コンテンツまでスキップ

スロバキア商標制度の実務ガイド|商標法506/2009(2025年7月改正)・産業財産権庁は先行商標を審査せず・公告後3か月の異議・3区分まで170ユーロ(電子出願120ユーロ)・Fast Trackで30営業日公告・不使用5年・バンスカー・ビストリツァ地方裁判所・EUTMとの使い分けを弁理士が徹底解説

スロバキア商標制度の実務ガイド|商標法506/2009(2025年7月改正)・産業財産権庁は先行商標を審査せず・公告後3か月の異議・3区分まで170ユーロ(電子出願120ユーロ)・Fast Trackで30営業日公告・不使用5年・バンスカー・ビストリツァ地方裁判所・EUTMとの使い分けを弁理士が徹底解説

スロバキアは人口約542万人、GDP約1,417億米ドル(2024年、IMF)、1人当たりGDP約2万6,000米ドルの中欧の内陸国で、2004年のEU・NATO加盟、2009年のユーロ導入を経て、フォルクスワーゲン、ステランティス、起亜、ジャガー・ランドローバーが乗用車を組み立てる「自動車大国」です。年間生産台数は約100万台、人口1,000人当たりの自動車生産台数は198台で世界一(2023年)を誇ります。日本との関係では、2024年の日本からの輸出は約236億円(自動車、半導体等電子部品、ポンプ)、スロバキアからの輸入は約835億円(自動車、重電機器、自動車部品)で、製造業21社を含む66社の日系企業が進出しています。自動車部品、電機、機械の分野で、スロバキアでの商標保護の相談が増えています。

スロバキアの商標制度は、商標法(Zákon č. 506/2009 Z. z. o ochranných známkach、2010年1月施行)に基づき、中部の都市バンスカー・ビストリツァにあるスロバキア産業財産権庁(Úrad priemyselného vlastníctva SR、ÚPV SR)が登録します。2019年1月のEU商標指令対応改正で、産業財産権庁は絶対的理由のみを審査し、先行商標との抵触は公告から3か月以内の異議(námietky)に委ねる制度になりました。庁費用は3区分まで170ユーロ(電子出願なら120ユーロ)で登録料はなく、Fast Trackの条件を満たせば出願から約30営業日で公告されます。存続期間は出願日から10年、不使用取消は登録から5年で、侵害訴訟はバンスカー・ビストリツァ地方裁判所が全国を専属管轄し、庁の決定に対する行政訴訟もバンスカー・ビストリツァ行政裁判所に集約されています。2025年7月1日には改正法(177/2025)が施行され、異議・取消・無効手続で勝った当事者に費用が償還される仕組みと手数料の改定が導入されました。本記事では、商標法の現行条文(Slov-Lex)、行政手数料法、民事訴訟法、行政裁判手続法、刑法、税関執行法、産業財産権庁の年次報告と2025年決算報告、財務管理庁の発表、最高行政裁判所の判決、WIPO、外務省のデータを一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・EUTMとの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。

この記事のポイント

  • 根拠法は商標法506/2009(2010年施行、2019年1月改正、2025年7月改正)、管轄は産業財産権庁(バンスカー・ビストリツァ)。庁は先行商標を職権で審査せず(同一商標・同一商品の場合は当事者に通知するのみ)、先行権利者は公告から3か月以内に異議(70ユーロ)を出して守る
  • 庁費用は出願170ユーロ(3区分まで、約3万円)+4区分目から1区分50ユーロで、電子出願は120ユーロに減額。登録料・登録証発行料はなし。Fast Track(電子出願・3営業日以内の納付など)なら約30営業日で公告され、2025年の登録商標の約35%が利用
  • 存続期間は出願日から10年(更新150ユーロ、満了後6か月の猶予期間は300ユーロ)。不使用取消は登録から5年、取消・無効の請求は130ユーロで庁が審理し、2024年の平均審理期間は異議約10か月・取消/無効約11か月
  • 庁の決定には30日以内の不服申立て(rozklad、100ユーロ)→バンスカー・ビストリツァ行政裁判所→最高行政裁判所。侵害訴訟はバンスカー・ビストリツァ地方裁判所の全国専属管轄(控訴はバンスカー・ビストリツァ県裁判所)。刑事は2年以下、損害25万ユーロ超で6か月〜3年、65万ユーロ超で1〜5年(刑法281条)
  • 2025年の国内出願は3,496件(前年比約5%増、4年連続増)、有効登録47,735件。スロバキアに住所・本店のない出願人は弁護士または特許代理人(patentový zástupca)の選任が必須(EEA域内に拠点があれば免除)。マドプロでスロバキアを指定する費用は個別手数料なしの補足手数料CHF 100。EUTM(850ユーロ)との使い分けが設計のポイント

目次

  1. スロバキア商標制度の全体像:商標法506/2009と産業財産権庁
  2. 年間3,500件の出願:市場環境と統計
  3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ審査・悪意は絶対的理由
  4. 出願手続の流れ:出願日・優先権・Fast Trackで30営業日公告
  5. 費用一覧(産業財産権庁の公式手数料・EUTM・マドプロ)
  6. 公告後3か月の異議:使用証明・和解期間・2025年7月からの費用償還
  7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の猶予
  8. 不使用取消と無効:登録から5年、5年の黙認
  9. 不服申立てと行政裁判:長官への不服、バンスカー・ビストリツァ行政裁判所、最高行政裁判所
  10. 侵害訴訟:バンスカー・ビストリツァ地方裁判所の専属管轄と救済
  11. 刑事罰:刑法281条と損害額の基準
  12. 税関と模倣品対策:2025年の押収34,210点
  13. マドプロ・EUTMとの使い分けと日本企業の実務ポイント
  14. よくある質問(FAQ)
  15. まとめ
  16. 出典・参考文献

1. スロバキア商標制度の全体像:商標法506/2009と産業財産権庁

スロバキアの商標制度の根拠法は、2009年商標法(Zákon č. 506/2009 Z. z. o ochranných známkach)です。1993年のチェコスロバキア連邦解消後に制定された1997年商標法(55/1997)を全面的に置き換え、2010年1月1日に施行されました(第56・57条)。その後、2016年(125/2016)、2018年(242/2017)の改正を経て、2018年改正法(291/2018、2019年1月14日施行)でEU商標指令(2015/2436)に対応し、産業財産権庁による先行商標の職権審査が廃止され、音や色などの「図で表せない商標」や、通過貨物に対する権利、不使用の抗弁などが導入されました。直近では2025年改正法(177/2025、2025年7月1日施行)により、異議・取消・無効手続での費用償還(第42a条)、10年経過後に登録された商標の自動更新(第22条3項)、WIPOの優先権書類電子交換システム(DAS)の利用(第26条5項)が加わり、同時に行政手数料法の商標関係手数料が改定されました。現行条文はスロバキアの法令ポータルSlov-Lexで「2025年7月1日施行版」として確認できます。

管轄官庁はスロバキア産業財産権庁(Úrad priemyselného vlastníctva Slovenskej republiky、略称ÚPV SR)で、首都ブラチスラバではなく中部のバンスカー・ビストリツァに置かれています。特許・実用新案・意匠・商標・原産地表示を所管し、商標の出願審査、異議、取消・無効の審理を第一審として行い、その決定に対する不服申立て(rozklad)は庁長官が判断します。庁の所在地がバンスカー・ビストリツァであることは裁判管轄にも反映されており、庁の決定を争う行政訴訟はバンスカー・ビストリツァ行政裁判所(行政裁判手続法第16条)、商標侵害訴訟はバンスカー・ビストリツァ地方裁判所(民事訴訟法第25条)が全国を一元的に管轄します。スロバキアはEU加盟国としてEU商標(EUTM)の効力が及び、マドリッド協定(1993年の独立時に承継)とマドリッド議定書(1997年9月13日発効)の両方に加盟しているため、国内出願、EUTM、マドプロの3ルートで保護できます。

