轄、原則90日以内に判決)で行い、仮処分(10日以内に決定、一方的手続可)、損害賠償(侵害者の利益を含む)、廃棄を請求できる。刑事罰は偽造が1か月〜3年の拘禁と5,000〜100万サウジリヤル相当(約500〜10万リアル)の罰金、販売が1か月〜1年と1,000〜10万リヤル相当(第42条)、再犯は倍額と営業所閉鎖。
  • 税関(王立オマーン警察税関総局)は申立てまたは職権で輸入・輸出・通過貨物を留置し、権利者は10営業日以内に提訴する(第38条)。2026年には電子税関プラットフォーム「Bayan」による税関録記制度(有効期間1年)が始まった。権利者本人による使用など正規品の並行輸入は税関措置の対象外(第39条)。

目次

  1. オマーン商標制度の全体像:産業財産権法(勅令67/2008号)とGCC商標法(勅令33/2017号)、統一施行規則、MoCIIP国家知的財産庁、条約加盟、投資商事裁判所
  2. 市場環境と統計:年間出願1万3,000件、外国出願人が半数超、マドプロ指定の割合、登録まで約120日、日本との関係
  3. 保護対象と拒絶理由:音・匂い・色彩も可、絶対的理由と相対的理由(第3条)、周知商標(第4条)、宗教・国章・地名、団体商標・証明商標、商号との関係
  4. 出願手続の流れ:現地代理人と電子出願、1出願1区分、委任状の公証・アポスティーユ、アラビア語訳、優先権6か月、審査90日→応答90日→公告→異議60日→登録料納付30日
  5. 費用一覧(出願50リアル・登録証50リアル・電子割増20%、公報掲載料は廃止、書類遅延の罰金)とマドプロ個別手数料417/625スイスフラン、為替の注意
  6. 拒絶・異議への対応と不服申立て:応答90日、異議委員会へ60日、裁判所へ60日、異議の答弁60日と聴聞、決定90日、2年の確定ルール
  7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、更新は最終年+猶予6か月、再審査なし、更新時の区分見直し(2026年の運用)、放棄
  8. 不使用取消(5年)と無効・先使用者の争い:裁判所の管轄、5年の不可争、再登録禁止3年、勅令67/2008号との関係
  9. マドリッド制度とオマーン:2007年加盟、2025年11月の個別手数料引下げ、国際登録の公告と異議、現地証明書の取得、直接出願との使い分け
  10. 使用・譲渡・ライセンス・担保:営業とともに移転が原則、書面・公証、登録簿記録が対抗要件、ライセンスの記録は任意、質権・差押え、消尽と並行輸入
  11. 侵害への救済:投資商事裁判所、仮処分と証拠保全(10日・20日ルール)、損害賠償と廃棄、刑事罰(1か月〜3年・5,000〜100万リヤル相当)、再犯の営業停止、検察の職権訴追
  12. 税関と模倣品対策:申立て(7日で決定・1年有効)と職権留置、10営業日、担保、廃棄・再輸出禁止、旅行者の手荷物と並行輸入は除外、2026年の税関録記制度
  13. 日本企業の出願戦略と実務ポイント:GCC6か国の個別出願、直接出願かマドプロか、区分設計とアラビア語表記、書類の準備、公報監視、更新と使用証拠、税関録記、湾岸諸国との組合せ
  14. よくある質問(FAQ)
  15. まとめ
  16. 出典・参考文献

1. オマーン商標制度の全体像:産業財産権法(勅令67/2008号)とGCC商標法(勅令33/2017号)、統一施行規則、MoCIIP国家知的財産庁、条約加盟、投資商事裁判所

オマーンの商標法制は、2000年の商標・商業表示・営業秘密・不正競争防止法(勅令第38/2000号)を経て、2008年5月12日発令の産業財産権法(勅令第67/2008号、官報2008年5月17日)で特許・実用新案・意匠・回路配置・商標・地理的表示・不正競争・権利行使を1本の法律にまとめたものが出発点です。同法は米国・オマーン自由貿易協定(2009年発効)に対応した内容で、商標は第II編第36条〜第47条、権利行使は第IV編第66条〜第93条に規定され、施行規則は商工業省の大臣決定第105/2008号です。

これに大きな変更を加えたのが、2017年7月25日の勅令第33/2017号です。この勅令は、2012年12月のGCC最高評議会(第33回、バーレーン)で承認された「湾岸協力会議諸国の商標法(制度)」を添付法としてそのまま適用すると定め、官報第1204号(2017年7月30日)に掲載された翌日の7月31日に発効しました。GCC商標法は2006年に成立し2013年・2014年に改正された統一法で、2015年5月21日にGCC商業協力委員会(第51回会合)が承認した統一施行規則とセットで各国が導入します。サウジアラビア(2016年9月)、バーレーン、クウェートに続いてオマーンは4番目の適用国となり、その後カタールも2023年に施行規則を採択しています。商工業投資促進省(MoCIIP)は2024年9月24日付の代理人宛て通知で、委任状の原本提出義務を「勅令第33/2017号により定められた統一GCC商標法の施行規則第4条・第24条・第31条」に基づくものと説明しており、オマーンではGCC統一施行規則が実務上の手続規則として運用されていることが分かります。2026年10月のMoCIIPの広報でも「オマーンの商標登録はGCC商標法(勅令第33/2017号)と産業財産権法(勅令第67/2008号)に基づく」と説明されています。

GCC商標法と勅令67/2008号の「どちらが適用されるか」は、条文ごとに確認が必要です

勅令第33/2017号は「添付のGCC商標法を適用する」とだけ定め、勅令第67/2008号の商標規定を明示的に廃止していません。現地事務所の解説(BSA)は「GCC商標法が定めない事項には産業財産権法が適用される」と整理し、MoCIIPも両法を併記しています。実務では、出願・審査・異議・存続期間・不使用取消・刑事罰などはGCC商標法(異議60日、不使用5年など)が適用されていますが、仮処分の期間、法定損害賠償、税関手続の細部、先使用者による異議の要件などは勅令第67/2008号(異議90日、不使用3年と定めていた旧規定を含む)の条文が引用されることがあります。また、現地の商標年鑑(Country Index)にはGCC商標法が「2019年12月10日に効力を生じた」との記載もあり、2017年の発効後も施行規則の運用が整うまで旧法の手続が続いていた可能性があります。本記事はGCC商標法を基本とし、勅令第67/2008号の規定は補充的なものとして区別して記載しますが、具体的な期限や罰則が問題になる場面では、必ず現地代理人に現行の運用を確認してください。

所管官庁は商工業投資促進省(MoCIIP)で、2020年8月の省庁再編で商工業省(MOCI)から改称されました。商標・特許・意匠を扱う部門は長く「知的財産局(Intellectual Property Department/Directorate)」と呼ばれてきましたが、2024年11月に発表された国家知的財産戦略(14の構想)以降は国家知的財産庁(National Intellectual Property Office)の名称が使われ、長官はKhalid bin Hamoud Al Hinai氏です。出願は2021年3月7日から電子プラットフォーム「Invest Easy」(現在は「Oman Business(عُمان للأعمال)」)で受け付けられ、同年3月11日をもって紙の出願は廃止されました。電子出願ができるのはオマーン国民・オマーン企業・国内代理人に限られるため、日本企業は必ずオマーン国内の商標代理人を通じて出願します。

項目 オマーンの商標制度(根拠)
根拠法GCC商標法(勅令第33/2017号で採択、官報2017年7月30日、同月31日発効)+GCC統一施行規則(2015年5月21日承認)。補充的に産業財産権法(勅令第67/2008号)と大臣決定第105/2008号
所管官庁商工業投資促進省(MoCIIP)国家知的財産庁(マスカット)。電子プラットフォーム「Oman Business」で出願
権利の発生登録により取得(GCC商標法第7条、勅令67/2008号第36条)。先願主義。効力は出願日から(第17条)
審査方式・絶対的理由・相対的理由(先行商標・周知商標)を出願から90日以内に審査(第3条・第12条)
異議申立て公告から60日(第14条)。答弁60日、聴聞、決定は聴聞から90日以内(施行規則)。不服は30日以内に当局・裁判所へ(第15条)
存続期間出願日から10年、10年ごとに更新。更新は最終年、猶予6か月(第20条)
不使用取消5年間の継続不使用(権利者の責めに帰さない理由を除く)。裁判所に請求(第24条)
無効・取消違法に登録された商標は当局または利害関係人が裁判所に抹消を請求(第22条)。登録後5年間の使用で不可争(第7条)。勅令67/2008号は登録証発行から5年(悪意は無期限)と規定(第42条)
マドリッド制度マドリッド議定書(2007年10月16日発効)。個別手数料は2025年11月2日から417スイスフラン(出願・追加区分とも)、更新625スイスフラン。マドリッド協定には未加盟
主な条約パリ条約(1999年7月14日)、WTO(2000年11月9日)、PCT(2001年10月26日)、商標法条約(2007年10月16日)、ハーグ協定ジュネーブ改正協定(2009年3月4日)、アポスティーユ条約(2012年1月30日)、リスボン協定ジュネーブ改正協定(2021年6月30日)。ニース協定・シンガポール条約には未加盟(分類はニース第11版を運用)
紛争の管轄投資商事裁判所(勅令第35/2025号、2025年10月1日発足)が知財紛争を専属管轄。原則90日以内に判決(45日延長可)
言語アラビア語。委任状・契約書等はアラビア語訳を添付、外国語の商標はアラビア語の音訳・翻訳を記載(施行規則第4条)

条約面では、オマーンはパリ条約に1999年7月14日、WTOに2000年11月9日に加盟し、2007年10月16日にマドリッド議定書と商標法条約(TLT)に同時加入、2009年3月4日にハーグ協定ジュネーブ改正協定、2021年6月30日にリスボン協定ジュネーブ改正協定(オマーン乳香などの地理的表示の保護を念頭に置いたもの)に加入しています。アポスティーユ条約(勅令第47/2009号)は2012年1月30日に発効しており、日本の外務省のアポスティーユを付した委任状がオマーン領事の認証なしで受理されます。ニース協定とシンガポール条約には加盟していませんが、商品・役務の分類にはニース分類(現在は第11版)が用いられています。

