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リトアニア商標制度の実務ガイド|2000年商標法(2019年EU指令対応改正)・国家特許庁VPBは絶対的理由のみ審査+公告後3か月の異議・1区分180ユーロで登録料不要・不使用取消は5年で審判部・EU域内消尽・EUTMとマドプロとの使い分けを弁理士が徹底解説
リトアニアはバルト三国の最南端に位置する面積6.5万平方キロメートル、人口約288万人の国で、2004年にEUとNATOに加盟、2015年にユーロを導入、2018年にOECDに加盟しました。GDPは約848億米ドル、1人当たりGDPは約2万9,000米ドル(2024年、IMF)で、石油精製、食品加工、木材・家具、物流に加え、レーザー・光学やフィンテックの集積で知られます。日本との関係では、「命のビザ」の杉原千畝副領事の縁で伝統的に親日的で、2022年10月に両国関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げし、2018年に租税条約、2019年にワーキング・ホリデー制度が発効、2025年6月のナウセーダ大統領訪日では名古屋港とクライペダ港の協力覚書が署名されました。2024年の日本からの輸出は約97億円(車両・部品、産業機械、電気機器)、リトアニアからの輸入は約225億円(レーザー等の精密機器、化学品、加工食品)で、在留邦人は131人(2024年10月)です(外務省)。日本企業にとっては、EU商標(EUTM)でカバーしつつ、バルト三国の物流拠点・レーザー産業・食品市場での個別対応としてリトアニアでの商標保護を検討する場面が増えています。
リトアニアの商標制度は、2000年10月10日の「商標法」(法律第VIII-1981号)に基づき、ビリニュスのリトアニア共和国国家特許庁(Valstybinis patentų biuras、VPB)が審査・登録を行います。EU商標指令(2015/2436)を国内法化した2019年1月1日施行の全面改正で、図形的表示要件の撤廃、不使用取消と無効の審判部(Apeliacinis skyrius)への移管(訴訟前置)、異議・無効手続での使用証明、黙認による失権などが導入され、現在の統合版は2022年1月1日版です(2025年10月16日の改正法第XV-494号は2027年1月1日施行予定)。審査では絶対的理由のみを職権審査し、先行商標との抵触は公告後3か月の異議で先行権利者が争います。費用はユーロ建てで1区分の出願が180ユーロ(約3.2万円)、追加区分40ユーロ、更新も同額、異議160ユーロ、無効・取消180ユーロと欧州では最も手頃な部類です。存続期間は出願日から10年、不使用取消は5年で審判部、消尽はEU域内消尽で、侵害訴訟はビリニュス地方裁判所の専属管轄(EU商標裁判所を兼務)です。EU加盟国なのでEUTMの効力が及び、マドリッド議定書では個別手数料を設定していないため、マドプロでのリトアニア指定は補足手数料CHF 100で済みます。本記事では、商標法の現行条文(WIPO Lex掲載の2022年統合版英訳)、国家特許庁の料金表と2025年統計・年次概観、刑法・行政違反法典、EU税関規則と2024年のEU執行報告、WIPOの統計と加盟情報、外務省のデータを一次資料として、出願から異議・取消・権利行使・EUTM/マドプロとの使い分けまでを弁理士が実務目線で整理します。
この記事のポイント
- 根拠法は2000年商標法(2019年1月1日施行のEU指令対応改正、2022年1月1日統合版)、審査機関は国家特許庁VPB(ビリニュス)。方式審査→絶対的理由のみの職権審査→公告→公告から3か月の異議(先行商標・名声商標・代理人登録・氏名権・著作権等の相対的理由、審判部が審理)→登録。先行商標権者の同意で登録可。急速審査は150ユーロ
- 費用はユーロ建てで出願180ユーロ(1区分、追加区分40ユーロ)、登録料・公告料は不要で3区分でも260ユーロ(約4.6万円)。更新180+40ユーロ(満了後6か月は50%増)、異議160ユーロ、無効・取消180ユーロ、審判60ユーロ、譲渡登録80ユーロ、ライセンス登録50ユーロ。EUTMは850ユーロ(1区分、2区分目50、3区分目以降150)。マドプロ指定は個別手数料なし(補足手数料CHF 100、拒絶通報18か月)
- 存続期間は出願日から10年。更新は満了前6か月に申請、満了後6か月は追納可(50%増)。不使用取消は継続5年の不使用で国家特許庁の審判部(訴訟前置、侵害訴訟での反訴も可)、無効も審判部。登録5年超の先行商標は異議・無効・侵害訴訟で使用証明を求められ、使用を知って5年黙認すると無効請求できない(悪意を除く)。審判部決定は3か月以内にビリニュス地方裁判所へ
- 侵害訴訟はビリニュス地方裁判所の専属管轄(EU商標裁判所を兼務、控訴はリトアニア控訴院、上告は最高裁判所)。差止、仲介者への命令、情報請求、証拠保全、回収・廃棄のほか、損害賠償に代えてライセンス料相当額(故意・重過失なら2倍)を請求でき、非財産的損害と判決公表も認められる(第70〜76条)。2025年6月の最高裁判決は並行輸入医薬品の名称変更を商標権侵害と認めた
- 刑事罰は刑法204条(大量の商品への無断使用で重大な損害:罰金・自由制限・2年以下の拘禁、少量なら刑事軽犯罪、法人も処罰)、行政罰は行政違反法典125条(商業目的の保管・運搬に280〜600ユーロ、再犯600〜850ユーロ、商品と製造設備の没収は必須)。税関はEU規則608/2013に基づき、EU全域に効力のある税関差止申請(AFA)で対応。2024年のEU全体の押収は1億1,200万点・38億ユーロ
- 2025年の国内出願は3,130件(95%がリトアニア企業、日本1件)、登録2,616件、有効登録37,886件、マドプロ指定830件(中国107件、日本12件)、リトアニア居住者のEUTM出願2,767件(区分数)。外国企業はEUTM+マドプロが中心で、国内出願はリトアニア語表記やバルト限定ブランド、EUTMの拒絶時の転換などに使う。EEA外の企業はリトアニア弁理士の選任が必須(第38条2項)
目次
- リトアニア商標制度の全体像:2000年商標法・2019年EU指令対応改正・国家特許庁VPB
- 市場環境と統計:国内出願3,130件の95%が国内企業、外国企業はEUTMとマドプロ
- 保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ職権審査、相対的理由は異議で、同意書で克服可
- 出願手続の流れ:弁理士強制(EEA外)・リトアニア語・審査・再審査・公告・急速審査
- 費用一覧(ユーロ建て料金表・EUTM・マドプロ)
- 公告後3か月の異議と審判部:使用証明・メディエーション・ビリニュス地方裁判所
- 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の追納(50%増)
- 不使用取消(5年・審判部)と無効(審判部・反訴・5年の黙認)
- 使用・譲渡・ライセンス・消尽:EU域内消尽と2025年の並行輸入医薬品判決
- 侵害訴訟と救済:ビリニュス地方裁判所の専属管轄、ライセンス料の2倍、判決公表
- 刑事罰・行政罰:刑法204条と行政違反法典125条
- 税関と模倣品対策:EU規則608/2013・税関差止申請(AFA)・2024年のEU執行報告
- EUTM・マドプロ・国内出願の使い分けと日本企業の実務ポイント
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 出典・参考文献
1. リトアニア商標制度の全体像:2000年商標法・2019年EU指令対応改正・国家特許庁VPB
