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ラオス商標制度の実務ガイド|2023年知的財産法(2024年1月施行)と商標に関する決定第0874号(2025年)・絶対的理由と相対的理由の審査・方式審査後の公開と60日の異議・ラオス語願書と発音の記載・商工省登録代理法人と公証不要の委任状・公費は1区分約150万キープ(約1万円)・出願日から10年・不使用取消5年・マドプロ個別手数料41スイスフラン・行政摘発と税関録記を弁理士が徹底解説
ラオス人民民主共和国は、タイ・ベトナム・中国・カンボジア・ミャンマーに囲まれた人口約758万人の内陸国で、水力発電による電力輸出と鉱物資源、農産物を柱に、中国・ラオス鉄道(2021年開業)を通じた物流拠点化が進んでいます。日本とは2008年に投資協定を発効させ、2025年1月には両国関係が包括的戦略的パートナーシップに格上げされました。進出日系企業は110社(2025年6月、ラオス日本人商工会議所)、在留邦人は621人(2025年10月)と規模は小さいものの、縫製・部品製造や電力、小売・サービスの進出が続いています。商標を所管するのは商工省知的財産局(DIP:Department of Intellectual Property, Ministry of Industry and Commerce)で、2021年の科学技術省の解体に伴って商工省に移管されました。
制度の根拠は知的財産法(2023年11月20日の第50/NA号、2024年1月24日施行)と、その下位法令である商標に関する商工省決定(2025年5月20日の第0874号、同年7月4日施行)です。審査は絶対的理由と相対的理由(先行商標・周知商標・商号)の両方について行われ、方式審査後の公告に対して公告日から60日の異議申立てが可能で、存続期間は出願日から10年、不使用取消は5年です。公的手数料は1商標1区分で約150万キープ(約1万円)、マドリッド議定書(2016年加盟)による指定なら個別手数料41スイスフラン(約8,000円)と費用は軽く、委任状の公証も2023年に不要になりました。他方、ラオス語での手続と外国語商標の発音・意味の記載、商工省登録の代理法人を通じてしか出願できないこと、2023年の全面改正で民事救済や紛争処理の条文が知的財産法から姿を消したこと、公式の料金表が英語で公開されていないことなど、注意すべき点もあります。本記事では、WIPO Lexが公開する知的財産法の英訳と日本特許庁の日本語仮訳、日本特許庁が公開する商標規則の日本語訳、商工省知的財産局の公開情報、WIPOの統計とマドリッド制度の通知、外務省・ジェトロの資料、ジェトロの権利執行調査と模倣品流通調査、現地事務所の解説を照合し、日本企業がラオスで商標を取得・維持・行使するために必要な事項を弁理士が解説します。
この記事のポイント
- 根拠法は知的財産法第50/NA号(2023年11月20日採択、2024年1月5日公布令、2024年1月24日施行、官報2024年3月1日)。2007年法→2011年法→2017年法(第38/NA号、異議申立制度を導入)に続く4度目の全面改正。下位法令は商標に関する決定第0874号(2025年5月20日、同年7月4日施行。2023年の第0436/MOIC号を置換)と、行政紛争処理に関する決定第0306/IC号(2026年4月24日施行。2023年の第0441/MOIC号を置換)。所管は商工省知的財産局(DIP)。
- 審査は絶対的理由と相対的理由の両方(第23条:識別力の欠如、記述的・慣用的表示、誤認、国章・著名人・文化財、先行登録商標との同一・類似、周知商標、商号、地理的表示、公序良俗など18項目)。方式審査(60日以内)の完了後15日以内に公報で公開され、公開日から60日の異議申立てができる(第39条)。実体審査の拒絶理由通知への応答は60日(30日延長可)。
- 公的手数料は商工省知的財産局の案内で1商標1区分あたり約150万キープ(出願・登録・公告を一括納付。現地事務所の資料では1区分152万キープ+追加区分80万キープ)。本記事では1万キープ≒69円(2026年11月3日のラオス中央銀行公式レート、1円=約145キープ)で換算した。マドプロ指定の個別手数料は1区分41スイスフラン、追加区分29スイスフラン(2026年6月28日改定、1スイスフラン≒193円)。
- 存続期間は出願日から10年(第59条)。更新は満了前6か月以内に申請し、満了後6か月の猶予期間は遅延料を払えば更新できる。5年間継続して使用されていない商標(名目的な使用を含む)は、何人も商工省に取消を請求できる(第65条)。登録公告から5年以内の取消請求(第44条)のほか、虚偽または悪意の登録は商工省が職権で取り消せる。
- マドリッド議定書に2016年3月7日加盟(協定には未加盟)。拒絶通報期間を18か月に延長する宣言と個別手数料の宣言をしており、ライセンスの記録は国際登録簿に効力がない旨も宣言。2024年の商標出願は4,038件で外国出願人が3,229件(80%)、日本からは99件(WIPO統計)。区分数ベースの非居住者出願の出所は中国40%、韓国・米国・シンガポール各6%。
- 権利行使は、商工局(DOIC)の公式意見書を得たうえでの行政摘発、経済警察による刑事手続(刑法第246条:1〜3年の自由剥奪刑と500万〜2,000万キープの罰金)、人民裁判所での民事訴訟、税関への権利者情報の申告(録記)と輸入差止め(財務省ガイドライン第0121号、2022年)を組み合わせる。ただし裁判例は極めて少なく、2018〜2023年に裁判に至った模倣品事件はない。
- ラオス語での出願が必須で、外国語の商標にはラオス語での説明と発音を添える。英語の添付書類は出願から90日以内に認証翻訳を提出。外国出願人は商工省知的財産局に登録された知的財産代理法人を通じてのみ出願でき、委任状は公証・認証不要(2023年6月26日以降)で写しでも可(決定第0874号)。
- 慎重に扱うべき点:公式料金表の原文が未入手で、日本特許庁の制度概要の料金表(出願2万キープ+審査5万キープ/区分など)と現地資料の数値が大きく異なること、2023年法から紛争処理・民事救済・仮処分・税関手続の条文が削除され民事訴訟法・経済紛争解決法・関税法・刑法に委ねられたこと、2025年の決定第0874号は英訳が公開されていないこと、消尽規定(第45条)と並行輸入の関係、国際登録に対する異議の取扱い。
目次
- ラオス商標制度の全体像:知的財産法(2007年・2011年・2017年・2023年)、商標に関する決定第0874号、商工省知的財産局、条約加盟
- 市場環境と統計:年間出願4,000件台、外国出願人が8割、日本からは年50〜100件、登録まで8〜12か月、日系企業110社
- 保護対象と登録要件:標章の種類、周知商標の7要件、第23条の不登録事由18項目、商号の登録要件
- 出願手続の流れ:代理法人、委任状、ラオス語と発音、方式審査60日、公開と異議60日、実体審査と応答60日、登録まで8〜12か月
- 費用の目安:公的手数料約150万キープ、代理人費用、マドプロ個別手数料41スイスフラン、為替と料金表の注意
- 拒絶理由・異議申立て・不服申立て:応答60日+30日、行政紛争処理委員会(決定第0306/IC号)、再審査請求30日、人民裁判所
- 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了前6か月の更新、猶予6か月、電子更新、区分の再分類
- 無効・取消:公告から5年以内の取消請求、虚偽・悪意登録の職権取消、不使用5年、行政取消と裁判所
- マドプロ指定の実務:2016年加盟、18か月宣言、個別手数料41/29スイスフラン、暫定拒絶への応答、直接出願との比較
- 使用・譲渡・ライセンス:移転の記録、ライセンスの記録、消尽と並行輸入、商号
- 侵害への救済:行政摘発、刑事手続、民事訴訟、2023年法と紛争処理規定、裁判例と執行実績
- 税関での水際措置:権利者情報の申告(録記)、差止申請と供託金、職権差止め、国境の実情
- 日本企業の出願戦略と実務ポイント:先取り対策、マドプロか直接出願か、ラオス語表記、区分設計、公報監視、使用証拠、税関録記、2025年決定の確認
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 出典・参考文献
1. ラオス商標制度の全体像:知的財産法(2007年・2011年・2017年・2023年)、商標に関する決定第0874号、商工省知的財産局、条約加盟
ラオスの商標保護は、1995年1月18日の商標に関する首相令第06/PM号に始まります。2007年12月に特許・意匠・商標・著作権・植物新品種を一本にまとめた知的財産法(第08/NA号)が制定され(2008年4月施行)、2011年12月20日の改正法(第01/NA号、2012年1月16日施行)、2017年11月15日の改正法(第38/NA号、2018年6月9日施行)を経て、現在は2023年11月20日に国民議会が採択した知的財産法第50/NA号が適用されています。同法は2024年1月5日の国家主席令で公布され、第141条(日本特許庁の仮訳では第142条)により2024年1月24日に施行、官報には同年3月1日に掲載されました。2017年法は存続期間の起算日を登録日から出願日に改め、方式審査後の公告に対する異議申立制度を導入した改正で、2023年法は周知商標の要件から「領域内」「国内」の語を削除し、商号の登録を保護の要件とし、登録公告から5年以内の取消請求に加えて虚偽・悪意の登録を商工省が取り消せる規定と権利の消尽の規定を新設しました。
商標の手続の細目は、知的財産法の下位法令である商工省の決定で定められます。2019年12月17日の商標及び商号に関する科学技術省決定第2822/MOST号が2023年3月30日の商標規則(商工省決定第0436/MOIC号)に置き換えられ、さらに2025年5月20日の商標に関する決定第0874号が同年7月4日に施行されて第0436号を置き換えました。第0874号は制度を大きく変えるものではなく、委任状の写しでの提出、1通の委任状で複数出願をカバーできること、外国語商標の翻訳と発音の記載、電子更新の期限などを明確にしたものと現地事務所は説明しています。異議申立て・拒絶への不服・取消・削除を扱う行政紛争処理の手続は、2023年3月30日の決定第0441/MOIC号を経て、2026年4月24日施行の決定第0306/IC号(著作権の記録に関する紛争も対象に追加)に引き継がれています。本記事の条文番号は、知的財産法はWIPO Lexが公開する英訳(第1〜141条)に、商標規則は日本特許庁が公開する第0436号の日本語訳によります。
所管官庁は商工省知的財産局(DIP)です。知的財産局は長く科学技術省(MOST)の下にありましたが、2021年2月の党政治局の決定で科学技術省が解体され、商工省に移管されました。知的財産法第129条は、商工省を中央の調整機関とし、県・首都ビエンチャンの商工局(DOIC)と郡・市の商工事務所を含む3層の管理体制を定めています。商標の出願は県・首都の商工局または電子出願システムで受け付けられ、知的財産局が審査します(商標規則第8条・第35〜37条)。知的財産局は首都ビエンチャンのチャンタブリー郡に所在し、電子出願(IP e-Filing)、商標検索、公報(Official Gazette on Intellectual Property)をウェブサイトで提供しています。2018年のジェトロ調査では知的財産局の職員は60名、商標審査官は7名で、WIPOの2024年統計では審査官1人当たりの出願区分数は約1,024件と負担が大きい状況です。