司法面では、2025年3月23日の勅令第35/2025号で投資商事裁判所(Investment and Trade Court)が設立され、2025年10月1日に業務を開始しました。同裁判所は最高司法評議会の監督下でマスカットに置かれ、商人間の商事紛争、投資契約、銀行・海事、そして特許・商標・意匠・営業秘密を含む知的財産紛争を専属的に管轄します。同法第28条は事件の付託から原則90日以内の判決(重大な理由がある場合は45日延長)を義務づけ、各州に第一審部と控訴部を順次設置する計画です。2025年10月1日より前に提起された事件は従前の商事部で審理が続きます。

2. 市場環境と統計:年間出願1万3,000件、外国出願人が半数超、マドプロ指定の割合、登録まで約120日、日本との関係

MoCIIPの発表(オマーン通信、2024年8月)によれば、オマーンにおける商標の登録・記録の申請件数は2023年に13,043件で、2022年の11,742件から11%増加し、直近2年間は年10〜14%の伸びが続いています。2024年上半期には6,109件の商標が登録され、申請は「Oman Business」プラットフォーム経由で行われています。WIPOの統計プロファイル(2024年)では、オマーン当局への商標出願は区分数ベースで16,293件(前年比4.3%増)、うち居住者が7,689件(47.2%)、非居住者が8,604件(52.8%)で、外国出願人の出所は中国16%、米国9.8%、英国8.9%、スイス8.8%、ドイツ8.5%の順です。登録は区分数ベースで12,693件、有効登録は78,511件、審査官1人当たりの出願は約1,810件、登録までの平均日数は120日と報告されています。オマーンを本国官庁とするマドプロ出願は年3件程度で、オマーン企業の海外出願は少数です。

指標 数値 出典
商標の登録・記録申請(2023年)13,043件(2022年11,742件、+11%)MoCIIP(オマーン通信、2024年8月)
商標登録(2024年上半期)6,109件同上
出願(区分数ベース、2024年)16,293件(居住者7,689・非居住者8,604)WIPO統計プロファイル2024
非居住者出願の出所上位中国16%、米国9.8%、英国8.9%、スイス8.8%、ドイツ8.5%同上
登録(区分数ベース、2024年)・有効登録12,693件・78,511件同上
登録までの平均日数120日同上
区分数の推移(居住者+非居住者)2020年5,904→2021年6,481→2022年7,752→2023年7,908→2024年8,260(居住者分)同上

注:MoCIIPの件数は国内出願と国際登録の指定を合わせた「申請」件数、WIPOの件数は区分数ベースのため一致しません。

日本との関係では、日本からオマーンへの商標出願件数は公表統計からは把握できません(WIPOの上位出所国に日本は入っていません)。外務省の統計では在留邦人は97人(2025年10月1日)、進出日系企業は2014年の投資協定資料で13社と、GCC諸国の中では小さな拠点ですが、日・オマーン投資協定(2015年署名)に基づく投資保護の枠組みがあり、2022年には外交関係樹立50周年を迎えました。オマーンの名目GDPは約1,069億米ドル、1人当たりGDPは約2万米ドル(2025年、IMF)、人口約536万人のうち外国人労働者が多く、消費市場はアラブ首長国連邦(UAE)経由の輸入品に大きく依存しています。模倣品も主にUAE・中国・インドから流入するとされ、自動車部品・化粧品・衣料品・電子機器が主な対象です。日本企業にとっては、GCC6か国のポートフォリオの一部として、UAE・サウジアラビアとともにオマーンを押さえる位置づけになります。

3. 保護対象と拒絶理由:音・匂い・色彩も可、絶対的理由と相対的理由(第3条)、周知商標(第4条)、宗教・国章・地名、団体商標・証明商標、商号との関係

GCC商標法第2条は、商標を「名称、語、署名、文字、数字、図形、ロゴ、称号、印章、写真、彫刻、包装その他の標章またはその組合せで、識別的な形状を有し、商品・役務を他の事業者のものと区別するため、または役務の提供や商品・役務の検査・管理を示すために使用され、または使用されることが意図されるもの」と定義し、「音と匂いも商標とみなす」と明記しています。現地事務所の整理では、色彩(単色・色彩の組合せ)、立体的形状、ホログラムも登録対象です。音の商標は楽譜または文字による記述、匂いの商標は文字による記述で出願します(施行規則第5条)。

拒絶理由は第3条が15項目を列挙しており、絶対的理由と相対的理由の両方を含みます。絶対的理由としては、(1)識別力を欠く標章、商品・役務の慣用名称、商品の一般的な図形・写真のみからなる標章、(2)公序良俗に反する標章、(3)国・アラブ機関・国際機関・外国機関の公的紋章・旗・ロゴとその模倣(許可がある場合を除く)、(4)赤新月・赤十字のロゴとその模倣、(5)純粋に宗教的な性格を持つ記号と同一または類似の標章、(6)商品・役務の出所について混同を生じる地理的名称、(7)第三者の名称・称号・写真・ロゴ(本人の事前承認がある場合を除く)、(8)出願人が資格を証明できない名誉・学位の表示、(9)公衆を誤認させるおそれのある標章、原産地・特性について虚偽の記載を含む標章、架空・模倣の商号を含む標章、(10)当局が取引を禁じた者が所有する標章、(15)「権利」「登録済み」「著作権」などの語を含む標章が挙げられています。2026年10月にMoCIIPが改めて注意喚起したのも、国旗・国章・主権の象徴の使用禁止、国名・地域名の使用制限、城砦や史跡の画像は政府の関与を示唆しない限り可という運用です。

相対的理由として、(11)同一・関連する商品・役務について先に出願・登録された商標に類似し、使用が需要者を誤認させ、または先行権利者の利益を害する標章、(12)特定の商品・役務への登録が他の商品・役務の価値を減ずる標章、(13)第三者が登録した著名商標またはその一部の複製・模倣・翻訳で、類似の商品・役務に使用するもの、(14)同じく著名商標の複製・模倣・翻訳で、非類似の商品・役務に使用するが、著名商標との関連性を示し、または著名商標の所有者の利益を害するものが定められています。オマーンの審査は相対的理由を含む実体審査で(BSA、Legal 500の説明は「絶対的理由と相対的理由の両方」)、先行商標との類似を理由とする拒絶や、商標の関連付け(association)・権利不要求(disclaimer)の要求が審査段階で出されます。同一・類似の商標が同時に出願された場合は、権利放棄書または確定判決があるまで登録が停止されます(第10条)。

周知商標(著名商標)については、第4条が「登録国を超えた国際的な著名性を有する商標は、所有者による出願または明示的な承認がない限り登録できない」と定め、著名性の判断要素として、宣伝による公衆の認識、登録・使用の期間、登録または著名となった国の数、商標の価値、商品・役務の宣伝における効力を挙げています。未登録でも保護され、非類似の商品・役務についても、関連性の示唆や所有者への損害がある場合は登録できません。勅令第67/2008号第36条(2)(e)も、オマーンで周知の商標・商号と同一・類似・翻訳の標章を不登録とし、第67条(2)は未登録の周知商標の侵害に差止めを認めています。

酒類(第33類)と豚肉製品(第29類)の扱いは資料が分かれます

現地事務所のBSAは「第33類の酒類と第29類の豚肉製品は登録が認められないため、出願前に削除することを勧める」と説明する一方、商標年鑑Country Index(AGIP)は「第33類および第32類の酒類、第29類の豚肉製品も登録できる」と記載しており、運用が時期によって変わった可能性があります。公序良俗(第3条2号)に基づく拒絶のリスクを避けるため、日本企業が飲料・食品で出願する場合は、現地代理人に最新の運用を確認し、必要に応じて指定商品から酒類・豚肉を外すことをお勧めします。なお、商品・役務はニース分類の類見出しまたは具体的な品目を選択する必要があり、「全商品・全役務」という記載は認められません(Country Index)。

団体商標・証明商標は第34条〜第37条に規定され、団体商標は法人格を持つ団体の代表者が当局の承認を得て出願し、使用規則の写しを添付します。証明商標は商品・役務の出所・成分・製法・品質を管理・検査する法人が当局の承認を得て登録でき、譲渡にも承認が必要です。抹消された団体商標は第三者が再登録できず、使用規則に反する使用や誤認を生じる使用は裁判所で抹消されます。公益団体・専門機関のロゴなど非商業目的の商標も登録できます(第36条)。地理的表示として使用できる記号は証明商標または団体商標として登録でき(第37条)、勅令第67/2008号第II編第2章の地理的表示の制度と併存しています。オマーンは2021年にリスボン協定ジュネーブ改正協定に加入し、乳香(フランキンセンス)やハンジャル(伝統的短剣)などの保護を進めています。

商号との関係では、商号は登録の有無にかかわらず不正行為から保護され、公衆を誤認させる商号・商標の後の使用は違法とされます(勅令第67/2008号第47条)。2016年の大臣決定第124/2016号により、MoCIIPは登録商標またはその要素に類似する商号、国内外で知られた他の商号に類似する商号の登録を取り消し、または変更を命じる権限を持ち、商号による商標侵害の申立てを省に対して行うことができます。会社設立時の商号登録は商標の保護にはならないため、現地法人の社名をブランドとして使う場合は商標出願が必要です。

4. 出願手続の流れ:現地代理人と電子出願、1出願1区分、委任状の公証・アポスティーユ、アラビア語訳、優先権6か月、審査90日→応答90日→公告→異議60日→登録料納付30日

GCC統一施行規則第2条は、出願人がオマーンに住所を持たない場合、オマーンに住所を持ち、当局に商標代理人として登録された代理人を通じて出願しなければならないと定めています。電子プラットフォーム「Oman Business」の利用も国内の国民・企業・代理人に限られるため、日本企業は現地の商標代理人(法律事務所・知財事務所)を通じて出願します。出願できるのは、GCC域内で商業・工業・手工芸・役務の活動を行う自然人・法人、GCC加盟国が締約する多国間条約(パリ条約・WTO)の加盟国の国民または居住者などです(GCC商標法第5条)。かつてオマーンでは個人名義の出願が制限されていましたが、現在は商業登録や会社設立証明に出願人の氏名がパートナー・経営者として記載されていれば個人名義でも登録可能です(Country Index)。