リトアニアの商標制度の根拠法は、2000年10月10日の「リトアニア共和国商標法」(法律第VIII-1981号)です。1993年の旧商標法に代わって制定され、2004年のEU加盟に向けた改正、2013年6月1日施行の改正(シンガポール条約批准に伴う分割出願や名声商標を理由とする異議の導入)を経て、EU商標指令(指令(EU) 2015/2436)を国内法化した2018年12月4日の改正法(法律第XIII-1679号、2019年1月1日施行)で全面的に書き換えられました。この改正により、(1) 商標の定義から図形的表示の要件が外れ、登録簿上で「明確かつ正確」に表示できれば音や動きの商標も登録できること(第5条)、(2) 不使用取消と無効の請求が裁判所から国家特許庁の審判部に移り、審判部の手続が訴訟前置となったこと(第58条、第69条)、(3) 異議・無効・侵害訴訟で登録5年超の先行商標に使用証明を求める制度(第21条、第57条、第59条)、(4) 5年の黙認による失権(第12条)、(5) 包装・ラベル等の準備行為の禁止(第15条)、(6) 保証・証明標章(第30条)などが整備されました。その後、2020年4月の改正(非常事態時の期間停止、第54条7項)と2019年12月の改正(第28条、2022年1月1日施行)が加わり、現在の統合版は2022年1月1日版で、WIPO Lexに公式英訳(2022年9月1日時点)が掲載されています。
なお、2025年10月16日に国会(セイマス)が可決した改正法第XV-494号は、第26〜29条(譲渡・ライセンス・物権・強制執行)、第34条、第38条、第47〜50条(登録・登録簿)、第63〜64条(更新・国際登録)、第67〜68条を改正し第49条を削除するもので、法令登録簿上の施行日は2027年1月1日とされています。本記事執筆時点(2026年10月)では未施行のため、本文は2022年統合版の条文で記述し、改正の詳細は施行前に現地弁理士に確認することをおすすめします。
審査・登録機関はリトアニア共和国国家特許庁(Lietuvos Respublikos valstybinis patentų biuras、VPB/英語名 State Patent Bureau)で、所在地はビリニュス(Kalvarijų g. 3, LT-09310 Vilnius)です。特許、商標、意匠、半導体回路配置を所管し、商標登録簿の管理者は法務省、運営者は国家特許庁です(第48条)。庁内の審判部(Apeliacinis skyrius/Appeals Division)が、審査官の拒絶決定に対する審判、第三者の異議、不使用取消・無効の請求を審理し(第69条1項)、その決定はビリニュス地方裁判所に出訴できます(第45条6項、第56条6項、第58条9項)。国家特許庁はEU商標規則上の「中央産業財産庁」であり、ビリニュス地方裁判所がEU商標裁判所の機能を果たします(第78条)。料金は「産業財産の対象の登録に係る手数料法」(法律第IX-352号)で定められ、国家特許庁の料金表は2019年1月1日から適用されているユーロ建ての金額です。
| 項目 | リトアニアの制度(根拠条文) |
|---|---|
| 根拠法 | 商標法(2000年10月10日法律第VIII-1981号)。2018年12月4日法律第XIII-1679号(2019年1月1日施行、EU指令2015/2436対応)で全面改正、統合版2022年1月1日。2025年10月16日法律第XV-494号は2027年1月1日施行予定 |
| 管轄機関 | 国家特許庁VPB(ビリニュス)。内部の審判部が審判・異議・取消・無効を審理(第69条)。EU商標規則上の中央産業財産庁(第78条1項) |
| 審査の範囲 | 出願の方式審査(第42条)と第7条の絶対的理由の審査(第43条)のみ。先行商標など第8条の相対的理由は職権審査せず、異議・無効で争う。第三者は登録前に絶対的理由の情報提供が可能(第44条) |
| 異議期間 | 出願公告から3か月以内に利害関係人が審判部へ(第56条)。理由は第8条1〜3項(先行商標・名声商標・代理人登録・先行する氏名権・肖像権・著作権・産業財産権・地理的表示)。答弁2か月、和解期間2か月以上、審判部決定は3か月以内にビリニュス地方裁判所へ |
| 存続期間・更新 | 出願日から10年(第62条)。満了前6か月に更新申請、満了後6か月は追納可(手数料50%増)。国家特許庁が満了6か月前に通知(第63条) |
| 不使用取消・無効 | 継続5年の不使用、普通名称化、誤認は審判部が取消し(第23〜24条、第58条)。無効も審判部(第7条・第8条の理由)、侵害訴訟では反訴可(第69条1項、第70条5項)。使用を知って5年黙認で無効請求権喪失(第12条) |
| 不服申立て | 拒絶決定には2か月以内に再審査請求(第43条3項)、再審査決定には2か月以内に審判部へ審判(第45条、60ユーロ)、審判部決定は3か月以内にビリニュス地方裁判所へ(第45条6項) |
| 消尽 | EU域内消尽(第19条)。EU域内で権利者または同意を得て流通した商品には権利が及ばず、域外からの並行輸入は止められる |
| EUTM・マドプロ | EU加盟国としてEUTMの効力が及ぶ。マドリッド議定書は1997年11月15日発効、拒絶通報18か月(第5条2項b・c号の宣言)、個別手数料なし。国際登録の異議はWIPO公報掲載から3か月(第68条3項) |
2. 市場環境と統計:国内出願3,130件の95%が国内企業、外国企業はEUTMとマドプロ
国家特許庁が公表した「2025年リトアニア共和国産業財産保護統計」と2025年年次概観によれば、2025年の国内商標出願は3,130件(5,764区分)で、うちリトアニアの出願人が2,985件(95.4%)、外国の出願人は145件にとどまります。外国出願人の内訳はラトビア21件、中国18件、エストニア14件、韓国12件、米国8件、ドイツ7件で、日本からの国内出願は1件でした。出願人の80%が法人、20%が個人で、商標の種類は文字入り図形商標1,936件、文字商標1,146件、図形42件、立体5件です。最も多い区分は第35類(広告・事業管理、1,005件)、第41類(教育・娯楽、681件)、第44類(医療・美容、400件)、第43類(飲食・宿泊、369件)、第37類(建設・修理、354件)と、サービス商標が中心です。
- 登録:2025年に2,616件(4,722区分)を登録。リトアニア企業2,493件、外国企業123件(米国20件、スイス12件、エストニア11件、中国10件)。優先権主張付きの登録は18件(EUIPO経由6件、ジャマイカ3件)
- 有効登録:2025年12月31日時点で37,886件。2025年中に1,722件が更新され、1,850件が抹消(うち1,810件は更新手続をしなかったもの)。譲渡の登録415件、ライセンス登録11件、質権登録337件
- マドプロ:2025年にリトアニアを指定した国際登録の通知は830件(1,686区分)で、中国107件、ハンガリー55件、スロベニア51件、ドイツ46件、トルコ45件、スイス43件、米国39件、イタリア38件、日本12件。国家特許庁は615件の国際登録に保護を付与し、リトアニア企業を本国とする国際出願は44件
- EUTM:WIPOの統計プロファイル(2024年)によれば、リトアニア居住者のEUIPOへの出願は2,767件(区分数)で、国内出願(4,925区分)の半分強。国家特許庁の審査官1人当たり出願は1,315.6件、登録までの平均日数は35日と算定されています
この数字が示すとおり、リトアニアの国内商標制度は国内企業のための制度という色彩が強く、外国企業はEUTMかマドプロ指定で権利を取得しています。日本企業のリトアニア国内出願は年1件程度で、マドプロ指定が年12件、これにEUTM(リトアニアにも効力)が加わります。国家特許庁の審判部が2025年に下した決定は52件(異議32件、無効9件、取消6件、審判5件)と件数は少ないものの、異議・無効・取消の34件が全部または一部認容され、無料の庁内メディエーションで11件が和解しています(年次概観)。
3. 保護対象と拒絶理由:絶対的理由のみ職権審査、相対的理由は異議で、同意書で克服可
商標は、文字(人名を含む)、図形、文字・数字、色彩、商品・包装の形状、音などの標識で、(1) 自他商品・役務の識別力があり、(2) 登録簿上で保護対象を明確かつ正確に特定できる形で表示できるものです(第5条)。2019年改正で図形的表示の要件がなくなり、音商標は音声ファイル、動き・マルチメディア商標は動画ファイルで出願できます。登録できない要素を含む商標は全体として保護され、その要素はディスクレーム(権利不要求部分)として排他権が及びません(第6条)。周知商標(第4条)は登録なしでも保護されますが、周知性は裁判所の手続で認定され(第4条3項、第69条2項4号)、国家特許庁や審判部は認定しません。団体商標(第31〜37条)と保証・証明標章(第30条)も登録できます。