条約については、WIPO設立条約(1995年1月17日)、パリ条約(1998年10月8日)、PCT(2006年6月14日)、ベルヌ条約(2012年3月14日)、WTO(2013年2月2日、TRIPS協定)、マドリッド議定書(2016年3月7日)、リスボン協定ジュネーブ改正協定(2021年2月20日)に加盟し、2026年7月14日にはハーグ協定ジュネーブ改正協定に加入して2026年10月14日に発効しました(意匠の国際登録。保護期間15年、公開延期18か月、拒絶通報期間12か月の宣言付き)。マドリッド協定(1891年)、ニース協定、ウィーン協定、商標法条約(TLT)、シンガポール条約には加盟していませんが、商品・役務の分類にはニース分類(第12版)を適用しています。ASEAN加盟国(1997年)としてASEAN知的財産協力枠組協定に参加し、特許については2016年11月から日本特許庁との特許付与円滑化協力(CPG)が、2025年4月1日から欧州特許の有効化制度が運用されています。
2. 市場環境と統計:年間出願4,000件台、外国出願人が8割、日本からは年50〜100件、登録まで8〜12か月、日系企業110社
外務省の基礎データ(2026年6月)によると、ラオスの面積は約24万平方キロメートル(本州とほぼ同じ)、人口は758.2万人(2023年)、名目GDPは約158億米ドル、1人当たりGDPは2,067米ドル(いずれも2023年)です。実質GDP成長率は2023年3.7%、2024年4.0%、2025年4.4%(ジェトロ)と回復基調にあるものの、2022年以降の通貨キープ安により消費者物価上昇率は2023年31.2%、2024年23.1%(2025年は7.7%)と高く、為替レートは2023年平均1米ドル=17,689キープから2024年には20,167キープ、2026年11月には約22,400キープまで下落しています。輸出は83.7億米ドル(電力・鉱物資源・農畜産物)、輸入は71.9億米ドル(化石燃料・機械・車両)で、主要貿易相手国はタイ・中国・ベトナムです。日本との貿易は2025年に日本の輸出1.17億米ドル(輸送用機器・一般機械)、輸入1.72億米ドル(電気機器・衣類・木材・履物)で、進出日系企業はラオス日本人商工会議所の会員ベースで110社(2025年6月)、在留邦人は621人(2025年10月)です。
商標の出願件数は、日本特許庁の制度概要(WIPO統計)によると2021年1,559件、2022年2,650件、2023年3,436件、2024年4,038件と急増しています。このうち外国出願人の出願は2022年2,329件、2023年2,878件、2024年3,229件で全体の8割を占め、日本からの出願は2022年85件、2023年45件、2024年99件です。登録件数は2021年1,657件、2022年2,645件、2023年2,993件、2024年3,350件で、日本の出願人の登録は2024年に132件でした。WIPOの統計プロファイル(2024年)では区分数ベースの出願は7,165件(前年比10.7%増)で、居住者1,109件(15.5%)に対して非居住者が6,056件(84.5%)を占め、非居住者の出所は中国40.4%、ブルガリア9.1%、韓国5.8%、米国5.8%、シンガポール5.8%です。登録の区分数は6,516件、ラオスを本国とするマドプロ出願は7件にとどまり、ラオス企業の海外出願113件のうち約半分がマドリッド経由でした。
登録までの期間は、商工省知的財産局のウェブサイトが「約8か月」、現地事務所の資料が「10〜12か月」としています。2018年のジェトロ調査では月間の商標出願受理が200〜400件、登録が約300件で、知的財産局は特許8名・商標(地理的表示を含む)12名・著作権4名・権利行使4名などの体制でした。出願の急増に対して審査体制の拡充が追いついていないことが、現地事務所が「登録の遅れと権利行使の難しさ」を日常的な課題に挙げる背景です。
3. 保護対象と登録要件:標章の種類、周知商標の7要件、第23条の不登録事由18項目、商号の登録要件
知的財産法第16条は、商標登録証を受けることができる標章を「個人・法人・組織の商品または役務を他者のものと識別できる標識またはその組合せ」と定め、語、人名、文字、数字、図形要素、形状、立体画像、動画、商品の包装、色彩の組合せとこれらの組合せを例示しています。商標規則第5条は標章の種類として商標、サービスマーク、証明標章、団体標章の4種類を定め、語の標章にはラオス語での説明と発音を、色彩標章には色の特定または色コードを、立体標章には寸法を、動きの標章にはすべての動きを示す見本の電子ファイルを求めています(第10条)。音や匂いの商標は認められていません(WIPOのマドリッド制度概要)。
登録要件は、第16条により(1)識別力があること、(2)同一の商品・役務について先に登録された商標・周知商標・地理的表示と同一でないこと、(3)同一・類似・関連する商品・役務について先に登録された商標または周知商標と類似し、出所の混同や関連性の誤認を生じさせるものでないこと、(4)第23条の禁止事項を含まないこと、の4点です。第23条の不登録事由は18項目に及び、識別力の欠如、種類・品質・数量・用途・価格・原産地・製造時期を示す記述的表示や慣用表示、欺瞞的・虚偽の標章、出所・性質・製法・数量の誤認を生じさせる標章、国章・旗・公的記章・都市名などの無断使用、国際機関の記章、生存する人物の名称・肖像の無断使用、文化財・史跡・国民的英雄・指導者の名称や肖像、先行登録商標との同一・類似(9号)、周知商標との同一・類似(10号)、同一・類似の商品・役務を扱う商号との同一・類似(11号)、これらとの混同や関連性の誤認(12号)、真の産地以外を示す地理的表示(13号・14号)、人物・機関・信条・国の表象を貶める表示(15号)、競争者の営業・商品との混同や信用毀損(16号・17号)、国家の安全・社会秩序・文化・伝統に反する標章(18号)を列挙しています。商品の性質自体は拒絶理由になりません。現地事務所の資料によれば、使用により識別力を獲得した標章は登録が認められます。
周知商標は第3条で「ラオス国内の関係する分野で広く認識されている商標(宣伝の結果として認識されている場合を含む)」と定義され、第16条は周知性の判断資料として(1)取引・使用・広告を通じた関係公衆の認識、(2)商標を付した商品・役務の広範な流通、(3)販売数量・提供役務の量、(4)規則的かつ継続的な使用期間、(5)品質・サービス・人気に基づく信用、(6)国内消費者による評判の認識、(7)広告やイメージ形成への高額な投資、の7項目を挙げています。2017年法の「領域内で広く流通している」「国内の消費者」という文言から「領域内」「国内」が削られたため、世界的な流通や知名度の資料も周知性の立証に使えるようになったと現地事務所は評価していますが、すべての要件を満たす必要があるのか一部で足りるのかは条文上明らかでありません。周知商標は登録がなくても第50条の権利(混同を生じる使用、販売・広告、輸出入の差止め)が準用されます。
団体標章と証明標章は、組織の構成員のみが使用できる標章、品質・原産地・製法などの基準を証明する標章として登録でき、願書に使用の方法・目的・管理の説明を添えます(第33条、商標規則第7条)。商号については第19条が「企業の名称であり、商標の一部であるか否かを問わず、企業の商標が登録されれば出願・登録の義務なく保護される」と定めていますが、現地事務所は2023年法を「商号は第三者の侵害に対する保護を受けるために登録が必要になった」と読んでおり、商号を商標として登録することが推奨されています。出願人の資格(第26条)はラオス国民・居住者・ラオス法人のほか、パリ条約等の加盟国の国民・居住者・現実かつ有効な営業所を持つ者に認められ、外国人は内国民と同等の保護を受けます。ラオスは登録主義・先願主義(第28条)で、先使用者の抗弁を定める条文はなく、登録前の使用は周知商標に該当しない限り保護されません。
先行商標・周知商標との抵触は審査されますが、「知的財産局が自社の権利を守ってくれる」とは限りません
知的財産法第40条と商標規則第17条により、知的財産局は方式審査の後、自局のデータベースと国際データベースに基づいて先行商標との抵触を含む実体審査を行います。しかし現地事務所は、2023年法の下でも「著名ブランドが現地企業に悪意で登録され、長期の紛争になった」事例があることや、審査官の人員不足による遅れを報告しており、2018年のジェトロ調査でも商標審査官は7名でした。公報の監視と60日以内の異議申立て、周知性の資料の準備を自社で行う前提で臨むことが重要です。
4. 出願手続の流れ:代理法人、委任状、ラオス語と発音、方式審査60日、公開と異議60日、実体審査と応答60日、登録まで8〜12か月
出願は商工省知的財産局の書式により、県・首都ビエンチャンの商工局への提出または電子出願システム(IP e-Filing)で行います(商標規則第8条)。知的財産法第27条は、ラオスに営業所や居所を持たない外国の出願人に対してラオス国内の代理人の選任を義務づけ、商標規則第33条は外国人の出願を「知的財産登録サービスを行う代理法人またはラオスで法的行為を行う権限を有する弁護士」に限定していました。2025年の決定第0874号は弁護士が単独で代理する選択肢を削り、商工省知的財産局に登録された代理法人(法律事務所を含む)を通じてのみ出願できることにしたと現地事務所は説明しています。知的財産局はウェブサイトに登録代理人の一覧(約20社)を公開しています。
| 段階 | 内容(根拠条文・期間) |
|---|---|
| 1. 出願前の調査 | 知的財産局の知的財産情報サービスシステム(IP Search)で自ら検索するか、区分を指定して商工局に有料の商標調査を申請する。知的財産局は申請受領から10就業日以内に結果を通知するが、調査結果は法的証拠にはならない(商標規則第6条)。外国語の語や図形の標章にはラオス語での説明と発音を添える。WIPOのGlobal Brand DatabaseとMadrid Monitorも併用 |
| 2. 願書と添付書類 | 知的財産局の書式による願書、委任状(代理人による場合)、標章を明確に表示する図・写真・画像・見本、ニース分類の区分と商品・役務の一覧(団体・証明標章は使用・目的・管理の説明)、優先権書類(主張する場合)、手数料・サービス料金の受領証(知的財産法第33条、商標規則第7条)。1出願1商標で多区分可(2016年2月1日以降)。類見出しのみの指定や「すべての商品」の記載は認められず、商品・役務を具体的に列挙する |
| 3. 言語と翻訳 | 願書はラオス語。添付書類は英語でもよいが、出願から90日以内に翻訳法人の認証を受けたラオス語訳を電子様式で提出しなければ、出願は取り下げたものとみなされる(知的財産法第37条、商標規則第7条)。語の標章にはラオス語の説明と発音、外国語を含む標章には正確な翻訳とラオス語の発音を記載(決定第0874号)。標準文字標章はフォント名と15〜30ptのサイズを指定(商標規則第10条) |