段階 内容(根拠条文・期間)
1. 出願前の準備先行商標調査(国家知的財産庁のデータベースとWIPOのMadrid Monitor)。ニース分類(オマーンは第11版を運用)で商品・役務を特定し、類見出しまたは具体的な品目を選択。酒類・豚肉製品の要否を検討(第3章)
2. 必要書類所定様式の願書(商標の表示、出願人の氏名・住所・国籍、商標の詳細な説明、商品・役務と区分、優先権の表示、署名)、商標見本4通、公証・認証(アポスティーユ)付きの委任状原本とアラビア語訳、出願人が事業を営んでいることの証明(登記簿謄本など)、手数料納付の証明。商標が外国語の語を含む場合はアラビア語の翻訳と発音の音訳を提出(施行規則第3条・第4条)。音の商標は楽譜または記述、匂いの商標は記述
3. 書類の後出しオマーンの運用では、書類が揃わなくても出願番号・出願日・出願証明を取得でき、出願日から60日以内に不足書類を提出すれば追加費用なし。60日を過ぎると書類が提出されるまで55米ドルの罰金(期限なし)。2024年9月24日の通知で、異議・審判・名称変更・譲渡・ライセンス記録・代理人変更には委任状の原本提出が改めて求められた
4. 区分施行規則第2条は「1出願1区分、ただし当局の承認があれば多区分出願も可」と定めるが、オマーンの実務は1出願1区分(Country Index、現地事務所)。3区分なら3件の出願
5. 優先権パリ条約・WTO加盟国での先の出願から6か月以内。出願時に先の出願の日付・番号・国を申告し、先の出願の写しとその認証謄本(アラビア語訳付き)を提出(GCC商標法第11条、施行規則第6条)。施行規則は優先権書類の提出期限を出願日から3か月としており、徒過すると優先権を失う
6. 審査当局は出願から90日以内に方式・絶対的理由・相対的理由を審査して受理・拒絶・条件付き受理を決定し、書面または電子的に通知(第12条、施行規則第7条)。条件の充足・補正の求めには通知から90日以内に応答しないと取下げ擬制
7. 公告受理されると出願人は通知から30日以内に公告料を納付し(徒過は取下げ擬制、施行規則第11条)、当局の商標公報に公告。公報掲載料は2023年5月30日から廃止(第5章)。実務では日刊紙への掲載も行われてきた
8. 異議申立て公告から60日(第14条)。延長不可。第6章参照
9. 登録異議がなければ異議期間満了後に登録(第16条)。出願人は受理の最終決定から30日以内に登録料を納付(徒過は取下げ擬制、施行規則第17条)。登録証(登録番号、優先権、出願日・登録日・満了日、所有者、商標、商品・役務と区分)を交付し、効力は出願日から(第17条)
10. 所要期間WIPO統計で登録までの平均120日。現地事務所は異議がない場合で7〜9か月程度と案内

勅令第67/2008号第37条は、色彩を識別的要素として主張する場合の色名と部位の記載、立体商標の申告、視覚的に認識できない標識の図的表示を求めており、GCC施行規則と併せて運用されています。出願後、出願人はいつでも出願を取り下げ、または商品・役務を限定することができます(同条3項)。国際博覧会に出品した商品の商標には、開催の1か月前までに当局に届け出ることで開催日から6か月を超えない一時的保護が与えられます(GCC商標法第21条、施行規則第20条〜第23条)。

委任状と会社証明書は「公証+アポスティーユ+アラビア語訳」が原則で、原本が必要です

GCC施行規則第4条は、代理人による出願には公証・認証を受け、アラビア語に翻訳した委任状の原本を添えると定めています。オマーンはアポスティーユ条約に加盟しているため(2012年1月30日発効)、日本企業の委任状は公証人の認証と日本の外務省のアポスティーユで足り、オマーン大使館の領事認証は不要です。MoCIIPは2024年9月の通知で、異議申立て・審判・名称変更・譲渡・ライセンスの記録・代理人変更・特許・意匠の各手続について委任状原本の提出を改めて徹底しており、不足のまま60日を過ぎると罰金が発生します。日本側では、(1)代表者の署名、(2)公証役場での認証、(3)法務局の公証人押印証明と外務省のアポスティーユ(ワンストップで取得可)、(4)アラビア語訳の手配、(5)原本の国際便送付という手順に2〜4週間かかるため、出願スケジュールに織り込んでください。委任状は包括的なもの(出願・更新・異議・記録を含む)を作成し、税関録記や訴訟に使う場合はその旨の授権を明記しておくと再作成を避けられます。

5. 費用一覧(出願50リアル・登録証50リアル・電子割増20%、公報掲載料は廃止、書類遅延の罰金)とマドプロ個別手数料417/625スイスフラン、為替の注意

オマーンの産業財産権の公的手数料は、商工業省の大臣決定第51/2010号(2010年4月28日、官報第911号、同年6月15日施行)に添付された料金表で定められ、2018年の大臣決定第206/2018号で学生・研究者・小規模企業向けの軽減料金が追加されました。2021年3月の電子出願への移行に伴い、電子システムで処理される商標案件には公的手数料の20%の割増(1件当たり上限20リアル)が課されています(通達第1447/2021号、JETRO)。さらに2023年4月19日の大臣決定第292/2023号(官報2023年5月21日、同月30日施行)は、20の行政サービスの手数料を廃止し、その中に「出願受理の公告」の手数料(企業・小規模企業・学生の各区分)が含まれています。現地事務所の報告では、これにより商標出願・更新・ライセンス・譲渡の受理公告に係る公報掲載料が不要になりました。

手続(1出願=1区分) 公的手数料(現地事務所の報告値) 円換算(1リアル≒410円) 備考
出願50リアル約20,500円Al Tamimi(2020年)、BSA。電子手続は20%割増(上限20リアル)
受理の公告(官報)100リアル → 2023年5月30日から廃止―大臣決定第292/2023号。日刊紙への掲載費(約40リアル)は別途かかる場合あり
登録(登録証の発行)50リアル約20,500円受理の最終決定から30日以内に納付(施行規則第17条)
書類の遅延提出55米ドル相当の罰金約8,700円出願日から60日以内なら無料(Country Index、JETRO 2024年12月)
更新・異議・譲渡/ライセンス記録公式料金表で確認が必要―大臣決定第51/2010号の料金表は本稿執筆時に閲覧不可(注意枠参照)

出典:Al Tamimi「Registration of trademarks and its objectives in Oman」(2020年)、BSA「How to Register a Trademark in the Sultanate of Oman」、Country Index(AGIP)、JETRO中東知財ニュースレター2021年5月号・2024年12月号、大臣決定第292/2023号(Qanoon.om)。

以上を前提にすると、1区分の出願から登録までの公的手数料は出願50リアル(電子割増で最大60リアル)+登録証50リアル=約100〜110リアル(約4.1万〜4.5万円)で、3区分なら3件分の約12万〜14万円です。これに現地代理人の手数料(1区分当たり数百〜1,000米ドル超が相場。コンサルティング会社の2026年見積では出願1区分1,300米ドル、事前調査545米ドル)と、委任状の公証・アポスティーユ・アラビア語翻訳の費用が加わります。登録に至らない場合でも出願料は返還されません。

公式の料金表は本稿執筆時点で閲覧できず、現地事務所の報告値も一致していません

大臣決定第51/2010号の料金表(官報第911号)は、オマーン法令サイトQanoon.omではボット対策の認証画面のため取得できず、WIPO Lexにも本文が掲載されていません。現地事務所の報告値は、出願50・公告100・登録50リアル(Al Tamimi、BSA)のほか、出願70・公告50・登録50・新聞掲載17リアルとする資料(Lexology掲載の別の解説)もあり、更新料・異議申立料・譲渡やライセンスの記録料の金額は確認できませんでした。電子割増の20%が2026年時点でも維持されているかも未確認です。本記事の金額は目安にとどめ、出願前に必ず現地代理人から公的手数料を含む見積りを取得してください。

マドリッド制度でオマーンを指定する場合の個別手数料は、WIPO通知第23/2025号により2025年11月2日から、出願・事後指定が1区分417スイスフラン(追加区分も1区分につき417スイスフラン)、更新が1区分625スイスフラン(追加区分も同額)に引き下げられました(それ以前は484/727スイスフラン)。団体商標・証明商標は1,042/1,250スイスフランです。1スイスフラン≒191円(2026年10月29日の欧州中央銀行レート)とすると、出願は1区分約8万円、更新は約11.9万円で、オマーンが1出願1区分の国であることを反映して追加区分でも割引がない点が特徴です。これに国際出願の基本手数料(白黒653スイスフラン、カラー903スイスフラン)と日本特許庁への送付手数料が加わります。国内出願の公費(1区分約4.1万〜4.5万円)+代理人費用と、マドプロの個別手数料(約8万円)を比べると、オマーン単独では代理人費用の分だけマドプロが安くなる場合が多く、UAE・サウジアラビアなどと同時に出願するならマドプロの優位がさらに大きくなります(第9章)。

為替の注意:オマーン・リアルは米ドルにペッグされています

オマーン・リアル(OMR)は1米ドル=0.3845リアルの固定相場で、1リアル≒2.60米ドルです。本記事の円換算(1リアル≒410円)は、このペッグと2026年10月29日の欧州中央銀行レート(1ユーロ=1.1130米ドル、175.92円)から算出したもので、ドル円相場の変動がそのまま反映されます。スイスフラン建てのマドプロ手数料も同様です。予算を組む際は最新のレートで再計算してください。

6. 拒絶・異議への対応と不服申立て:応答90日、異議委員会へ60日、裁判所へ60日、異議の答弁60日と聴聞、決定90日、2年の確定ルール

拒絶・条件付き受理への対応:当局は出願から90日以内に審査し、拒絶する場合または制限・補正を条件とする場合は理由を書面で通知します(GCC商標法第12条3項・4項)。当局は、他の商標・登録商標との混同を防ぐため、あるいは適切と考えるその他の理由で、商標を特定・明確化するための制限や補正(指定商品の限定、識別力のない部分の権利不要求、自社の先行登録との関連付けなど)を課すことができ、出願人は通知から90日以内に応答しなければ出願を放棄したものとみなされます(同条2項、施行規則第8条)。拒絶や条件付き停止の決定に対しては、通知から60日以内に異議委員会(Grievance Committee)に不服を申し立て、委員会の決定にはその通知から60日以内に管轄裁判所(現在は投資商事裁判所)へ訴えることができます(第13条、施行規則第9条・第10条)。委員会は各国の所管大臣が設置し、決定は30日以内に書面または電子的に通知されます。期間内に不服申立てをせず、または課された条件を満たさない出願人は、出願を放棄したものとみなされます。