項目 スロバキアの制度(根拠条文)
根拠法商標法506/2009(2010年1月1日施行)。改正法291/2018(2019年1月14日施行、EU指令対応)、177/2025(2025年7月1日施行)
管轄官庁産業財産権庁(ÚPV SR、バンスカー・ビストリツァ)。不服申立て(rozklad)は庁長官が判断(第40条)
審査の範囲絶対的理由(第5条)のみ職権審査(第28条)。同一商標・同一商品の先行商標があれば当事者に通知するだけで拒絶しない(第28条3項)。相対的理由(第7条)は異議(第30条)または無効請求(第35条3項)で主張
異議期間公報(Vestník ÚPV SR)での公告から3か月(第30条1項)。期間経過後の理由追加・証拠提出は考慮されない
存続期間出願日から10年、10年ごとに更新(第22条)。更新請求は最終年に、満了後6か月の猶予あり
使用義務登録から5年(第7c条)。不使用取消(第34条1項a)、異議・無効・侵害訴訟での使用証明要求(第32条、第37a条、第14a条)
裁判管轄侵害訴訟:バンスカー・ビストリツァ地方裁判所(民事訴訟法第25条、全国管轄)→バンスカー・ビストリツァ県裁判所→最高裁判所。行政訴訟:バンスカー・ビストリツァ行政裁判所(行政裁判手続法第16条)→最高行政裁判所
代理人スロバキアに住所・本店のない者は弁護士(advokát)または特許代理人(patentový zástupca)による代理が必須(第51条2項)。EEA加盟国の国民・企業は免除(同3項)。手続言語はスロバキア語(同10項)
国際条約パリ条約、TRIPS、マドリッド協定・議定書(議定書は1997年9月13日発効、拒絶通報期間18か月を宣言)、EU商標規則(2004年5月のEU加盟以降)

2. 年間3,500件の出願:市場環境と統計

産業財産権庁の2025年決算報告(2026年4月)によると、2025年の国内商標出願は3,496件で、前年比約5%増、4年連続の増加です。2025年12月31日時点で庁の登録簿に有効な登録商標は47,735件あります。出願人の内訳は国内出願人2,999件、外国出願人497件で、外国出願人の国別ではチェコ319件が突出し、中国24件、ドイツ19件、米国19件、ポーランドとキプロスが各17件と続きます。チェコからの出願が多いのは、言語が近く、チェコ企業がスロバキアを一体の市場として扱うためで、日本企業がスロバキアで商標を調べる際は、チェコ語・スロバキア語の近似語にも注意が必要です。2024年の年次報告では、2024年の出願は3,337件(前年比22%増)、国内登録2,484件、マドプロでスロバキアを指定した国際登録は778件(2023年の880件から13%減)、庁を経由してWIPOへ送付した国際出願は60件でした。

指標 2023年 2024年 2025年
国内商標出願(件)2,7243,337(国内2,831・外国506)3,496(国内2,999・外国497)
国内登録(件)2,0482,484(国内2,074・外国410)未公表(有効登録47,735件)
マドプロでのスロバキア指定(件)880778未公表
スロバキアからのEUTM出願(件)7781,067(37%増)未公表
Fast Track利用率—公告された出願の35%登録商標の約35%
異議・取消/無効の平均審理期間—異議約10か月、取消・無効約11か月未公表

WIPOの2024年国別統計プロファイルでは、スロバキアの商標出願の区分数ベースの件数は15,581(前年比20.2%増、世界56位)で、うち国内居住者が13,701、外国からが1,880です。有効登録は47,493件(世界82位)で、人口542万人の国としては活発な市場といえます。注目すべきはEUTM出願の急増で、スロバキア企業によるEUTM出願は2023年の778件から2024年には1,067件へ37%増えました。スロバキア国内の競合企業がEU全域の権利を取りに動いている以上、日本企業もスロバキアだけでなくEU全体での先行商標調査を怠れません。日本から見ると、2024年10月時点で66社の日系企業が進出し、323人の邦人が在留する市場で、自動車・電機部品のサプライヤーが中心です。製造拠点として使う場合も、製品名や企業ブランドを現地で守る必要があり、特にチェコ・ハンガリー・ポーランドとの一体運用を前提にEUTMと国内出願を組み合わせる設計が合理的です。

3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ審査・悪意は絶対的理由

商標法第2条は、商標となり得る標章を「あらゆる標章、特に個人名を含む語、図形、文字、数字、色彩、商品または包装の形状、音」と定め、(a)他人の商品・役務と識別できること、(b)産業財産権庁の登録簿において、当局と公衆が保護の対象を明確かつ正確に特定できる方法で表現できること、の2要件を課しています。2019年改正で「図で表せること(grafické znázornenie)」の要件が廃止され、音声ファイルなどで表現する音商標や色彩商標が明示的に認められました。絶対的拒絶理由(第5条1項)は、商標となり得ない標章(a)、識別力の欠如(b)、種類・品質・数量・用途・価値・原産地・製造時期などの記述的表示のみからなる標章(c)、日常語や取引慣行で慣用化した標章(d)、商品の性質に由来する形状・技術的効果を得るために必要な形状・商品に本質的価値を与える形状(e)、公序良俗違反(f)、性質・品質・原産地について公衆を欺くおそれ(g)、パリ条約6条の3で保護される国章などの無断使用(h)、原産地表示・地理的表示・伝統的名称などとの抵触(i)、宗教的シンボルなど象徴的価値の高い標章(j)、公益に関わる紋章・記章の無断使用(k)、明らかに善意で出願されていないもの(l)、先行する植物品種名の再現(m)の13項目です。(b)〜(d)は出願日前の使用による識別力の獲得を証明すれば登録されます(第5条2項)。

悪意(zlá viera)は絶対的理由に位置付けられているため、産業財産権庁は職権で審査でき、誰でも登録前に意見書(pripomienky、第29条)で指摘できます。ただし条文は「明らかに(zjavne)善意でない出願」と限定しているため、職権での適用は明白な場合に限られ、実務では先行使用者が異議(第7条j)または無効請求(第35条3項)で「善意で出願されていないことにより権利を害される者」として主張するのが通常です。

相対的拒絶理由(第7条)は、異議が出された場合にのみ判断されます。異議を申し立てられるのは、(a)同一または混同のおそれのある先行商標の所有者、(b)スロバキアで(EUTMならEUで)名声を有する先行商標の所有者、(c)(d)スロバキアで周知となった周知商標の使用者、(e)パリ条約・WTO加盟国で保護される商標の所有者(無断で代理店・代表者が出願した場合)、(f)出願日前から使用され、地域的範囲を超える未登録標章・商業上の表示の使用者、(g)人格権を害される自然人、(h)先行する産業財産権の所有者、(i)著作権者、(j)善意でない出願により権利を害される者、です。「先行商標」(第4条)には、スロバキア登録商標とその出願、スロバキアで効力を有する国際登録、EUTMとその出願(シニオリティを含む)が含まれます。

庁は先行商標を理由に拒絶しませんが、「同一商標・同一商品」の場合は通知が届きます。商標法第28条3項は、出願された標章が他人の先行商標と同一で商品・役務も同一の場合、公告前に産業財産権庁が出願人または先行商標の所有者にその事実を通知すると定めています。これは拒絶ではなく情報提供で、先行権利者はこの通知を受けて異議を準備することになります。類似にとどまる場合は通知もないため、日本企業が自社商標を守るには、公報(Vestník ÚPV SR)の監視とTMviewなどによる定期的なウォッチングが不可欠です。2026年1月22日の最高行政裁判所判決(4Shk/4/2025)は、浴室用品について英語2語からなる標章を「スロバキアの平均的消費者は基本的な英語を理解し、用途を記述する語の組合せは識別力を欠く」として拒絶した庁と行政裁判所の判断を支持しており、英語の記述的ネーミングが通らない点は日本と同様です。