| 4. 委任状 | 出願人の署名のある委任状。公証・領事認証は2023年6月26日の知的財産局通知第0973/DIP号で不要になり、決定第0874号により原本ではなく写しの提出で足り、1通の委任状で複数の出願をカバーできる。委任状は後日提出も可能(受領証の写しを添付)。代理人は委任状の真正性について責任を負い、疑義があれば知的財産局が確認する |
| 5. 出願日の認定 | 願書、標章の表示、商品・役務の一覧、手数料の受領証がそろえば商工局が出願番号と出願日を付与する(商標規則第9条)。不足書類は通知から60日以内に補完しなければ取下げ擬制。納付済みの手数料は取下げ・放棄・拒絶でも返還されない |
| 6. 優先権 | パリ条約に基づく優先権は最先の出願日から6か月(知的財産法第29条)。優先権書類(受理官庁が証明した出願の写し)は出願から3か月以内に認証不要・無料で提出できる。要件を満たさなければ実際の出願日が有効出願日になる。公認の国際博覧会での展示から6か月以内の仮保護の請求も可能(第30条) |
| 7. 方式審査 | 知的財産局が出願の完全性・様式・手数料の納付を審査し、受領日から60日以内に完了する(知的財産法第38条、商標規則第15条)。不備があれば商工局経由で3就業日以内に通知され、出願人は通知から60日以内に補正する。応答がなければ取下げ擬制。他の官庁や国際機関で方式審査済みの出願は方式審査を省略できる |
| 8. 公開と異議申立て | 方式審査の完了後15日以内に産業財産公報で出願を公開(商標、区分、出願番号・出願日、出願人、権利の部分放棄を掲載)。第三者は公開日から60日以内に、知的財産局の書式で手数料を納付して異議を申し立てる(知的財産法第39条、商標規則第16条)。申立てはラオス語で、本国の登録証明書を添付する(決定第0306/IC号、第6章参照) |
| 9. 実体審査 | 知的財産局が自局データベースと国際データベースに基づき、第16条・第23条の要件(識別力、先行商標・周知商標・商号との抵触など)を審査(知的財産法第40条、商標規則第17条)。審査請求は不要。要件を満たさない場合は最初の拒絶理由通知が発行され、出願人は通知から60日以内(理由があれば30日延長可)に書類・証拠・意見を提出する。応答がなければ放棄擬制。異議のない出願の実体審査は公開から90日以内に完了する |
| 10. 権利の部分放棄・補正・分割 | 記述的・慣用的な要素には排他権が認められず、出願人は拒絶理由通知から60日以内に部分放棄を表明できる(商標規則第18条)。補正は登録・拒絶の前ならいつでも無料でできるが、区分の追加や標章の要旨変更はできない(第21条)。出願の分割は登録証の発行・拒絶・取消の前なら可能で、各分割出願は原出願の出願日を維持する(第19条)。公開後の区分追加は再公開され、登録後の区分追加は新規出願扱い(第22条) |
| 11. 登録と公告 | 要件を満たすと知的財産局が商標登録証を発行し、登録簿とデータベースに記録して公報に登録を公告する(知的財産法第44条、商標規則第23条・第24条)。誤記の訂正は最初の公告から60日以内なら無料。第三者は登録公告から5年以内に取消・削除を請求できる |
| 12. 所要期間 | 知的財産局の案内では約8か月、現地事務所の資料では10〜12か月。方式審査60日+公開15日+異議60日+実体審査90日という規則上の期間を合計すると約7〜8か月になる |
ラオスの手続で特徴的なのは、公開(異議申立て)が実体審査の前に置かれている点です。方式審査を通過した出願が公報に掲載され、60日の異議期間を経てから識別力や先行商標との抵触が審査されるため、競合する出願を早い段階で把握できる反面、公報の監視を怠ると自社商標と類似する出願が異議なしに審査へ進みます。また、区分の指定と商品・役務の一覧は出願時のニース分類の版に従い、審査中に分類が改訂された場合は商工局の通知に応じて補正します。改訂で区分数が増えても出願段階の追加手数料は不要ですが、更新時には区分ごとの手数料が必要です(商標規則第12条)。
2025年の決定第0874号は英訳が公開されておらず、本記事の手続は2023年の商標規則(第0436号)の日本語訳に基づいています
商標手続の現行の細則は2025年7月4日施行の商標に関する決定第0874号ですが、2026年11月時点で公開されているのはラオ語の原文のみで、日本特許庁の日本語訳とWIPO Lexの収録は前身の第0436/MOIC号(2023年3月30日)までです。現地事務所(VDB Loi、Asia IP)は第0874号について「2023年の決定を大きく変えるものではない」としたうえで、委任状の写しでの提出、1通の委任状で複数出願をカバーできること、外国語商標の翻訳と発音の記載、更新申請を満了前6か月から受け付けること、電子更新は休日でも申請できることを変更点に挙げています。方式審査・公開・異議・応答の期間は第0436号の規定を記載しましたので、実際の出願に当たっては現地代理人に第0874号の現行規定を確認してください。
5. 費用の目安:公的手数料約150万キープ、代理人費用、マドプロ個別手数料41スイスフラン、為替と料金表の注意
ラオスの手数料は政府が定める手数料・サービス料金の料金表によりますが、商標の料金表の原文(キープ建て)は英語で公開されていません。商工省知的財産局のウェブサイト(ラオ語)は、商標登録の費用の目安を「約150万キープ」、所要期間を「約8か月」と案内しています。現地事務所がまとめた資料(Country Index、2023年)では、公的手数料は1区分152万キープ、追加区分1区分あたり80万キープで、出願・登録・公告の手数料を分けずに出願時に一括納付するとされ、2024年5月1日から電子出願の公的手数料が引き下げられたとの情報もあります。本記事では1万キープ≒69円(2026年11月3日のラオス中央銀行公式レート、1円=買143.30・売146.17キープ、1米ドル=22,406キープ)で換算します。
| 項目 | 金額(キープ) | 円換算の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 出願・登録・公告(1商標1区分) | 約150万(知的財産局の案内)/152万(現地事務所の資料) | 約1万円 | 出願時に一括納付。取下げ・拒絶でも返還されない |
| 追加区分(1区分あたり) | 80万(現地事務所の資料) | 約5,500円 | 多区分出願は2016年2月から可能 |
| 更新(10年ごと) | 区分ごとに手数料(公式の金額は未確認。知的財産局の案内には約110万キープの目安があるが対象手続が明示されていない) | 約7,600円(110万キープの場合) | 満了前6か月以内に申請。猶予期間は遅延料が加算 |
| 商標調査(知的財産局の公式調査) | 区分ごとに手数料(現地事務所の目安は約100米ドル) | 約1.5万円 | 10就業日以内に結果通知。法的証拠にはならない |
| 代理人費用(参考) | — | 出願から登録まで1区分で公費込み300〜600米ドル程度(約4.5万〜9万円) | 現地事務所の公開料金。翻訳・公報監視・応答は別途 |
| マドプロ指定(個別手数料) | 1区分41スイスフラン、追加区分29スイスフラン | 約7,900円+約5,600円 | 2026年6月28日以降の指定・事後指定・更新(WIPO通知第28/2026号)。1スイスフラン≒193円(ECB 2026年11月2日) |
マドリッド議定書による指定の個別手数料は、WIPOの通知により2024年12月7日から1区分44スイスフラン・追加区分31スイスフラン(それまでは51・36スイスフラン)、2026年6月28日からは41スイスフラン・29スイスフランに引き下げられ、更新も同額です。キープ安を反映した改定で、加盟当初(2016年)の141スイスフラン・101スイスフランと比べると大幅に安くなっています。日本から1区分をマドプロで指定する場合、ラオス分の費用は個別手数料のみで約8,000円、基本手数料653スイスフラン(モノクロ)を含めても10万円台前半に収まります。直接出願では公的手数料約1万円に現地代理人の費用(1区分で数万円)とラオス語翻訳の費用が加わります。
公的手数料は資料により大きく異なり、公式の料金表は未確認です
日本特許庁の制度概要(2024年統計版)は商工省の法令ポータルを根拠に「出願料2万キープ、審査料1区分5万キープ、登録料10万キープ、公告料2万キープ、更新料2万キープ+更新サービス料2万キープ」という料金表を掲げていますが、これは数年前のキープ建て料金とみられ、知的財産局の案内(約150万キープ)や現地事務所の資料(152万キープ+80万キープ)とは10倍以上の開きがあります。また、ベトナムの事務所の解説には「文字商標50万キープ、図形商標70万キープ、追加区分10万キープ」という異なる数値もあります。手数料を定める大統領令と商工省の料金表の原文は本記事の執筆時点で入手できておらず、2024年の電子出願料金の引下げ後の金額も確認できていません。本記事では知的財産局の案内と現地事務所の資料に基づく約150万キープを目安として掲載しましたが、実際の費用は出願前に現地代理人の見積りで確認してください。
6. 拒絶理由・異議申立て・不服申立て:応答60日+30日、行政紛争処理委員会(決定第0306/IC号)、再審査請求30日、人民裁判所
実体審査で登録要件を満たさないと判断されると、知的財産局は商工局または電子的手段を通じて最初の拒絶理由通知を発行します。出願人は通知の発行日から60日以内に書類・情報・証拠・説明・意見を提出でき、十分な理由を書面で示せば30日の延長が認められます(商標規則第17条)。記述的な要素についての権利の部分放棄(ディスクレーマー)も同じ60日以内に表明します(第18条)。応答がなければ出願は放棄されたものとみなされ、応答後も要件を満たさなければ拒絶査定が発行されます。
拒絶査定への不服、公開された出願に対する異議、登録の取消・削除の請求は、いずれも行政紛争処理(Administrative Dispute Resolution)の手続で扱われます。根拠は2023年3月30日の決定第0441/MOIC号(産業財産権と植物新品種の登録に関する行政紛争処理)で、2026年4月24日からはこれを置き換えた決定第0306/IC号(著作権・著作隣接権の記録に関する紛争を対象に追加)が適用されています。第0441号によれば、商標に関する申立ては県・首都の商工局に提出され(3就業日以内に知的財産局へ送付)、申立書はラオス語で作成し、英語の場合は30日以内にラオス語訳を提出しなければ取り下げたものとみなされます。異議には申立書・委任状・情報と証拠・手数料の受領証を、拒絶への不服には拒絶通知の写し・本国または外国の登録証の写し・新たな情報や証拠を、取消・削除の請求には登録証の写しと証拠を添えます。知的財産局は申立書の受領から7日以内に書類を審査し、不備があれば15日以内の補完を求め、相手方に申立書の写しを送って通知から60日以内の反論・証拠の提出を求めます。その後、3〜5名の奇数で構成される行政紛争処理委員会が任命から15日以内に会合を開いて審理し、知的財産局が結果を5就業日以内に当事者に通知します。結果に不服のある当事者は、新たな情報・証拠がある場合に限り通知から30日以内に再審査を請求でき、知的財産局は新たな委員会を任命して15日以内に再審理します。
| 手続 | 期限・流れ(決定第0441号、第0306/IC号の解説) |
|---|---|
| 拒絶理由通知への応答 | 通知の発行日から60日以内(理由があれば30日延長)。応答がなければ放棄擬制(商標規則第17条) |