異議申立て:受理された出願が公報に公告されると、利害関係人は公告日から60日以内に、理由を付した書面の異議を手数料とともに当局に提出できます(第14条2項、施行規則第13条)。勅令第67/2008号時代の90日から短縮され、延長はできません。当局は異議の受領から30日以内に出願人へ異議の写しを送付し、出願人は通知から60日以内に書面で答弁しなければ、出願を放棄したものとみなされます。いずれかの当事者が請求すれば聴聞が開かれ、当局は聴聞から90日以内に理由を付した決定(登録の拒絶、または条件付きを含む受理)を両当事者に通知します(第15条、施行規則第14条)。決定に対しては、通知から30日以内に当局への不服申立て、および30日以内に裁判所への上訴が可能で、登録を認める決定への上訴は裁判所が別段の決定をしない限り登録手続を停止しません(第15条3項)。先行権利の根拠となるのは、先に出願・登録された商標(第3条11号)、著名商標(13号・14号)、および勅令第67/2008号第36条9項に基づく先使用者の権利です。

段階 期限・内容(GCC商標法・統一施行規則)
異議申立て公告から60日以内(延長不可)。理由を付した書面、手数料、委任状原本。国際登録については国際商標公報での公告から60日(現地事務所)
出願人への送付当局が受領から30日以内に異議の写しを出願人に送付
出願人の答弁通知から60日以内。答弁がなければ出願放棄とみなす。申立人は答弁の写しを入手できる
聴聞いずれかの当事者の請求により開催(必要書類の提出と手数料)。請求がなければ書面で決定
決定当局が聴聞から90日以内に理由を付した決定(拒絶、または条件付きを含む受理)を両当事者に通知
不服申立て決定の通知から30日以内に当局へ、30日以内に管轄裁判所(投資商事裁判所)へ(第15条3項)。登録を認める決定への上訴は登録を停止しない
確定公告から2年以内に異議がない場合、または裁判所の最終決定があった場合、登録決定は確定(施行規則第16条)
登録料の納付受理の最終決定から30日以内に納付しなければ出願放棄とみなす(施行規則第17条)

オマーンの当局は、勅令第67/2008号第36条9項の先使用者による異議の要件(出願日または優先日の6か月以上前からの善意の使用、顧客と評判の獲得、異議申立て前に自己の商標を出願していること)を厳格に適用し、要件を満たさない異議を方式上却下する運用に転じたことが報告されています(Country Index)。未登録の先使用商標を根拠に異議を申し立てる場合は、先に自社の出願を済ませてから異議を提出する必要があります。

不服申立ての期限は「拒絶は60日、異議決定は30日」と条文上は異なります

GCC商標法第13条は、審査段階の拒絶・条件付き停止に対する異議委員会への申立てと裁判所への訴えをそれぞれ60日とする一方、第15条3項は異議の決定に対する当局への不服申立てと裁判所への上訴をそれぞれ30日としています。現地事務所の解説には「異議決定への不服は60日」とするものもあり、委員会を経由するか直接裁判所に行くかも説明が分かれます。勅令第67/2008号第38条は拒絶への反論を60日とし、反論を経ずに直接裁判所へ上訴することも認めていました。決定の通知を受けたら、最短の30日を前提に期限を管理し、現地代理人に不服申立ての経路と期限を確認してください。

7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、更新は最終年+猶予6か月、再審査なし、更新時の区分見直し(2026年の運用)、放棄

商標登録の保護期間は10年で、GCC商標法第20条は「商標所有者は、有効な保護期間の最終年内に更新を申請することにより、10年の保護期間を連続して継続できる」と定めています。効力は出願日から生じるため(第17条)、満了日は出願日を基準に計算します。満了後6か月の猶予期間内にも更新でき、猶予期間内に更新しない場合、当局は登録簿から抹消します(第20条2項・3項)。更新は新たな審査なしに行われ、第三者の異議申立ても認められず、公報に公告されます(同条4項、施行規則第18条・第19条)。勅令第67/2008号第41条は猶予期間の更新に割増料を課し、失効した登録の回復は認めないと明記しています。現地報告では更新料は未確認で、猶予期間中は割増が加わります(第5章の注意枠)。

更新時に注意が必要なのは、2026年から始まった区分の見直しに関する運用です。オマーンはニース分類第11版を運用し続けていますが、国家知的財産庁は2026年以降に更新期限を迎える登録について、最新版のニース分類(第13版)で他の区分に移動した商品(第9類から外れた品目など)が指定商品に含まれる場合、更新前に補正申請で該当品目を削除し、必要なら新しい区分で別途出願するよう求める通知を出したと報告されています(Country Index、AGIP、2026年)。古い登録を多数保有する企業は、更新の1年前には指定商品の棚卸しを始めることをお勧めします。

登録後の変更として、所有者の名称・住所・職業・国籍の変更、指定商品・役務の一部削除、代理人の変更は所定様式と手数料で登録簿に記録され、公告されます(施行規則第18条)。商標そのものの実質に影響しない追加・補正は第18条の手続で当局に申請できますが、新規出願と同じ条件で審査されます。権利者は、商標の全部または一部の商品・役務について登録の抹消(放棄)を申請でき、登録簿に記録されたライセンスがある場合はライセンシーの書面による同意が必要です(第23条)。

8. 不使用取消(5年)と無効・先使用者の争い:裁判所の管轄、5年の不可争、再登録禁止3年、勅令67/2008号との関係

オマーンには行政庁による無効・取消の審判制度はなく、登録後の争いは管轄裁判所(投資商事裁判所)で行います。GCC商標法が定める主な手段は次のとおりです。

手段 根拠・要件 期間制限・効果
違法登録の抹消GCC商標法第22条。当局または利害関係人が、違法に登録された商標(第3条の拒絶理由に該当するもの等)の抹消を裁判所に請求。確定判決により当局が抹消明文の期間制限なし。ただし第7条の不可争(下欄)に服する。勅令67/2008号第42条は登録証発行から5年、悪意・加害目的なら無期限と規定
不可争・先使用者の取消請求第7条。登録者は唯一の所有者とみなされ、登録日から5年間、有効性を争う訴えなく継続して使用すれば所有権は争えない。先使用者は登録日から5年以内に裁判所で登録の取消を請求できる(登録者の使用を明示・黙示に承認していた場合を除く)先使用者は5年の期限内に行動する必要がある
不使用取消第24条。利害関係人の請求により、5年間継続して真摯に使用されなかったことが立証された登録商標を裁判所が抹消。権利者が自己の制御の及ばない理由による不使用を証明すれば免れる勅令67/2008号第42条2項は「3年」と定めていたが、GCC商標法の5年が適用される(現地事務所、JETRO)
再登録の制限第25条。抹消された商標は、抹消から3年経過後でなければ同一・類似の商品・役務について第三者が登録できない(裁判所がより短い期間を定めた場合を除く)勅令67/2008号第36条10項も失効公告から3年の再登録制限を規定
団体商標・証明商標の抹消第34条4項。登録者の単独使用、規則違反の使用、出所・共通仕様についての誤認を生じる使用裁判所が抹消
登録簿の訂正第19条。当局は脱漏データの追加、違法・不実のデータの訂正・削除が可能。利害関係人は裁判所に訴えられる―

不使用取消の「真摯な使用」の立証責任については、GCC商標法は「裁判所に対して不使用が立証されている場合」と定めるのみで、勅令第67/2008号第42条2項は輸入制限や政府・市場の障害など特別な事情による不使用を免責事由として挙げています。使用の証拠としては、オマーン国内の販売店への請求書、現地の広告、オマーン向けの輸出書類、ライセンシーの使用記録などを保全しておくべきで、ライセンス契約は登録簿に記録しておくと(第10章)、ライセンシーの使用を権利者の使用として主張しやすくなります。なお、商標の抹消は公報に公告され(第26条)、抹消から3年間は第三者の再登録が制限されるため、競合他社に自社商標を取られる直接のリスクは一定期間遮断されますが、自社の再出願も新規の審査を受けることになります。

無効の出訴期間は「登録から5年(悪意は無期限)」が実務上の目安です

GCC商標法第22条には無効請求の期間制限がなく、第7条が登録後5年間の継続使用による不可争を定めるという構造です。一方、勅令第67/2008号第42条1項は「登録証の発行から5年以内、悪意または登録商標を害する目的で取得された登録はいつでも」と明文で定めており、現地事務所もこの5年を無効請求の期限として案内しています。他人の先取り出願を見つけた場合は、登録から5年以内(悪意を立証できる場合を除く)に投資商事裁判所へ無効を請求すること、未登録の先使用商標の場合は第7条2項の5年以内に取消を請求することを前提に、早めに現地代理人と方針を決めてください。

9. マドリッド制度とオマーン:2007年加盟、2025年11月の個別手数料引下げ、国際登録の公告と異議、現地証明書の取得、直接出願との使い分け

オマーンは2007年7月16日にマドリッド議定書に加入し、同年10月16日に発効しました(マドリッド協定には未加盟)。日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でオマーンを指定でき(制度の全体像と費用は国際商標出願(マドプロ)の解説をご覧ください)、議定書第8条(7)(a)の宣言により個別手数料制を採用しています。WIPO通知第23/2025号により、2025年11月2日以降に本国官庁が受理した国際出願・事後指定、および同日以降の更新から、個別手数料は出願・事後指定が1区分417スイスフラン(追加区分も1区分417スイスフラン)、更新が1区分625スイスフラン(追加区分も同額)、団体商標・証明商標は1,042/1,250スイスフランに引き下げられています。