4. 出願手続の流れ:出願日・優先権・Fast Trackで30営業日公告

出願は産業財産権庁に、スロバキア語で(第51条10項)、書面または電子的に行います(第24条)。出願書類には、登録を求める旨、出願人と代理人の特定、第2条(b)の要件を満たす標章の表現、商品・役務のリスト、署名が必要で、1出願1標章です。出願日(第25条)は、登録の意思、出願人を特定し連絡できる情報、標章の表現と商品・役務リストを含む書類が庁に届いた日に認められ、欠けていれば2か月以上の補完期間が与えられ、補完した日が出願日になります。商品・役務はニース分類に従い、明確かつ正確に記載する必要があり、類見出しの一般的表現は文言どおりの範囲しかカバーしません(第24a条、IP Translator基準)。パリ条約優先権は出願時に主張し、出願から3か月以内に優先権書類で証明しなければ認められません(第26条2項)。2025年7月改正で、WIPOの優先権書類電子交換システム(DAS)への登録が優先権書類の発行とみなされるようになりました(第26条5項)。出願後は商品・役務の限定と出願の分割はできますが、標章の変更(名称・住所の修正を除く)と商品・役務の拡張はできません(第27条)。

スロバキアに住所または本店のない出願人は、弁護士(advokát)または特許代理人(patentový zástupca)に代理させなければなりません(第51条2項)。EEA加盟国の国民またはEEA域内に本店・事業所を持つ者は免除されます(同3項)が、日本企業には適用されないため、日本企業の国内出願には必ずスロバキアの代理人が必要です。また当事者または代理人はEEA域内の送達先住所を庁に届け出る必要があります(同4項)。

段階 内容と期限(商標法の条文)
1. 出願と方式審査出願日の認定(第25条)。出願・分類の不備は期間を定めて補正命令、応じなければ手続終了(第28条2項)。手数料は3区分まで170ユーロ(電子出願120ユーロ)
2. 実体審査絶対的理由(第5条)のみ審査。拒絶前に出願人に意見陳述の機会を与える(第28条4項)。一部の商品・役務のみに理由があれば一部拒絶(同5項)。同一商標・同一商品の先行商標は当事者に通知(同3項)
3. 公告公報(Vestník ÚPV SR)に出願を公告(第28条6項)。Fast Trackの条件を満たせば出願から通常30営業日以内に公告
4. 意見書・異議誰でも登録まで絶対的理由の意見書を提出可(第29条、当事者にはならない)。第7条の権利者は公告から3か月以内に異議(第30条、70ユーロ)
5. 登録異議がない、または異議が却下・棄却されれば登録(第33条)。登録日から効力が生じ、登録証を発行。登録料は不要。登録を公報に掲載
6. 不服申立て決定の送達から30日以内に庁長官への不服申立て(rozklad、第40条、100ユーロ)、理由書は申立てから1か月以内→バンスカー・ビストリツァ行政裁判所への行政訴訟→最高行政裁判所への上告(kasačná sťažnosť)

Fast Track(zrýchlený postup)は2020年に導入された早期公告の仕組みで、産業財産権庁の案内によれば、(1)庁の電子サービスポータル(mef.indprop.gov.sk)の電子様式で出願すること、(2)出願人または代理人が政府ポータル(slovensko.sk)の電子私書箱を送達用に有効化していること、(3)庁から送られる出願受領確認に記載された支払情報で3営業日以内に手数料を銀行振込で納付すること、(4)商品・役務リストを庁指定のツール(ezts.sk)で作成すること、(5)優先権を主張する場合は優先権書類を出願と同時に提出すること、の条件を満たすと、審査官が短期間で審査し、識別力の欠如や公序良俗違反などの不備がなく意見書も出されなければ、通常は出願から30営業日以内に公報に公告されます。庁のウェブ登録簿で出願の「プロトコル」を開き、出願から15営業日以内に「公告指示(pokyn na zverejnenie)」が表示されていればFast Trackの条件を満たしたことが分かります。2025年の登録商標の約35%がFast Trackの条件を満たしました。その後3か月の異議期間を経るため、異議がなければ出願から5か月前後で登録されるのが目安です(通常手続の平均審査期間は庁が公表していないため、Fast Trackの30営業日と法定の3か月から推定した値です)。

5. 費用一覧(産業財産権庁の公式手数料・EUTM・マドプロ)

産業財産権庁の手数料は行政手数料法(145/1995)の料金表第XVI部(産業財産権)に定められ、2025年7月1日施行の改正法177/2025で改定されました。商標出願は3区分まで170ユーロ(改正前166ユーロ)、4区分目から1区分50ユーロ(改正前20ユーロから大幅増)、団体商標は340ユーロです。電子出願の場合は手数料が50%に減額されますが、減額幅は最大50ユーロに制限されているため(第6条2項)、通常の出願は170ユーロ→120ユーロになります。登録料・登録証発行料はありません。異議は70ユーロ(改正前50ユーロ)、取消・無効請求は130ユーロ(改正前100ユーロ)、更新は3区分まで150ユーロ(改正前133ユーロ)、猶予期間内の更新は300ユーロです。為替は1ユーロ≒175円で換算しています。

手続(料金表の項目) 手数料(2025年7月1日〜) 円換算(概算)
出願(個別商標、3区分まで)(項目229a1)170ユーロ(電子出願120ユーロ)約3万円(電子約2.1万円)
4区分目からの追加区分(229a3)1区分50ユーロ約8,800円
団体商標の出願(3区分まで)(229a2)340ユーロ約6万円
異議(230b)70ユーロ約1.2万円
取消請求・無効請求(230a)130ユーロ約2.3万円
更新(3区分まで)(231a)/追加区分(231e)150ユーロ/1区分50ユーロ約2.6万円/約8,800円
猶予期間(満了後6か月)内の更新(231c)300ユーロ約5.3万円
移転の登録(229b1)/ライセンス登録(229b2)40ユーロ/30ユーロ約7,000円/約5,300円
不服申立て(rozklad)(214c)100ユーロ約1.8万円
手続続行(215a)/原状回復(215b)/2回目以降の期間延長(215c)80ユーロ/200ユーロ/30ユーロ約1.4万円/約3.5万円/約5,300円
優先権証明書の発行(215d)/登録簿抄本(214a)20ユーロ/10ユーロ約3,500円/約1,800円
マドプロ出願の庁経由送付(232a)/国際登録の更新(232b)/事後指定(232c)130ユーロ/90ユーロ/50ユーロ約2.3万円/約1.6万円/約8,800円

比較のため、EUTMの出願料は1区分850ユーロ、2区分目50ユーロ、3区分目以降1区分150ユーロ、異議は320ユーロ(EU商標規則)で、EU27か国をカバーします。マドプロでスロバキアを指定する場合、スロバキアは個別手数料を定めていないため、基本手数料CHF 653(白黒)またはCHF 903(カラー)に加えて補足手数料CHF 100(約1.9万円、区分数にかかわらず)と、3区分を超える区分ごとにCHF 100の追加手数料を支払います(1CHF≒185円)。現地代理人の費用は事務所により異なりますが、出願から登録までの代理人費用は数百〜1,000ユーロ程度が相場で、日本の事務所の手数料と翻訳費用を含めると1件あたり15万〜25万円程度が目安です(相場感であり、出典のある数値ではありません)。スロバキア1か国だけなら国内出願が最も安く、スロバキアを含む複数のEU加盟国で使うならEUTMが有利です。