| 異議申立て | 公報での公開日から60日以内。ラオス語で、知的財産局の書式・証拠・手数料受領証を添付(知的財産法第39条、商標規則第16条)。決定第0306/IC号では本国の産業財産権登録証明書の添付が必要(現地事務所)。出願人は異議の通知から60日以内に反論し、知的財産局は完全な情報の受領から30日以内に決定(現地事務所) |
| 拒絶査定への不服 | 拒絶の通知後、出願人は60日以内に説明と証拠を提出し、知的財産局が最終決定(決定第0306/IC号の解説)。第0441号では新たな情報・証拠・説明を添えて申し立てる |
| 委員会の審理 | 知的財産局が7日以内に書類審査→相手方に60日の反論期間→3〜5名の委員会を任命→任命から15日以内に会合→議事録作成→5就業日以内に結果を通知 |
| 再審査請求 | 結果の通知から30日以内(新たな情報・証拠がある場合)。期限を過ぎると決定を受け入れたものとみなされ、行政上の救済はなくなる。新委員会が15日以内に再審理 |
| 裁判所への出訴 | 知的財産局の行政取消に納得しない権利者は知的財産局または人民裁判所に審理を請求できる(商標規則第28条)。裁判所の管轄・期限は民事訴訟法等による |
行政紛争処理の期限は2026年の決定第0306/IC号で見直されており、本記事の期間は前身の第0441号の英訳と現地事務所の解説によります
決定第0306/IC号の原文と英訳は2026年11月時点で公開資料として確認できておらず、現地事務所(Tilleke & Gibbins、Asia IP)の解説によると、異議の通知後60日の反論期間、知的財産局による30日以内の決定、30日以内の再審査請求(期限は厳格に運用され、徒過すると決定を受け入れたものとみなされる)、ラオス語の提出書類と認証翻訳、本国登録証明書の添付が定められています。委員会の構成(3〜5名)や専門家の関与は第0441号と同じです。異議や不服申立ての期限は出願・公報の監視と並んで最も厳しく管理すべき事項ですので、着手前に現地代理人に現行の規定を確認してください。
7. 登録・存続期間・更新:出願日から10年、満了前6か月の更新、猶予6か月、電子更新、区分の再分類
商標の存続期間は出願日から10年で、10年ごとに何度でも更新できます(知的財産法第59条、商標規則第29条)。2011年法までは登録日が起算日でしたが、2017年法で出願日起算に改められました。更新の手数料とサービス料金は10年分を前納し、更新申請は商工局または電子的手段で行います。商標規則第29条は更新申請を「保護期間満了前6か月以内」に提出すると定め、現地事務所は2025年の決定第0874号について「更新の受付開始を満了前1年から6か月に短縮した」と説明しています。満了までに更新申請をしなかった場合でも、満了日から6か月以内であれば遅延料を含む手数料を納付して更新でき、満了日が公休日や商工局の非受付日に当たる場合は翌就業日まで延長されます。電子的に提出する更新申請は公休日を含めいつでも受け付けられます(決定第0874号)。猶予期間を過ぎても更新されなかった商標は公知の標章とみなされ、権利は消滅します(知的財産法第45条、商標規則第29条)。回復の手続は定められていません。
更新時には商品・役務の各区分について手数料を納付します。出願後にニース分類が改訂されて区分数が増えた登録は、更新時に増加した区分分の手数料が必要です(商標規則第12条)。登録後の名称・住所の変更は、サービス料金を納付して商工局または電子的手段で申請し、知的財産局がデータベースに記録して公報に公告します(第25条)。登録した商品・役務の区分の減縮、一部要素の権利放棄、願書の誤記や標章の見本の訂正も登録後に申請できますが(第27条)、区分の追加は新規出願として扱われます(第22条)。登録証の謄本は、裁判所での証拠、外国での出願、紛失・損傷の場合に請求できます(第26条)。
8. 無効・取消:公告から5年以内の取消請求、虚偽・悪意登録の職権取消、不使用5年、行政取消と裁判所
知的財産法第44条は、商標・意匠・地理的表示の登録について、第三者が産業財産公報における登録公告の日から5年以内に取消(cancellation)または削除(elimination)を請求できると定めています。商工省は、虚偽または悪意(bad faith)の登録であればこれを取り消すことができ(第44条第3項)、第45条は産業財産権の消滅事由として、保護期間の満了、更新と手数料納付の懈怠、保護要件を満たしていないことによる無効(一部無効を含む)、権利者が自ら市場に供給した商品についての権利の消尽、第44条第3項と第65条第2項に基づく商工省による取消・無効を列挙しています。決定第0441号は「取消(cancellation)」を登録の一部についての請求、「削除(elimination)」を登録全体についての請求と区別し、いずれも第6章の行政紛争処理委員会が審理します。悪意の登録の取消を商工省の権限として明文化したのは2023年法の新設規定で、現地事務所は「審査官は従来から登録前に出願人の善意を評価していたが、登録後にも悪意を判断する権限が明文で与えられた」と評価する一方、「正しくない」「悪意」の定義がないことを指摘しています。
不使用取消は第65条が定めます。商標が継続して5年間使用されていない場合、または名目的な使用にとどまるか所有者による使用が善意でない場合は不使用とされ、何人も商工省に登録の取消・撤回を請求できます。権利者は不使用を正当化する理由を提示でき、権利者の意思と無関係に生じた不可抗力は正当な理由として認められます。使用とは、登録に係る商品・役務について、権利者自身または権利者の許諾と管理の下で他者が使用することをいいます。輸出のための使用やインターネットでの使用が「使用」に当たるかは条文に明示がなく、2017年法以前の実務でも不使用取消の事例は乏しいため、販売実績・広告・流通の証拠を国内で蓄積しておくことが重要です。
商標規則第28条は、登録証が発行された商標に虚偽の情報、情報の歪曲、真の所有者の主張、情報の隠蔽、法令違反があると知的財産局が認めた場合に、知的財産局が行政取消手続を進めて権利者に通知し、権利者が納得しない場合は知的財産局または人民裁判所に審理を請求できると定めています。取消・削除の請求と不使用取消は、第6章で述べた行政紛争処理委員会が審理し、決定から30日以内の再審査請求を経て裁判所に進みます。
「公告から5年」の期間制限が悪意の登録や不使用取消にも及ぶかは条文上明らかではありません
第44条は第三者の取消・削除請求を登録公告から5年以内に限っていますが、第44条第3項の虚偽・悪意の登録の取消は商工省の権限として期限の定めがなく、第65条の不使用取消も期限を定めていません。WIPOのマドリッド制度の国別概要(科学技術省時代の資料)も「登録公告から5年以内はいつでも利害関係人が登録に異議を述べ、取消を請求できる」とのみ説明しています。登録から5年を経過した商標に対して不使用以外の理由で無効を請求できるかどうか、裁判所に直接無効を求められるかどうかは、現地代理人に個別に確認してください。先取り登録を発見した場合は、公告から5年の期限内に行政紛争処理の申立てを行うことが最も確実です。
9. マドプロ指定の実務:2016年加盟、18か月宣言、個別手数料41/29スイスフラン、暫定拒絶への応答、直接出願との比較
ラオスは2015年12月7日にマドリッド議定書の加入書を寄託し、2016年3月7日に発効しました。マドリッド協定(1891年)には加盟していないため、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でラオスを指定します。WIPOの宣言一覧によると、ラオスは(1)拒絶通報の期間を12か月から18か月に延長する宣言(議定書第5条(2)(b))、(2)個別手数料の宣言(第8条(7)(a))、(3)国内法上ライセンスの記録は定められているが国際登録簿へのライセンスの記録は国内で効力を持たない旨の宣言(共通規則第20bis規則(6)(b))を行っています。異議に基づく拒絶を18か月経過後に通報できる旨の宣言(第5条(2)(c))はしていません。国際登録の実施細則として、2017年に「マドリッド議定書に基づく商標保護の規則に関する決定」が定められています(ジェトロの法令一覧)。
個別手数料は、加盟当初の1区分141スイスフラン・追加区分101スイスフランから数次の改定を経て、2024年12月7日からは44・31スイスフラン、2026年6月28日からは1区分41スイスフラン・追加区分29スイスフラン(事後指定・更新も同額)になりました(WIPO通知第21/2024号・第28/2026号)。1スイスフランを約193円とすると、1区分で約8,000円、3区分で約1.9万円です。国際登録の審査は国内出願と同じく絶対的理由と相対的理由(第16条・第23条)について行われ、WIPOの国別概要によれば、職権による暫定拒絶に対する再審査・不服の請求はWIPOの通知日から60日以内です。応答には商工省登録の代理法人の選任とラオス語の書類が必要で、期限が短いため、拒絶通報を受けたら直ちに現地代理人を手配してください。
| 比較項目 | マドプロ指定 | 直接出願 |
|---|---|---|
| ラオス分の公的費用(1区分) | 個別手数料41スイスフラン(約8,000円)+追加区分29スイスフラン。別途、基本手数料653スイスフランと日本特許庁の手数料 | 約150万キープ(約1万円)+追加区分80万キープ |
| 現地代理人 | 暫定拒絶・異議への対応時に必要 | 出願時から必要(商工省登録の代理法人)。委任状は写しで可、公証不要 |
| 言語・翻訳 | 国際出願は英語。応答時にラオス語 | 願書はラオス語。英語の添付書類は90日以内に認証翻訳。外国語商標はラオス語の説明と発音 |
| 審査・拒絶通報 | 絶対的・相対的理由を審査。拒絶通報期限は国際登録の通知から18か月。暫定拒絶への応答はWIPO通知から60日 | 同じ審査。拒絶理由通知への応答60日(30日延長可)。異議のない出願は公開から90日以内に審査完了 |
| 異議 | 国内法上は公開から60日。国際登録の公報掲載と異議の運用は現地代理人に確認(注意枠参照) | 方式審査後の公報公開から60日 |
| 存続期間・更新 | 国際登録日から10年。WIPOで一括更新(個別手数料41/29スイスフラン) | 出願日から10年。満了前6か月以内に更新、猶予6か月 |
| 国内登録証・権利行使 | 保護の声明はWIPOの通知。行政摘発や税関録記では国内の証明書の提示を求められることがあり、現地事務所は国内出願の併用を勧める | 知的財産局の登録証が発行され、税関録記・行政摘発・訴訟にそのまま使える |
| セントラルアタック | 国際登録から5年以内に基礎出願・登録が消滅すると取り消される(3か月以内に国内出願へ転換可) | なし |
国際登録に対する異議の運用と、国内登録証の要否には注意が必要です
WIPOが公開するラオスのマドリッド制度概要(科学技術省時代に作成)は「ラオスに異議制度はなく、登録公告から5年以内に利害関係人が取消を請求できる」と説明していますが、2017年法で導入された異議制度(公開から60日)が国際登録の指定にも適用されるのか、国際登録が国内公報に掲載されるのかは、公開資料からは確認できませんでした。また、現地事務所(VDB Loi)は「ラオスを指定した国際登録でも、行政摘発や税関での手続では国内の登録証明書の提示を求められることがある」として国内出願の併用を勧めています。マドプロで指定した商標を権利行使に使う場面では、知的財産局に国際登録の保護の証明を請求できるかを含め、現地代理人に確認してください。