絶対的拒絶理由(第7条1項)はEU商標指令と同じ構成で、(1) 第5条の要件を満たさない、(2) 識別力がない、(3) 種類・品質・数量・用途・価値・産地・製造時期・製法等の記述的表示、(4) 慣用表示、(5) 商品の性質に由来する形状・技術的効果に必要な形状・本質的価値を与える形状その他の特徴、(6) 公序良俗違反、(7) 誤認を生じるもの、(8) リトアニアの国章等の公式シンボル(法務大臣の許可がない場合)、(9) その他の紋章・公的機関の標章、(10) パリ条約6条の3の国章等、(11) 宗教的シンボルなど象徴的価値の高い標識、(12) EU法・条約で保護される原産地名称・地理的表示、(13) ワインの伝統的表現、(14) 伝統的特産品保証(TSG)、(15) 植物品種名称、です。(2)〜(4)は出願前・出願後を問わず使用による識別力の獲得で克服でき(第7条2項)、悪意の出願は無効理由となります(第7条3項)。国家特許庁は実体審査でこの第7条1項・2項のみを審査します(第43条1項)。
相対的拒絶理由(第8条)は、利害関係人が異議(第56条)または無効請求(第58条)で主張した場合にのみ適用されます。(1) 先行商標と商標・商品が同一、(2) 同一・類似で混同(連想を含む)のおそれ、(3) 先行商標がリトアニアで(EUTMならEUで)名声を有し、非類似商品でも不正利用・毀損となる場合、(4) 代理人・代理店・弁理士による無断出願、(5) 著名人の氏名・芸名、肖像権、著作権、産業財産権などの先行する権利の侵害、です(第8条1項)。「先行商標」には、リトアニアの先願登録商標、リトアニアを指定した先行国際登録、先行EUTM(シニオリティを主張したものを含む)、これらの出願、および出願日にリトアニアで周知の商標が含まれます(第8条2項)。先行する原産地名称・地理的表示との抵触も異議・無効の理由です(第8条3項)。先行権利者が後願の登録に同意すれば登録され、無効にもならないと明記されており(第8条4項)、同意書による解決が正面から認められています。拒絶・無効の理由が一部の商品にしかない場合は、その商品についてのみ拒絶・無効となります(第9条)。
実務上の注意:先行調査はEUTM・マドプロ・国内の三層で
国家特許庁は先行商標を職権で引用しないため、出願前の先行調査が登録後の安定性を左右します。調査対象は、(1) 国家特許庁のデータベース(search.vpb.lt)の国内登録・出願、(2) リトアニアを指定した国際登録、(3) EUIPOのEUTM(リトアニアでも先行商標になる)、の三層です。EUTMの登録件数は国内登録の数十倍あるため、実務上はEUTMとの抵触が最大のリスクになります。リトアニア語は語尾変化が豊かで、「-as」「-is」「-ė」などの語尾を付けた派生形や、英語の「W」「Q」「X」を含まない正書法に合わせた表記が使われることがあるため、原綴りだけでなくリトアニア語風の表記も含めて調査します。
4. 出願手続の流れ:弁理士強制(EEA外)・リトアニア語・審査・再審査・公告・急速審査
出願人と代理人:自然人・法人のほか、法人格のない団体も出願できます(第2条1項)。リトアニアその他のEU・EEA加盟国に恒久的な住所を持たない外国の自然人、およびEU・EEA内に本店・支店・駐在員事務所を持たない外国法人は、リトアニア弁理士(patentinis patikėtinis)を通じて出願し、登録・国際登録・審判部での手続をすべて行わなければなりません(第38条2項)。日本企業はこれに該当するため、現地弁理士の選任が必須です。委任状は単純な書面で足り、国家特許庁に提出する書類は一切の認証(legalisation)を要しません(第54条3〜4項)。通知の送達先住所はリトアニアまたはEEA内に置く必要があります(第54条2項)。
願書:1商標1出願で(第38条3項)、願書には出願人・代理人の情報、商標の表示と説明、ニース分類に従って区分ごとにまとめた指定商品・役務、手数料納付の情報、優先権主張の情報を記載し(第38条5項)、代理人による場合の委任状、優先権証明書、公式シンボル等の使用許可、団体商標の使用規則、証明標章の認証資格証明、第8条4項の先行権利者の同意書を必要に応じて添付します(第38条4項)。書類は国家語(リトアニア語)で提出し、他言語の書類は提出から2か月以内に翻訳を出します(第54条1項)。指定商品は「明確かつ正確」に記載し、区分見出しは文言どおりの意味にしか及ばず(第41条2項)、分類が誤っていれば追加区分の手数料を求められます(第41条4項)。出願は国家特許庁の電子出願システムで行えます。
出願日と優先権:登録請求、出願人の情報、商標の表示、指定商品、手数料納付の情報を含む願書が提出された日が出願日となり(第39条1項)、国家特許庁は受理から1か月以内に出願日と出願番号を付与して通知します(第39条3項)。パリ条約・WTO加盟国の先の出願に基づく条約優先権と博覧会優先権はいずれも6か月で、優先権証明書は出願時または出願から3か月以内に提出します(第40条)。
審査:国家特許庁はまず願書が第38条・第40条・第41条の要件を満たすかを審査し、不備があれば通知送付から2か月の補正期間を設定します(第42条)。次に商標が第7条1項・2項の絶対的理由に該当しないかを審査し、該当すれば全部または一部の商品について理由を付した拒絶決定を行います(第43条1〜2項)。出願人は拒絶決定の送付から2か月以内に再審査(re-examination)を請求でき(第43条3項)、国家特許庁は再審査の結果、登録可能と認めるか拒絶を維持するかを決定します(第43条4項)。再審査の決定に不服があれば、送付から2か月以内に審判部へ審判を請求します(第45条1項、手数料60ユーロ)。審判は原則書面審理で、審判部は認容か棄却を決定し、5営業日以内に通知、公報で公表され、決定から3か月以内にビリニュス地方裁判所に出訴できます(第45条2〜6項)。これらの期間は手数料を払えば一度に限り最長2か月延長できます(第55条)。第三者は登録前であれば、絶対的理由に該当することを示す書面による情報提供ができ、国家特許庁はこれを受けて審査を再開できます(第44条、第46条2項)。
公告・異議・登録:絶対的理由がないと認められた出願は国家特許庁公報に公告され(第46条1項)、公告日から登録日までの行為について、登録後に損害賠償を請求できる暫定的保護が与えられます(第46条3項)。公告から3か月の異議期間に異議がなければ、または異議が棄却されれば、商標は登録簿に登録されて公報に掲載され、登録証が発行されます(第47条)。登録料や公告料は別途不要で、出願料に含まれます。急速審査(urgent examination)を請求して150ユーロを納めると、方式審査と商標審査が国家特許庁長官の定める短縮期間で行われます(第39条4項)。国家特許庁の2026年活動計画は商標審査の平均期間の目標を1.5か月としており、WIPOの統計プロファイルでは登録までの平均日数が35日と算定されています。これらを踏まえると、拒絶理由や異議がなければ出願から登録まで5〜7か月程度(審査1〜2か月+公告・異議3か月+登録手続)が目安ですが、この所要期間は法定期間と公表指標からの推定です。
5. 費用一覧(ユーロ建て料金表・EUTM・マドプロ)
国家特許庁の手数料は「産業財産の対象の登録に係る手数料法」で定められ、公式サイトの商標料金表(2019年1月1日から適用)に基づく金額は以下のとおりです。支払いはユーロで行い、円換算は欧州中央銀行の2026年10月20日の参考レート(1ユーロ=177.34円)に基づく概算です。登録料・公告料・登録証発行料は別途かからず、出願料だけで登録まで進むのがリトアニアの特徴です。
| 手続 | 料金(ユーロ) | 備考 |
|---|---|---|
| 出願(個別商標、1区分) | 180 | 2区分目以降は各40。登録・公告・登録証を含む。約3.2万円 |