6. 公告後3か月の異議:使用証明・和解期間・2025年7月からの費用償還

出願が公報に公告されると、第7条に掲げる先行権利者(異議申立人、namietateľ)は公告から3か月以内に異議を申し立てることができます(第30条1項)。異議は理由を付し証拠を添えなければならず、3か月の期間を過ぎてからの理由の追加・拡張や証拠の提出は考慮されません。異議は同一の権利者に属する複数の先行権利を根拠にでき、商品・役務の一部または全部に対して申し立てられます(同2項)。期限内に適式に出されなかった異議は手続終了となり(第31条1項)、適式であれば庁が出願人に通知して期間を定めて答弁を求めます(同2項)。出願人が答弁しなければ記録に基づいて判断され(同3項)、理由が認められれば出願は(一部)拒絶、認められなければ異議は棄却されます(同4・5項)。異議申立人が書面で登録に同意すれば異議は取り下げたものとみなされます(同7項)。

使用証明の要求(第32条)は出願人の重要な防御手段です。先行商標が出願日(または優先日)の時点で登録から5年を経過している場合、出願人は異議の通知から2か月以内に、先行商標の出願日前5年間の真正な使用(第7c条)の証明を求めることができます。異議申立人は庁の求めから4か月以内に使用の証拠または正当な不使用理由を提出しなければならず、期限後の証拠は考慮されません。証明できなければ、その先行商標が唯一の根拠なら異議は棄却され、他の根拠があればその先行商標は考慮されません。一部の商品・役務についてのみ使用が証明された場合は、その部分についてのみ登録されているものとして扱われます。また、出願人と異議申立人が共同で申請すれば、最低2か月の和解期間(cooling-off)が与えられ、和解に至らなければ答弁期間や使用証明の期間が改めて進行します(第32a条)。

異議手続の段階 期限・内容(商標法の条文)
異議申立て公告から3か月以内(第30条1項、70ユーロ)。理由と証拠を添付、期限後の追加は不可。期間の延長・原状回復は不可(第39条4項c)
出願人への通知と答弁庁が定める期間内に答弁(第31条2項)。この期間を徒過した場合の手続続行は認められない(第38条3項)
使用証明の要求異議通知から2か月以内に出願人が請求(第32条2項)。異議申立人は4か月以内に証拠提出(同3項)
和解期間共同申請で最低2か月(第32a条)。和解不成立なら答弁・使用証明の期間が再進行
決定と費用償還庁が拒絶または異議棄却(第31条4・5項)。2025年7月1日以降に開始した手続では、勝訴当事者に費用償還(第42a条)。2024年の平均審理期間は約10か月
不服申立て送達から30日以内に庁長官へ(第40条、100ユーロ)→バンスカー・ビストリツァ行政裁判所→最高行政裁判所

2025年7月1日から、異議・取消・無効で負けた側が費用を払います。改正法177/2025で新設された第42a条により、産業財産権庁は異議手続で勝訴した当事者に、申立てがなくても敗訴当事者に対する費用償還を決定で認めます。償還額は、勝訴した異議申立人には支払った手数料(70ユーロ)の額、さらに勝訴当事者が弁護士または特許代理人に代理されていれば定額200ユーロが加算されます。一部勝訴の場合や手続終了の場合はどちらも償還を受けられません。支払期限は決定確定から15日で、執行は民事執行法によります。この仕組みは取消請求・無効請求にも準用され(同7項)、2025年6月30日より後に開始した手続に適用されます(第54c条2項)。実際に2025年10月7日の取消決定(語商標「LEGIONÁŘ」第252082号、チェコの蒸留酒メーカーの商標を不使用で取消)では、商標権者に対し、請求人へ280ユーロ(支払った手数料と代理人費用200ユーロの合計)を決定確定から15日以内に支払うよう命じています。金額は小さいものの、根拠の薄い異議や取消請求に対する抑止として機能し始めています。

7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の猶予

登録の条件を満たし、手続が終了しておらず、3か月以内に異議がないか、異議が確定的に却下・棄却されれば、産業財産権庁は標章を登録簿に登録します(第33条1項)。登録の効力は登録簿への登録日に生じ、この日に出願人は商標所有者となり、庁は登録証を発行します(同2項)。登録は公報に掲載されます(同3項)。登録料や登録証発行料は不要です。商標権者は®記号を商標と共に使用できます(第8条1項)。損害賠償などの金銭的請求は公告後の侵害行為についても認められますが、行使できるのは登録の効力発生日以降です(第8a条3項)。

存続期間は出願日から10年で、商標権者、質権者または法的利益を証明した者の請求により10年ずつ更新されます(第22条1・2項)。更新請求は存続期間の最終年に入ってから提出でき、満了日までに提出されなければ請求はなかったものとみなされますが、満了日の翌日から6か月の追加期間内であれば更新請求が可能です(同4・5項、猶予期間内の手数料は300ユーロ)。商品・役務の一部についてのみ更新を請求することもできます(同6項)。庁は満了の遅くとも6か月前に商標権者に通知しますが、この通知は法的拘束力がなく、通知がなくても庁は責任を負いません(同7項)。2025年7月改正で、審査や異議が長引いて出願から10年を過ぎてから登録された商標は、請求なしに庁が更新し、書面の求めに応じて更新手数料を支払う仕組みが加わりました(同3項)。商標は、更新請求がなく存続期間が満了した日、放棄が効力を生じた日、または取消が効力を生じた日に消滅します(第23条)。

8. 不使用取消と無効:登録から5年、5年の黙認

使用義務(第7c条)は、登録日から5年以内に登録商品・役務について真正な使用を開始しない場合、または使用が継続して5年間中断した場合に、正当な理由がない限り、不使用取消(第34条1項a)、異議・無効請求での使用証明要求(第32条、第37a条)、侵害訴訟での不使用の抗弁(第14a条)の対象になると定めます。登録された形と識別力を変えない範囲で異なる形での使用や、輸出専用に国内で商品に付す使用も使用に含まれ、権利者の同意を得た第三者の使用も権利者の使用とみなされます。国際登録については、スロバキアについて保護が付与された日が登録日とみなされます(同5項)。

取消(zrušenie、第34条)は第三者の請求により産業財産権庁が行い、(a)スロバキア国内で継続して5年以上真正に使用されていない場合(権利者が使用を証明するか正当な理由を示さない限り不使用と推定)、(b)権利者の作為・不作為により普通名称化した場合、(c)使用の方法により性質・品質・原産地について公衆を欺くおそれがある場合に認められます。5年経過後に請求前に使用を開始・再開すれば取消を免れますが、請求の3か月前以降に始めた使用は、請求される可能性を知ってから準備した場合には考慮されません。このほか、人格権侵害、商号の信用毀損、著作権侵害、不正競争を認めた確定判決に基づく取消もあり、判決確定から6か月以内に請求します(同2・3項)。取消の効力は請求日から(請求により理由発生日まで遡及)生じます(同5項)。

無効(vyhlásenie za neplatnú、第35条)は、登録時の法令に照らして登録要件を欠いていた場合に、第三者の請求または庁の職権で宣言され(1項)、第7条の相対的理由についても先行権利者の請求により宣言されます(3項)。識別力の欠如・記述性・慣用性を理由とする無効は、登録後の使用により識別力を獲得していれば認められません(2項)。無効とされた商標は初めから登録されなかったものとみなされます(5項)。5年の黙認(第35a条)により、先行商標の所有者などが後の商標の使用を知りながら連続5年間黙認した場合、その使用に係る商品・役務について無効を請求できなくなります(後の出願が悪意の場合を除く)。無効請求でも、先行商標が請求日時点で登録から5年を経過していれば、請求人は後の商標の所有者の求めに応じて2か月以内の求め・4か月以内の証拠提出という同じ枠組みで使用を証明しなければなりません(第37a条)。取消・無効の請求は理由と証拠を添えて行い、後から理由を追加することはできず(第37条1項)、手数料は130ユーロ、2024年の平均審理期間は約11か月です。2025年7月からは第42a条の費用償還が準用されます。