マドプロの手続全般は国際商標出願(マドプロ)の解説をご覧ください。タイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマーなど周辺国と同時に出願する場合はマドプロでの一括指定が効率的で、ラオス単独で確実に国内登録証を得たい場合や、ラオス語表記の商標を押さえたい場合は直接出願が適しています。
10. 使用・譲渡・ライセンス:移転の記録、ライセンスの記録、消尽と並行輸入、商号
商標権者は、登録に係る商品・役務と同一・類似・関連する商品・役務について混同を生じさせる同一・類似の標識の使用、標章を付した商品の販売・広告、役務への使用、標章を付した商品の輸入・輸出を差し止める権利と、訴訟を提起して損害賠償を求める権利を持ちます(知的財産法第50条)。これらの権利は既存の先行権利を害さず、周知商標と商号にも準用されます。産業財産権者は、権利の全部または一部を売買・交換・賃貸・譲渡により移転し、他者に実施を許諾し、相続させることができます(第47条)。第55条は権利者の義務として、権利の監視と管理、侵害の情報を当局に提供すること、侵害の是正への協力などを定めています。
譲渡(権利の移転)は契約・相続・譲渡により全部または一部について行え、譲渡人または譲受人がサービス料金を納付して知的財産局の書式で商工局に通知し、知的財産局が登録簿とデータベースに記録して公報に公告し、譲受人に権利移転証を書面で通知します(商標規則第30条)。日本特許庁の制度概要によれば、商標は営業とは無関係に譲渡できます。法人の移転があった場合は別段の定めがない限りその法人の商標も移転したものとみなされ、商標の使用権の移転は、知的財産局への記録の手続をとらない限り譲渡人・譲受人のいずれにも効力を生じません(第30条最終項)。ライセンスは、権利者が商標の一部または全部の使用を他者に許諾する使用ライセンス契約によって行い、権利の移転とはみなされません。ライセンサーまたはライセンシーは第30条の手続に従って知的財産局に情報を送付して記録しなければならず(第31条)、2023年6月以降はライセンス契約書や譲渡証書の公証も不要です。国際登録のライセンスは国際登録簿に記録しても国内では効力を持たないため、ラオスでは国内で記録します。
消尽と並行輸入については、2023年法第45条第4項が「権利者または権利者の許諾を受けた者が自ら市場に供給した製品については、供給・輸入・販売の申出・販売・許諾・譲渡を支配する権利を持たない」と定めて消尽の概念を初めて導入しました。現地事務所は、ラオスが従来から並行輸入に寛容であった一方で、第50条が商標権者に輸出入の差止めを認めており、消尽規定との関係が明確でないと指摘しています(国内消尽か国際消尽かも条文上明示がありません)。医薬品や自動車など特定の製品では、ライセンサーからラオス国内の販売権者への許諾が別途必要とされています。商号は第19条で企業名として保護されますが、2023年法では登録が保護の要件になったと現地事務所は読んでおり、商標の一部としての商号の登録が推奨されます。商標法上の権利表示(Rマーク)の規定や、未登録商標に®を付すことの禁止規定は条文上見当たりませんが、誤認を招く表示は不正競争として扱われるおそれがあるため、登録前は™の使用にとどめるのが無難です。
11. 侵害への救済:行政摘発、刑事手続、民事訴訟、2023年法と紛争処理規定、裁判例と執行実績
知的財産法は、第47条から第53条の権利を無断で行う行為を産業財産権の侵害と定義し(第118条)、他人の商品・営業との混同、出所・性質の誤認を生じさせる表示、競争者の信用毀損を不正競争として禁止し(第121条)、登録商標と同一またはその本質的な部分で区別できない商標を無断で付した商品を「模倣商標商品」として、その製造・販売・販売の申出・広告・輸出入を違反行為と定めています(第122条)。第127条は他人の知的財産を営利目的で無断で改変・使用し、横領し、虚偽の書類で登録を求めることを一般的に禁止し、第139条は違反者に対して教育・警告、懲戒処分、罰金、民事上の損害賠償、刑事罰を場合に応じて科すと定め、第140条は刑事犯罪に当たらない違反について損害額の1%(再犯・反復の場合は5%)の罰金を定めています。国境検問所の税関職員には商標・著作権を侵害する輸出入商品を職権で検査・差押え・没収する権限があります(第137条)。
2023年法では、2017年法にあった紛争処理・民事救済・仮処分・税関手続の条文が知的財産法から姿を消しています
2017年法(第38/NA号)は第127条以下で紛争処理の形態(和解、調停、行政救済、経済紛争解決委員会、人民裁判所、国際的紛争解決)、第135条・第137条で人民裁判所の管轄、第140条で民事救済(差止め、税関手続の停止、損害賠償、弁護士費用、廃棄)、第144条以下で仮処分、第160条で税関の職権差止めを定めていました。これに対し、WIPO Lexの英訳と日本特許庁の仮訳による2023年法(全141〜142条)には、第118〜123条の侵害・不正競争の定義、第129〜137条の管理・検査、第139〜140条の措置・罰金以外に、訴訟手続・民事救済・仮処分・税関差止めの詳細規定が見当たりません。日本特許庁の制度概要が引用する「知財法第149条・第152条」は2017年法の条文番号です。現地事務所の解説は2023年法について「他人の知的財産の営利目的の無断使用を一般的に禁止する規定を新設した」と説明するにとどまり、民事救済規定の削除に言及していないため、これらの事項が民事訴訟法・経済紛争解決法・関税法(2020年)・刑法(2017年)とその下位規則にどのように引き継がれているかは、権利行使の前に現地代理人に確認が必要です。本章の民事救済・仮処分の記述はこの前提でお読みください。
| 手段 | 内容と実務上のポイント |
|---|---|
| 行政摘発(商工局・国内貿易局) | 首都・県の商工局(DOIC)に証拠書類と侵害品のサンプルを添えて申請し、侵害の有無についての公式意見書を取得したうえで、所定の様式で摘発(押収・廃棄)を要請する。商工省国内貿易局は模倣品の検査・摘発・廃棄の要請を受け付けるが、実務上は倉庫や大規模な侵害者が対象で、関係機関の調整役を務める。首都ビエンチャンでは商工省・財務省・警察・検察で構成する監査委員会が設けられている(2023年の通知第1422/DOIC.VC号)。ジェトロの2018年調査では行政手続の費用は市場調査を含めて3,000〜4,000米ドル程度 |
| 刑事手続(経済警察・検察・裁判所) | 公安省経済警察が告訴を受けて捜査し、検察院が訴追、人民裁判所が審理する。刑法(2017年第26号)第246条は他人の知的財産権の侵害・偽造・不正競争で損害を与えた者に1〜3年の自由剥奪刑または再教育と500万〜2,000万キープの罰金、第288条は模倣商品の製造・取引に3か月〜2年の自由剥奪刑と500万〜1,000万キープの罰金(常習・組織的・多大な損害の場合は1〜3年と1,000万〜5,000万キープ)、第303条は事業競争上の倫理違反に100万〜2,000万キープの罰金を定める。刑事手続の中で損害賠償も請求できる(刑事訴訟法) |
| 民事訴訟(人民裁判所) | 三審制(地区・地方裁判所→地域裁判所→最高裁判所)。知的財産専門の裁判所や判事はなく、2018年の非公式の聞取りでは第一審に9か月程度(現地事務所の実感では24か月)、控訴審に3か月〜5年以上。提訴費用の目安は第一審3,000米ドル、控訴4,500米ドル、弁護士の時間単価はパートナー200〜400米ドル。差止め・損害賠償・廃棄などの救済は民事訴訟法と関連法による(注意枠参照) |
| 不正競争・消費者保護 | 事業競争法(2015年第60/NA号)は欺瞞行為、営業秘密の漏えい、信用毀損、虚偽広告などを不正競争として規制し、消費者保護法(2010年)も知的財産に関する消費者保護活動を定める。知的財産法第121条の不正競争の禁止と併せて主張できる |
| 和解・調停 | 行政摘発の過程で侵害者との和解(販売停止の誓約、在庫の廃棄)が一般的。経済紛争解決センター(法務省)による調停・仲裁も利用できる |
裁判例と執行実績は限られています。ジェトロの2018年調査が紹介する事例では、2015年に国内で最も普及する飲料水ブランドの容器を模倣したベトナム人2名が逮捕され、ビエンチャンの地区人民裁判所が首謀者に罰金250万キープと禁固9か月、共謀者に罰金50万キープと禁固6か月を科し、権利者への損害賠償(報道によれば認定損失額33億キープ超)を命じました。2008〜2009年には歯磨きの模倣品について知的財産局・経済警察・税関の合同視察団が首都と9県で摘発し、53箱を押収・廃棄したうえで製造拠点の摘発と刑事手続に進んだ事例があり、2017年には税関の差止めに端を発する小型トラックの意匠権侵害訴訟で9万米ドルの損害賠償が認められました。他方、ジェトロの2024年の模倣品流通実態調査によると、2018〜2023年の5年間に裁判に至った模倣品事件はなく、関税局は模倣品の摘発・押収がなかったと回答し、知的財産局は同期間に29件の商標権侵害事件を扱ったと回答しています。商工省国内貿易局の行政摘発は同期間の累計でエンジンオイル・バッテリー・部品など約12億キープ相当の押収と約1.1億キープの罰金でした。日本製品の模倣品は電子機器・オートバイ・衣類が中心で、中国・ベトナムから流入し、ルアンパバーン、サワンナケート、首都ビエンチャンの市場で確認されています。
12. 税関での水際措置:権利者情報の申告(録記)、差止申請と供託金、職権差止め、国境の実情
税関による知的財産権の保護は、関税法(2020年第81/NA号)と知的財産法第137条を根拠に、財務省の「税関による知的財産権保護措置に関するガイドライン」第0121号(2022年1月13日、官報掲載15日後に施行)が定めています(2011年の財務省ガイドライン第1970号を置換)。対象は商標を模倣した商品、著作権侵害物品、意匠権侵害商品で、商業目的でない少量の輸出入には適用されません。
| 手続 | 内容(ガイドライン第0121号) |
|---|---|
| 権利者情報の申告(録記) | 権利者・ライセンシーが所定の様式で関税局または県・首都の関税局に申告する。必要書類は申告書、商標等の登録証明書の写し、権利者であることまたは許諾を受けていることの証明、真正品と模倣品を見分けるための画像・写真・見本、輸出入者や侵害が疑われる者の情報(第4〜6条)。関税局は不備のない申告を受理後10営業日以内に承認の可否を書面で通知し(第7条)、リスク管理データベースに記録して各関税局に送付する(第8条) |
| 保護期間 | 受理日から2年間。申告者の請求で延長できる(第9条)。情報の修正・追加はいつでも可能(第10条)。権利の消滅や延長申請の懈怠で記録は解除される(第11条) |
| 検査と差止め | 税関当局は商品名・ブランド・原産地・価格・包装・品質・輸送経路をデータベースと照合して検査する(第12条)。模倣の疑いがある商品は3営業日差し止めて権利者に連絡し、カタログや鑑定書の提出を求めて真贋を共同で確認する。権利者が3日以内に回答しなければ通関が進められる(第13条) |