| 出願から登録までの合計(3区分) | 260(約4.6万円) | 1区分なら180、5区分でも340 |
| 出願(団体商標・証明標章、1区分) | 240 | 2区分目以降は各40 |
| 急速審査 | 150 | 長官の定める短縮期間で審査(第39条4項) |
| 更新(個別商標、1区分) | 180 | 2区分目以降は各40。満了後6か月の追納は50%増(団体・証明標章は240+40) |
| 審判(拒絶決定等に対する審判部への申立て) | 60 | 第45条 |
| 異議 | 160 | 第56条。公告から3か月以内 |
| 無効・取消の請求 | 180 | 第58条。審判部が審理 |
| 期間の延長 | 30 | 第55条。一度に限り最長2か月 |
| 譲渡の登録/ライセンスの登録 | 80/50 | 譲渡は登録しないと無効(第26条4項) |
| 出願・登録簿の変更の記録 | 60 | 名称・住所変更など |
| 出願・登録の分割(分割後1件ごと) | 90 | 第52条 |
| 国際出願(マドプロ)の審査・送付(1区分)/国内登録の国際登録への転換 | 70(追加区分40)/80 | リトアニアを本国官庁とする場合 |
| EUTM(EUIPO、電子出願) | 850(1区分)、2区分目50、3区分目以降各150 | 3区分で1,050ユーロ(約18.6万円)。EU27か国に効力 |
| マドプロ(リトアニア指定) | 個別手数料なし:補足手数料CHF 100 | 基本手数料CHF 653(白黒)に加算。3区分を超えると追加手数料CHF 100/区分 |
国内出願の公的費用は3区分で260ユーロ(約4.6万円)と、EU加盟国の中でも最も安い水準で、追加区分40ユーロは多区分出願に有利です。これに現地弁理士の費用(事務所により異なり、出願から登録までで8万〜15万円程度が一般的な目安で、拒絶理由対応や異議は別)が加わります。マドプロでリトアニアだけを指定する費用はCHF 100と最小限で、EU全域ならEUTM(850ユーロ)またはマドプロのEU指定(個別手数料CHF 789+48+144)が選択肢になります。料金は手数料法の改正で変わるため、出願前に国家特許庁の最新の料金ページで確認してください。
6. 公告後3か月の異議と審判部:使用証明・メディエーション・ビリニュス地方裁判所
出願公告から3か月以内に、利害関係人は第8条1〜3項の相対的理由(先行商標との同一・類似、名声商標、代理人登録、先行する氏名権・肖像権・著作権・産業財産権、先行する原産地名称・地理的表示)に基づき、理由を付した書面で審判部に異議を申し立てることができます(第56条1項、手数料160ユーロ)。異議は同一人に属する複数の先行権利を根拠にでき、後願の指定商品の全部または一部に向けることができますが、1件の出願につき1通の異議です(第56条2〜3項)。審判部は異議を受理すると出願人に送付し、出願人は2か月以内に理由を付した答弁を提出します。答弁がなくても審理は進みます(第61条1〜2項)。当事者の共同申請があれば、最低2か月の和解期間が与えられ、調停法に基づくメディエーションも利用できます(第61条6項)。国家特許庁は無料の庁内メディエーションを提供しており、2025年には審判部の案件49件で提案し、14件で当事者が応じ、11件が和解に至りました(年次概観)。
2019年改正で導入された使用証明の抗弁(第57条)は重要です。後願の出願日または優先日の時点で、先行商標の登録から5年が経過していた場合、出願人の請求があれば、異議申立人はその日前5年間に先行商標をリトアニアで真正に使用した証拠(または正当な不使用理由)を提出しなければならず、提出できなければ異議は棄却されます。一部の商品についてしか使用がなければ、その部分についてのみ登録されているものとして扱われます。先行商標がEUTMの場合も同じで、使用の有無はEU商標規則に従って判断されます(第57条3項)。審判部は異議を認容して登録を全部・一部無効とするか、棄却するかを決定し、5営業日以内に当事者に通知し、公報で公表します(第56条4〜5項)。決定に不服があれば、決定日から3か月以内にビリニュス地方裁判所に出訴できます(第56条6項)。
マドプロでリトアニアを指定した国際登録に対する異議は、WIPOの国際商標公報に掲載された日から3か月以内に、同じ要件で審判部に申し立てます(第68条3項)。国家特許庁は、絶対的理由、団体商標の要件、指定商品の明確性に問題がある場合、または異議が申し立てられた場合に、議定書の期限内(リトアニアの宣言により18か月、異議に基づく拒絶はそれ以降も可)に国際事務局へ暫定拒絶を通報します(第65条1項)。国際登録の名義人は、絶対的理由による拒絶には決定日から5か月以内に再審査を請求でき(第68条1項)、その他の拒絶には2か月以内に審判部へ審判を請求します(第68条2項)。
審判部の2025年の実績は、受理した案件が87件(取消請求、異議、無効請求、審判)、下した決定が52件で、内訳は異議32件(国内出願23件、国際登録9件)、無効請求9件、取消請求6件、審判5件です。異議・無効・取消の決定のうち32件が全部認容、2件が一部認容、12件が棄却で、審判は5件中4件が認容されました。39件は和解などにより手続が終了し、裁判所に出訴された審判部決定は1件にとどまります(年次概観)。件数は少ないものの、申立人側の勝率が高いことがうかがえます。
実務上の注意:公報監視と異議の準備
国家特許庁が先行商標を引用しないため、自社の商標に似た出願は公報監視で見つけるほかありません。国家特許庁の公報は電子版で公開され、国際登録のリトアニア指定はWIPOの公報で監視します。EUTMを保有していれば、リトアニアの国内出願に対してEUTMを根拠に異議を申し立てることができますが、EUTMの登録から5年を超えているとEU域内での真正使用の証拠を求められるため、リトアニアを含むEUでの使用証拠(請求書、カタログ、ウェブサイトの表示、広告費など)を日頃から整理しておくことが重要です。異議書面はリトアニア語で、EEA外の企業はリトアニア弁理士を通じて提出します(第38条2項)。
7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了後6か月の追納(50%増)
商標は出願日から10年間登録されます(第62条)。更新は指定商品の全部または一部について10年ごとに回数の制限なく行え(第63条1項)、国家特許庁は満了の6か月前までに権利者に満了を通知します(第63条2項)。権利者は有効期間の最後の6か月に更新申請と手数料納付(1区分180ユーロ、追加区分40ユーロ)を行い(第63条4項)、期限を過ぎても満了後6か月以内であれば手数料法に基づく追加手数料(50%増)を払って更新できます(第63条5項、料金表注記)。この期間も徒過すると登録は更新されず登録簿から抹消され(第63条8項)、回復の規定はありません。更新は満了日の翌日から効力を生じ、登録簿に記録されて公報に掲載されます(第63条6項)。2025年には1,722件が更新された一方、1,810件が更新されずに抹消されており、更新忘れが権利喪失の最大の原因です。
登録簿は国の登録簿で、法務省が管理者、国家特許庁が運営者です(第48条)。出願・登録の分割(分割後1件につき90ユーロ)は指定商品に重複がないことを条件に認められ(第52条)、出願の取下げ(第53条)、登録簿の変更の記録(60ユーロ、第50条)、権利者の請求による登録の抹消(第51条)も規定されています。権利者は登録商標に®マークを付して権利を表示できます(第3条)。
8. 不使用取消(5年・審判部)と無効(審判部・反訴・5年の黙認)
使用義務(第20条):登録簿への登録日から5年以内にリトアニアで指定商品について真正に使用されないか、継続5年間使用が中断されると、正当な理由がない限り、不使用取消、異議・無効・侵害訴訟での使用証明の対象になります。マドプロの国際登録では、5年の起算日はリトアニアで拒絶・異議ができなくなった日(異議や拒絶があれば手続終了日)で、この日は登録簿に記録されます(第20条2項、第68条4項)。識別力を変えない変形使用、輸出用商品への国内での表示、権利者の同意を得た第三者の使用も使用に当たります(第20条3〜4項)。