9. 不服申立てと行政裁判:長官への不服、バンスカー・ビストリツァ行政裁判所、最高行政裁判所

産業財産権庁の決定(拒絶、異議、取消・無効など)に対しては、決定の送達から30日以内に不服申立て(rozklad)ができ、適時の申立てには執行停止の効力があります(第40条1項)。不服申立ての理由書は申立てから1か月以内に提出しなければならず、提出がなければ手続は終了します(同3項)。不服申立ての手数料は100ユーロで、庁長官が判断します。不服申立ての期間は延長や原状回復の対象になりません(第39条4項d)。庁の手続には一般行政手続法(71/1967)が一部を除いて適用され(第51条5項)、期間の延長(第38条1項)、期限徒過から2か月以内の手続続行(同2項、80ユーロ)、相当の注意を払っても期限を守れなかった場合の原状回復(第39条、障害消滅から2か月以内かつ期限徒過から12か月以内、200ユーロ)が用意されていますが、異議期間や答弁期間など重要な期限は原状回復の対象外です。

長官の決定に対する行政訴訟は、2023年6月の裁判所制度改革で新設されたバンスカー・ビストリツァ行政裁判所(Správny súd v Banskej Bystrici)が、産業財産権分野の行政訴訟について全国を管轄します(行政裁判手続法第16条)。その判決に対しては最高行政裁判所(Najvyšší správny súd SR)への上告(kasačná sťažnosť、同第11条h)が可能です。2026年1月22日の最高行政裁判所判決(4Shk/4/2025)は、衛生用品の供給業者が浴室用品について出願した英語2語の標章を識別力なしとした庁の拒絶決定を争った事件で、裁判所は「平均的なスロバキアの消費者の英語力は基本的な水準に達しており、基礎語彙の組合せで用途(浴槽・浴室向け製品)を示す語は記述的で識別力を欠く」とした行政裁判所の判断を支持し、使用による識別力の獲得も証明されていないとして上告を棄却しました。識別力は視覚・称呼・観念など複数の観点から平均的消費者の印象に基づいて判断されるという基準を示した点で、英語ネーミングを多用する日本企業には参考になる判決です。

10. 侵害訴訟:バンスカー・ビストリツァ地方裁判所の専属管轄と救済

商標権者は登録商品・役務について商標を使用する排他的権利を持ち(第8条1項)、第三者は権利者の同意なく、同一商品についての同一標章、混同(連想を含む)のおそれのある類似標章、スロバキアで名声を有する商標の識別力や名声を不当に利用し又は害する標章を、取引において使用できません(同2項)。使用には、商品・包装への付着、販売の申出・流通・保管、輸入・輸出、取引書類や広告での使用、商号・法人名としての使用、違法な比較広告での使用が含まれます(同3項)。2019年改正で、第三国から来た偽造品が自由流通に置かれない通過貨物であっても差し止める権利(同4項、最終仕向国で販売を禁止できないことを申告者が証明した場合を除く)、包装・ラベル・真正性表示などの準備行為を禁止する権利(同7項)、辞書・事典での普通名称的な掲載に対する是正請求権(同5項)が加わりました。

救済(第8a条)は、侵害・そのおそれの差止めと結果の除去、逸失利益を含む損害賠償、金銭による精神的損害の賠償(相当な満足)、不当利得の返還です。損害賠償と精神的損害の請求権は、損害と責任者を知った日から3年、遅くとも侵害行為から5年(故意の場合は10年)で時効にかかります(同4・5項)。侵害品の出所と流通経路に関する情報開示請求権(第11条)は、侵害品の所持者、侵害サービスの利用者・提供者、それらに関与したと名指しされた者に及びます。裁判所は権利者の請求により、侵害品・材料・道具の流通からの回収、確定的な除去、廃棄を命じ(第12条2項)、その費用は原則として侵害者が負担します(同3項)。偽造品から標章を単に剥がすだけでは侵害を防ぐ措置と認められません。仮処分(neodkladné opatrenie)では、裁判所が申立人に相当額の担保提供を命じることができ、担保は確定した損害賠償の弁済に充てられ、6か月以内に損害賠償請求がなければ返還されます(第13条)。被告は、登録から5年を経過した商標による訴訟において、提訴前5年間の真正な使用の証明を求めることができ(不使用の抗弁、第14a条)、自己の氏名・住所、記述的表示、用途を示すための商標の使用(部品・付属品など)は侵害になりません(第14条)。

審級 裁判所(根拠条文)
第一審(民事:侵害訴訟)バンスカー・ビストリツァ地方裁判所(Okresný súd Banská Bystrica)。産業財産権紛争について全国を管轄(民事訴訟法第25条1項)。不正競争・著作権の性質を併せ持つ事件も同裁判所(同2項)
控訴審バンスカー・ビストリツァ県裁判所(Krajský súd v Banskej Bystrici)(民事訴訟法第34条1項:第一審裁判所の所在地を管轄する県裁判所)
上告審最高裁判所(Najvyšší súd SR)(民事訴訟法第35条)
行政訴訟(庁の決定)バンスカー・ビストリツァ行政裁判所(行政裁判手続法第16条)→最高行政裁判所(同第11条h)
不正競争のみの事件ブラチスラバ第III市裁判所・バンスカー・ビストリツァ地方裁判所・コシツェ市裁判所が地域ごとに管轄(民事訴訟法第26条)

スロバキアでは2016年7月施行の民事訴訟法(Civilný sporový poriadok、160/2015)で産業財産権紛争の第一審がバンスカー・ビストリツァ地方裁判所に一元化されており、2023年6月の裁判所制度改革後もこの原因的管轄は維持されています。EU商標の侵害事件についても、EU商標規則上の「EU商標裁判所」としてスロバキアが指定した裁判所が扱いますが、商標法自体にはその指定条文がないため、本記事ではEU商標裁判所の特定を控えます(実務上は国内商標と同じ裁判所に提訴するのが通例です)。

11. 刑事罰:刑法281条と損害額の基準

刑法(Trestný zákon、300/2005)第281条「商標、原産地表示および商号に係る権利の侵害」は、他人に使用権が属する商標と同一または混同を生じる標章を無断で付した商品を流通させ、または役務を提供した者を2年以下の拘禁刑に処します(1項)。経済的利益を得る目的で登録原産地表示・地理的表示と混同を生じる表示を付した商品を流通させた者、他人の商号・法人名と混同を生じる表示を無断で使用した者も同じです(2項)。多額の損害(značná škoda、25万ユーロ超)を生じさせた場合、特別な動機による場合、またはより重大な態様で行った場合は6か月以上3年以下(3項)、大規模な損害(škoda veľkého rozsahu、65万ユーロ超)を生じさせた場合または危険な集団の構成員として行った場合は1年以上5年以下の拘禁刑です(4項)。損害額の区分は刑法第125条が定め、小さな損害は700ユーロ超、より大きな損害は2万ユーロ超、多額の損害は25万ユーロ超、大規模な損害は65万ユーロ超で、これらの基準は利益・物の価値・行為の規模の判定にも用いられます。本記事は2026年8月18日施行の現行版に基づいています。刑事手続は損害額の大きい組織的な偽造品事件に向いた手段です。日本企業の実務では、まず税関と民事の仮処分で止め、大規模・反復的な事案で刑事告訴を併用するのが現実的です。