| 職権(ex officio) | 税関当局は予備的証拠や十分な理由があれば自らの判断で商標・著作権を侵害する輸出入商品の通関を停止でき、物品所有者と権利者に速やかに通知して3営業日以内に違法性を明らかにする(第14条・第15条)。善意で一時停止した場合の賠償責任は免除される |
| 差止申請と供託金 | 権利者は侵害品の輸出入・通過の確かな情報があれば、関税局の様式で差止めを申請し、1,000万キープ(約7万円)の供託金を納める(第16条)。緊急時は口頭で申請し3営業日以内に書面を提出。複数の検問所で押収があれば検問所の数に応じた追加供託を2営業日以内に納める(第18条) |
| 差止め後の手続 | 差止め後10営業日以内に物品所有者と調停し、税関はこの間商品を留置できる。期間内に紛争解決機関または人民裁判所への提訴の証拠がなければ商品は解放され、供託金は物品所有者の損害に充てられる(第17条・第22条)。判決で侵害品と認められれば関税法に基づき処理され、物品所有者の供託金が賠償に充てられる(第21条)。侵害品は双方の合意の下で物品所有者の費用負担により処分される(第24条) |
ジェトロの2024年調査によると、ラオス税関は2018〜2023年に国境での模倣品の摘発・押収はなく、中国国境のボーテン国際検問所では税関職員が輸出入許可書を確認するにとどまり、商品を直接検査していないため模倣品の疑いのある商品を確認していないと説明しています。2018年の調査でも税関への差止申請は16件(商標15件・意匠1件)、税関による被疑製品の拘留は意匠1件(民事訴訟に発展)・商標2件にとどまっていました。したがって、税関録記は職権差止めの前提として行っておくべきですが、実効性を高めるには、真正品の識別情報を具体的に提供し、侵害が疑われる輸入者やルートの情報を添えて差止めを申請し、商工局の行政摘発と組み合わせることが必要です。
ガイドライン第0121号は2017年法を根拠に制定されており、2023年法の下での運用は未確認です
税関ガイドライン第0121号は2017年の知的財産法第160条(税関の職権差止め)を引用していますが、2023年法では税関の権限は第137条に簡潔に定められ、2017年法の税関差止手続の詳細規定は見当たりません。ガイドラインは関税法と商工省令に基づいて引き続き適用されていると考えられますが、2023年法施行後の改正の有無、供託金の額や差止期間の現行の運用、国際登録(マドプロ)の保護を録記の根拠にできるかどうかは、申告前に関税局または現地代理人に確認してください。
13. 日本企業の出願戦略と実務ポイント:先取り対策、マドプロか直接出願か、ラオス語表記、区分設計、公報監視、使用証拠、税関録記、2025年決定の確認
以上を踏まえ、日本企業がラオスで商標を取得・維持・行使する際の実務ポイントを整理します。
- 登録主義・先願主義を前提に、販売開始・代理店契約の前に出願する。ラオスには先使用者の抗弁の規定がなく、登録前の使用は周知商標に当たらない限り保護されません。現地事務所は著名ブランドが現地企業に悪意で登録され長期の紛争になった例を報告しています。タイやベトナムからの輸出先として扱う場合でも、ラオスで販売する前に主力商標を出願してください。
- 周辺国と同時ならマドプロ、ラオス単独や権利行使重視なら直接出願。個別手数料は1区分41スイスフラン(約8,000円)と安く、タイ・ベトナム・カンボジアなどと一括指定できます。一方、行政摘発や税関録記では国内の登録証明書の提示を求められることがあり、国際登録に対する異議の運用も不明確なため、重要な商標は直接出願で国内登録証を得るか、マドプロと併用します。
- ラオス語での説明と発音を統一し、必要ならラオス文字表記も出願する。外国語の商標には正確な翻訳とラオス語の発音の記載が必要で、記述的と判断されないよう造語であることを説明します。現地で消費者が呼ぶラオス文字の名称を模倣業者に先に登録されないよう、主力商標はラオス文字表記の出願も検討してください。
- 区分設計と指定商品は具体的に。多区分出願が可能ですが、類見出しだけの指定や「すべての商品」の記載は認められません。登録後の区分追加は新規出願扱いになるため、将来の展開を見据えて出願時に区分を確保します。更新時には区分ごとの手数料が必要で、分類改訂で区分が増えた場合も同様です。
- 委任状・翻訳・優先権書類の期限を守る。委任状は公証不要で写しでも足りますが、出願人の署名が必要です。英語の添付書類は出願から90日以内に認証翻訳、優先権書類は3か月以内、方式審査の補正と拒絶理由通知への応答は60日以内です。代理人は商工省登録の代理法人に限られるため、早めに選任します。
- 公報を監視し、公開から60日以内に異議を申し立てる。ラオスでは公開が実体審査の前に置かれ、審査官の負担も大きいため、自社商標と抵触する出願は自ら発見して異議を申し立てる必要があります。異議はラオス語で、本国の登録証明書を添付します。知的財産局の公報と検索システム、WIPOのGlobal Brand Databaseを定期的に確認してください。
- 周知性の資料を整え、商号も商標として登録する。2023年法で周知商標の要件から「領域内」「国内」の限定が外れ、世界的な流通・広告の資料も使えるようになりました。販売量・広告投資・継続使用の記録を整理しておくと、異議・取消・摘発のいずれでも有利です。商号は登録が保護の要件になったと解されているため、企業名も商標として出願します。
- 使用証拠を5年単位で保存する。5年間の不使用や名目的な使用は取消理由になります。ラオス国内での販売店への請求書、現地語の広告、展示会出展、ウェブサイトの記録を保存し、代理店経由の販売でも権利者の管理下での使用であることを契約で明確にします。
- 譲渡・ライセンスは知的財産局に記録する。使用権の移転は記録しなければ効力を生じず、ライセンスも知的財産局への送付が求められます。国際登録簿へのライセンス記録はラオスでは効力がないため、国内で記録します。契約書の公証は不要です。
- 更新は満了前6か月以内、猶予は6か月。2025年の決定第0874号で更新の受付開始が満了前6か月に短縮されたとされています。猶予期間を過ぎると回復できないため、出願日起算の満了日を管理し、電子更新を活用します。
- 模倣品対策は商工局・経済警察・税関を組み合わせ、費用対効果を見極める。商工局の公式意見書を得て行政摘発を要請するのが標準的で、費用は市場調査を含めて3,000〜4,000米ドル程度です。刑事手続は飲料水の模倣事件のように実刑と損害賠償に至った例がありますが、裁判に至る事件は年に数件で、2018〜2023年には模倣品の裁判例がありませんでした。税関には権利者情報を申告(2年、更新可)し、差止申請には1,000万キープの供託金が必要です。
- 2025年決定第0874号と2026年決定第0306/IC号、2023年法の未整理事項を確認する。商標の細則と行政紛争処理の規則はいずれも直近で改定され、英訳が公開されていません。公的手数料の料金表も原文未確認です。2023年法から民事救済・仮処分・税関手続の条文がなくなったことの実務への影響を含め、出願や紛争の前に現地代理人に現行の規定を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ラオスへの商標出願はマドプロでできますか?費用はどのくらいですか?
できます。ラオスは2016年3月7日にマドリッド議定書に加盟しており、日本の基礎出願・基礎登録に基づく国際出願でラオスを指定できます。個別手数料は2026年6月28日以降、1区分41スイスフラン(約8,000円)、追加区分29スイスフラン(約5,600円)で、更新も同額です。直接出願の公的手数料は1商標1区分で約150万キープ(約1万円)とされ、これに商工省登録の代理法人の費用とラオス語翻訳の費用が加わります。周辺国と同時に出願するならマドプロ、国内登録証を確実に得たい場合や権利行使を重視する場合は直接出願または併用が一般的です(第5章・第9章)。
Q2. 審査では先行商標との類似も判断されますか?異議はいつまでに申し立てますか?
判断されます。知的財産法第16条と第23条は、先行登録商標との同一・類似(9号)、周知商標との同一・類似(10号)、商号との同一・類似(11号)、これらとの混同や関連性の誤認(12号)を不登録事由とし、知的財産局は自局と国際データベースに基づいて実体審査を行います。異議は、方式審査後に公報で公開された出願に対して公開日から60日以内に、ラオス語の申立書と本国の登録証明書を添えて申し立てます。公開が実体審査の前に置かれているため、公報の監視が重要です。拒絶理由通知への応答は60日(30日延長可)です(第4章・第6章)。
Q3. 日本語やローマ字の商標はそのまま出願できますか?
出願できますが、願書はラオス語で作成し、語の標章にはラオス語での説明と発音を、外国語を含む標章には正確な翻訳とラオス語の発音を記載しなければなりません(商標規則第10条、決定第0874号)。英語の添付書類は出願から90日以内に翻訳法人の認証を受けたラオス語訳を提出しないと取下げ擬制になります。発音の表記が商標の同一性の判断に影響するため社内で統一し、造語であれば意味がないことを説明してください。現地の消費者が使うラオス文字の名称は、主力商標について別途出願しておくことをお勧めします(第4章・第13章)。
Q4. 現地代理人や委任状の公証は必要ですか?
ラオスに営業所や居所のない外国の出願人は国内の代理人を選任しなければならず(知的財産法第27条)、2025年の決定第0874号により商工省知的財産局に登録された知的財産代理法人(法律事務所を含む)を通じてのみ出願できます。委任状は出願人が署名したもので足り、2023年6月26日の知的財産局通知で公証・領事認証が不要になり、決定第0874号で原本ではなく写しの提出が認められ、1通の委任状で複数の出願をカバーできるようになりました。後日提出も可能です。優先権書類も認証不要で、出願から3か月以内に提出します(第4章)。
Q5. 存続期間・更新・不使用取消のルールを教えてください。
存続期間は出願日から10年で、満了前6か月以内に更新を申請し、満了後6か月の猶予期間は遅延料を払えば更新できます。猶予期間を過ぎると回復できません。更新時には区分ごとの手数料が必要で、電子更新は休日でも申請できます。5年間継続して使用されていない商標や名目的な使用にとどまる商標は、何人も商工省に取消を請求でき、権利者は不可抗力などの正当な理由を主張できます(第59条・第65条)。このほか、第三者は登録公告から5年以内に取消・削除を請求でき、虚偽または悪意の登録は商工省が職権で取り消せます(第7章・第8章)。
Q6. 代理店に自社ブランドを先に登録されていました。どうすればよいですか?
公開中であれば公開日から60日以内に異議を申し立てます。登録済みの場合は、登録公告から5年以内に、先行する自社の権利や周知性、悪意を理由に取消・削除を請求します。2023年法は虚偽または悪意の登録を商工省が取り消せると明文化しており(第44条第3項)、代理店契約書や取引記録は悪意の立証に役立ちます。申立てはラオス語で行政紛争処理委員会に提出し、相手方の反論(60日)を経て決定が出され、不服があれば30日以内に再審査を請求します。自社ブランドが日本や周辺国で著名であれば、世界的な流通・広告の資料で周知商標としての保護を主張することも有効です(第6章・第8章・第13章)。
Q7. 模倣品を見つけたらどうすればよいですか?