取消(第23〜24条、第58条):継続5年の不使用(第23条)、権利者の作為・不作為による普通名称化、使用による誤認(第24条)を理由に、利害関係人は審判部に理由を付した書面で取消を請求します(手数料180ユーロ)。5年経過後、請求前に使用を開始・再開していれば取り消されませんが、請求があり得ることを知った後の請求前3か月以内の使用開始・再開は考慮されません(第23条2〜3項)。取消の効果は原則として請求日から生じ、当事者の請求があればそれ以前の取消事由発生日まで遡ります(第60条2項)。
無効(第58条):第7条の絶対的理由(悪意を含む)または第8条1〜3項の相対的理由を根拠に、利害関係人が審判部に請求します(手数料180ユーロ)。相対的理由による無効請求では、被請求人の求めにより、請求人は無効請求前5年間の先行商標の真正使用を証明し、さらに後願の出願日・優先日の時点で先行商標の登録から5年を経過していた場合はその日前5年間の使用も証明しなければなりません(第59条)。無効が確定すると登録は当初から効力がなかったものとみなされます(第60条1項)。審判部の手続は訴訟前置で、裁判所にいきなり無効・取消を求めることはできませんが、侵害訴訟の被告は反訴として無効・取消を請求できます(第69条1項、第70条5項)。審判部の決定には3か月以内にビリニュス地方裁判所へ出訴できます(第58条9項)。
黙認による失権(第12条):先行商標の権利者が、後願登録商標のリトアニアでの使用を知りながら連続5年間黙認した場合、後願が悪意で出願されたものでない限り、使用された商品について無効を請求できなくなり、同時に後願権利者も先行権利の使用を禁止できません。この規定は先行する氏名権・著作権などの他の先行権利にも適用されます(第12条2項)。さらに、後願登録商標の権利者の介入権(第22条)により、先行商標が後願の出願日時点で取り消され得る状態(不使用)にあった場合や名声を欠いていた場合(第11条)には、先行商標権者は後願の使用を禁止できません。侵害訴訟でも、被告の求めがあれば原告は提訴前5年間の使用を証明する必要があります(第21条)。日本企業がリトアニアでEUTMを保有している場合、EUのどこかで真正使用があれば足りますが、国内登録はリトアニア国内での使用が必要です。
9. 使用・譲渡・ライセンス・消尽:EU域内消尽と2025年の並行輸入医薬品判決
譲渡(第26条):出願中の商標も登録商標も、指定商品の全部または一部について譲渡できます。譲渡は当事者の一方の請求により、譲渡証明書類と委任状を添えて登録簿に記録され(手数料80ユーロ)、記録の時点で効力を生じ、登録簿に記録されない譲渡は無効です(第26条4項)。同一の譲渡人・譲受人であれば複数の商標を1通の請求で処理できますが、手数料は商標ごとにかかります(第26条3項)。ライセンス(第27条)は独占的・非独占的、商品の全部・一部、リトアニアの全域・一部について設定でき、ライセンス契約の記録(50ユーロ)には権利者・ライセンシー・対象商標・種類・商品範囲・期間・地域を示す書類を添付します。商標権は質権など物権の対象となり(第28条)、強制執行の対象にもなります(第29条)。2025年には譲渡415件、ライセンス11件、質権337件が登録簿に記録されました。
消尽(第19条):商標権者または同意を得た者がEU市場で流通に置いた商品には商標権が及びません。日本やEU域外で販売された商品をリトアニアに並行輸入する行為は消尽の対象外で、商標権で差し止められます。ただし、商品の状態が変更・劣化した場合など、正当な理由があれば域内流通品でも権利行使が可能です(第19条2項)。この点が争われた近年の代表例が、最高裁判所2025年6月25日判決(Berlin-Chemie AG対UAB「Lex ano」、事件番号e3K-3-122-469/2025)です。ハンガリーから並行輸入した甲状腺薬「Letrox」をBerlin-Chemieの別の商標名に付け替えて販売した輸入業者に対し、ビリニュス地方裁判所は2022年に請求を棄却しましたが、リトアニア控訴院が2022年12月に逆転し、最高裁は2025年6月、輸入業者が名称変更の必要性を立証できなかったとして侵害行為の停止を命じる判断を維持しました。医薬品の並行輸入における再包装・名称変更の限界を示した先例とされています。
権利の制限(第18条):自然人の氏名・住所、識別力のない表示や記述的表示、商品の用途を示すための参照的使用(付属品・部品など)は、公正な商慣行に従う限り禁止できません。辞書等で商標が普通名称のように掲載された場合の注記請求(第16条)、代理人・弁理士名義で無断登録された商標の使用禁止と移転請求(第17条)、包装・ラベル・真正性表示に対する準備行為の禁止(第15条)も規定されています。
10. 侵害訴訟と救済:ビリニュス地方裁判所の専属管轄、ライセンス料の2倍、判決公表
登録商標の権利者は、業として無断で使用される標識が、(1) 商標・商品ともに同一、(2) 同一・類似で混同(連想を含む)のおそれ、(3) 同一・類似でリトアニアで名声を有する商標の不正利用・毀損となる場合に、その使用を禁止できます(第14条2項)。禁止できる行為は、商品・包装への付着、提供・流通・保管、輸入・輸出、商号・会社名としての使用、取引書類・広告での使用、指令に反する比較広告での使用などです(第14条3項)。
管轄(第69条):審判部の決定に対する不服、商標権侵害、侵害訴訟での無効・取消の反訴、周知商標の認定、EU商標規則に基づくEUTMの事件は、いずれもビリニュス地方裁判所(Vilniaus apygardos teismas)の専属管轄です。ビリニュス地方裁判所はEU商標裁判所を兼ね(第78条2項)、控訴はリトアニア控訴院、上告は最高裁判所が扱い、いずれにも知的財産を専門とする裁判官がいます(WIPO Lex「Judicial Administration Structure for IP Disputes: Lithuania」)。著作権の経済的権利、不正競争、営業秘密、商号などの事件は地区裁判所が第一審です。EUIPOの費用決定は控訴院が5営業日以内に執行文を付与します(第78条3項)。
救済(第70〜76条)はEU執行指令に沿って整備されています。原告(出願人、権利者、承継人、独占的ライセンシー)は、権利の確認、侵害行為の差止、侵害のおそれのある行為の禁止、財産的損害(逸失利益と費用)および非財産的損害の賠償を請求できます(第70条1項)。差止の実効性を確保するための強制金(第70条2項)、侵害者が過失なく行動し差止・是正措置が不均衡な場合の金銭補償への代替(第70条3項)、サービスを侵害に利用されている仲介者への差止命令(第70条4項)、侵害品の出所・流通経路に関する情報請求権(第71条)、証拠保全・仮処分(第72〜73条、仲介者へのサービス停止命令や商品の差押えを含む)、侵害品の回収・流通からの除去・廃棄と製造設備の廃棄(第74条)、判決の公表(第76条、侵害者の費用負担)が規定されています。
損害賠償(第75条)は、侵害の性質、損害額、逸失利益、費用を考慮して算定し、侵害者の利益を損害とみなすこともできます(第75条2項)。実損害に代えて、侵害者が適法に使用許諾を得ていれば支払うべきであったライセンス料相当額を請求でき、故意または重過失による侵害ではその2倍まで請求できます(第75条4項)。侵害者に過失がない場合でも、侵害者が得た利益の返還を命じることができ、原告は総収入を立証すれば足り、経費控除後の純利益は侵害者が立証します(第75条5項)。非財産的損害の賠償も認められます(第75条6項)。類否判断の先例としては、最高裁判所2020年7月2日判決(UAB「Eko Herba」対Ebro Foods、事件番号e3K-3-207-823/2020)が、識別力の弱い共通要素を含む商標の混同のおそれの評価において、先行商標の識別力の程度が重要な考慮要素であることを示しています。
11. 刑事罰・行政罰:刑法204条と行政違反法典125条