12. 税関と模倣品対策:2025年の押収34,210点

スロバキアの税関当局は財務管理庁(Finančná správa SR)で、EU税関規則(608/2013)に基づく税関監視下の貨物への措置に加え、税関執行法(486/2013、2014年1月施行)により国内市場に流通している商品に対しても措置をとれるのがスロバキアの特徴です。権利者は、税関監視下の貨物についてはEU規則の様式(実施規則1352/2013附属書I)で、国内市場の商品については財務省告示490/2013の様式で、財務総局(Finančné riaditeľstvo SR)に措置申請(žiadosť o prijatie opatrenia)を提出します。申請はスロバキア語で2部、外国語の書類には公証翻訳を添え、電子提出の場合は3営業日以内に書面を補完する必要があります。申請手数料は無料で、財務総局は30営業日以内に承認・却下を通知します。税関監視下の措置期間は最長1年で延長可能、国内市場の措置は決定から2年で、権利者の請求により2年ずつ繰り返し延長できます。

違反に対する行政制裁(税関執行法第31条)は、法人・事業者について3,000〜67,000ユーロの罰金、反復または大規模な違反は5,000〜100,000ユーロ、大規模な違反の反復は5,000〜135,000ユーロで、商品の没収も命じられます(反復とは前の制裁決定の確定から2年以内の違反)。財務管理庁の発表(2026年7月3日)によると、2025年に税関が押収した模倣品は34,210点で、90%超が税関監督下で廃棄されました。最も多いのは衣類・繊維製品・靴で、次いでバッグ・ファッション小物、玩具、スポーツ用品、化粧品、宝飾品、時計です。個別事案では、産業財産権庁の専門誌「Duševné vlastníctvo」2025年第1号が伝えるところによれば、ニトラ税関の機動部隊が道路検問で有名ブランドの偽造スポーツソックス46,800足を押収し、権利者の損害見積りは14万ユーロ超でした。税関は郵便・宅配拠点のほか、実店舗・倉庫・市場も検査し、権利者との協力とリスク分析で疑わしい貨物を特定しているため、日本企業は措置申請で真贋判別の情報を税関に提供しておくことが模倣品対策の第一歩になります。

スロバキアは中欧の物流回廊です。2026年4月にはコシツェ税関がミルホスチ付近の高速道路R4で、ブカレストからワルシャワへ向かうポーランドナンバーのバンから、Gucci・Louis Vuitton・Nikeなどを模した3,000点超の偽造バッグ・靴・衣類を押収するなど、スロバキアを通過する偽造品も少なくありません。商標法第8条4項により、通過貨物であっても商標権者は差止めを求められるため、EU全域の税関措置申請(EU申請)にスロバキアを含めておくことをおすすめします。

13. マドプロ・EUTMとの使い分けと日本企業の実務ポイント

スロバキアはマドリッド協定(チェコスロバキアからの承継、1993年1月1日)とマドリッド議定書(1997年9月13日発効)の両方の加盟国で、議定書に基づき拒絶通報期間を18か月とする宣言をしています。マドプロでスロバキアを指定する場合、スロバキアは個別手数料を設定していないため、補足手数料CHF 100のみで済み、EU域内では最も安い指定国の一つです。産業財産権庁は国際登録の保護付与または暫定拒絶を5か月以内に行っており(2024年年次報告)、2024年には778件の国際登録がスロバキアを指定しました。国際登録の使用義務は、スロバキアについて保護が付与された日から起算されます(第7c条5項)。一方、EUTMは1件(1区分850ユーロ)でスロバキアを含むEU27か国をカバーし、EUTMとその出願はスロバキアでの異議・無効の根拠となる「先行商標」になります(第4条c)。2004年5月のEU加盟前に善意で出願されたスロバキア国内商標の所有者は、加盟によりスロバキアに拡張されたEUTMの使用を禁止できます(第50条)。EUTMが拒絶・取消された場合はスロバキアの国内出願へ転換でき、転換出願には出願手数料の納付義務があります(第49条)。

ルート 庁費用の目安 向いているケース
スロバキア国内出願3区分まで170ユーロ(電子120ユーロ)、4区分目から50ユーロ。登録料なしスロバキア(またはチェコと2か国)のみで使う商標。Fast Trackで約5か月の早期登録。現地代理人が必須
マドプロでスロバキア指定基本手数料CHF 653(白黒)/903(カラー)+補足手数料CHF 100+3区分超はCHF 100/区分スロバキアとEU非加盟の周辺国(セルビア、ウクライナなど)を一括指定。現地代理人は拒絶時のみ
EUTM1区分850ユーロ、2区分目50ユーロ、3区分目以降150ユーロチェコ・ハンガリー・ポーランドなど複数のEU加盟国で使う商標。1か国の先行商標で全体が拒絶されるリスクに注意

日本企業の実務ポイントを整理します。第一に、先行商標調査はスロバキア語・チェコ語を含めて行うことです。外国出願人の6割以上がチェコからで、両国企業は一体の市場として商標を取っているため、産業財産権庁のウェブ登録簿、TMview、EUIPOのデータベースでチェコ語の近似語も確認します。第二に、庁は先行商標を審査しないため、自社商標の登録後は公報の監視を続け、3か月の異議期間を逃さない体制が必要です。第三に、英語の記述的ネーミングは通らないと考えるべきです(最高行政裁判所4Shk/4/2025)。第四に、日本企業の国内出願には弁護士または特許代理人の選任が必須で、手続はスロバキア語で進みます。第五に、2025年7月からの費用償還制度により、根拠の弱い異議や取消請求には費用負担のリスクが生じました。第六に、登録から5年の使用証拠(スロバキア語の広告、請求書、現地販売の記録)を保存し、不使用取消と使用証明の要求に備えることです。製造拠点としてスロバキアを使う企業は、輸出専用の商品に商標を付す行為も使用とみなされる(第7c条2項b)点を押さえておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 登録までどのくらいかかりますか?

産業財産権庁は通常手続の平均審査期間を公表していませんが、Fast Trackの条件(電子出願、3営業日以内の納付、指定ツールでの商品・役務リスト作成など)を満たせば、通常は出願から30営業日以内に公告されます。その後3か月の異議期間を経て登録されるため、異議がなければ出願から5か月前後が目安です。異議があった場合は、2024年の平均で約10か月の審理が加わり、不服申立てや行政訴訟に進めば1年半以上かかることがあります。

Q2. 産業財産権庁は先行商標を調べてくれますか?

2019年1月以降、庁は先行商標を理由に職権で拒絶しません。同一商標・同一商品の先行商標がある場合に限り、公告前に出願人または先行商標の所有者へ通知します(第28条3項)が、類似の場合は通知もありません。先行商標との抵触は、先行権利者が公告から3か月以内に異議を出した場合にのみ判断されます。出願前の自主的な調査と、登録後の公報監視が実務の要です。

Q3. 現地代理人は必要ですか?

必要です。スロバキアに住所または本店のない者は、庁の手続において弁護士または特許代理人による代理が義務付けられています(第51条2項)。EEA加盟国の国民またはEEA域内に本店・事業所を持つ者は免除されますが、日本企業は対象外です。マドプロ経由であれば指定時点では代理人不要で、暫定拒絶を受けた場合に現地代理人を選任します。

Q4. EUTMを持っていればスロバキア国内商標は不要ですか?

EUTMはスロバキアでも有効で、多くの企業はEUTMだけで足ります。ただし、EUTMはEU内のどこか1か国の先行商標との抵触で全体が拒絶・無効となるリスクがあり、スロバキア語の記述性もEUIPOで審査されます。スロバキア(やチェコ)で特に重要な主力商標は、安価な国内出願で二重に押さえておくと、EUTMに問題が生じたときの保険になります。EUTMをスロバキア国内出願へ転換することも可能です(第49条)。

Q5. 他社の放置された登録が障害になっています。どうすればよいですか?

登録から5年以上スロバキアで真正に使用されていなければ、庁に取消請求(130ユーロ)を出せます。不使用は権利者が使用を証明しない限り推定され、請求の3か月前以降に駆け込みで始めた使用は、請求を予期して準備したものであれば考慮されません。2024年の平均審理期間は約11か月で、勝訴すれば2025年7月以降は手数料と代理人費用200ユーロの償還も受けられます。自社の出願に対する異議でも、相手の先行商標が5年を経過していれば使用証明を求め、証明がなければ異議は退けられます。

Q6. 模倣品が見つかった場合、まず何をすべきですか?