まず市場調査で侵害品のサンプルと販売者の情報を集め、首都・県の商工局に申請して侵害の有無についての公式意見書を取得したうえで、行政摘発(押収・廃棄)を要請します。悪質な製造・販売には公安省経済警察への告訴による刑事手続(刑法第246条・第288条:自由剥奪刑と罰金)と損害賠償請求があり、輸入品には税関への権利者情報の申告と差止申請(供託金1,000万キープ)が使えます。ただし、裁判に至る事件は年に数件で、2018〜2023年には模倣品の裁判例も税関での押収もありませんでした。登録証、指定商品の一覧、真正品の識別情報、模倣品の購入記録を揃え、費用対効果を見極めて行政摘発を中心に組み立てるのが現実的です(第11章・第12章)。
まとめ
ラオスの商標制度は、2023年の知的財産法(2024年1月24日施行)と2025年の商標に関する決定第0874号を根拠に、商工省知的財産局が絶対的理由と相対的理由を審査する登録主義・先願主義の制度です。方式審査(60日)後の公開に対する60日の異議申立て、拒絶理由通知への60日の応答、出願日から10年の存続期間と6か月の猶予、5年の不使用取消、登録公告から5年以内の取消請求と悪意登録の職権取消が備わっています。公的手数料は1区分約150万キープ(約1万円)、マドプロの個別手数料は41スイスフランと費用は軽く、委任状の公証も不要になり、電子出願と電子更新も整っています。
他方、ラオス語の願書と外国語商標の説明・発音、商工省登録の代理法人を通じた出願、公開が実体審査に先行する手続、知的財産局の審査体制の限界、2023年法から民事救済・仮処分・税関手続の条文が消えたこと、商標の細則と行政紛争処理規則が直近で改定され英訳が未公開であること、公式料金表が未確認であること、裁判例と税関での摘発実績が極めて少ないことが、この国で実務を行う際の注意点です。日本企業としては、販売開始や代理店契約の前にマドプロまたは直接出願で主力商標とラオス語表記を押さえ、公報の監視と60日の異議、使用証拠の保全、譲渡・ライセンスの記録、税関への権利者情報の申告までを一連の運用として設計し、権利行使は商工局の行政摘発を中心に費用対効果を見極めることが重要です。
周辺国の制度はタイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーの各記事を、各国の商標制度は世界の商標制度ガイドをご覧ください。
ラオスへの商標出願は弁理士にご相談ください
マドプロ指定と現地出願の使い分け、ラオス語の説明・発音とラオス文字表記の設計、商工省登録代理法人の手配、先行商標調査、公報監視と異議申立て、周知性の立証、譲渡・ライセンスの記録、更新・不使用対策、商工局・税関・裁判所での権利行使まで、ラオスでのブランド保護を一貫してサポートします。タイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマーとの組合せもご提案します。
出典・参考文献
本記事は、以下の一次資料および専門家による解説を基に作成しています(いずれも2026年11月閲覧)。各項目に、本文のどの記述の根拠としたかを付記しています。知的財産法の条文番号はWIPO Lex掲載の英訳(第1〜141条)、商標規則の条文番号は日本特許庁が公開する商工省決定第0436/MOIC号の日本語訳に基づきます。
法令(WIPO Lex・日本特許庁・商工省知的財産局)
- WIPO Lex「Law No. 50/NA of November 20, 2023, on Intellectual Property」(ラオス、英訳PDF、LA046)/第3条定義(周知商標)、第16条商標の登録要件と周知商標の7要件、第19条商号、第23条不登録事由18項目、第26条出願資格、第27条出願と代理人、第28条先願主義、第29条優先権6か月・書類3か月、第30条博覧会の仮保護、第33条商標出願の書類と多区分、第37条言語と90日の翻訳、第38条方式審査60日、第39条公開と異議60日、第40条実体審査、第42条補正・分割、第43条放棄、第44条登録と5年以内の取消・悪意登録の取消、第45条消滅と消尽、第47条権利の移転・許諾、第50条商標権者の権利、第55条義務、第59条10年、第65条不使用5年、第118条侵害、第121条不正競争、第122条模倣商標商品、第127条一般的禁止、第129〜137条管理・検査・税関、第139条措置、第140条罰金、第141条施行(2024年1月24日、第38/NA号の廃止)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22624 - 日本特許庁「ラオス知的財産法(2023年改正、日本語仮訳)」(PDF)/2024年1月5日の国家主席令第008号による公布、第142条の効力規定、第40条・第44条・第50条・第65条・第137条・第140条の日本語訳の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/lao-tizaihou.pdf - 日本特許庁「ラオス商標規則(商工省決定第0436号、2023年3月30日、日本語訳)」(PDF)/第5条標章の種類、第6条商標調査10就業日、第7条出願書類と90日の認証翻訳、第8条商工局・電子出願と優先権6か月、第9条出願日の最小要件と60日の補完、第10条標章見本の要件(ラオス語の説明と発音、色コード、立体の寸法、動き)、第11条・第12条区分と再分類、第14条先願の審査原則、第15条方式審査60日、第16条公開15日と異議60日、第17条実体審査・拒絶理由通知への応答60日+30日・公開から90日、第18条権利の部分放棄、第19条分割、第21条補正、第22条区分の追加、第23条・第24条登録と公告、第25〜27条登録後の訂正、第28条行政取消と裁判所、第29条保護期間10年・更新6か月・猶予6か月、第30条権利移転の記録、第31条ライセンス、第33条代理人(外国人は代理法人・弁護士)、第34条委任状、第39条効力(第2822号の置換)の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/lao-shouhyou_kisoku.pdf - WIPO Lex「Regulation of the Ministry of Industry and Commerce No. 0436/MOIC of March 30, 2023, on Trademark」(ラオ語原文)/商標規則の書誌の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22049 - 日本特許庁「Decision on the Administrative Dispute Resolutions Concerning the Registration of Industrial Property and New Plant Varieties, No. 0441/MOIC」(2023年3月30日、英訳PDF)/行政紛争処理の対象(異議・拒絶・取消・削除)、第6条申立先(商標は商工局)と外国人の代理人、第7条申立書類とラオス語(英語は30日以内に翻訳)、第8条商工局から3就業日で送付、第9条7日の書類審査・15日の補完・相手方60日の反論、第10条委員会の15日以内の会合、第12条5就業日の結果通知、第13条30日以内の再審査請求、第14条委員会3〜5名、第25条効力の根拠。
https://www.jpo.go.jp/e/system/laws/gaikoku/document/index/lao-e_decision-administrative-dispute.pdf - WIPO Lex「Regulation No. 0441/MOIC of March 30, 2023, on Administration Dispute Settlement」(ラオ語原文)/同決定の書誌の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/22045 - 日本特許庁「Decision on Trademarks and Trade Names No. 2822/MOST」(2019年12月17日、英訳PDF)/2019年の商標・商号決定(2023年の商標規則で置換)の存在と内容の根拠。
https://www.jpo.go.jp/e/system/laws/gaikoku/document/index/lao-e_shouhyou-shogo-daijinkette.pdf - WIPO Lex「Decision of the Ministry of Science and Technology No. 2822/MOST of December 17, 2019, on Trade Names and Trademarks」/同決定の書誌(2020年2月11日施行)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/legislation/details/20284 - UNEP LEAP/FAOLEX「Decision No. 0874 on Trademarks」(商工省、2025年5月20日、ラオ語原文PDFへのリンク)/2025年の商標に関する決定第0874号の存在・日付・概要(ニース分類の義務的使用、登録・登録後手続・代理・管理)の根拠。
https://leap.unep.org/en/countries/la/national-legislation/decision-no0874-trademarks - 日本特許庁「諸外国・地域・機関の制度概要および法令条約等:ラオス」(制度概要PDF、2024年統計版)/知的財産局の沿革(1995年首相令第06/PM号、2008年・2012年・2018年・2024年の知的財産法、2019年決定第2822号、2023年の規則第0434〜0436号)、加盟条約、WIPO統計による商標出願・登録件数(2021〜2024年、外国出願人・日本からの件数)、商標制度の概要(標章の種類、先願主義、代理人、言語、10年、不登録事由、周知商標、多区分、実体審査、公開15日、異議60日、取消5年、不使用5年、ニース分類、譲渡)、公的費用の料金表(出願2万・審査5万/区分・登録10万・公告2万・更新2万キープ)の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/la.pdf - 日本特許庁「ラオス商標に関する首相令(1995年1月18日、法律No.06/PM、日本語訳)」(PDF)/1995年の商標首相令の根拠。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/document/mokuji/lao-shouhyou_syusyourei.pdf - ジェトロ「税関による知的財産権保護措置に関するガイドライン」(財務省第0121号、2022年1月13日、ジェトロ仮訳PDF)/権利者情報の申告書類、10営業日の承認、2年の保護期間、3営業日の差止め、職権行使、差止申請と1,000万キープの供託金、10営業日以内の調停・提訴、裁判所、処分、2011年ガイドライン第1970号の置換の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/la/ip/pdf/guideline_2022_0121.pdf - ジェトロ「Instruction on Measures of Customs officers on Intellectual Property」(財務省第1970/MoF号、2011年9月8日、ラオス関税局英訳PDF)/2011年の税関ガイドラインの根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/la/ip/pdf/Guidance_on_IPR_protection_in_English.pdf - 商工省知的財産局(DIP)ウェブサイト(英語トップ、商標ページ、組織紹介、代理人一覧、法令一覧)/商工省傘下の知的財産局の位置づけ・所在地・連絡先、電子出願・商標検索・公報の提供、商標登録の目安(約8か月・約150万キープ)、登録代理人の一覧、法令のラオ語原文の根拠。
https://dip.gov.la/en//https://dip.gov.la/en/about-ip/trademark//https://dip.gov.la/en/about-us//https://dip.gov.la/en/online-resources-and-services/law-regulation/
マドリッド制度・ハーグ制度・条約・統計(WIPO)
- WIPO Lex「Lao People's Democratic Republic」(国別プロファイル:法令一覧と条約加盟状況)/知的財産法(2024年1月24日施行)と2023年の商工省規則群の書誌、パリ条約・マドリッド議定書・PCT・ハーグ協定・ベルヌ条約・WTOの加盟日の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/members/profile/LA - WIPO「Madrid Protocol and Regulations: Declarations and Notifications by Madrid System Members」/ラオスの18か月宣言(第5条(2)(b))、個別手数料の宣言(第8条(7)(a))、ライセンス記録の国内効力に関する宣言(規則第20bis(6)(b))の根拠。
https://www.wipo.int/madrid/en/members/declarations.html - WIPO「Individual Fees under the Madrid Protocol」/ラオスの個別手数料(1区分41スイスフラン・追加区分29スイスフラン、更新同額)の根拠。
https://www.wipo.int/madrid/en/fees/ind_taxes.html - WIPO「Information Notice No. 21/2024: Change in the Amounts of the Individual Fee: Lao People's Democratic Republic」(PDF)/2024年12月7日からの個別手数料(51・36→44・31スイスフラン)の根拠。
https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/information-notices-en-2024-madrid_2024_21_e.pdf - WIPO「Information Notice No. 28/2026: Change in the Amounts of the Individual Fee: Lao People's Democratic Republic」(PDF)/2026年6月28日からの個別手数料(44・31→41・29スイスフラン)の根拠。