オマーンを指定した国際登録は、国内出願と同じく絶対的理由と相対的理由について審査され、暫定拒絶の通報があればオマーン国内の代理人を通じて応答します。勅令第67/2008号の施行規則(大臣決定第105/2008号)は、国際登録について国際商標公報での公告から異議期間を起算し、異議があればWIPOへ異議に基づく暫定拒絶を通報する手続を定めており、現地事務所は国際商標公報での公告から60日を異議期間として案内しています。BSAは、国内出願が日刊紙にも公告される実務に合わせて、国際登録についても現地での公告手続を踏み、WIPOの保護付与声明とは別にMoCIIPから現地の登録証明書を取得しておくことを「ベストプラクティス」として勧めています。税関録記や訴訟で登録の存在を示す際に、現地の証明書があると手続が円滑になるためです。

比較項目 MoCIIPへの直接出願 マドリッド議定書によるオマーン指定
公費(1区分)出願50+登録証50リアル(電子割増込みで約4.1万〜4.5万円)+現地代理人費用+委任状の公証・翻訳個別手数料417スイスフラン(約8万円)+WIPO基本手数料(653/903スイスフラン、複数国で按分)。追加区分も同額
区分1出願1区分(3区分なら3件)1件の国際出願で多区分を指定可(手数料は区分ごと)
現地代理人・書類出願時から必須。公証・アポスティーユ付き委任状の原本、事業証明、アラビア語訳出願時は不要。暫定拒絶・異議への対応時に現地代理人と委任状が必要
商標の表示外国語の語にはアラビア語の音訳・翻訳を添付国際出願の言語(英・仏・西)。アラビア語表記は別途国内出願が必要
審査・異議絶対的・相対的理由の審査、公告から60日の異議同じ。国際商標公報での公告から60日の異議。暫定拒絶通報への応答は現地代理人経由
登録後の管理MoCIIPで更新・記録(電子化済み)。2026年以降は更新時の区分見直しWIPOで一括更新(625スイスフラン/区分)。基礎出願・登録への依存(5年のセントラルアタック)
権利行使登録証をもとに裁判所・税関で行使同等に行使可。現地の登録証明書を取得しておくのが実務上の推奨
向いているケースアラビア語表記を含めてオマーン市場向けに最適化したい、日本の基礎登録が不安定UAE・サウジアラビア・バーレーンなどGCC諸国や中東全域を同時に出願、ポートフォリオを一元管理

オマーンでは非居住者出願の過半がマドプロ経由とみられ(WIPO統計の非居住者出願8,604件のうち、現地出願の件数は公表されていません)、国際登録の効力をめぐる法的な論点はありません。日本企業の実務としては、GCC諸国(UAE、サウジアラビア、バーレーン、オマーン。クウェートとカタールは未加盟)をまとめてマドプロで指定し、アラビア語表記の商標や主力商標の防衛的な出願は現地の直接出願で補う組合せが合理的です。

10. 使用・譲渡・ライセンス・担保:営業とともに移転が原則、書面・公証、登録簿記録が対抗要件、ライセンスの記録は任意、質権・差押え、消尽と並行輸入

登録商標の所有者は、同一・類似・関連する商品・役務について、公衆に混同を生じるおそれのある方法で同一・類似の商標(地理的表示を含む)を使用することを、許諾を受けていない第三者に対して禁止できます(GCC商標法第17条2項)。譲渡については、第27条が「別段の合意がない限り、商標は、その標章が使用される商業施設または事業とともに、有償・無償、全部・一部を問わず移転・質入れ・差押えできる」と定め、営業の譲渡には別段の合意がない限り商標が含まれます(第28条)。勅令第67/2008号第45条3項は営業の移転を伴わない商標の譲渡を認めており、営業と切り離した譲渡も契約で明示すれば可能です。譲渡・質権・差押えは登録簿に記録され公告された後でなければ第三者に対抗できず(第27条3項)、記録の申請には公証・認証・アラビア語訳付きの譲渡証書、譲受人の事業証明、委任状原本を添付します(施行規則第24条〜第26条)。

ライセンスは、認証された書面の契約により、商品・役務の全部または一部について、独占・非独占を問わず許諾できます(第29条)。ライセンス期間は保護期間を超えられず、ライセンシーに不必要な制限を課してはなりませんが、使用地域・期間、品質管理の条件、商標の価値を損なう行為の禁止は定めることができます(第30条)。ライセンス契約は書面であれば有効で、登録簿への記録は義務ではありません(第31条)が、記録する場合は公証・認証・アラビア語訳付きの契約書と委任状原本を提出し、公告されます(施行規則第30条〜第33条)。勅令第67/2008号第45条1項は、ライセンス契約にライセンサーによる品質管理の条項がなく、または実効的な品質管理が行われない場合、契約は無効で裁判所が商標の放棄を宣言できると定めており、品質管理条項は必須と考えるべきです。ライセンシーは別段の合意がない限り再許諾・譲渡できず(第32条)、ライセンスの抹消は相手方への通知と異議の機会を経て行われます(第33条)。JETROの2015年の報告書が指摘するとおり、GCC各国でライセンス記録の要否や効果は一致しておらず、オマーンでは不使用取消への備えと権利行使の便宜のために記録しておくのが安全です。

消尽と並行輸入については、勅令第67/2008号第39条3項が「登録商標の権利は、オマーン国内で権利者またはその同意を得て市場に置かれた商品には及ばない」と定める一方、第40条は、商品がオマーンで入手できない、品質が著しく低い、数量不足、不当に高い価格その他の公益上の理由がある場合に、大臣が職権または申立てにより商標権の消尽を宣言して他者の輸入を許可できると定めています(輸出国で権利者またはその同意により流通し、同一人が輸出国でも商標を保有していることが条件)。さらにGCC商標法第39条(B)は、権利者または同意を得た者が輸出国の市場で流通させた商品には税関措置が適用されないと定めており、正規品の並行輸入を税関で止めることはできません。JETROの並行輸入調査(2020年)も、オマーンは1996年以降、商業代理店法で非独占的な複数代理店の任命を認める自由度の高い制度であると報告しています。並行輸入対策は、販売店契約や商品仕様の相違、消費者保護法令の活用など、商標権以外の手段を組み合わせて検討する必要があります。

11. 侵害への救済:投資商事裁判所、仮処分と証拠保全(10日・20日ルール)、損害賠償と廃棄、刑事罰(1か月〜3年・5,000〜100万リヤル相当)、再犯の営業停止、検察の職権訴追

侵害訴訟は投資商事裁判所(2025年10月1日発足)が専属的に管轄し、原則90日以内の判決が義務づけられています。訴えを提起できるのは登録商標の所有者と、未登録でもオマーンで周知の商標の所有者(勅令第67/2008号第67条2項・3項)で、専用使用権者も、権利者に提訴を求めて90日以内に応じられなかった場合に自ら提訴できます(同条3項)。民事訴訟の時効は、権利者が侵害を知り、または知るべきであった日から5年で、悪意の使用や不正競争目的の場合は制限がありません(第72条)。

手段 内容(根拠条文) 期限・注意点
予防措置・証拠保全(GCC商標法第40条)侵害品・材料・道具の詳細な記述と証拠の保全、侵害品と収益の差押え、流通経路への投入・輸出の防止、侵害の停止を裁判所に申し立てる。回復不能な損害や証拠隠滅のおそれがあれば相手方を召喚せずに命令可裁判所は申立てから10日以内に決定。一方的命令には相手方が通知から20日以内に不服申立て。権利者は命令(または不服棄却の通知)から20日以内に本案提起しないと取消し。担保を命じられうる
仮処分(勅令67/2008号第73条)民事訴訟法の手続による迅速な暫定措置。一方的命令の場合は執行後速やかに通知被告は通知から2週間以内に再審査を請求。20営業日または31暦日のいずれか長い期間内に本案提起がなければ取消し
損害賠償(GCC商標法第41条)侵害者が得た利益を含む損害の賠償。裁判所は小売価格等に基づく商品・役務の価値を考慮。故意の模倣の場合は、審理前のいつでも「適切な補償」の判決を求めることも可勅令67/2008号第75条は、権利者の選択で侵害行為1件につき1万リアル(約410万円)を上限とする法定賠償を認め、弁護士費用も考慮
差押え・廃棄・情報開示(第41条3項〜5項)侵害品・材料・道具・証拠書類の押収、侵害の停止と輸出入の防止、関与者・流通経路の情報提供命令、補償なしの廃棄(公衆衛生・環境に害がある場合は流通経路外への処分)商標の除去だけでは商品を流通させられない。勅令67/2008号第76条・第77条も同旨
刑事罰(偽造、第42条A)登録商標の偽造・模倣、公衆を誤認・混同させる模倣、悪意による偽造品の使用、他人の商標による自己の商品・役務の識別は、1か月〜3年の拘禁および/または5,000〜100万サウジリヤル相当(約500〜10万リアル)の罰金GCC共通の罰金額をサウジリヤル建てで規定し、各国通貨の同等額を適用。現地事務所は約500〜10万リアルと換算
刑事罰(販売等、第42条B)偽造・模倣商標を付した商品と知っての販売・販売の申出・所持、不法な使用、未登録商標の使用(第3条2〜11号該当)、登録を詐称する表示、模倣用の道具の所持は、1か月〜1年の拘禁および/または1,000〜10万サウジリヤル相当(約100〜1万リアル)の罰金勅令67/2008号第93条は商業規模の故意侵害に3か月〜3年と2,000〜1万リアルを規定
再犯(第43条)前の処罰から3年以内の再犯は法定刑の上限の2倍に加え、15日〜6か月の営業所閉鎖と判決の公表(被告負担)―
訴追・執行検察は権利者の告訴なしに職権で訴追できる(勅令67/2008号第94条1項)。所管職員は司法警察官の権限を持ち、立入り・差押えができる(GCC商標法第45条)不当な差押えの被告は、期間満了または確定判決から90日以内に補償を請求可(第44条)

実務上は、MoCIIPへの行政的な苦情(商号の取消を含む)、投資商事裁判所での民事訴訟、検察・警察による刑事手続、税関での差止めを組み合わせます。現地事務所によれば、模倣品の多くはUAE経由で流入するため、オマーン単独の対策よりもGCC全体での取締りが効果的です。商標の表示義務はありませんが、第42条B4号は「自己の登録商標を商品・役務に表示することを故意かつ悪意により怠った」行為を処罰対象に挙げており、GCC商標法独特の規定として留意が必要です(運用例は確認できていません)。