証拠(購入品、販売ページ、請求書)を確保した上で、財務総局への税関措置申請(無料、30営業日以内に決定、国内市場の商品にも適用可)を行い、並行して現地代理人を通じて警告書と、バンスカー・ビストリツァ地方裁判所への仮処分・本案訴訟を検討します。損害額が大きい組織的事案では刑法281条に基づく刑事告訴も選択肢です。税関は権利者からの真贋判別情報を頼りに検査しているため、申請書に識別ポイントを詳しく記載しておくことが実効性を高めます。

Q7. 費用の総額はどのくらいですか?

庁費用は3区分まで170ユーロ(電子出願120ユーロ、約2.1万〜3万円)で登録料は不要です。現地代理人の費用は出願から登録まで数百〜1,000ユーロ程度が相場で、日本側の手数料と翻訳費用を含めると1件あたり15万〜25万円程度が目安です(相場感であり出典のある数値ではありません)。10年後の更新は150ユーロです。中小企業は、INPIT(工業所有権情報・研修館)の外国出願補助金の対象になる場合があります。

まとめ

スロバキアの商標制度は、EU商標指令に沿った絶対的理由のみの審査、3区分まで170ユーロ(電子出願120ユーロ)で登録料なしという手数料、Fast Trackによる30営業日の公告、公告後3か月の異議、産業財産権庁が異議・取消・無効を一元的に審理し、裁判管轄がバンスカー・ビストリツァ(地方裁判所と行政裁判所)に集約された明快な仕組みが特徴です。2025年7月の改正で手数料が改定され、異議・取消・無効の勝訴当事者に費用が償還されるようになった点、先行商標の職権審査がない点、日本企業には弁護士または特許代理人が必須である点、手続がスロバキア語で進む点は、出願設計の段階で押さえておく必要があります。自動車・電機のサプライチェーンでスロバキアに関わる日本企業には、EUTMを軸に、スロバキアで使用する主力商標は安価な国内出願で補完し、EU非加盟の周辺国はマドプロで指定する設計をおすすめします。

各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。

スロバキア・中欧・EUへの商標出願は弁理士にご相談ください

国内出願・EUTM・マドプロの使い分け、スロバキア語・チェコ語での識別力の確認、先行商標調査と公報監視、異議・無効・取消への対応、バンスカー・ビストリツァ地方裁判所での権利行使、税関申請と模倣品対策、INPIT外国出願補助金の申請まで、知的財産事務所エボリクスが一貫してサポートします。初回相談は無料です。

無料相談を申し込む

出典・参考文献

本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。

法令(Slov-Lex 法令ポータル)

  1. 商標法(Zákon č. 506/2009 Z. z. o ochranných známkach、2025年7月1日施行版)/商標となり得る標章(第2条)、先行商標(第4条)、絶対的理由と悪意(第5条)、相対的理由(第7条)、使用義務(第7c条)、権利の内容と通過貨物(第8条)、救済と時効(第8a条)、情報開示(第11条)、裁判所の措置(第12条)、仮処分の担保(第13条)、権利の制限と不使用の抗弁(第14・14a条)、存続期間と更新(第22条)、消滅(第23条)、出願・出願日・優先権(第24〜26条)、審査と公告・同一商標の通知(第28条)、意見書(第29条)、異議(第30・31条)、使用証明と和解期間(第32・32a条)、登録(第33条)、取消(第34条)、無効と黙認(第35・35a条)、請求手続(第37・37a条)、期間延長・原状回復(第38・39条)、不服申立て(第40条)、費用償還(第42a条)、転換(第49条)、加盟前の国内商標(第50条)、代理と言語(第51条)、経過規定(第54c条)、施行(第57条)の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2009/506/20250701.html
  2. 2025年改正法(Zákon č. 177/2025 Z. z.、2025年7月1日施行)/商標法の改正点(第22条3項の自動更新、第26条5項のDAS、第42a条の費用償還、第54c条の経過規定)、行政手数料法の商標関係手数料の改定(出願166→170ユーロ、追加区分20→50ユーロ、異議50→70ユーロ、取消・無効100→130ユーロ、更新133→150ユーロなど)、国庫の支払システムによる納付の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2025/177/vyhlasene_znenie.html
  3. 行政手数料法(Zákon č. 145/1995 Z. z. o správnych poplatkoch、2026年9月1日施行版)/電子提出時の50%減額と上限50ユーロ(第6条2項)、料金表第XVI部の項目214(不服申立て100ユーロ、抄本10ユーロ)、215(手続続行80・原状回復200・延長30・優先権証明書20ユーロ)、229(出願170/340ユーロ、追加区分50ユーロ、移転40・ライセンス30ユーロ)、230(取消・無効130ユーロ、異議70ユーロ)、231(更新150/300ユーロ、追加区分50ユーロ)、232(国際出願130・更新90・事後指定50ユーロ)の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/1995/145/20260901.html
  4. 民事訴訟法(Civilný sporový poriadok、Zákon č. 160/2015 Z. z.、2026年7月15日施行版)/産業財産権紛争のバンスカー・ビストリツァ地方裁判所の全国管轄と不正競争・著作権を併せ持つ事件の扱い(第25条)、不正競争・著作権事件の管轄(第26条)、控訴審の県裁判所(第34条)、上告審の最高裁判所(第35条)の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2015/160/20260715.html
  5. 行政裁判手続法(Správny súdny poriadok、Zákon č. 162/2015 Z. z.、2026年6月12日施行版)/行政裁判所の事物管轄(第10条)、最高行政裁判所の上告審(第11条h)、産業財産権分野の行政訴訟におけるバンスカー・ビストリツァ行政裁判所の全国管轄(第16条)、2023年6月1日施行の改正に係る経過規定(第493b条)の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2015/162/20260612.html
  6. 刑法(Trestný zákon、Zákon č. 300/2005 Z. z.、2026年8月18日施行版)/損害額の区分(第125条:700ユーロ超・2万ユーロ超・25万ユーロ超・65万ユーロ超)、商標・原産地表示・商号に係る権利の侵害の法定刑(第281条:2年以下、6か月〜3年、1〜5年)の根拠。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2005/300/20260818.html
  7. 税関による知的財産権執行法(Zákon č. 486/2013 Z. z. o presadzovaní práv duševného vlastníctva colnými orgánmi、2023年1月1日施行版)/国内市場の商品への措置と税関監視下の貨物への措置の対象(第1条)、法人・事業者に対する罰金(第31条:3,000〜67,000ユーロ、反復・大規模5,000〜100,000ユーロ、大規模の反復5,000〜135,000ユーロ、反復の定義)の根拠。2014年1月1日施行。
    https://static.slov-lex.sk/static/SK/ZZ/2013/486/20230101.html
  8. EU商標規則(Regulation (EU) 2017/1001、EUR-Lex)/EUTMの出願手数料(850・50・150ユーロ)、異議手数料(320ユーロ)、EU商標裁判所の枠組みの根拠。
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2017/1001/oj