刑法第204条「他人の商品・役務商標の使用」は、(1) 許諾なく他人の商標を大量の商品に付し、またはそれを販売に供し、あるいは他人のサービスマークを使用して重大な損害を生じさせた者を、罰金、自由の制限、または2年以下の拘禁で処罰し、(2) 少量の商品について同様の行為で損害を生じさせた者は刑事軽犯罪(baudžiamasis nusižengimas)として社会奉仕、罰金、自由の制限で処罰し、(3) 法人も責任を負うと定めています。「大量」「重大な損害」の基準は刑法総則の基準額(最低生活水準額MGLの倍数)と判例により判断され、最高裁判所は2023年に第204条の適用に関する判例概観を公表しています。2023年4月27日の刑法改正法(法律第XIV-1925号、2023年6月1日施行)が第203条・第204条の構成要件を一部改めましたが、基本的な枠組みは維持されているとされています。刑事事件は地区裁判所が第一審です。
行政違反法典第125条「産業財産権の侵害」は、他人の商標を違法に付した商品の商業目的での保管・運搬(および他人の意匠・特許を使って違法に製造した商品の保管・運搬)に280〜600ユーロの過料を科し、再犯には600〜850ユーロを科します。いずれの場合も、違法に表示された商品と、その製造に専ら・主として用いられる設備・材料の没収が必須です(同条3〜4項)。過料の額は低く、実務上の抑止力は没収と、EU税関規則に基づく水際措置、民事の差止・損害賠償にあります。
12. 税関と模倣品対策:EU規則608/2013・税関差止申請(AFA)・2024年のEU執行報告
商標法第77条は、第三国からリトアニアに持ち込まれる(自由流通に置かれる前の)商品および第三国へ輸出される商品に対し、EU法とリトアニア法に基づく税関監視措置を適用すると定めています。実際の手続はEU加盟国共通のEU規則(EU)608/2013(知的財産権の税関執行規則)に基づき、権利者は税関差止申請(Application for Action、AFA)を提出します。EUTMや国際登録のEU指定を根拠とする場合はEU全加盟国に効力のあるEU申請を、リトアニアの国内登録を根拠とする場合はリトアニア税関(Lietuvos muitinė)への国内申請を行い、EUIPOのIP Enforcement Portalから電子的に提出できます。申請の有効期間は1年(更新可)、税関は疑義のある貨物を発見すると権利者と申告人に通知し、権利者は10営業日(生鮮品3営業日)以内に侵害の有無を確認して、簡易手続による廃棄への同意を得るか訴訟を提起します。小口貨物(郵便・宅配)には申告人の反対がなければ廃棄できる特別手続があります。
欧州委員会とEUIPOの2024年の執行報告(2025年10月公表)によれば、2024年にEU域内市場と国境で差し止められた模倣品は1億1,200万点、推定小売価額38億ユーロで、国境での差止めは約2,000万点・15億ユーロと10年来の高水準でした。原産地は中国、トルコに加えてアラブ首長国連邦が上位3か国に入っています。差止件数の約9割はイタリア、スペイン、フランス、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、ポーランドの7か国に集中し、リトアニア単独の差止統計は同報告の概要には示されていません。リトアニアはベラルーシ・ロシア(カリーニングラード)と国境を接するEUの外縁に位置し、クライペダ港と陸路の国境検問所が主な通関地点です。ベラルーシ・ロシア向けの制裁品の監視が強化されている一方で、第三国からの模倣品の流入経路としてはポーランド経由の陸送と電子商取引の小口貨物が中心です。
実務上の注意:EU申請1本でバルト三国をカバー
EUTMまたは国際登録のEU指定を保有していれば、EU規則608/2013のEU申請(Union application)をEUIPOのIP Enforcement Portalから1回提出するだけで、リトアニアを含む27か国の税関で差止めを受けられます。リトアニアの国内登録しかない場合は国内申請になり、ラトビア・エストニアは別途必要です。申請には真正品と模倣品の識別情報、正規の輸入者・流通業者の情報、連絡先(24時間対応が望ましい)を登録し、税関からの通知に10営業日以内に応答できる体制を整えておきます。
13. EUTM・マドプロ・国内出願の使い分けと日本企業の実務ポイント
リトアニアはEU加盟国なので、EUTM(欧州連合商標)を取得すればリトアニアを含む27か国で保護されます。EUTMは1件の出願でEU全域をカバーでき、EU域内のどこかで真正使用があれば不使用取消を免れますが、1か国でも絶対的理由や先行商標があれば全体が拒絶・無効になる「オール・オア・ナッシング」の性質があります。その場合はEUTMを国内出願に転換(conversion)してリトアニアの出願日を維持できます。マドプロでは、EUを指定する方法(個別手数料CHF 789、2区分目48、3区分目以降144)とリトアニアを個別に指定する方法(個別手数料なし、補足手数料CHF 100)があり、リトアニア指定は拒絶通報期間18か月、国内段階での異議はWIPO公報掲載から3か月です。国内出願(180ユーロ)は、リトアニア語表記の商標、バルト限定のブランド、EUTMの拒絶リスクが高い商標、国内の先行商標に対する防御的な権利取得などに向いています。
| 観点 | 国内出願(国家特許庁) | EUTM(EUIPO) | マドプロ(リトアニア指定) |
|---|---|---|---|
| 公的費用(3区分) | 260ユーロ(約4.6万円)+現地弁理士費用 | 1,050ユーロ(約18.6万円)。EU27か国 | 補足手数料CHF 100+基本手数料CHF 653。拒絶がなければ現地代理人不要 |
| 審査・期間 | 絶対的理由のみ。審査1〜2か月+異議3か月で約5〜7か月。急速審査150ユーロ | 絶対的理由のみ。公告後3か月の異議。約4〜6か月 | 絶対的理由のみ。拒絶通報18か月、異議はWIPO公報から3か月 |
| 代理人 | EEA外の企業はリトアニア弁理士が必須(第38条2項) | EEA外の企業はEEAの代理人が必須 | 暫定拒絶・異議への応答時にリトアニア弁理士 |
| 使用義務 | リトアニア国内での真正使用(登録から5年) | EU域内での真正使用(登録から5年) | リトアニア国内。起算は拒絶・異議ができなくなった日 |
| 向いているケース | リトアニア語表記、バルト限定ブランド、EUTM拒絶時の転換、国内先行商標への対抗 | EU全域で展開する主力ブランド、税関のEU申請を1本で済ませたい場合 | 日本の基礎出願・登録を使って複数国と一括管理、EU指定との併用 |
日本企業の実務ポイントを整理します。第一に、EUTMを軸にした権利設計です。リトアニア単独の需要は小さく、2025年の日本からの国内出願は1件、マドプロ指定は12件です。EU全域で使うブランドはEUTMで押さえ、リトアニア語のブランド名やバルト三国向けの商品名、EUTMの拒絶で転換が必要な商標に国内出願を使います。第二に、先行調査と公報監視です。国家特許庁は先行商標を引用しないため、EUTM・国際登録・国内登録の三層で調査し、登録後も公報監視で類似出願に異議を申し立てます。第三に、使用証拠の保全です。登録から5年を超えると、異議・無効・侵害訴訟のすべてで使用証明を求められるため、リトアニア(EUTMならEU)での販売実績を記録します。第四に、譲渡は登録しないと無効(第26条4項)なので、グループ内の名義整理や買収時には必ず登録簿への記録まで行います。第五に、並行輸入はEU域内消尽の下でEU域外からの流入を止められ、医薬品の再包装・名称変更には2025年最高裁判決の基準が適用されます。第六に、INPITの外国出願補助金はEUTM・マドプロ・国内出願のいずれにも使えます。隣国ラトビア・エストニアの制度は本シリーズで順次解説します。中央アジア・コーカサスの制度はジョージアやカザフスタンの解説記事を、マドプロの基本はマドプロ(マドリッド協定議定書)の解説記事を、EUTMの制度は欧州連合商標(EUTM)の解説記事をあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. EUTMを持っていればリトアニアの国内出願は不要ですか?