https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/information-notices-en-2026-madrid_2026_28_la_indfee_e.pdf - WIPO「A brief overview of the Madrid System in the Lao People's Democratic Republic」(PDF)/音・匂いの商標が保護されないこと、絶対的・相対的理由の審査、18か月宣言、職権による暫定拒絶への60日以内の不服、登録公告から5年以内の取消請求、加盟当初の個別手数料141・101スイスフランの根拠。
https://www.wipo.int/documents/d/madrid-system/docs-en-briefing_paper_lao.pdf - WIPO Lex「Madrid Protocol – Contracting Parties」/議定書への加入(2015年12月7日)と発効(2016年3月7日)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=8 - WIPO Lex「Paris Convention – Contracting Parties」/パリ条約への加入(1998年10月8日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=2 - WIPO Lex「Patent Cooperation Treaty – Contracting Parties」/PCTへの加入(2006年6月14日発効)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=6 - WIPO Lex「Hague Agreement – Contracting Parties」/ハーグ協定への加入(2026年7月14日)と発効(2026年10月14日)の根拠。
https://www.wipo.int/wipolex/en/treaties/ShowResults?search_what=C&treaty_id=9 - WIPO「Lao People's Democratic Republic Joins the Hague System」(2026年7月)およびハーグ制度「Information Notice No. 8/2026」(PDF)/ジュネーブ改正協定への加入、2026年10月14日の発効、保護期間15年・公開延期18か月・拒絶通報12か月の宣言の根拠。
https://www.wipo.int/en/web/hague-system/w/news/2026/lao-people-s-democratic-republic-joins-the-hague-system/https://www.wipo.int/documents/d/hague-system/information-notices-en-2026-lao_pdr_accession_en.pdf - WIPO「Intellectual property statistical country profile 2024: Lao People's Democratic Republic」(PDF)/区分数ベースの出願7,165件(居住者1,109・非居住者6,056)、出所別シェア(中国40.4%、ブルガリア9.1%、韓国・米国・シンガポール各5.8%)、登録区分数6,516件、審査官1人当たり約1,024件、ラオスを本国とするマドプロ出願7件、海外出願113件の根拠。
https://www.wipo.int/edocs/statistics-country-profile/en/la.pdf - WIPO「Explore IP Landscape: Lao People's Democratic Republic」(国別プロファイル)/知的財産局が国家知財官庁であることの根拠。
https://www.wipo.int/en/web/country-profiles/la
日本の公的機関の資料・為替
- 外務省「ラオス人民民主共和国 基礎データ」(2026年6月18日更新)/面積・人口(758.2万人、2023年)・言語、GDP(約158億米ドル)・1人当たりGDP(2,067米ドル)・成長率・物価・貿易額と品目・貿易相手国、為替レート、対日貿易(2023年)、在留邦人、投資協定(2008年8月発効)、包括的戦略的パートナーシップ(2025年1月)、WTO加盟(2013年)、ASEAN加盟(1997年)の根拠。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/laos/data.html - ジェトロ「ラオス 概況・基本統計」/人口775万人(2025年)、実質GDP成長率・1人当たりGDP・消費者物価上昇率(2023〜2025年)、為替レート(2023・2024年平均)、日本との貿易(2021〜2025年)と品目、進出日系企業110社(2025年6月)、在留邦人621人(2025年10月)、日・ラオス投資協定の根拠。
https://www.jetro.go.jp/world/asia/la/basic_01.html - ジェトロ「知的財産に関する情報:ラオス」/知財ニュース一覧、調査報告書、法令資料(知的財産法和訳、税関ガイドライン、マドリッド議定書に基づく商標保護規則に関する決定(2017年))へのリンクの根拠。
https://www.jetro.go.jp/world/asia/la/ip.html - ジェトロ・バンコク事務所「ラオスにおける模倣品流通実態調査報告書」(2024年3月、PDF)/知的財産関係機関(商工局の公式意見書と行政摘発、国内貿易局、財務省関税局、公安省、検察院、人民裁判所)、法令一覧(2023年の商工省決定群、首都ビエンチャンの通知第1422/DOIC.VC号、刑法第246条・第288条・第303条、事業競争法、消費者保護法)、摘発実績(2018〜2023年:国内貿易局の押収約12億キープ・罰金約1.1億キープ、関税局の摘発なし、知的財産局の商標侵害29件、裁判例なし)、ボーテン検問所の実情、日本製品の模倣品(電子機器・オートバイ・衣類)の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/la/ip/pdf/la_mohou_202403r.pdf - ジェトロ・バンコク事務所「ラオスにおける知的財産の権利執行状況に関する調査」(2018年8月、PDF)/2017年法の施行(2018年6月9日)と改正点、知的財産局の体制(60名、商標審査官7名)、出願・登録の月間件数、裁判例(2015年の飲料水模倣刑事事件、2008〜2009年の歯磨き模倣事件、2017年の意匠税関事件)、裁判制度と所要期間、提訴費用・弁護士費用、行政手続の費用、統計(民事年1〜2件、税関差止申請16件)、2017年法の紛争処理・民事救済・仮処分規定(第127条・第135条・第137条・第140条・第144条)の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/la/ip/pdf/survey_201808_la.pdf - ジェトロ知財ニュース「ラオス知的財産局、委任状の原本証明のための公証要件の撤廃について」(2023年8月2日、PDF)/2023年6月26日の知的財産局通知第0973/DIP号による委任状・譲渡証書・ライセンス証書等の公証不要化と代理人の責任の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/asia/2023/la/20230802.pdf - ジェトロ知財ニュース「2024年1月5日発効のラオス改正知的財産法の和訳の公開について」(2024年12月25日、PDF)/改正法の公布(2024年1月5日)と官報掲載(3月1日)、日本語仮訳の公開の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/asia/2024/la/20241225rv.pdf - ジェトロ知財ニュース「ラオス科学技術省の解体について」(2021年3月3日、PDF)/2021年2月25日の党政治局合意による科学技術省の解体と知的財産局の商工省への移管の根拠。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/asia/2021/la/la20210303.pdf - ラオス中央銀行(Bank of the Lao PDR)「Exchange Rate」(2026年11月3日の公式レート)/1円=買143.30・売146.17キープ、1米ドル=22,406キープ、1スイスフラン=27,085キープと、本記事の円換算(1万キープ≒69円)の根拠。
https://www.bol.gov.la/ExchangRate - 欧州中央銀行(ECB)「Euro foreign exchange reference rates」(2026年11月2日)/1ユーロ=177.10円・0.9193スイスフランと、1スイスフラン≒193円の換算の根拠。
https://www.ecb.europa.eu/stats/eurofxref/eurofxref-daily.xml
現地実務の解説
- Tilleke & Gibbins「Laos Issues Updated Law on Intellectual Property」(2024年)/2023年法の官報掲載(2024年3月1日)、2007年以降の改正の経緯、2017年法の異議制度導入、周知商標の要件からの「領域内」「国内」の削除、商号の登録要件、5年以内の取消請求と悪意・不正登録の取消、消尽の導入と並行輸入、一般的禁止規定の根拠。
https://www.tilleke.com/insights/laos-issues-updated-law-on-intellectual-property/ - Tilleke & Gibbins「Laos Includes Copyright Disputes in New Administrative IP Review Rules」(2026年)/決定第0306/IC号(2026年4月24日施行、2023年の規則を置換)の内容(異議の通知後60日の反論、30日以内の決定、30日の再審査請求、ラオス語と認証翻訳、本国登録証明書、委員会3〜5名)の根拠。
https://www.tilleke.com/insights/laos-includes-copyright-disputes-in-new-administrative-ip-review-rules/ - Asia IP「How Laos is transforming intellectual property laws」(2024年)/2023年法の変更点(存続期間の起算日、商号、取消、周知商標)の解説の根拠。
https://asiaiplaw.com/section/in-depth/how-laos-is-transforming-intellectual-property-laws - Asia IP「Laos IP Guide 2025」/決定第0874号(2025年7月4日施行)による委任状の写しの許容と電子更新、登録代理人を通じた出願、公式調査(15〜20就業日・約100米ドル)、方式審査1〜2か月、異議60日、外国語商標の翻訳と発音、欧州特許有効化(2025年4月1日)の根拠。
https://www.asiaiplaw.com/section/strategy-guides/laos-ip-guide-2025 - VDB Loi「New Decision on Trademarks Clarifies Procedures」(2025年)/決定第0874号(2025年5月30日発出、7月4日施行、2023年決定の置換)の変更点(委任状の写し、1通で複数出願、外国語商標の翻訳と発音、電子更新の期限、代理法人への限定)の根拠。
https://www.vdb-loi.com/laos_publication/new-decision-on-trademarks-clarifies-procedures/ - KENFOX IP & Law Office「Laos Unveils New IP Law 2023: 5 Burning Questions Every Business Should Ask」/2023年法の実務上の評価(周知商標、商号、消尽、登録の遅れと権利行使の難しさ、悪意の先取り登録の事例)の根拠。
https://kenfoxlaw.com/laos-unveils-new-ip-law-2023-5-burning-questions-every-business-should-ask - Country Index(SMD Group)「Laos」(商標年鑑)/公的手数料(1区分152万キープ・追加区分80万キープの一括納付)、2024年5月1日の電子出願料金の引下げ、2023年6月26日の公証要件の撤廃、2016年2月1日の多区分出願の導入、2017年法の異議60日と出願日起算、マドリッド議定書加盟、ニース分類第12版の適用、使用による識別力、類見出し指定の不可、登録まで10〜12か月の根拠。
https://www.country-index.com/country_surveys.aspx?ID=177 - KENFOX IP & Law Office(Mondaq掲載)「Trademark Registration In Laos: A Comprehensive Guide」(2023年)/公式調査、優先権6か月、方式審査60日と補正60日、公開15日、異議60日、拒絶理由通知への応答2か月+30日延長の根拠。
https://www.mondaq.com/trademark/1309764/trademark-registration-in-laos-a-comprehensive-guide - Vision & Associates「Trademark Protection in Laos」/出願から登録までの総費用の目安(約300米ドル)、更新・名義変更・譲渡・ライセンス記録の所要期間と費用の根拠。
https://vision-associates.com/trademark-protection-in-laos/
※本記事は2026年11月時点の法令・料金・統計に基づく一般的な解説であり、個別の案件に関する法的助言ではありません。2025年の商標に関する決定第0874号と2026年の行政紛争処理に関する決定第0306/IC号は英訳が公開されておらず、公的手数料の料金表も原文が未確認です。実際の出願・権利行使にあたっては、最新の情報を確認の上、弁理士および現地代理人にご相談ください。