産業財産権庁・裁判所・税関の資料

  1. 産業財産権庁(ÚPV SR)「Fast Track - ochranné známky」/Fast Trackの条件(電子様式での出願、slovensko.skの電子私書箱、3営業日以内の銀行振込、ezts.skでの商品・役務リスト作成、優先権書類の同時提出)、通常30営業日以内の公告、15営業日以内の公告指示、3か月の異議期間の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/ochranne-znamky-a-dizajny/ochranne-znamky/fast-track-ochranne-znamky
  2. 産業財産権庁「What is a trade mark and how to obtain it?」(英語)/優先権の3か月以内の証明、第三者の意見書、公報への公告、3か月の異議期間、異議手続の概要の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/en/trade-marks-and-designs/trade-marks/what-is-a-trade-mark-and-how-to-obtain-it
  3. 産業財産権庁「Správne poplatky 2025」(行政手数料一覧PDF)/項目214〜232の商標関係手数料(出願170ユーロ、追加区分50ユーロ、異議70ユーロ、取消・無効130ユーロ、更新150ユーロ、国際出願130ユーロなど)の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/swift_data/source/pdf/poplatky_fees/SpravnePoplatky2025.pdf
  4. 産業財産権庁「Návrh záverečného účtu za rok 2025」(2025年決算報告、2026年4月)/2025年の国内商標出願3,496件(前年比約5%増、4年連続増)、2025年末の有効登録47,735件、Fast Trackの条件を満たした登録商標約35%、国内出願人2,999件・外国出願人497件、国別(チェコ319・中国24・ドイツ19・米国19・ポーランド17・キプロス17)、庁所在地バンスカー・ビストリツァの根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/swift_data/source/pdf/Materi%C3%A1ly%20s%C3%BAvisiace%20s%20%C3%BAradom/Z%C3%A1vere%C4%8Dn%C3%BD%20%C3%BA%C4%8Det%20za%20rok%202025.pdf
  5. 産業財産権庁「Výročná správa 2024」(2024年年次報告)/2020〜2024年の国内出願件数(2,987・3,287・2,492・2,724・3,337)、2024年の登録2,484件(国内2,074・外国410)、国際登録のスロバキア指定(2023年880件→2024年778件)、庁経由の国際出願60件、保護付与・暫定拒絶を5か月以内に処理、Fast Trackの条件を満たした公告出願35%、異議の平均審理期間約10か月・取消/無効約11か月の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/swift_data/source/2025/vyrocna%20sprava%20FINAL%20SVK.pdf
  6. 産業財産権庁 専門誌「Duševné vlastníctvo」2025年第1号「Správy z ÚPV SR:Dáta priemyselných práv na Slovensku za rok 2024」/2024年の国内出願3,337件(前年比約22%増)、スロバキアからのEUTM出願1,067件(2023年778件、37%増)の根拠。
    https://indprop.gov.sk/swift_data/source/DV/1%202025/14_eDV_2501_spravyUPV.pdf
  7. 同誌2025年第1号「Finančná správa Slovenskej republiky:Aj ponožky môžu byť fejky」/ニトラ税関の道路検問で偽造スポーツソックス46,800足を押収、権利者の損害見積り14万ユーロ超、権利者が廃棄か裁判かを選ぶ手続の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/swift_data/source/DV/1%202025/10_eDV_2501_FS%20SR.pdf
  8. 産業財産権庁 決定 OZ 252082/I-23-2025(2025年10月7日、語商標「LEGIONÁŘ」の不使用取消)/第34条1項aによる取消、取消の効力発生日(請求日2025年7月16日)、第42a条に基づく費用償還280ユーロ(確定から15日以内)の根拠。
    https://www.indprop.gov.sk/rozhodnutia/dokumenty/oz/2025/OZ_2025-23_2059-2019.pdf
  9. 最高行政裁判所(Najvyšší správny súd SR)判決 4Shk/4/2025(2026年1月22日)の英語要旨/浴室用品に係る英語2語の標章の識別力、平均的なスロバキア消費者の英語理解、使用による識別力獲得の不証明、バンスカー・ビストリツァ行政裁判所の判決を支持し上告を棄却した根拠。
    https://www.nssud.sk/en/for-a-sign-to-have-distinctive-character-as-a-trademark-it-is-not-enough-to-be-different-from-well-known-signs-but-it-must-be-original-in-its-form-and-content-to-such-an-extent-that-its-specific/
  10. 中央政府ポータル slovensko.sk「Ochrana duševného vlastníctva」(税関措置申請の案内)/申請様式(実施規則1352/2013附属書I、財務省告示490/2013)、スロバキア語2部・公証翻訳・電子提出後3営業日以内の書面補完、手数料無料、財務総局の30営業日以内の決定、税関監視下の措置期間1年と延長、国内市場の措置2年と繰り返し延長の根拠。
    https://www.slovensko.sk/sk/zivotne-situacie/zivotna-situacia/_ochrana-dusevneho-vlastnictva/
  11. TASR(スロバキア通信社)「Finančná správa: Falšovaný tovar môže ohroziť zdravie」(2026年7月3日、財務管理庁の発表)/2025年に税関が押収した模倣品34,210点、90%超が税関監督下で廃棄、品目別の傾向(衣類・繊維・靴、バッグ、玩具、スポーツ用品、化粧品、宝飾品、時計)の根拠。
    https://www.teraz.sk/ekonomika/financna-sprava-falsovany-tovar-m/975169-clanok.html
  12. SITA/Parlamentné listy「Počas nočnej kontroly na R4 zadržali colníci tisíce falzifikátov svetových značiek」(2026年4月7日)/コシツェ税関がミルホスチ付近のR4でポーランドナンバーのバンから3,000点超の偽造品(Gucci、Louis Vuitton、Nikeなど)を押収、ブカレストからワルシャワへ向かう貨物だったことの根拠。
    https://www.parlamentnelisty.sk/spravy/655154/pocas-nocnej-kontroly-na-r4-zadrzali-colnici-tisice-falzifikatov-svetovych-znaciek/

WIPO・外務省・専門家の解説

  1. WIPO Lex「Madrid Protocol – Slovakia」(加盟情報)/1997年6月13日の加入書寄託、1997年9月13日の発効、拒絶通報期間を18か月とする宣言の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/parties/remarks/SK/8
  2. WIPO Lex「Madrid Agreement (Marks) – Slovakia」(加盟情報)/1992年12月30日の継続適用宣言、1993年1月1日(独立日)の発効、チェコスロバキアからの承継の根拠。
    https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/parties/remarks/SK/21
  3. WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」(2026年10月8日更新)/スロバキアが個別手数料を定めていない(一覧に含まれない)ことの根拠。
    https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/fees/ind_taxes
  4. WIPO「Madrid System: Schedule of Fees」(2023年2月1日施行)/基本手数料CHF 653(白黒)・903(カラー)、3区分を超える区分ごとの追加手数料CHF 100、個別手数料のない指定国の補足手数料CHF 100の根拠。
    https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/fees/sched
  5. WIPO「Intellectual Property Statistical Country Profile 2024: Slovakia」/商標出願の区分数15,581(前年比20.2%増、世界56位)、国内居住者13,701・外国1,880、有効登録47,493件(世界82位)の根拠。
    https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/sk.pdf
  6. 外務省「スロバキア共和国 基礎データ」(2025年12月23日更新)/面積、人口542万人(2024年)、2004年のEU・NATO加盟、2009年のユーロ導入、GDP 1,417億米ドル・1人当たり26,130米ドル(2024年、IMF)、自動車産業(年間約100万台、人口1,000人当たり198台で世界一)、2024年の対日貿易(輸出236億円・輸入835億円)、日系企業66社(製造業21社)、在留邦人323人の根拠。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/slovak/data.html
  7. Právne noviny「Čo je služba FastTrack od ÚPV?」(2020年10月12日)/産業財産権庁が2020年9月30日のプレスリリースでFast Trackサービスを導入したこと、30日以内の公告を目標とすることの根拠。
    https://pravnenoviny.sk/co-je-sluzba-fasttrack-od-upv/

※本記事の情報は2026年10月時点のものです。手数料・期間・管轄は改正されることがあるため、実際の出願にあたっては産業財産権庁の最新情報と現地代理人の確認をおすすめします。円換算は1ユーロ≒175円、1スイスフラン≒185円の概算です。