仮処分の本案提起期限は「20日」(GCC商標法)と「20営業日または31日」(勅令67/2008号)の2つの規定があります

GCC商標法第40条7項は予防措置の命令から20日以内の本案提起を求め、勅令第67/2008号第73条5項は20営業日または31暦日のいずれか長い期間を定めています。どちらが適用されるかは裁判所の判断によるため、命令の発令日から暦日で20日以内に本案を提起する前提で準備してください。また、裁判所は申立人に担保を命じることができ、措置が取り消された場合や侵害が認められなかった場合には被告への補償を命じられます(第40条6項、第73条6項)。

12. 税関と模倣品対策:申立て(7日で決定・1年有効)と職権留置、10営業日、担保、廃棄・再輸出禁止、旅行者の手荷物と並行輸入は除外、2026年の税関録記制度

国境措置はGCC商標法第38条・第39条と勅令第67/2008号第79条〜第92条に定められ、税関は王立オマーン警察税関総局(Directorate General of Customs)が担当します。登録商標の所有者は、模倣品や混同を生じる類似商標を付した商品が輸入される正当な理由がある場合、十分な証拠と商品を識別できる情報を添えて通関停止を書面で申し立てることができ、税関は申立てから7日以内に書面で決定し、受理された申立ては提出日から1年間(または商標の残存期間)有効です(第38条1項・2項)。税関は申立人に担保を求めることができ、明白な証拠がある場合は申立てなしに職権で輸入・通過・輸出準備中の商品の通関を停止できます(同条3項・4項)。

項目 内容(根拠条文)
通関停止後の通知と情報税関は決定後直ちに輸入者と権利者に通知し、権利者の書面による請求で荷送人・輸入者・荷受人の名称・住所と数量を開示。利害関係人は商品を検査できる(GCC商標法第38条5項、勅令67/2008号第80条〜第82条)
権利者の義務通関停止の通知から10営業日以内に管轄裁判所に提訴し、税関に通知しなければ決定は当初から無効。税関または裁判所が必要と認めればさらに10日延長(第38条5項C、勅令67/2008号第87条)
職権留置の場合勅令67/2008号第79条2項は、職権留置の通知から3営業日以内に権利者が担保を提供しなければ商品を解放すると規定
廃棄・再輸出禁止裁判所が模倣品と認定した商品は、例外的な場合を除き輸入者の費用で廃棄(公衆衛生・環境への害がある場合は流通経路外へ処分)。商標の除去だけでの解放や再輸出は不可(第38条6項・7項、勅令67/2008号第89条)
適用除外旅行者の手荷物中の少量の非商業的商品・小口郵便、および権利者またはその同意を得て輸出国の市場で流通した商品(並行輸入品)(第39条)
対象貨物・不服輸入・輸出・通過・積替え貨物に適用(勅令67/2008号第91条)。税関の通関停止決定には通知から60日以内に裁判所へ不服申立て可(第92条)。不当な留置の場合、申立人は輸入者等に補償(第86条)
税関録記制度(2026年)警察の電子税関プラットフォーム「Bayan」で、登録済みの知的財産権を税関総局に録記(有効期間1年、更新可)。空港・港・陸路国境・自由区域・免税区域・郵便・保税倉庫など入口を指定または全入口を対象にできる。申請には権利の種類と登録番号、商品の説明(分類・原産国・製造者)、対象入口、独占輸入者の情報、登録証、真贋識別資料を提出。プラットフォームへのアクセスはオマーンの居住許可を持つ利用者に限られるため、現地代理人経由で行う(One World IP、JETRO 2026年8月号)

2026年に始まった税関録記制度により、オマーンでもUAEやサウジアラビアと同様に、真正品の識別情報を事前に税関に登録しておく「予防的な」水際対策が可能になりました。模倣品の多くが港湾(ソハール、サラーラ、ドゥクム、スルタン・カブース港)と陸路国境(UAEとの国境)から流入することを踏まえ、録記の対象入口を全入口に広げ、真贋識別資料を定期的に更新し、現地代理人を税関からの連絡窓口として登録しておくことが重要です。

税関差止め後の10営業日と担保、委任状の授権範囲

税関からの通知を受けてから10営業日以内に投資商事裁判所へ提訴し、その旨を税関に通知しなければ、留置は当初から無効とみなされ貨物は解放されます。通知はアラビア語で現地代理人に届くため、録記時に代理人を連絡先とし、提訴の判断基準と担保の資金を事前に決めておいてください。また、現地事務所は、既存の委任状が税関関連の権利行使(録記、留置の申立て、提訴)を明示的に授権しているかを見直すよう勧めています。出願時の委任状に税関手続と訴訟の授権を含めておくと、改めて公証・アポスティーユを取る手間を省けます。

13. 日本企業の出願戦略と実務ポイント:GCC6か国の個別出願、直接出願かマドプロか、区分設計とアラビア語表記、書類の準備、公報監視、更新と使用証拠、税関録記、湾岸諸国との組合せ

以上を踏まえ、日本企業がオマーンで商標を取得・維持・行使する際の実務ポイントを整理します。

  1. GCC商標法は「統一法」であって「広域登録」ではない。オマーンで登録を得てもUAEやサウジアラビアには効力が及ばず、GCC6か国で保護するには6件の出願(またはマドプロでの各国指定)が必要です。クウェートとカタールはマドプロ未加盟のため、これらは直接出願になります。
  2. 先願主義と相対的理由の審査を前提に、早めに出願する。登録後5年間の継続使用で所有権が不可争になる(GCC商標法第7条)ため、先取り出願を放置すると取り返しがつきません。販売店契約や現地法人設立、展示会出展の前に主力商標を出願してください。審査では先行商標との類似も判断されるので、出願前の先行調査(国家知的財産庁のデータベースとMadrid Monitor)が有効です。
  3. 直接出願かマドプロかは、アラビア語表記の要否と出願国数で決める。オマーン単独なら、個別手数料417スイスフラン(約8万円)のマドプロと、公費約4.1万〜4.5万円+代理人費用+書類費用の直接出願でコストは拮抗します。UAE・サウジアラビア・バーレーンと同時に出願するならマドプロが有利です。アラビア語表記の商標は国際出願に含められないため、現地での直接出願で補います。
  4. 1出願1区分の運用に合わせて区分を絞り、商品・役務は類見出しか具体的な品目で記載する。「全商品」の記載は認められず、酒類(第33類)・豚肉製品(第29類)は拒絶のリスクがあるため、現地代理人に最新の運用を確認して除外を検討します。オマーンはニース分類第11版を運用しているため、最新版で区分が変わった品目は分類の調整が必要です。
  5. 外国語の商標にはアラビア語の音訳と翻訳を添え、必要ならアラビア語表記も出願する。施行規則第4条はアラビア語の翻訳と発音の音訳を求めます。消費者がアラビア語で呼ぶ名称を模倣業者に先に登録されないよう、主力商標はアラビア文字表記も検討してください。宗教的な記号、国名・地名、王室・国章の要素は避けます。
  6. 委任状と事業証明は公証+アポスティーユ+アラビア語訳の原本で、授権範囲を広く。出願・更新・異議・審判・記録・税関手続・訴訟を含む包括委任状を作成し、60日の後出し期限(徒過は55米ドルの罰金)を守ります。2024年9月以降、異議・審判・記録手続では原本の提出が徹底されています。
  7. 応答期限は条文上の最短日数で管理する。審査通知への応答90日、拒絶への不服60日、異議申立て60日、異議への答弁60日、異議決定への不服30日、登録料の納付30日、公告料の納付30日と、いずれも徒過すると出願放棄とみなされます。現地代理人からの通知を日本側で即座に期限表に反映してください。
  8. 商標公報の監視と異議申立て。異議期間は公告から60日で延長できません。未登録の先使用商標で異議を申し立てる場合は、先に自社の出願を済ませる必要があります(勅令第67/2008号第36条9項)。異議の認容率などの統計は公表されていないため、現地代理人の経験に基づいて見込みを判断します。
  9. 更新は出願日基準の10年ごと、最終年に申請し、2026年以降は区分の見直しも。猶予期間は6か月で、失効した登録の回復はありません。更新前に指定商品が最新のニース分類と整合しているかを確認し、必要なら補正と新規出願を行います。
  10. 使用証拠を5年単位で保全し、ライセンスは書面・品質管理条項付きで記録する。不使用取消は5年で、使用の証拠(現地販売店への請求書、広告、輸出書類、ライセンシーの使用)を残します。品質管理条項のないライセンスは無効とされるおそれがあり、記録は任意ですが権利行使と不使用対策のために記録を推奨します。
  11. 模倣品対策は投資商事裁判所と税関録記を軸に、GCC全体で組む。2025年10月発足の投資商事裁判所は知財紛争を専属管轄し、原則90日で判決します。仮処分は命令から20日以内、税関留置は10営業日以内の本案提起が必要です。2026年の税関録記制度(Bayan、1年有効)に真贋識別資料を登録し、UAE経由の流入を念頭にUAE・サウジアラビアの税関録記と連動させます。並行輸入品は税関措置の対象外である点にも注意します。
  12. 湾岸諸国の記事と合わせてポートフォリオを設計する。GCC商標法を先行して導入したサウジアラビアの商標制度、物流のハブであるアラブ首長国連邦(UAE)の商標制度、2023年に施行規則を採択したカタールの商標制度の解説と比較しながら、出願の順序と費用配分を決めてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. オマーンで登録すればGCC全体で保護されますか?

されません。GCC商標法は加盟6か国の商標法の内容をそろえる統一法で、登録は各国の官庁が国ごとに行います。オマーンの登録はオマーン国内でのみ有効で、UAE・サウジアラビア・バーレーン・クウェート・カタールでは別途出願が必要です。マドリッド議定書に加盟しているオマーン・UAE・サウジアラビア・バーレーンは1件の国際出願でまとめて指定でき、未加盟のクウェート・カタールは直接出願になります(第1章・第13章)。

Q2. マドプロでオマーンを指定する費用と、直接出願の費用はどちらが安いですか?