原則として不要です。EUTMはリトアニアを含むEU27か国で効力を持ち、税関差止もEU申請1本で済みます。国内出願が意味を持つのは、(1) リトアニア語表記やバルト限定のブランド、(2) EUTMがどこかの加盟国の先行商標で拒絶・無効になった場合の国内出願への転換、(3) EUTMの出願前にリトアニアの先行商標を押さえておきたい場合、(4) 費用を抑えてリトアニアだけで権利が欲しい場合(3区分260ユーロ)です。なお、リトアニアの先願国内商標はEUTMの相対的拒絶理由(異議理由)になるため、EUTM出願前にリトアニアを含む各国の国内登録を調査しておくことが大切です。
Q2. 国家特許庁は先行商標を調べてくれますか?
いいえ。国家特許庁の実体審査は第7条の絶対的理由のみで(第43条1項)、先行商標との抵触は公告後3か月以内に先行権利者が審判部に異議を申し立てて初めて問題になります(第56条)。先行商標には国内登録だけでなくリトアニアを指定した国際登録とEUTMも含まれるため(第8条2項)、出願前に三層の先行調査を行い、登録後は公報監視を続けることが必要です。先行権利者の同意があれば登録でき、無効にもなりません(第8条4項)。
Q3. 現地代理人は必要ですか?委任状の公証は必要ですか?
EU・EEA域内に住所・本店・支店・駐在員事務所を持たない日本企業は、リトアニア弁理士を通じて出願・登録・国際登録・審判部の手続を行わなければなりません(第38条2項)。委任状は単純な書面で足り、国家特許庁に提出する書類に公証・認証は一切不要です(第54条3〜4項)。マドプロ指定で拒絶も異議もなければ代理人は不要ですが、暫定拒絶への応答や異議の手続では選任が必要です。EUTMについても、EEA外の企業はEEA内の代理人の選任が必要です。
Q4. 登録までどのくらいかかりますか?
出願日の付与が受理から1か月以内、審査の補正期間が2か月、公告後の異議期間が3か月です。国家特許庁は商標審査の平均期間の目標を1.5か月としており、WIPOの統計では登録までの平均日数が35日と算定されています。拒絶理由や異議がなければ出願から5〜7か月程度が目安で、150ユーロの急速審査を使えば審査段階が短縮されます(ただし異議期間3か月は短縮されません)。拒絶決定が出れば再審査2か月、審判2か月、ビリニュス地方裁判所への出訴3か月と段階が増えます。
Q5. 使っていない商標はいつ取り消されますか?
登録から5年以内に、または継続5年間、リトアニアで指定商品について真正に使用されていないと、利害関係人の請求により国家特許庁の審判部が登録を取り消します(第23条、第58条、手数料180ユーロ)。取消請求前に使用を再開していれば取り消されませんが、請求を予期した後の請求前3か月以内の再開は考慮されません。マドプロの国際登録では5年の起算日が「リトアニアで拒絶・異議ができなくなった日」になります(第20条2項)。登録から5年を超えると、異議・無効・侵害訴訟でも相手方から使用証明を求められる点に注意が必要です。
Q6. 模倣品が入ってきたら税関で止められますか?
はい。EU規則608/2013に基づく税関差止申請(AFA)を提出すれば、リトアニア税関が第三国からの輸入・輸出貨物を差し止めます。EUTMや国際登録のEU指定を根拠にすればEU全域に効力のある申請を1本で提出でき、EUIPOのIP Enforcement Portalから電子申請できます。差止後は10営業日以内に侵害を確認し、簡易手続で廃棄への同意を得るか、ビリニュス地方裁判所に提訴します。EU域内で正規に流通した商品の並行輸入はEU域内消尽により止められませんが、EU域外からの並行輸入は商標権で止められます。
Q7. 費用の総額はいくらですか?
国内出願の公的費用は1区分180ユーロ(約3.2万円)、追加区分40ユーロで、登録料・公告料は不要です。3区分なら260ユーロ(約4.6万円)で、これに現地弁理士の費用(事務所により異なり、出願から登録までで8万〜15万円程度が一般的な目安)が加わります。10年後の更新は1区分180ユーロ+追加区分40ユーロ、異議160ユーロ、無効・取消180ユーロ、審判60ユーロです。EUTMは1区分850ユーロ(2区分目50、3区分目以降各150)、マドプロでリトアニアを指定する場合の個別手数料はなく、補足手数料CHF 100です。
まとめ
リトアニアの商標制度は、EU商標指令を国内法化した2019年改正後の2000年商標法の下で、ビリニュスの国家特許庁が絶対的理由のみを職権審査し、公告後3か月の異議を審判部が審理する、EU標準型の制度です。費用は1区分180ユーロ、3区分でも260ユーロとEUで最も手頃な部類で、EEA外の企業はリトアニア弁理士の選任が必須ですが、委任状の公証は不要です。存続期間は出願日から10年、不使用取消と無効は審判部が扱い(侵害訴訟では反訴可)、登録5年超の先行商標には使用証明が求められ、5年の黙認で失権します。侵害訴訟はビリニュス地方裁判所の専属管轄で、差止・廃棄・情報請求に加えてライセンス料相当額の2倍までの請求が認められ、2025年の最高裁判決は並行輸入医薬品の名称変更を侵害と判断しました。刑事罰は刑法204条、行政罰は行政違反法典125条、税関はEU規則608/2013のAFAで対応します。2025年の国内出願3,130件の95%は国内企業で、日本企業はEUTMとマドプロが中心です。EUTMを軸に、リトアニア語表記やバルト限定ブランドに国内出願を組み合わせ、三層の先行調査と使用証拠の保全を続けることが実務のポイントです。
各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。
リトアニア・バルト三国・EUへの商標出願は弁理士にご相談ください
EUTM・マドプロ・国内出願の使い分け、EUTM・国際登録・国内登録の三層での先行商標調査と公報監視、審判部への異議・無効・取消請求と使用証明の準備、EU税関差止申請(AFA)の提出、並行輸入対策、ラトビア・エストニア・ポーランドを含む北欧・バルト地域の商標ポートフォリオ設計、INPIT外国出願補助金の申請まで、知的財産事務所エボリクスが現地弁理士と連携して一貫してサポートします。初回相談は無料です。
出典・参考文献
本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年10月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。
法令
- リトアニア共和国商標法(2000年10月10日法律第VIII-1981号、2022年1月1日統合版・公式英訳、WIPO Lex)/定義(第2条)、®表示(第3条)、周知商標(第4条)、商標の構成(第5条)、絶対的理由(第7条)、相対的理由と同意(第8条)、黙認(第12条)、権利(第14条)、準備行為(第15条)、代理人登録(第17条)、制限(第18条)、EU域内消尽(第19条)、使用(第20条)、使用証明の抗弁(第21条)、介入権(第22条)、取消理由(第23〜24条)、譲渡・ライセンス・物権(第26〜29条)、弁理士強制(第38条2項)、出願・出願日・優先権・分類(第38〜41条)、審査・再審査・情報提供・審判(第42〜45条)、公告・暫定保護・登録(第46〜47条)、登録簿(第48条)、分割(第52条)、書類・言語・委任状(第54条)、期間延長(第55条)、異議(第56〜57条)、取消・無効手続(第58〜61条)、存続期間・更新(第62〜63条)、国際登録(第64〜68条)、管轄(第69条)、救済(第70〜76条)、税関(第77条)、EU商標規則(第78条)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/21600 - リトアニア刑法第204条「他人の商品・役務商標の使用」(法令ポータル lrvalstybe.lt 掲載の条文)/大量・重大な損害の場合の罰金・自由制限・2年以下の拘禁、少量の場合の刑事軽犯罪、法人の責任の根拠。
https://lrvalstybe.lt/istatymai/straipsnis/204-straipsnis-svetimo-prekiu-ar-paslaugu-zenklo-naudojimas - リトアニア行政違反法典第125条「産業財産権の侵害」(lrvalstybe.lt 掲載の条文)/商業目的の保管・運搬への280〜600ユーロ、再犯600〜850ユーロの過料と商品・製造設備の必須没収の根拠。
https://lrvalstybe.lt/istatymai/straipsnis/125-straipsnis-pramonines-nuosavybes-teisiu-pazeidimas - EU規則(EU)608/2013(知的財産権の税関執行規則、EUR-Lex)/税関差止申請(国内申請・EU申請)、差止後10営業日(生鮮品3営業日)、簡易廃棄手続、小口貨物手続の根拠。
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2013/608/oj/eng
国家特許庁(VPB)
- 国家特許庁「Fees for Trade Marks」(2019年1月1日適用の商標料金表)/出願180+40、団体・証明標章240+40、急速審査150、更新180+40(追納50%増)、国際出願70+40、転換80、分割90、審判60、異議160、無効・取消180、期間延長30、譲渡80、ライセンス50、変更60の根拠。