マドプロの個別手数料は2025年11月2日から1区分417スイスフラン(約8万円、追加区分も同額)、更新は625スイスフランです。直接出願の公費は現地事務所の報告で出願50リアル+登録証50リアル(電子割増込みで約4.1万〜4.5万円)ですが、現地代理人の費用(1区分当たり数百〜1,000米ドル超)と委任状の公証・アポスティーユ・アラビア語訳の費用が必ず加わるため、オマーン単独でもマドプロがやや安くなることが多く、複数国を同時に出願するならマドプロの優位がさらに大きくなります。アラビア語表記の商標は直接出願で補います(第5章・第9章)。

Q3. 審査では先行商標との類似も判断されますか?異議期間はどのくらいですか?

判断されます。GCC商標法第3条は識別力・公序良俗・国章・宗教的記号などの絶対的理由に加えて、先に出願・登録された商標との類似(11号)や著名商標の複製・模倣・翻訳(13号・14号)を拒絶理由としており、当局は出願から90日以内に審査します。受理された出願は公報に公告され、利害関係人は公告から60日以内に異議を申し立てられます(延長不可)。出願人は通知から60日以内に答弁し、聴聞を経て当局が90日以内に決定します。不服は当局と裁判所へそれぞれ30日以内です(第3章・第6章)。

Q4. 委任状に公証やアポスティーユは必要ですか?

必要です。GCC統一施行規則第4条は、代理人による出願に公証・認証を受けアラビア語に翻訳した委任状の原本を求めています。オマーンはアポスティーユ条約に加盟している(2012年1月30日発効)ため、日本の公証人の認証と外務省のアポスティーユで足り、オマーン大使館の領事認証は不要です。出願時に書類が揃わなくても出願日は確保でき、60日以内に提出すれば追加費用はかかりませんが、徒過すると55米ドルの罰金が発生します。2024年9月以降、異議・審判・記録・代理人変更の手続では原本の提出が改めて徹底されています(第4章)。

Q5. 存続期間と更新、不使用取消のルールを教えてください。

存続期間は出願日から10年で、最終年に更新を申請し、満了後6か月の猶予期間があります。更新は再審査なしで行われ、第三者の異議も認められませんが、失効した登録の回復はありません。2026年以降の更新では、最新のニース分類で区分が変わった品目について補正や新規出願を求める運用が始まっています。不使用取消は、5年間継続して真摯に使用されなかった場合に利害関係人が裁判所に請求でき、権利者が自己の制御の及ばない理由を証明すれば免れます。抹消された商標は3年間、第三者が同一・類似の商品について再登録できません(第7章・第8章)。

Q6. 他社に自社ブランドを先に登録されていました。どうすればよいですか?

公告中であれば60日以内に異議を申し立てます(未登録の先使用商標を根拠にする場合は、先に自社の出願を済ませる必要があります)。登録済みの場合は投資商事裁判所に無効(違法登録の抹消)を請求します。GCC商標法第7条は、先使用者が登録から5年以内に取消を請求できると定め、勅令第67/2008号第42条は登録証発行から5年以内(悪意の登録はいつでも)の無効請求を認めています。登録者が5年間争われずに使用を続けると所有権が不可争になるため、発見したら早期に現地代理人と方針を決めてください。周知商標であれば、著名商標の複製・模倣・翻訳を理由とする主張も可能です(第3章・第8章)。

Q7. 模倣品を見つけたらどうすればよいですか?

2025年10月に発足した投資商事裁判所に、証拠保全・差押え・侵害停止の予防措置を申し立てます(裁判所は10日以内に決定、緊急時は一方的命令可、命令から20日以内に本案提起)。本案では侵害者の利益を含む損害賠償、侵害品と製造道具の廃棄、関与者の情報開示を請求でき、勅令第67/2008号は侵害行為1件につき1万リアルを上限とする法定賠償も認めています。刑事では偽造が1か月〜3年の拘禁と5,000〜100万サウジリヤル相当の罰金、販売が1か月〜1年と1,000〜10万リヤル相当で、検察は職権で訴追できます。輸入段階では税関への申立て(7日以内に決定、1年有効)と2026年の税関録記制度を使い、留置の通知から10営業日以内に提訴します。正規品の並行輸入は税関措置の対象外です(第11章・第12章)。

まとめ

オマーンの商標制度は、2017年に採択したGCC商標法と統一施行規則を軸に、2008年の産業財産権法が補充する二層構造です。審査は絶対的理由と相対的理由の両方に及び、公告から60日の異議、出願日から10年の存続期間、5年の不使用取消、登録後5年の不可争という枠組みはGCC共通で、2025年11月のマドプロ個別手数料の引下げ(417スイスフラン)、2025年10月の投資商事裁判所の発足(90日以内の判決)、2026年の税関録記制度の導入と、外国企業にとって使いやすい方向に整備が進んでいます。

他方、1出願1区分の運用、公証・アポスティーユ・アラビア語訳付きの委任状原本、外国語商標のアラビア語音訳といった書類面の負担、公式料金表が確認しにくく現地事務所の報告値に頼らざるを得ない費用面の不透明さ、GCC商標法と勅令第67/2008号のどちらが適用されるかが条文ごとに異なる点、酒類・豚肉製品や宗教的記号など湾岸特有の制約が、この制度の難しさです。日本企業としては、GCC6か国を一体のポートフォリオとして設計し、マドプロで主要国をまとめて指定しつつアラビア語表記は現地で直接出願し、包括委任状と60日の書類期限、各種の30〜90日の応答期限を厳格に管理し、使用証拠とライセンス記録、税関録記までを一連の運用として組み立てることが重要です。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

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出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。GCC商標法の条文番号は日本特許庁の日本語訳(サウジアラビア勅令M/51号版)、統一施行規則の条文番号はWIPO Lex掲載の英訳(サウジアラビア版SA117)に基づき、オマーンの勅令第33/2017号に添付された法文と同一のものとして引用しています。

法令・施行規則・大臣決定(WIPO Lex・日本特許庁・Qanoon.om)

  1. 日本特許庁「湾岸協力会議(GCC)商標法」(日本語訳PDF、勅令M/27号・M/51号公布版)/第1条・第2条定義(音・匂い)、第3条拒絶理由15項目、第4条著名商標、第5条出願人、第7条不可争と先使用者、第9条区分、第10条同時出願、第11条優先権、第12条審査90日・応答90日、第13条不服60日、第14条公告・異議60日・答弁60日、第15条聴聞・不服30日、第16条・第17条登録と効力、第18条・第19条、第20条存続期間・更新・猶予、第21条博覧会、第22条〜第26条抹消・不使用5年・再登録3年、第27条・第28条譲渡、第29条〜第33条ライセンス、第34条〜第37条団体・証明商標、第38条・第39条国境措置、第40条予防措置、第41条損害賠償、第42条〜第44条罰則、第45条〜第52条の根拠。
    https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/gcc-shouhyou.pdf
  2. WIPO Lex「Executive Regulation of the Trademark Law of the Cooperation Council for the Arab States of the Gulf」(SA117、アラビア語・英語対訳PDF、GCC商業協力委員会第51回会合承認、2015年5月21日)/第2条代理人・1出願1区分、第3条願書、第4条添付書類(委任状の公証・認証・アラビア語訳、事業証明、アラビア語音訳、音・匂いの商標)、第6条優先権書類3か月、第7条審査90日、第8条応答90日、第9条・第10条異議委員会、第11条公告料30日、第13条〜第16条異議手続と確定、第17条登録料30日、第18条変更、第19条更新、第20条〜第23条博覧会、第24条〜第29条譲渡・質権・差押え、第30条〜第34条ライセンスの根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/23861
  3. WIPO Lex「Royal Decree No. 33/2017 on Approval of the Trademarks Law of the Cooperation Council for the Arab States of the Gulf」(英訳)/勅令第33/2017号がGCC商標法を添付法として適用すると定めること、産業財産権法(勅令第67/2008号)とGCC最高評議会第33回会合(2012年12月)の決定に言及することの根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/text/590780
  4. WIPO Lex「Royal Decree No. 33/2017」(書誌、OM034)/勅令の書誌情報の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/19900
  5. Qanoon.om「مرسوم سلطاني رقم ٣٣ / ٢٠١٧ إصدار قانون (نظام) العلامات التجارية لدول مجلس التعاون」(勅令第33/2017号のアラビア語原文と添付法)/2017年7月25日発令、官報第1204号(2017年7月30日)掲載の根拠。
    https://qanoon.om/p/2017/rd2017033/
  6. WIPO Lex「Law on Industrial Property Rights (promulgated by the Royal Decree No. 67/2008)」(英訳本文)/第36条商標の要件・周知商標・先使用者の異議要件・再登録3年、第37条出願・優先権、第38条審査・異議90日(旧規定)・拒絶への反論60日、第39条効力と国内消尽、第40条大臣による消尽宣言、第41条存続期間・猶予・回復なし、第42条無効5年・不使用3年(旧規定)、第43条〜第46条団体・証明商標・ライセンスの品質管理、第47条商号、第67条侵害と周知商標、第72条時効5年、第73条仮処分、第74条〜第78条証拠・損害賠償(法定1万リアル)・廃棄・情報開示、第79条〜第92条国境措置、第93条刑事罰、第94条職権訴追・記録の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/text/497180
  7. WIPO Lex「Law on Industrial Property Rights (Royal Decree No. 67/2008)」(書誌、OM018)/2008年5月17日公布、関連法令(大臣決定第105/2008号、第51/2010号)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/11876
  8. WIPO Lex「Regulation No. 105/2008 under the Law on Industrial Property Rights」(英訳PDF)/旧施行規則における国際登録の公告・異議・暫定拒絶の手続の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/5845
  9. Qanoon.om「قرار وزاري رقم ٥١ / ٢٠١٠ بتحديد رسوم خدمات حقوق الملكية الصناعية」(大臣決定第51/2010号)/産業財産権の手数料を定める決定(2010年4月28日)の存在の根拠(料金表PDFは閲覧不可)。
    https://qanoon.om/p/2010/moci20100051/
  10. Qanoon.om「قرار وزاري رقم ٢٠٦ / ٢٠١٨」(大臣決定第206/2018号、学生・研究者・小規模企業向け手数料)/軽減料金の制度の根拠。
    https://qanoon.om/?p=7577
  11. Qanoon.om「قرار وزاري رقم ٢٩٢ / ٢٠٢٣ بإلغاء بعض رسوم الخدمات」(大臣決定第292/2023号)/2023年4月19日発令、官報第1494号(2023年5月21日)掲載、翌日施行、附属書に「出願受理の公告」手数料の廃止が含まれることの根拠。
    https://qanoon.om/?p=28695
  12. Qanoon.om「قرار وزاري رقم ١٠٥ / ٢٠٠٨ بإصدار اللائحة التنفيذية」(大臣決定第105/2008号)/旧施行規則の書誌の根拠。
    https://qanoon.om/p/2008/moci20080105/

マドリッド制度・条約・統計(WIPO・WTO)

  1. WIPO「Information Notice No. 23/2025: Change in the Amounts of the Individual Fee: Oman」(2025年10月2日)/2025年11月2日からの個別手数料417/625スイスフラン(団体・証明商標1,042/1,250)、改定前484/727の根拠。
    https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/information-notices-en-2025-madrid_2025_23_e.pdf
  2. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/オマーンの現行個別手数料の根拠。
    https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/fees/ind_taxes
  3. WIPO Lex「Madrid Protocol – Contracting Parties」/オマーンの加入(2007年7月16日)と発効(2007年10月16日)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=8
  4. WIPO Lex「Paris Convention – Contracting Parties」/パリ条約への加入(1999年7月14日発効)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=2
  5. WIPO Lex「Trademark Law Treaty – Contracting Parties」/商標法条約への加入(2007年10月16日発効)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=5
  6. WIPO Lex「Patent Cooperation Treaty – Contracting Parties」/PCTへの加入(2001年10月26日発効)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=6
  7. WIPO Lex「Hague Agreement – Contracting Parties」/ハーグ協定への加入(2009年3月4日発効)の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=9
  8. WTO「Oman and the WTO」/WTO加盟(2000年11月9日)の根拠。
    https://www.wto.org/english/thewto_e/countries_e/oman_e.htm
  9. WIPO「Intellectual property statistical country profile 2024: Oman」/区分数ベースの出願16,293件(居住者7,689・非居住者8,604)、出所別シェア、登録12,693件、有効登録78,511件、登録までの平均120日、審査官1人当たり件数、マドプロ出願3件の根拠。
    https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/om.pdf

オマーン当局の発表・現地報道

  1. Times of Oman「Applications for trademark registration in Oman up by 11% in 2023」(オマーン通信、2024年8月)/2023年の申請13,043件(2022年11,742件)、2024年上半期の登録6,109件、Oman Businessプラットフォーム経由の根拠。
    https://timesofoman.com/article/148487-applications-for-trademark-registration-in-oman-up-by-11-in-2023
  2. Times of Oman「Commerce Ministry highlights trademark compliance rules」(2026年10月)/MoCIIP国家知的財産庁による国旗・国章・地名・史跡の扱いの説明、GCC商標法と勅令第67/2008号に基づく登録、60日の異議期間、10年の保護の根拠。
    https://timesofoman.com/article/177919-commerce-ministry-highlights-trademark-compliance-rules-to-protect-ip-rights-boost-fair-competition
  3. Times of Oman「Ministerial decision issued to cancel fees for 20 government services」(2023年5月21日)/大臣決定第292/2023号で廃止された20サービスの一覧の根拠。
    https://timesofoman.com/article/131112-ministerial-decision-issued-to-cancel-fees-for-20-government-services
  4. Asia IP「Oman enforces new submission requirements for trademark filings」(2024年11月)/2024年9月の委任状原本提出の通知、施行規則第4条・第24条・第31条、60日の後出しと55米ドルの罰金、アポスティーユの要件の根拠。
    https://asiaiplaw.com/index.php/article/oman-enforces-new-submission-requirements-for-trademark-filings
  5. AIPPI「Investment and Trade Court Commences Operations」/勅令第35/2025号による投資商事裁判所の2025年10月1日発足、知財紛争の専属管轄の根拠。
    https://www.aippi.org/news/investment-and-trade-court-commences-operations/
  6. Oman Observer「Oman's new investment court to resolve disputes within 90 days」/同法第28条の90日以内の判決と45日の延長、各州への第一審部・控訴部の設置計画の根拠。
    https://www.omanobserver.om/article/1182939/business/economy/omans-new-investment-court-to-resolve-disputes-within-90-days
  7. One World IP「Oman Launches Customs Recordal System to Enhance Intellectual Property Border Protection」(2026年)/税関録記制度の内容(対象入口、有効期間1年、必要書類)の根拠。
    https://oneworldip.com/oman-launches-customs-recordal-system-to-enhance-intellectual-property-border-protection/
  8. FICPI「Cancellation of some official IP fees in Oman」(AGIP)/大臣決定第292/2023号の2023年5月30日施行と廃止されたIPサービスの根拠。
    https://ficpi.org/industry-news/cancellation-some-official-ip-fees-oman

日本の公的機関の資料

  1. JETRO「中東・北アフリカ知的財産ニュースレター」2017年12月号/オマーンのGCC商標法導入(2017年7月31日、勅令第33号、官報7月30日)、GCC商標法の概要(単一登録制度ではないこと、音・匂い・色彩、審査90日、異議60日、10年、不使用5年、周知商標、刑事罰)の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/middle_east/ME_IP_Newsletter_201712.pdf
  2. JETRO「中東・北アフリカ知的財産ニュースレター」2021年5月号/通達第1447/2021号による電子出願の開始(2021年3月7日)と紙出願の廃止(3月11日)、電子手続の20%割増、リスボン協定ジュネーブ改正協定への加入(2021年6月30日発効)の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/middle_east/ME_IP_Newsletter_202105.pdf
  3. JETRO「中東・北アフリカ知的財産ニュースレター」2024年12月号/委任状原本の提出要件、60日の後出しと55ドルの罰金、アポスティーユ、国家知的財産戦略(2024年11月)と国家知的財産庁長官の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/middle_east/ME_IP_Newsletter_202412.pdf
  4. JETRO「中東・北アフリカ知的財産ニュースレター」2026年8月号/税関録記制度(Bayanプラットフォーム、居住許可の要件)の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/middle_east/ME_IP_Newsletter_202608.pdf
  5. JETRO「商標法案に含まれるライセンス条項」(ドバイ事務所、2015年2月)/GCC各国でライセンス記録の要否・効果が一致していないことの根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/middle_east/business/pdf/business_201502.pdf
  6. JETRO「GCC諸国、トルコ、エジプトおよびモロッコにおける並行輸入知財制度調査」(2020年3月)/第IV部オマーン(主要港、商業代理店法の自由化、貿易統計)の根拠。
    https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/middle_east/ip/pdf/MENA_parallel_import_report202003.pdf
  7. 外務省「オマーン国 基礎データ」/面積・人口・言語、GDP・1人当たりGDP(2025年、IMF)、為替レート(1米ドル=0.3845リアル)、対日貿易額と品目(2024年)、外交関係樹立50周年の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/oman/data.html
  8. 外務省「海外在留邦人数調査統計」(令和7年10月1日現在)/オマーンの在留邦人97人の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html
  9. 外務省「日・オマーン投資協定」(概要資料)/進出日系企業13社・在留邦人143人(2014年10月)の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000138329.pdf

現地実務の解説・為替

  1. BSA Law「How to Register a Trademark in the Sultanate of Oman」/勅令第67/2008号と大臣決定第105/2008号、GCC商標法との関係、絶対的・相対的理由の審査、1出願1区分、必要書類、公的手数料(出願50・公告100・新聞40・登録証50リアル)、酒類・豚肉製品の扱い、国際登録の公告と現地証明書、税関の根拠。
    https://bsalaw.com/insight/how-to-register-a-trademark-in-the-sultanate-of-oman/
  2. Country Index(SMD Group)「Oman」(AGIP提供の商標年鑑)/2026年の更新時の区分見直し、投資商事裁判所、2024年9月の委任状通知、大臣決定第292/2023号、電子出願と20%割増、ニース第11版、GCC商標法の2019年12月10日の効力の記載、大臣決定第124/2016号(商号)、先使用者の異議要件の運用、個人名義の登録、60日の後出し、アポスティーユ条約(勅令第47/2009号、2012年1月30日)、2010年の手数料改定の根拠。
    https://www.country-index.com/country_surveys.aspx?ID=97
  3. Curtis「Oman Becomes Fourth GCC Member State to Implement the Unified GCC Trademarks Law」(2017年10月)/勅令第33/2017号(2017年7月25日)、GCC商標法の経緯(1987年承認、2006年・2013年改正、2015年12月の施行規則)、異議60日・応答60日、異議委員会、罰金のリアル換算(500〜10万リアル、100〜1万リアル)の根拠。
    https://omanlawblog.curtis.com/2017/10/oman-becomes-fourth-gcc-member-state-to.html
  4. Ladas & Parry「Oman implemented the GCC Unified Trademark Law on July 31, 2017」/2017年7月31日の発効、単一登録制度ではないこと、多区分の不採用、審査90日、異議60日、10年、不使用5年の根拠。
    https://ladas.com/?p=6818
  5. IP-Coster「Oman adopting the GCC Trademark Law」(2017年8月)/官報第1204号、受理官庁としてのオマーン商標局、6か国への個別出願の根拠。
    https://ip-coster.com/News/oman-adopting-the-gcc-trademark-law/183
  6. 欧州中央銀行「Euro foreign exchange reference rates」(2026年10月29日)/米ドルとスイスフランの円換算(1ユーロ=1.1130米ドル、175.92円、0.9222スイスフラン)と、米ドルペッグ(0.3845)による1リアル≒410円の根拠。
    https://www.ecb.europa.eu/stats/eurofxref/eurofxref-daily.xml

※本記事は2026年10月時点の法令・料金・統計に基づく一般的な解説であり、個別の案件に関する法的助言ではありません。オマーンの公的手数料は公式料金表を確認できなかったため現地事務所の報告値を掲載しており、GCC商標法と勅令第67/2008号の適用関係も条文ごとに運用が異なる場合があります。実際の出願・権利行使にあたっては、最新の情報を確認の上、弁理士および現地代理人にご相談ください。