https://vpb.lrv.lt/en/services/trademarks/fees-2/ - 国家特許庁「2025年リトアニア共和国産業財産保護統計(Statistics of the year 2025)」/2025年の国内出願3,130件(5,764区分、国内2,985件、外国145件、日本1件)、登録2,616件(外国123件)、優先権付き登録18件、有効登録37,886件(2025年12月31日)、リトアニア指定の国際登録830件(中国107件、日本12件)、国際出願44件の根拠。
https://vpb.lrv.lt/public/canonical/1771920712/4645/2025-uju-VPB-statistika.pdf - 国家特許庁「VPB metinė apžvalga 2025」(2025年年次概観)/出願人の内訳(法人80%)、商標の種類別件数、上位区分(第35類1,005件等)、国際登録への保護付与615件、譲渡415件・ライセンス11件・質権337件の記録、更新1,722件・抹消1,850件、審判部の受理件数と決定52件(異議32件、無効9件、取消6件、審判5件)、認容32件・一部認容2件・棄却12件、メディエーション11件和解、出訴1件の根拠。
https://vpb.lrv.lt/public/canonical/1783421486/4798/VPB%20metine%20apzvalga%202025.pdf - 国家特許庁「Statistics」(年次統計一覧ページ)/2016〜2025年の統計資料の所在と所在地(Kalvarijų g. 3, Vilnius)の根拠。
https://vpb.lrv.lt/en/structure-and-contacts-1/statistics/ - 国家特許庁「Teismų praktikos apžvalga – 2025 II ketv.」(裁判例概観、2025年第2四半期)/最高裁判所2025年6月25日判決(Berlin-Chemie AG対UAB「Lex ano」、e3K-3-122-469/2025)の概要の根拠。
https://vpb.lrv.lt/public/canonical/1752218685/3868/Teismu_praktikos_apzvalga_-_2025_II_ketv.pdf - 国家特許庁「VPB Apeliacinio skyriaus praktika 2025 metų」(審判部の2025年実務)/審判部の異議・無効・取消決定の実務の根拠。
https://vpb.lrv.lt/public/canonical/1782905448/4794/VPB%20APELIACINIO%20SKYRIAUS%20PRAKTIKA%202025%20met%C5%B3.pdf
WIPO・EU
- WIPO Lex「Judicial Administration Structure for IP Disputes: Lithuania」/ビリニュス地方裁判所の専属管轄、控訴院・最高裁判所、地区裁判所の管轄、審判部の行政手続、知財専門裁判官の根拠。
https://www.wipo.int/en/web/wipolex/judicial-administration-structure/lt - WIPO Lex「Madrid Protocol – Lithuania: Dates and Declarations」/加盟書寄託1997年8月15日・発効1997年11月15日、第5条2項b・c号の宣言(拒絶通報18か月、異議に基づく拒絶はそれ以降も可)、個別手数料の宣言がないことの根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/parties/remarks/LT/8 - WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/リトアニアが個別手数料を設定していないこと、EU指定の個別手数料CHF 789(1区分)+48+144の根拠。
https://www.wipo.int/en/web/madrid-system/fees/ind_taxes - WIPO「Statistical Country Profile: Lithuania」(2024年データ)/区分数ベースの国内出願6,578件(居住者74.9%)、リトアニア居住者のEUIPO出願2,767件、有効登録36,938件、審査官1人当たり1,315.6件、登録までの平均35日、マドリッド国際出願132件の根拠。
https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/lt.pdf - WIPO Lex 判例要旨「UAB „Eko Herba“ v. Ebro Foods, S.A.(リトアニア最高裁判所2020年7月2日、e3K-3-207-823/2020)」/識別力の弱い共通要素と混同のおそれの評価に関する判示の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/text/583190 - EUIPO「Fees payable direct to EUIPO」/EUTMの出願料850ユーロ(1区分、電子)、2区分目50ユーロ、3区分目以降150ユーロの根拠。
https://www.euipo.europa.eu/en/trade-marks/before-applying/fees-payable-direct-to-euipo - 欧州委員会「European Union detains 112 million counterfeit items worth €3.8 billion in 2024」(2025年10月1日)/2024年のEU全体の差止1億1,200万点・38億ユーロ、国境2,000万点・15億ユーロ、原産地(中国・トルコ・UAE)、7か国への集中の根拠。
https://taxation-customs.ec.europa.eu/news/european-union-detains-112-million-counterfeit-items-worth-eu38-billion-2024-2025-10-01_en - EUIPO「IP Enforcement Portal」/税関差止申請(AFA)の電子提出窓口の根拠。
https://ipenforcementportal.eu/
日本政府・専門家の解説
- 外務省「リトアニア共和国 基礎データ」(令和8年7月21日更新)/面積、人口288万人、EU・NATO加盟(2004年)、ユーロ導入(2015年)、OECD加盟(2018年)、GDP848億米ドル、2024年の対日貿易(輸出97億円・輸入225億円)、主要品目、在留邦人131人、戦略的パートナーシップ(2022年)、租税条約(2018年発効)、ワーキング・ホリデー(2019年)、2025年のナウセーダ大統領訪日と港湾協力覚書、杉原千畝の根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/lithuania/data.html - 欧州中央銀行「Euro foreign exchange reference rates: Japanese yen」/2026年10月20日の参考レート(1ユーロ=177.34円、1ユーロ=0.9237スイスフラン)に基づく円換算の根拠。
https://www.ecb.europa.eu/stats/policy_and_exchange_rates/euro_reference_exchange_rates/html/eurofxref-graph-jpy.en.html - COBALT「Berlin-Chemie AG wins case against parallel importer over trademark infringement」(2025年)/ハンガリーからの並行輸入医薬品の名称変更、ビリニュス地方裁判所の棄却と控訴院の逆転、最高裁の判断(名称変更の必要性の不立証)の根拠(原告代理人事務所の解説)。
https://www.cobalt.legal/news-cases/berlin-chemie-ag-wins-case-against-parallel-importer-over-trademark-infringement/ - AGIP「Lithuania Amends Trademark Law」(2013年)/2013年6月1日施行の改正(シンガポール条約批准、名声商標を理由とする異議、分割出願、黙認の明確化)の根拠。
https://www.agip.com/news/en/news/3525
※本記事の情報は2026年10月時点のものです。2025年10月16日の改正法第XV-494号(2027年1月1日施行予定)の内容は施行前に確認が必要で、国家特許庁の手数料は手数料法の改正で変わるため、実際の出願にあたっては国家特許庁の最新情報と現地弁理士の確認をおすすめします。円換算は1ユーロ≒177円、1スイスフラン≒192円の概算です。